転生作家は美少女天才作家に恋をする   作:二不二

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反省兼備忘録です。


あとがき、あるいは書き手としての振り返り

【0.本頁について】

 拙作は文章の練習を兼ねたものですが、では、どういうことを意識して練習したのかということについて振り返り、今後の課題を得ると同時に、備忘録にしようと思います。

 具体的には、第1項においては執筆にあらって自らに定めた留意点を振り返り、第2項では各話の個別の振り返りを通じて課題を見つめ直し、そして第3項ではストーリー構成についての俯瞰的な気付きを確認し、第4項では文章の書き方について意識した点と気付きを整理し、第5項でまとめます。

 つまり、今後何らかの小説を書くときの、自分用のメモです。

 

 

【1.拙作を書くうえでの目標】

ストーリーと設定については次の4点を、文章については次の6点をそれぞれ意識して、拙作に取り組んできました。

 

ストーリーと設定についての目標:

 ひとつ、原作の流れに沿いつつも、オリジナル要素を入れること。具体的には、花火大会など、原作で軽く流されたり扱われなかった部分を描く。原作と同じ場面(イベント)でも、原作の文章のコピペにならないように、話題や小イベントを変える。

 ふたつ、原作のキャラを大切にすること。アンチに走らない、安易に悪役にしない。そもそもキャラの魅力は作品の魅力なので、これを損なうのは戦犯ものと心得る。代わりに、エルフちゃんに準ずる愛を注ぐこと。

 みっつ、原作キャラの功績をオリ主にかすめ取らせない。オリ主にしかできないことをさせるべし。その程度のオリジナル要素が作れなくて、何が”オリ”主か。

 よっつ、原作を読んだり観たりしていなくても、話やキャラが理解できるようにすること。二次創作とはいえ「小説」を書くことに挑戦しているので。

 

文章についての目標:

 ひとつ、エルフちゃんを魅力的に描くこと。具体的には、外見の描写は全力で。エルフちゃんの美しい内面についての洞察も添える。突拍子のない行動、非常識な言動も好意的に解釈する。

 ふたつ、説得力を持たせること。具体的には、情景は目に浮かぶように描写する。キャラクタがどうしてそのような行動を取ったのかが理解できる、あるいは納得できるように、内心を考察してみたり、描写で力押しして雰囲気で誤魔化す。原作におけるコミカルなキャラクタの動きも、同じ手法で立ち向かう。

 みっつ、原作の文章のコピペはせず、より掘り下げた描写をしたり、原作では描写されていなかったキャラの言動を描いたりする。二次創作の醍醐味。

 よっつ、面白くない文章は書かない。なるべく。できるだけ。できれば。……自分なりに楽しみながら文章を書きましょうってことで。

 いつつ、クドくならないように書くこと。どうも自分は冗長に書いてしまうようなので。

むっつ、パロディネタを好き勝手に、けれども知らない人でも(そこまで)違和感無く読めるように書く。

 

 

【2.各話の振り返りと今後の課題】

 以下は、各話についての振り返りです。

 書くときに意識した点、反省事項など、書き手としての思いを書いています。

 「ストーリーについて」ではどういう意図でその構成にしたのかを、「文章について」では技巧面で工夫したことや楽しかったことについて、それぞれ振り返ります。「今後の課題」は、主に文章上の改善点や挑戦すべき点についてのメモです。

 

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1.一目惚れ

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ストーリーについて:

 原作と最もかけ離れたエルフを描いた回。原作にない状況なので、どうしてもエルフの性格を独自に解釈して、反応を描く必要がありました。説得力を持たせないと、速攻で切り捨てられてしまうということで、投稿するまで一番度胸が要ったのはこの回でした。

 小説で言うところの冒頭2ページです。つまり本作の売りを最大限主張して、読者にアピールする必要がある。というわけで、最大の売りであるエルフちゃんの描写に全力投球。あとは、主人公のキャラ立てと、強力な恋のライバル(になるかもしれなかった)幼馴染キャラの存在を臭わせつつ、次話への引きを盛り込んで、読み疲れないように短く切り上げました。

 会話では、リアリティがでるように、最初はつっけんどんだったのが段々調子づいてきて素の姿を一瞬のぞかせる、という構成を取りました。

 

文章について:

 可愛らしいエルフちゃんを描写したい! というのが執筆に至った最大の理由なので、精いっぱい描写しました。今の私にはこれが限界。見たままを描写するのではなく、比喩を使うことを意識しました。

 書いてて楽しかったのは、住宅街のくだりです。テンポ良く戯画的に描けたかなと。逆に苦労したのは、ピアノの音色。私には音楽がとんと分かりません。今後、音楽の描写にも挑戦してみたいです。

 改めて見直すと、もうちょっと読みやすくできんのかな、てかできるでしょ! って箇所がいくつも。主に冒頭部です。書いてる時は気付かなかったものですが……。まとまった文章を書いたのは7年ぶり、小説書くのは約10年ぶりなので、しょうがないね! いや、しょうがないなんて無いだろ!

 

今後の課題:

 音楽の描写。冒頭部を読み易く。冒頭部がもっと読み易く、かつキャッチーであれば、ブラバする人はもっと少なかったに違いない。

 

 

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2.鈴木一郎という少年

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ストーリーについて:

 主人公について掘り下げる回。書きながら、手探りで主人公の性格を作っていきました。また、オリ主SUGEEE要素が欲しかったというのもあります。

 もちろん、エルフちゃんの魅力も描きます。外見の可愛らしさはもちろん、内面についても「良い女」っぷりをアピール。

 一応ジャンルは「恋愛」なので、恋愛モノであることを端的にアピールできるよう、一郎の告白を描きました。

 編集部のところは趣味です。拙作では『グイン・サーガ』のステマをしています。

 

文章について:

 古くてオシャレな家が描写できませんでした。住宅雑誌を読むのは大好きですが、描写できるかと言うと、うーん……。家の描写という課題を見つけることができました。

 編集部のくだりで、多人数の会話を描く練習。と言っても実質二人だなぁ。台詞で話を進めながら、地の文で情景を描いたり情報を補完するということを意識しました。

 描写を深めることに挑戦しました。キャラクタに行動に、様子を描写する一文を加える。例えば、“一通り話を聞いた少女は、まじまじと一郎をのぞき込んだ。どこまでも澄んだ瞳は、鈴木一郎という人間の底まで見通すかのように思われた。”という二文を加えたり。後者はエルフの<神眼>を暗示する描写となっています。

 

今後の課題:

 家の描写。

 

 

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3.三人のラノベ作家

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ストーリーについて:

 マサムネ登場。一郎との接し方、特に呼称について悩みました。先輩呼びはムラマサと被るという書き手の都合の為、そして、ベテラン作家の醸し出す貫禄の暗示として、先生呼びに。

 マサムネと知り合い、エルフとの距離を縮める回。具体的には、一郎が素の自分を出しはじめ、ラノベという共通の趣味に興味を示す。

 原作のイベントは裏で進行中。本筋たるエルフとの恋愛には、絡める必要がなかったので。

 

文章について:

 そろそろエルフちゃんの外見の描写のパータンが尽きてきました。語彙が少ない。インプットが必要です。男の外見の描写はカット。需要がないだろうし、何より自分が楽しく描けないので。クリス兄貴以外はカットです。

 マサムネに火を点けるエルフの描写において、比喩を用いた描写の練習をしました。

 マサムネと仲良く、気安く話すエルフの描写が肝でした。さらっと書きましたが、書いてて楽しくもあり、切なくもあり。ある意味、拙作の醍醐味です。

 ゾンビ映画について言及するなど、一郎の新し物好きな性格の肉づけと、今後の伏線を兼ねた一文を入れておきました。

 

今後の課題:

 キャラクタの外見の描写について、語彙の少なさが露呈。インプットが必要。

 

 

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4.水晶宮の陥落

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ストーリーについて:

 フラれます。起承転結の「承」への導入部。拙作がどうしても受け入れられなかった方は、一番の原因はこの展開のようです。文章が原因じゃなくて良かった。とはいえ、納得できるだけの材料を提示できなかったのは今後の課題です。

 マサムネ、エルフ、一郎の「三バカ」のやりとりを描く回。今後話を進める上で、キャラ同士の掛け合いがどんどん増えてきます。その時に違和感を出さない為の、土台固めの回でした。

 また、オリ主である一郎の設定ないしイメージを固めるべく、作家としての一郎のスタンスについて触れます。メインテーマは恋愛ですけど、こういった部分も、物書きをテーマとする以上は取り扱っておきたいので。更にえいば、バトルものにおけるオリ主の戦闘能力の設定に該当する部分なので、作品の魅力に直結する部分だなと思ってのことです。

 

文章について:

 エルフちゃんの外見の描写をカット。語彙が尽きてきたので。代わりに、エルフちゃんの自画自賛のセリフと、比喩を用いた仕草の描写に挑戦しました。

地の文が多いかなと反省したので、台詞を増やすことに。

 風や太陽といった風景描写を取り入れました。そういえば、これまで描いてなかったなと思って。もっと心理描写を風景描写に投げた方が小説っぽくて雰囲気出るなぁとの気付きを得ました。

 

今後の課題:

 風景描写に心理描写を投影する手法を、選択肢のひとつに加えるように。

 

 

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5.ビルの上のラプンツェルは熱いのがお好き

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ストーリーについて:

 出版社で缶詰するエルフの元を訪れる話。原作では触れられることのなかった部分です。こんな美味しいイベントをスルーするだなんて、マサムネときたら本当に真性の妹キチですね(褒め言葉)。

 ストーリー構成上の意図は三つ。ひとつ、エルフちゃんとの仲を深めること。ふたつ、クリス兄貴という馬を射ること。みっつ、ラノベ作家デビューの為の布石を打つこと。

 オマケとして、一郎のラノベ執筆の進行状況を示す。また、マサムネが偉大な変態作家と肩を並べる変態であることを示し、原作ですんなりヒットを飛ばしたことの補完を試みる。

 幼馴染属性を付与されためぐみんが登場しました。これは、一郎とエルフの仲が進展しなかったときの当て馬、もとい起爆剤として活用する為の伏線でした。が、一郎くんが自分で頑張ってくれたので不要に。

 

文章について:

 書いてて楽しかったのは冒頭部の、焦る一郎の様子です。力いっぱい描写しました。

 逆に、全体的に地の文は短く簡潔にしています。会話をテンポ良く転がす為に、初登場のクリス兄貴の描写と、一郎との緊張感あるやりとり以外は、あっさり流すことにしました。

 これまでしっかり地の文を書いてきているので、上記の変化は、大きな試みでした。その甲斐あって、エルフとの会話はテンポ良く転がり、じっくり書くべきところはじっくり書いてと、メリハリがついたと思っています。

 

今後の課題

 文にメリハリをつけることを意識する。会話は、あっさり風味の地の文で。しっかり書くべきところはしっかり。その見極めが必要。

 

 

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6.正体

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ストーリーについて:

 完全に趣味の回。「ぼくのかんがえたさいきょうのらのべ」を披露するオリ主SUGEEE回――

 にしてしまうのはマズイので、ストーリー構成上の目的を二つ持たせました。ひとつ、ラノベ作家デビューの伏線にすること。ふたつ、エルフちゃんが一郎が転生者だと気付いて関係を深める一助にすること。

 

文章について:

 結果発表を待つマサムネと一郎の描写。二人を対比して描くことで、二人のキャラクラを掘り下げる。と見せかけての、二人を見守るエルフの描写。拙作はエルフちゃんの為にあります。

 この頃には、会話でどんどん話が転がるようになっていました。はじめに台詞を書いて、それを補完するように地の文を書く。そのようにして出来上がった会話のモジュール同士を、更に地の文でつないでいく。そんな感じで、一話できました。キャラが勝手に動いてストーリーが出来上がるとはこういうことなのかと驚きました。キャラの力ってすげー。さすが伏見先生。

 書いてて一番楽しかったのは「ぼくのかんがえたさいきょうのらのべ」の内容です。こういうのが読みたい! という思いを書き連ねました。

 なお、こういう、「その世界で実際に人が生活してるんだなぁ」って実感できるような描写。にぎにぎしい街の様子とか、そこで暮らす人々の姿とか、独特の価値観がふとした拍子に台詞や行動に出てくるとか、そういう雰囲気を楽しみたいという方は、『グイン・サーガ』は本当におすすめです、とくに110巻『快楽の都』のあたりは街の描写がすごい! 拙作では『グイン・サーガ』のステマをしています。

 

今後の課題

 勝手に動くような活き活きしたキャラ作り。どうやったらそんなキャラ作れるんですかね……。

 

 

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7.縁日

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ストーリーについて:

 ストーリー構成上の意図は、エルフと一郎の関係を進めることです。最近三バカの掛け合いばっかり書いてる気がする、そうだ、そろそろエルフちゃんに打撃を与えなきゃ! ということで展開を急いだ回。

 また、原作ではマサムネが軽くスルーしていたイベントなので、「二次創作するならこれ書いてね」ラノベ作家デビューの話を進めるべく、めぐみんを使ってコミカルに神楽坂さんとの話にケリをつけました。

 

描写について。

 祭りの様子と、小路に入ったとたんに雰囲気が変わる様が書いてて最高に楽しかったです。こういう、にぎにぎいしい街の雰囲気を読むのも大好きですが、書くのも楽しいなと実感しました。皆さんは、こういうのはお好きでしょうか。楽しんでいただけたら嬉しく思いますが、「チッ、うぜーな」と読み飛ばしていたなら、考え直さなきゃならない。

 一番苦労したのは、“遠目に花を愛でる風流、あたたかな寂寥感がしずかに胸を満たす”という下りです。仕事しながら、半日くらいずっと悩んでました。短く端的に、さらっと表現するのって大変です。うまく伝わっていれば幸い。

 めぐみんの匂いを嗅いだときは無反応なのに、エルフのときは「いいなぁ」と半分セクハラ発言。この対比も書いてて楽しかったです。

 

今後の課題:

 エルフちゃんの口調、ちょっと堅くない? キャラの喋り方を常に見直し、原作を忘れるべからず。

 

 

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8.打ち上げ会

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ストーリーについて:

 原作主要メンバー揃い踏み。今後のキャラ同士の掛け合いの土台となる回なので、たっぷり紙面を割いて描きました。その結果が一話に収まりきらなかったわけですよ!

 

文章について:

 原作では、マサムネくんの一人称であることと紙面の関係の為か、キャラの反応や言動が深く描かれていませんでした。拙作では、これを深めることが目標のひとつなので、キャラ同士の掛け合いを増やしたり、獅童くんをもっと丁寧に扱ったりしました。自分ではそれらしく描けたと思っています。

 一方で、ムラマサ先輩の口調が難しかったです。堅いようで、若者ぽかったり。基本は堅くて、家族やマサムネの前では幼い言動になるけれど、堅いときの堅さ加減が掴めない。二次創作と言うことで、ある程度は割り切りましたけど。思うに、伏見先生はキャラの「口調」のパターンが多いのかもしれない。翻って、自分の扱うことのできる「口調」ってパターンが少ないんだなと気付かされました。

 

今後の課題:

 キャラの口調のパターンを増やす。

 

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9.物書きたちの宴

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ストーリーについて:

 前回に引き続き、キャラを動かして掛け合いをさせたり、掘り下げて描いたりすることで土台作りをしました。特に、五人の作家としての技巧的な面を描くことで、キャラを深めました。

 ストーリー構成上の意図は二つ。ひとつ、獅童という第三者の目を通じて、三人の関係を客観的に確認すること。ふたつ、起承転結の「転」につなぐための導入として、エルフの独白を盛り込むこと。

 原作ではさらっと流された感のある「打ち上げ会」ですが、もっと楽しい会話やイベントがあったに違いないと思い、バトルドームや“書き会”を描いてみました。なお“書き会”は私が所属していた大学の文芸部の恒例行事で、制限時間とお題を決めて超短編を書くというものです。三十分から四十分かけて、原稿用紙二・三枚でしょうか。お題は辞書から無作為抽出。即興の一発ネタで終わることがほとんどでした。瞬発力が鍛えられたような、何も鍛えられなかったような……。今思えば、風景描写でもしておけば良かったのでは……。

 

文章について:

 以前の反省を生かして、風景描写を効果的に使うことに挑戦しました。つまり、月の描写をつかって「クールダウンしてるよー」アピールしてみました。上手くいったと思っています。今後はもっと活用したい。

 

今後の課題:

 風景描写を活かす手法を、もっと活用する。

 

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9.5.酒宴(閑話)

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ストーリーについて:

 完全な閑話。本筋にまったく関係なし。

 獅童くんに「連載決定おめでとう」してあげたかったのと、お酒呑ませたかっただけです。それだけだと男臭いので、ついでにめぐみという花を添えて。

 

文章について:

 冒頭部の、めぐみと一緒に外気が入ってくる描写が、書いてて一番楽しかったです。

 お酒の味については、酔っ払いながら呑んだ記憶を参考に。なのでどこまで正しいか怪しいところですし、そもそもお酒の味が分かるほど呑み慣れてませんし。

 お酒もそうですが、飲食物の味について描写ができたら素敵ですよね。飯テロとかできたら楽しそうですし、食レポしたら楽しみは三倍ですよ。食べる、書く、読み返すの三倍。

 

今後の課題:

 飲食物の描写をインプットしたり練習したりする。

 

 

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10.妖精島の三泊四日・上

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ストーリーについて:

 話を畳むべく、展開を急ぐ。『森と妖精の島』『山田エルフちゃんと結婚すべき十の理由』のふたつをいっぺんにやってしまおうということで、二泊三日を三泊四日に延長。エルフから協力の要請、秘密の合図の話をもちらけられることがメインの内容。

 展開を急いでるはずが、導入部に当たるこの回だけで12,000文字。どうしてこうなった。ホモのせいだ。原作のホモネタが面白過ぎたので、絶対に書きたかったんです。

 冷静に考えれば、飛行機のくだりこそが蛇足。ストーリー構成上の意図を持たせていないので。これを削除すれば、1,700文字は削れた筈。小説というのは長く書くより短く削る方が大変だというけれど、それを実感した回。

 書いてから気付きましたが、お昼ごはん食べてないよね……。原作では管理人さんが用意した海鮮料理でした。

 

文章について:

 冒頭部で自然の描写に挑戦。風景の描写とか好きです。特に、飛行機からの眺めは一度描写してみたかったので、楽しく書けました。

 家屋の描写にリベンジ。今回はインターネットで用語や材木について調べながら書きました。つまり付け焼刃。詳しい人が見れば興醒めまちがいなし。それでも敢えて書いたのは、「細けぇことはいいんだよ!」精神の発露と、「オサレな横文字を使えばそれっぽい雰囲気が出て誤魔化せる説」の検証です。

 描写全般に言えますが、マンガと違って住宅の全体像を描かなくて良いのが小説の便利なところだなと実感。特徴的なところ、取り上げたいところだけをピックアップすればよいので、誤魔化しが利きますし、書きたいところに全力投球できます。小説は最高や!

 雑学をネタに取り入れる。0.5を四捨五入したら1だとか、日本昔ばなしの泥船の話だとか、ランチェスターやら多数決の原則やら。教養や雑学ってほんとう、こういう時に生きてきますよね。インプットの大切さを実感するとともに、学校教育に感謝。

 異文化をネタにするも、勘違いであることが発覚(ご感想にてご指摘いただきました。ありがとうございます)。思い込みで書いていたので、ちゃんと調べて裏を取ること。

 

今後の課題:

 ストーリー構成上、不必要なところは削るべし。必要無いけど書きたいから書くってのはエゴだよ。

 裏が取れる情報は裏を取ること。勘違いしたまま間違った知識を使うのは、興醒めの原因。

 

 

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11.妖精島の三泊四日・中

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ストーリーについて:

 次話との対比になるスコールの描写と、クリス兄貴との対話がメイン。

 あとは、さんざん広げたホモネタ話を畳むこと。獅童を宥め、怒るムラマサを丸めこんだりと、一郎が人間関係の調整に尽力することに。

 

文章について:

 スコールの描写を比喩を用いて描きました。また、エルフちゃんの描写に全力を尽くしましたが、超絶美少女のエルフちゃんですので、これくらい大袈裟で丁度いいのかもしれません。やるなら徹底的に。とても楽しかったです。

 クリス兄貴の裸の描写をしました。あんまりやり過ぎるとアッー!なので自重気味に。

 食事の描写は、「色」をテーマに描写してみました。それだけと物足りないので、「匂い」を追加してみたり。それでもやっぱり飯テロにならないのは、触感や味が想起されないからでしょうか。料理と食事の描写は要研究。

 

今後の課題:

 料理と食事の描写を研究すべし。触感や味が想起されると良いかも。

 

 

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12.妖精島の三泊四日・中

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ストーリーについて:

 起承転結の「結」。

 エルフが気持整理を付け、一郎を受け入れる話。

 文量が延びに延びてしまったので、早く畳まなきゃと思いながらも、クリスの夢語りを入れてしまいました。その為、無駄な展開が入って、ストーリーが右往左往した印象に。でも、好きなことを好きなように書けたので、大満足です。

 

文章について:

 急いで話を畳むべく、さらっと流しました。本当は、スコールに打たれるシーンで前話との対比を演出したり、“妖精の森”の描写をしたかったのですが。

 感想蘭にてご意見をいただいた、過去と現在の繋ぎについて意識してみました。過去に飛ぶのが明瞭でないとのことでしたが、そもそも時間の推移全般が読み取りづらいのかなと思って***を多用。時間の推移が分かるよう、地の文で全て表現できたら格好良いですよね。

 

今後の課題:

 時間の推移が明瞭に分かるような地の文を書く。

 

 

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エピローグ:転生作家は美少女天才作家に恋をする

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ストーリーについて:

 最後の締め。一郎にデレ始めるエルフの回。俺達の恋愛(イチャイチャ)はこれからだ!

 

文章について:

 これまでと打って変わって寂寥感のある「エルフの居ない日常風景」を描くことに挑戦。

 オリ主のキャラ立てで苦労した第一二話の次に苦労した話。というのも、キャラが勝手に動いてコメディをしだすので。なんとか一郎の独白寄りの地の文で、寂寥感を強調。いっそ、キャラの具体的な動きを書かない方が良かったかもしれない。

 一郎への好意を示すエルフがやっと描けれる充実感。

 

今後の課題:

 これまでのコメディ色に引きずられて、勝手にキャラが動いてしまう場合の対処法が要研究。今思いつくのは、一郎だけでなく全員に「エルフちゃん居なくて寂シス」とさせるか、地の文で徹底的に雰囲気つくるか。

 

 

【3.ストーリー作りに関して得られた考察】

 ストーリーと構成とは言いますけれど、それが一体何なのか、私はまったく分かっていませんでした。そんな私が今回得た気付きは、「勝手に動いてくれるキャラ」と「大まかなプロット」、「目玉となるイベント」が用意できれば、とりあえず物語が書けるのでは? ということです。

 例えば「打ち上げ会」などのイベントと、それを引っ張ってくるキャラクターを用意すれば、あとは各キャラが勝手に動いてくれる。その合間々々に伏線を張ったり、地の文で人間関係や内面を補完するような描写を入れたりする。これだけで、とりあえず一話できる。これを何話も連ねていけば、物語が出来上がる。この時、大まかなプロットがあれば、どこでどの伏線を張って、人間関係を進展させたりとかが調整ができる。ような気がするなぁ。

 ……などと振り返ってみれば当然のことですけど、それを実践できたのが初めてなので、無茶苦茶嬉しいです。それも、伏見先生の用意した魅力的なキャラとストーリーあってのことですけどね。

そういうキャラと、イベントを自前で用意できれば、自分でも一次創作ができるんじゃあないだろうか、と希望が湧いてきました。

 

 

【4.文章の書き方に関して得られた考察】

 本項では、上手く書けた(と思っている)文章、あるいは気持ちよく書けた文章について、そのメソッドを解析してみます。反省点については、第2項に譲ります。

 

各話の引きに力を入れる:

 いいところで区切り、次話を面白そうに見せる(面白いとは言ってない)ことで、拙作へ繋ぎとめる。また、書く手が「早く書きたい!」と思えるので、モチベーションが意地できる。

 

会話から書き始める:

 会話をはじめに書いて、その間をつなぐように地の文を加えてく。

会話だけならとっつきやすく、がっつり書く気力が無い時にも書けるので、執筆作業がはかどった。

 

会話文を多用する際の注意:

 会話文が多くなると、ストーリーが弾む一方で、二つのデメリットが発生する。なので、これを解決する方策を次のように採った。

 ひとつ目のデメリットは、どのキャラが喋ってるのか分からなくなるということ。口調で書き分けることもできるが、読者に定着するまでは、誰の発言か分かるように地の文で補足することとした。

 いまひとつは、情景描写が疎かになったり、キャラの描写が薄くなること。つまり、何処で喋ってるのか分からない。喋ってるキャラはどんな表情してるのか。そもそも喋って無いヤツは何しとんねーん! 俺の好きなあのキャラをもっと描写せいやー! という疑問・意識を常に持ち、これに応えるつもりで書いてきた。

 

キャラはなるべく早い段階で掘り下げる:

 キャラ設定がしっかりしていないと、キャラの性格と動きがブレる。逆に、なるべく早いうちに、行動原理や性格(相手に対する反応の仕方など)を決めてしまうと、徐々に勝手に動き始める。

 また、初めに掘り下げた説明を地の文でしておけば、「こんな行動取らせたいんだけど、違和感ないかな?」と不安になった時、該当する性格描写を再度引っ張り出すことで、説得力を持たせることができる。(例えば、第1話で「一度着いた火はなかなか消えない~」と表現した作家としての一郎の性格を、そのまま第4話で再度登場させ、恋愛に対する一郎の考え方の説明として利用した。)

 

同じ表現を避ける:

 例えば「言った」ばかり続くと、下手な洋書の和訳本みたいで違和感がある。読んでいてストレス。なので、偉そうに言ったなら「宣うた」、大声で言ったなら「声を張った」「叫んだ」にするなどヴァリエーションを持たせる。

 または、「言った」に類する言葉を使わず、全く別の描写をするのも吉。

 

描写は比喩を用いる:

 比喩を用いることで、描写の幅を広げることができる。大仰にしたり、コミカルにしたり、厨二テイストにしたり。

ということは、作品の雰囲気づくりに大きく影響する要素ではなかろうか。

 

大袈裟な描写もあり:

 エルフちゃんの描写を、大袈裟な比喩をつかって描写。知る限り、思いつく限りの美人的な描写を詰め込んだり、雨降りの花園に不意に姿を見せた気まぐれな妖精で、声を出したら消えちゃいそうだとか言っちゃたり。つき抜ければ、雰囲気が出てアリかなと。

 源氏物語の「あまりに美しく、寿命が伸びそうなくらいだ」「あまりに美しくて、かえって気味が悪い。不吉だ」とか、現代人の感覚からしたらヘソが茶をボイルするような言い回しも、当時はそれが「あなをかし」だったわけで。つまり、大袈裟な言い回しそのものは有効ってことかと。

 

好きな側面だけを描写する:

 建物などを描写する際は、無理に全体像を詳らかに描写する必要はない。どこか一部のみを取り上げて、それについて語っても良い。読み手が最低限の情景を想像できて、かつ面白く読めれば良いので。

 例えば、妖精島の別荘の描写は、「オサレ」をキーワードにしたものに限定した。つまり、白い外壁と、オシャンティな飾り扉、洒落乙なベイウィンドウ、蔦をまとった棚の四つ。別荘の内装も、「白い木材」についてのみ。

 楽に書けるし、なにより楽しい。小説って最高ですね!

 

読み易くする為の工夫:

 ひとつ、長すぎる文は分けること。一文中で思い浮かべるモノは三つか四つ、多くても五つになるように。マジカルナンバー・セブンを意識する。

 ふたつ、ひらがなで開くこと。ひらがなは音楽を司る右脳で、漢字は言語や論理的思考を司る左脳でそれぞれ処理される。文章のリズムと、脳の疲労度に関係してくる筈。

 みっつ、句点を入れること。そうすることで、ポーズを挟んで情報を整理させたり、リズムを整えたりする。パッと見の印象も大事。スマフォで読む人も多い筈なので、

 よっつ、なるべくリズムを良くすること。上記の句点や、語彙のチョイス、文の結び方を変えてリズムを整える。

 いつつ、長い文やシーンは「結論」「具体」あるいは「結論」「具体」「結論」の構成を取ること。論旨の明快な英語の論文の後に、国語のテストのような勿体ぶったエッセイを読んだ時の苦痛を思い出すべし。

 

 

【5.まとめ】

 第1項では、拙作を書く上での心構えを確認した。これは、多くの二次創作を書く上で共通して守るべき事項だと思う。つまり、原作リスペクトと、オリジナル要素ないし掘り下げをしろということ。

 第2項では、各話を振り返り、今後の課題を得た。各種描写の練習と、各話構成の研究、そしてキャラ作りが喫緊の課題。

 第3項では、拙作を書くなかで得た、ストーリー作りに関する気付きについて確認した。所謂「戦略」に当たるストーリー作り、「戦術」に当たる各話の構成の第一歩は、生きたキャラ作り、勝手に動くようなキャラ作りだと思う。

 第4項では、連載を書く上で成功した要因を整理した。筆の進みを早めた要因は、キャラを早い段階で掘り下げたことと、会話から書き始めたこと。会話が書けたら、次いで、「物足りない」と感じる部分を地の文で補う。地の文は、自分の思った通り、書きたいとこだけ書きたいように楽しんで書くことが、筆の進みを早めた。また、この為、自然と描写に力を注ぐことが出来た。更に、書きたいことを書きたいように書いたこと、それに対して感想や評価をいただけたことがモチベーションになった。この気持ち忘れるべからず。

 


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