八幡、捻くれたままNEWゲーム   作:nyasu

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バカ、社会に出たら2ヶ月も休みなんて無理だよ。夏休みでダラけることは学生にしか出来ないよ、毎日が日曜日なニートでもないかぎり

ソファーに沈み込んで、今日も今日とて株取引。

未成年が出来るのは現物取引だけなのだが、それでも未来の株価を知っていると小遣い感覚で稼げる。

もっとも、それは10年ごととかになりそうだけど。

メガネのジンズとか、CMでよく聞いてたモノタロウとか、数千円になる株が十数円で買えるのだ、意味わからないよね。

一万円で買ったら、500万くらいになると思ってくれたら良い、ヤバい。

 

「ウェザーニュースがこの価格で、買うだろこれは……取り敢えずGAFAとかネットフリックスとか押さえとくか」

「お兄ちゃん、暇なの?一日株取引してて楽しい?」

「正直デイトレじゃないからつまらないし、やってないぞ。ほとんどYou Tube見てるんだよ」

 

スマホが出てからそんな年は経ってないし、PCが主流の時代だった。

まだWindows7が出るか出ないかっていう、驚き……ニコニコも最近できたんだ。

 

「もっと学生らしいことしなよ」

「バカ、社会に出たら2ヶ月も休みなんて無理だよ。夏休みでダラけることは学生にしか出来ないよ、毎日が日曜日なニートでもないかぎり」

「海行くとか、山行くとか、夏祭りとか学生時代の思い出のことだよ」

「そういうのゲームとかで疑似体験出来るから間に合ってます」

「終わりだよ、お兄ちゃん。それは、青春時代を過ごせなかった大人がやることだよ」

 

平行線ですね、でも仕方ないじゃん。

レトロゲーが出来るのは今だけなんだから、忙しいんだよ。

むしろ大人になってからやろうとすると、高かったりするんだよ。

このチープなレベルでこの値段、みたいになるんだよ。

 

「10年後にはYou Tubeはみんな見るようになるから」

「あー、ホームビデオとか映画とかアニメが見れるやつでしょ?」

「みんな携帯で見るようになるよ」

「片手で映画とか見れるわけ無いじゃん」

 

見れるんだな、これが。

まぁ、昔の人からしたら半日で江戸から大阪とかに移動するのも夢物語だし、案外こういう技術の進歩というのは嘘だぁみたいなことを実現していくってことなのかな。

 

「あー、映画見たくなってきたな。ビデオ借りてくる」

「マジかよ、まだDVDじゃなくてビデオあるのかよ」

 

嘘、俺の高校生の頃って昔過ぎ!これからビデオもなくなっていくんだよなぁ……PSPで映画も見えなくなるな、そういえば。

 

なんだかノスタルジックな気分になっていたら、携帯がなった。

おっと、アマゾンさんからの発送メールかな?と思いながらテーブルの携帯を取った。

 

「なんだ由比ヶ浜じゃなくて、平塚先生か」

 

返せるときに返そうと思って携帯を置くと、今度は電話が掛かってくる。

瞬間、思い出される平塚先生の大量メール……そうだった、早めに出ないと面倒くさいことになる。

 

「もしもし、比企谷です」

「おう、比企谷くん!いやぁ、寝ているのかと思って電話したんだ」

「先生、もし出なかった場合に大量にメールとか送っちゃ駄目ですよ。彼氏とかにそういうことすると、重い女だと思われて嫌われますよ」

「…………」

 

ブツン、と電話が切られて、ツーツーと一定音がする。

えっ?えっ、えっ、えっ?待って、なんか俺した?

あっ、掛かってきた!

 

「もしもし?」

「比企谷くん!寝ていると思って電話したんだ」

「…………」

 

えっ、えっ、えっ?さっきのやり取りは?あれ、どうなってるんだ?

これは、触れないほうがいいのか?いいんだろうなぁ……

 

「要件はなんですか?」

「唐突だが、キャンプに行きたくないか?」

「…………あぁ、地域の奉仕活動で林間学校のサポートスタッフが必要なんですね。そういえば、この時期に千葉村行きましたっけ」

「まだ言ってないのにどうして分かったんだ……というか、場所までよくわかったな」

「あれですよ、中学で自然教室行ったから」

 

やべっ、と思わず焦る。

そうだった、俺は懐かしいとか思ったけどよく考えたらこれからの話しだから知ってる方がおかしかった。

戸塚の寝顔とか戸塚と飯食ったとか、葉山が小学生女児と喋ってた記憶しかないけど、あぁ鶴見もいたか。

俺の記憶の半分が戸塚ってどうなんだ?まぁいいか。

 

「それで」

「分かりました。どこに集合しますか?」

「えっ、あっ、あぁ。行ってくれるのか?」

「はぁ?仕事なんだから行くに決まってるでしょ」

「いや、仕事じゃないけど……」

 

仕事……じゃ、ない!?

そうだった、俺ってば学生だったと迂闊なミスをした。

いや、教師やってた時も似たような無茶振りあったから、いつもの感じで承諾しちゃったよ。

 

「はぁ……先生のことだからレンタカーを借りてるんですよね。教師の負担が大きいですから今度から、公共機関を使って移動するほうが良いですよ。連絡はこっちでやっときますから、人手がいるってことで集めますんで、先生は体裁の為に募集してる生徒と連絡してください。あぁ、ちゃんと保護者に外泊許可取ってるかの確認を本人か保護者からしてくださいよ、後々トラブルになると面倒ですから」

「手慣れてる!?いやエスパーかね、どうしてレンタカーを借りてると分かったんだ」

「返事は?」

「……あっ、はいやっときます」

 

生徒思いなのは良いことだが、もう少し自分の負担についても考えてほしい。

いつもフォローするこっちの身も……いや、今はしてないんだっけか。

いや、若い内から習慣化するのはよくないし、周りを頼ることを教えないと行けないだろ。

これでいいはずだ。

教師って盆休み以外は普通に仕事だからな。

 

電話を切った俺は、勉強の息抜きに自分へのご褒美って大事、みたいな丸の内OLみたいな事を言う小町にキャンプ行くぞと声を掛けた。

あと、ラインで由比ヶ浜と雪ノ下に部活動でボランティアがある旨と無理ならこちらから先生に連絡する事も伝えておく。

あぁ、あと戸塚はマストだ。材木座は、どうせコミケで忙しいから要らないだろ。

 

勉強はノロノロしてたのに、遊びに行くぞと聞くと機敏な動きで小町は準備する。

何お前、切り替え早くね?仕事は遅いけど、プライベートはアクティブな大人になりそうだな。

重そうだったので詰め終わった荷物を持ってやると少し嬉しそうにしてくる。

お前が最近、チョロインになってきてお兄ちゃんは心配です。

 

「いやぁ、なんだかんだ小町の話を聞いて更生してくれて小町は嬉しいよ」

「何の話だよ」

「またまた、お兄ちゃんが自分からキャンプに行くなんて頭おかしいよ」

「さりげなく、罵倒してくるなよ。部活動だから仕方ないだろ」

「昔のお兄ちゃんなら、携帯放置して電池切れを言い訳にしてたと思うよ」

「……あぁ、そうだな。お前すげーな、お兄ちゃん解像度高くね?」

「お兄ちゃんのことは何でも知ってるのだ、あっ、これ小町的にポイント高い」

 

そろそろ、ポイント溜まってなんか貰えたりしない?その小町ポイント結局なんなんだよ。

そんな事を考えながら、由比ヶ浜とラインしながら駅のロータリーへと向かうと先についていた奴らが見えてきた。

パンパンに膨れ上がったコンビニ袋、ピンク色のバイザーにTシャツとホットパンツ。

何だお前、水ポケモンのジムリーダーかよ。

由比ヶ浜の後ろには、少し恥ずかしそうに視線を逸らす雪ノ下がいた。

雪ノ下にしては珍しいジーンズ姿、立ち襟の白いシャツはどこか清涼感がある。

 

「グラ――」

「ね――」

「くっ!」

「ふっ!」

 

開口一番に小町の前で爆弾を投下しようとしたようだが、残念だったな!こっちは猫の写真集を見てたことを把握してるぞ!

いやでも、よく考えたら猫か水着姿の女かで言えば俺のほうがダメージデカくね?

つうか、まだ根に持ってたのかよ。

 

「ヒッキー、遅い」

「夏休みに当日呼び出しで集まれる方がどうかしてるだろ」

「集まろっていったら、集まれるもんじゃない?」

 

普通予定調整とか、あるじゃん。

あぁ……いつからだろうな予定を調整しないと人に会えなくなっちまったの。

これが若さか。

 

「結衣さん!やっはろー!」

「小町ちゃん!やっはろー!」

 

バカっぽい挨拶だな、流行ってんの?

 

「雪乃さんも!やっはろー!」

「やっ……こんにちは、小町さん」

 

吊られそうになったがギリギリ我に返ったらしい。ものすごい速度で顔が真っ赤になっていた。

 

「雪ノ下、にゃっはろー」

「ハァ?」

「……いや、なんでもないっす」

 

ちょっと、ふざけただけじゃん。

キレるなよ、こえぇよ。

もうやだ、空気が辛い、俺帰る。

 

「八幡っ!」

 

えっ、えっ、この声は……!

真夏の太陽よりも眩しい笑顔が、俺に向けられて注がれる。

戸塚の可愛い笑顔は万病に効く、俺のメンタルが回復した。

スマイルがプリティでキュアした、戸塚はプリキュアって分かんだね。

 

「戸塚さん、やっはろー!」

「うん、やっはろー!」

 

FOOOOO!なにそれ可愛いもっと流行らそうぜ!

 

「全員、揃ってるな」

 

そこには筋肉モリモリのマッチョマン……ではなく、デニムとTシャツにカーキーのキャップとキャンプ女子みたいな格好した平塚先生がいた。

 

「先生似合ってますね。あっこれ虫除けスプレーと日焼け止め」

「あっ、うん……ありがとう」

「駄目ですよ、そういうズボラなところ。しっかりしてください」

 

どうせ忘れてるだろうと思って、コンビニで買った袋をそのまま渡す。

なんだよ、なにか言いたげだなお前ら。

 

「ヒソヒソ、ヒソヒソ」

「ヒソヒソ、ヒソヒソ」

「何か言いたげにヒソヒソとか口に出してるんじゃねぇよ、せめてなんか会話しろよ。ヒソヒソってまんま言う奴ら初めてみたぞ」

 

まったく、すぐに色恋沙汰に持ってくんだから……違うから!本当に!そういうの困るから!

後で他の先生に噂されると教師側は困ったりするんだよ!ねっ、平塚先生!

 

「い、行こっか……」

 

おいぃぃぃ!お前も満更じゃないみたいな反応するな、誤解されるだろうが!

あぁ、クソ、男運最悪だから、この人耐性なかったんだった!

俺は何だか気恥ずかしくなって、先に車の助手席に座るのだった。

 

「何してる、行くぞ!」

「小町さん見て、オタクの比企谷くん照れてますわよ」

「あらあら、うちのお兄ちゃんったらお可愛いこと」

 

やっぱりお前ら、ヒソヒソで会話してろ!

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