大変お待たせしてしまってすまない……(某CV諏訪部並感)
というわけで、序章.2公開です、どうぞ
───Gha↑ahh↑ahh↑ahhhhhh↓ooounnnm!!!───
強烈なる轟咆が辺りに響き渡る。
「あれは……!!」
戦車隊にいた青年士官がその姿を捉える。
薄暗い中でもなお、否、逆にその漆黒色の巨体は目立っていた。
鈍い白色の背鰭が僅に青みがかった光を、また纏い始める。
その全高も、目測だが100mはあるんじゃないだろうか。
「【大和】……!!」
その名が、士官の口から零れ落ちた。
それと共に、さらなる影が飛翔する。
「あれは……!!!」
「轟天号だ……ッ!!!」
その姿に気付く、辛うじて生き残った者達。
「総員、撤退準備ッ!!!
生き残った者達だけでも撤退するッ!!!
散った者達の為にも生き残れッ!!!」
「「「了解ッ!!!」」」
その場に現れた、一隻の
全領域対応型多目的航空機動戦艦【轟天】。
葉巻型潜水艦と戦艦を足して割った様な姿と、艦首部に備わった巨大なドリルが特徴と言える
暫く前に地球を訪れた異星人【ビルサルド】並びに【エクシフ】の技術を以て、元々『海底軍艦』として開発され途中で放棄されていた艦艇の
「新たに現れた怪獣は100m級の【ゴジラ】───」
【轟天】オペレーターが艦長に報告する。
「───コードネーム【大和】とされます!」
「【大和】、だと……!!?」
それは今よりもずっと昔。その同類が世界で初めて確認された時の事だ。
それは日本 大戸島に伝わる海神【
だが、時が経つにつれてゴジラは複数体───それも著しい個体差があるもの達が立て続けに現れた為に、日本はそれぞれの個体を旧日本海軍の戦艦級の命名式と同じ『旧国号』のコードネームで呼称することとなった。
【大和】は、その内日本に現れた七番目の個体。
特一級最重要機密資料に記されているその生い立ちが影響しているのか。【大和】は、ゴジラの中で最も人類に対して友好的な個体とされていた。
だが、それでもその力は
戦車隊とグランドギドラの間に割り込み、【大和】はグランドギドラへと向き直る。戦車隊を気遣っているのか尻尾を地面より余裕のある高さまで振るい、しかし上手く重心のバランスを保っている。
巨大な翼を羽撃たかせホバリングする様に宙に浮いていたグランドギドラも、後退しながらも【大和】へ睨み付ける。
睨み合う両者。
縦五列に並んだ雄々しい背鰭がストロボの様に連続で点滅を始め、大きく開かれた顎《アギト》から、臨界の様な蒼白い光が漏れる。───直後
───ゴォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!───
グランドギドラへと襲いかかる熱と光の奔流。
───Pggggggeeeeeerrrrrr!!!───
引力光線で応戦するグランドギドラ。
互いの熱線・光線が正面からぶつかり合う。激しくスパークが迸り、削れる様に飛び散ったエネルギーの塊が流れ弾となって周囲に降り注いだ。
【大和】の影に重なったことで、戦車隊に火の粉が降りかかることはなかった。だが安心できる状況なわけではない。
「轟天砲、砲撃開始ッ!!」
撃ち合いが中断されたのを見計らった艦長の号令により【轟天】が砲撃を始める。
標的はグランドギドラ。射線に【大和】が入り誤射せぬ様、両者の側面に回り込む様に陣取った【轟天】。左舷に向けた三連装砲二基、連装砲二基により砲撃を放った。
一発でも大規模の城壁を穿ち破砕する大口径砲の連射。だがそんな攻撃も、グランドギドラほどの怪獣には水鉄砲の足し程度にしかならなかった。
三つある内の左側の首が、【轟天】に向け引力光線を放つ。
「左舷に被弾!」
中腹部に被弾し、船体が激しい震動に見舞われる。その首はさらに横に薙いだ。
「艦尾に被弾!」
「艦長!!船体、高度を維持出来ませんッ!!!」
浮力を失い落下していく船体。
「総員!!衝撃に備えよ!!!」
落ちていく【轟天】を見やるグランドギドラ。そこへ【大和】が熱線を放つ。
首の片割れが引力光線で迎撃。撃ち合った光が空中で爆ぜる。
立て続けにあと二つの首も引力光線を撃ち出した。
戦車隊を庇うように屈んだ【大和】に、集束した電光が襲いかかる。
───Goaaaaaaaahhhhhhhhh!!!───
苦悶する様な声を上げる【大和】。何発も立て続けに浴びせられる。
今のうちにとばかりに、撤退していく戦車隊。辛うじて動ける四、五輌に入れるだけ生存者が入り、散った者たちの形見を最低限だけ詰め後退していった。
そうしてそのうち……十一、十二、十三と電光の濁流を浴びせられ、ついに【大和】が───倒れた。
戦車隊を庇い振り上げていた尻尾が垂れ落ち、残された碑達に降り下ろされ、沈黙する。
緋色の瞳が。光を失う様に、閉じられる。
───Pggeeaaahhh!!Gggeeeaahhh!!!Gggeeaaahhh!!!───
勝利を確信したのか、雄叫びを上げるグランドギドラ。それはうつ伏せで横たわる【大和】に近づいていく。
蹴りでもいれようとしたのか。目の前まで迫る。
その次の瞬間───
───Gaaahhhhhh↑↑↑!!!───
短い咆哮と共に突然起き上がった【大和】が、グランドギドラの中央の首に噛み付いた。
突然の予期せぬ事態───倒したはずと信じ切っていたが故の事態に、混乱するグランドギドラ。両腕でがっちりと胴体に組み付き、噛み付いたまま【大和】は、
体内放射───熱線として使うべくチャージしたエネルギーをそのまま溜め続け、体内で暴発させるという荒業だ。
自身の身体をボロボロにするかわりに放つ一撃も、ゴジラ種特有の強靭な生命力・再生能力があるからこそ
胸部に無数に開いた穴が修復されていく。一方のグランドギドラは皮膚が焼け爛れ鱗が捲れ剥がれていた。
治りきる前にケリを───そう思考したことであろう。だが、次の瞬間───
───!?!?!?!?!?!?───
グランドギドラは宙を舞っていた。
自らの意思で飛んだのではない。
背負い投げの要領で投げ飛ばされたのだ───あろうことか【大和】に!
さらにグランドギドラに衝撃が走る。投げられた先で尻尾で打ち上げられ、そのまま放り投げられたのだ。
立て続けに喰らった反撃、一転攻勢した戦況に激昂と混乱でどうにかなってしまっていた。
【大和】も、引導を渡す準備が整っていた。
体内放射で開いた傷が塞がったのだ。
背鰭が一層強い光を放つ。あまりの出力からか、電気の描写にも似たスパークすら迸っていた。
溜まりきったのであろう、その莫大なるエネルギーを───
───ゴォォォォォォォォォァァァァァァァァッ!!!───
───先程よりも一際激しく輝く熱線として、開口した顎から放った。その形相は正しく、
───キュゥゥゥァァァァァァァァァッ!!!───
グランドギドラも負けじと引力光線を放った。
三条の光線が集束し、
どちらが耐えられなくなるか。
耐えられなかったのは───
───どちらでもない、地盤だった。
溢れ出る膨大なエネルギーの量に耐えられなくなった地盤が沈下と隆起を始める。
───Ghaaaaaaaahhh!!?───
真下で起きた【大和】も例外なく巻き込まれることとなる。
直前でグランドギドラが飛び立ち逃げようとする───だが!
そこに全く意識の外だった背後───それも自分より上から幾筋もの光線が降り注ぎ、その全てが直撃しとことによりバランスを崩したことで、さらに下から迫った熱線に片翼を撃ち抜かれた。
自分を哀れに見やる、
そのまま【大和】と共に、落下していくグランドギドラ。
片翼でも飛び立とうとするが、掴まる者まで引き上げることなど叶わない。
畜生が、と言わんばかりに虚しく鳴きながら、黄金の冠位は【轟天】が放ったミサイルにより崩された地形に【大和】と共に沈められることとなった。
直後、大地に浮かび上がった光の陣。
遅れてやってきた
共に落ちていった【大和】を気遣う艦長を余所に、戦いが終わり【轟天】の乗組員達も少しは和らいだであろうか。
これが、まもなくして訪れる───後に第二次怪獣大戦と呼ばれることになる、戦乱の幕開けになってしまったとは知らずに。
2037.11/17
南極 南緯77度19分01秒 東経39度42分12秒
旧ドームふじ基地跡
以降、この地点を【エリアG】と呼称することとする
第一次なんだよ、って話かもしれませんが
次回、第一章は1954年からお送りします(←)
追記(2/19 21:06)
ごめんねさっきっから年が2038→2041→2037って
計算ミスってたから