2018日1月8日 改稿
<変更点>
・ご指摘いただいた誤字を修正しました。
・ご指摘いただいた設定の齟齬を修正しました。
***
鈴木一郎は転生者である。前世の知識と経験を活かして、小学三年生でプロ作家としてデビューした。
とはいっても、そこは小学生であったから、デビューに関しては尋常ならざる強引な手段を取る必要があった。
いくら「それなり」以上の作品を書いたところで、小学生の作家デビューというのはなかなか難しいものがあった。編集者にとって、未成年者の就労という観点から小学生作家というのは都合が悪かったし、また、大人たちの常識に照らしてみても、それは信じがたいことであったのだ。だが何より問題なのは、一郎の応募方法であった。
「これで小学三年生って本当ですかね」
という話がまず編集部で出る。
次いで出るのは、
「小学生がこんな文章書けるのか? いい歳したオッサンが、なんとか興味をもってもらいたくてねつ造した経歴なんじゃないか」
「本当なら、大したもんですけどね。小学生作家誕生。話題になることは間違いなしです」
「たしかに。テレビでもじゃんじゃん取り上げられて、バカ売れ間違いなしだな!」
という前向きな、ふわふわした夢のある話。
それから、ようやく現実という大地に、話題は足を降ろすのである。
「普通の新人賞ならそれでもいいんですけどねぇ。なんでよりにもよって、『豹頭譚』の続編に名乗り出るんですかねぇ」
編集部にためいきがこぼれる。
作者病逝の為、未完でシリーズを閉じてしまった超長編シリーズ『豹頭譚』。レーベルの目玉とも言うべきこの作品は、未完を惜しむ多くのファンの声を受けて、作者が生前に残していたプロットを元に、多数の作家によるリレーという形で完結まで続けられることになった。
その出版社の決断に対する読者の反応は悲喜こもごもであった。ある高齢の読者は、長年連れ添ったお気に入りの作品をまた読むことができると妻が生き返ったかのように喜び、またある読者は、本人が書いてこその作品で他の人が書いたらこれはもう『豹頭譚』ではないと憤り、またある読者はそもそも百巻を越えるころには当初の文体、設定から大きく変わってしまっているので今更作者が変わるくらい問題ない、それより結末を早く読みたいと淡々と述べた。
そうした読者の反応を俯瞰的に眺めると、続きが読めることを喜びつつ、作者が変わってしまうことによる文体やキャラクターの微妙な変化を悲しむ声が多数を占めているようであった。
つまり、続きを望む声は多いが、誰が書こうと大なり小なり叩かれるという、なんとも難しい状況ができあがっていたのである。
そんな状況は、再開が決定される前から予想されていた。編集者のみならず作家まで、日本の執筆業界に身を置く人間の多くにとって、それは大きな関心事であった。そんな作品の執筆を依頼するというのは、大変な難事であったのだ。
「誰だって、自分の作品を書きたいもんだ。なのに、書けば叩かれると分かってる、それも他人様の作品を書かせてほしいだなんて、よくやるよ」
鈴木一郎という小学生が書いて寄越してきたのは、編集部の苦労の末新たな作者によって刊行されるに至った『豹頭譚』の最新刊の続編である。
確かに、大変よく書かれた作品である。文体も本人のそれに非常に似ているし、キャラクタ造形も的確だ。話の展開も、予想が簡単な展開であったとはいえ、プロット通りに展開している。
「粟元先生が亡くなって十三年か。この子があと十年、いや五年早くに応募してくれていればなぁ」
「続きを書いてくれる作家さん探すの苦労しましたもんね。あちこちに拝み倒して、諸々の打ち合わせや調整して、結局五年仕事でしたもんね」
「いやいや、そもそも十年前はこの子産まれてないし、五年前なんか幼稚園児じゃないか」
話は思出話に転じ、苦労を共に乗り越えた仲間達の、男くさい笑顔が咲く。
そのなかでただひとり、にこりともしない人物がいた。
「どうしたんです、編集長。難しい顔して」
その男は、逡巡の後に声を絞り出した。
「……この文章、粟元のヤツによく似ていると思ってな。現在の編集として、君はどう思うかな」
「確かに似てます。すごいですよね。どんだけ読み込んでるのかなってくらい、そっくりですよ」
「そうだな。これだけ書けるなら、多かれ少なかれ自分の癖があるもんだ。ひらがなの開き方。一文の長さ、リズム。そして文章全体からなんとなく感じる、もう文体としか言いようのない雰囲気。この子のそれは、本当に粟元のそれなんだ」
一同は顔を見合わせた。
この編集長は、かつて粟元芳の担当を十年以上務めた経歴がある。作品が大きく展開、スケールアップし、文体までも変わった、超大作の礎とも言える時期に担当を務めた、まさに相棒ともいうべき存在であった。
「これを見てほしい」
その男が、神妙な顔をして封筒をひとつ取り出した。
「俺宛て――編集長宛てに届いた原稿だ。原稿には一通の便せんが添えてあってな。お察しの通り、話題の小僧からの便せんだ」
便箋を広げて示す。一同は顔をひきつらせた。
曰く、どうしても自分は『豹頭譚』の続きが書きたい。諸々の都合でぱっと出の小学生に書かせるのは難しいというのは分かっている。だが、『豹頭譚』に対する熱意と理解は誰にも負けないという自負がある。担当編集者宛にはサンプルを送ったが、編集長にも是が非でも自分のことを知ってもらいたく、最終回の原稿を添付したものであるーーそうした旨の訴えが、小学生らしからぬしっかりとした言葉と文字でつらつらと書き連ねられていたのである。
「最終回の原稿だって」
声を上げたのは担当編集である。その手には、次回分にあたる原稿が握られている。つまり、鈴木一郎という少年は、最新話と最終話を同時に書いて寄越したのである。
「ちょっと見せてくださいよ」
一読した担当編集は悲鳴を上げた。
「なんてことだ。まんま粟元先生じゃないですか!」
最新話も、最終話もプロット通り。ひょっとしたら、その間の話も全てそうなのではないかという予感が彼に兆した。それくらい、この少年の書き方というか、文章からにじむ独特の気配が、本家のそれとそっくりだったのだ。
担当編集から原稿をひったくった男は、ぴゅうと口笛を吹いた。
「へぇ、御大そっくりに書くスーパー小学生ねぇ」
「違うな。こいつはそんなもんじゃない」
「編集長?」
編集長は、何かを確かめるかのように、ゆっくりと語り出す。
「三十五年前の話だ。俺はアイツの担当をしていて、いつものようにアイツの家で二人で飲んだとき、最終話の原稿を預かった」
「三十五年前……。それって、転換期ですよね。ヒロイックファンタジーから、もっとスケールの大きな大河ファンタジーへと大きく飛躍したっていう」
担当編集の瞳は、作家と担当編集への尊敬の念できらめいていた。編集長は照れたように咳払いをして、続けた。
「ファンの間じゃそう言ってるみたいだけどな、実際はバカ話の類だよ。酒を飲みながら打ち合わせをしてたらどんどん話が膨らんでな。酔った勢いで大風呂敷を広げて、たたむ人間がいないから、どんどんスケールがでかくなる。これじゃあ百巻いっても終わらないかもな、なんて言うと、アイツはこう言ったんだ。もうプロットは出来てます。ついでに終わりだけは書き上げましたってね。その原稿は、今もここにある」
はじめ照れていた編集長は、しかしだんだん顔を引き締め、終いには神妙な顔で机を叩いた。
「恐れ入ったね。ほぼ同じなんだよ。この原稿と、その小学生の書いて寄越した原稿は」
***
「つまり、大好きな作家が亡くなって、その後を引き継ぎたいから、完全にプロットを予想して書き上げた最新話と最終話を、編集部と編集長に送りつけたのね。そんなことするバカには見えないけれど……ふぅん」
じろりと一郎をねめつける少女。その見事な金髪に、陽光がきらきら跳ねるのをまぶしそうに眺めながら、一郎は紅茶をすする。
日当たりの良いサンルームである。地中海を思わせる白塗りの小洒落たイスに腰掛けて、二人は向き合っていた。
玄関先でけんもほろろに追い払われそうになった一郎であったが、こうして山田家へと上がり込むを得た。
だが、すんなりとことが運んだわけではない。一郎の名乗りは、自称美少女大作家の山田エルフには通用しなかったのである。
「鈴木一郎? そんな作家名知らないわ」
「そりゃあ、僕はまだ無名かもしれないけどね、でも、作品名は知ってる筈だよ。『豹頭譚』って言うんだ」
「ヒョウトウタン?」
「えっ、知らない?」
「悪いわね。私、こう見えてもアニメ化作家なの。ちっぽけな弱小作家のささやかな盛衰には疎くって」
「ショックだな。そりゃあ本に興味無いって人や、そのジャンルに興味ない人にはしょうがないけど、ファンタジー作家にそう言われるなんて……。今生の発行部数だって、累計四百万部なのに」
「四百万部ですって!」
その数字が琴線に触れたと見える。
少女は脱兎のごとく駆けだして、かと思えば、たおやかな手に一冊の文庫分を携えて帰ってきた。
「このわたしの『爆炎のダークエルフ』でさえ二百万部なのに、その倍ですって! 嘘言ってんじゃないわよ、『豹頭譚』なんて聞いたこと無いもの! どこの出版社よ、カドカワの回し者? それともフジミ?」
「ハヤカワです」
「ラノベじゃないんかーい!」
「えっと、『豹頭譚』はラノベだって言う人も多いですよ、ハイ」
鬼気迫る少女に、思わず敬語で答える一郎であった。
「シリーズ累計は三千万部を越えるけど、この僕――鈴木一郎名義で出した本の累計発行部数は確か四百万部だったかな」
「シリーズ累計が三千万部……」
呆然とする少女であったが、あることに気づき、声を上げる。
「ちょっと待った。あんた今、おかしなコト言わなかった? まるでシリーズ全てを自分で書いてないみたいな」
「その通りだよ。『豹頭譚』は今は亡き粟元芳の作品。僕はその続きを書かせてもらってるんだ」
ということになっている。
実際はそうではない。病死した原作者の転生した姿が、鈴木一郎なのだ。鈴木一郎こそが、ゼロからシリーズを書き上げた作家本人なのである。
そう名乗れないのは面倒だ。自分の作品の続きを書くのに大変苦労した。しかし、今はその苦労に感謝している。
「なによそれ。一体どうしたら、そんな超大作の続きを小学生が書くことになるのよ!」
こうして少女の興味を引き、家に招かれることになったのだから。
「とまぁそんなわけで、『豹頭譚』の続きを書かせてもらってるんだ」
一通り話を聞いた少女は、まじまじと一郎をのぞき込んだ。どこまでも澄んだ瞳は、鈴木一郎という人間の底まで見通すかのように思われた。
「ふぅん。楽しいの、それ」
「……え」
「だって、他人の作品の続きを書いてるわけでしょ。他人のアイデアを形にして、しかも、ファンからは元の作家とは違うって文句言われる。私なら絶対イヤよ、そんなの」
「楽しい、か。どうだろう」
一郎は思いを巡らせた。
思い出すのは、どんどん弱っていく身体にむち打って筆を握った日々である。
思えば、それは意地だったのかもしれない。作家たるもの、広げた風呂敷はたたまねばならない。応援してくれている読者のお陰で、自分は生きてこれたのだ。どのような形であれ、最後まで物語を終わらすのが作者の義務である。晩年はそういう思いに駆られていたような気がする。
いや、晩年どころではない。自分が転生して、しかもそれが死後間もない時期だということに気づいた時に真っ先に思ったのは、これで作品を完結させることができる、義務を果たすことができるという安堵感だった。
けれども、決してそれだけではなかった筈である。暇があれば空想の翼を広げ、物語の空を飛んだ。ひとたび筆を握れば、次から次へと言葉が出てきた。言葉を探すのに夢中になった。
そう、自分は夢中になっていたのだ。
今日だってそうだ。玄関の前で、ピアノの旋律を描写しようとやっきになっていた。自分は小説を書くのが好きで――あれこれ物語を空想して、それを力の限り描写するのが好きだから、転生してまで『豹頭譚』を書きたがったのだ。
「そうだね、楽しいよ。だって僕は、小説を書くのが好きなんだから。『豹頭譚』は誰の作品だとか、読者の反応だとか、完結させなきゃいけないだとか、そういう評判とか義務とか関係なしに、ただ単に好きなんだ。一番思い入れのある作品だから、他の誰でもない自分自身の手で書きたいんだ」
一郎は微笑んだ。
それは、どこかで無くしてしまった宝物を再び見出した幼子のような、いとけない、純真な笑みだった。
「そう」
少女も微笑んだ。
そんな一郎の笑顔を慈しむような、それは、慈愛に満ちた笑みだった。
「あ――」
そんな笑顔に、一郎は見入った。
気付いてしまったのである。この口の悪く自尊心の強く見える少女が、実際はとんでもなく情に厚い女性ーーそれも初対面の同業者の仕事環境を心配し、心から共感し、微笑んでくれる、母性と慈愛の塊のような女性であることに。
「なんだこの娘は。天使か」
ぽろりと、本心がこぼれた。
「あら、私に惚れてしまったかしら。まぁ無理もないわ。なんたってわたしは生まれ落ちた瞬間に里山を愛の光で満たした超美少女なんですから」
少女は、笑みの質を変えた。相手をからかう、悪戯子のそれに。
一郎は、しかし、動揺しなかった。
「ああ、惚れたよ。一目惚れだったけど、惚れ直した。君ってば、びっくりするくらいいい女だね」
「ほあっ」
まさかそう返してくるとは思わなかったのか、素っ頓狂な声をあげる。
それも仕方のない話で、いくら少女がとびきりの美少女であるとはいえ、そこは中学二年生である。思春期まっさかりの恥ずかしがり屋の童に、イタリアの伊達男どものように素直に女性を誉めたり、ましてやこんなにド直球の告白をする度胸などあろう筈もなかったのである。対する一郎はといえば、呑む打つ買うを一通り嗜んだ大人である。かつて夜の街でお姉ちゃんと遊んだ経験のある大人である。
「ねえ」
「ひぅっ」
顔を寄せると、少女は白い顔を真っ赤に染めてあわを喰った。
そんな初々しさをほほえましく思いながらも、これ以上迫るのは気が引ける。
一郎は、一歩退いて声を落とした。
「話は元に戻るけどさ、学校に来る気はないの」
「え」
少女は困惑の声をあげる。突然の話題転換に戸惑っているようである。からかわれたと思っているようにも見えた。
「こないだはさ、君みたいな可愛い転校生が来たもんだから、皆平静じゃいられなかったんだ。皆、普段はもっとなんというか、普通だよ」
「ま、まぁ、仕方ないわね、わたしは超絶美少女だもの!」
「うん。こんなに可愛い娘は見たことがない。それに、内面もほんとうに素敵だ」
目をまっすぐに見つめて、本気だと伝える。伝わった筈である。少女は耳まで赤くして、目を逸らした。
「それでもあんな反応するかね。思いもしてなかったよ。女子はあんぐり口開けてるし、お調子者の男子は叫ぶし。あんなマンガみたいな反応ってほんとにあるんだなぁ」
話題を変えてくすりと笑う。すると、少女はほっと息をついた。
「なによ。笑ってくれるけどね、私の身にもなってみなさいよ。転校して知り合いもいなくて心細いなかひとりで前に立って生まれたての子鹿のように震えてたら、無遠慮に舐め回すような視線になぶられたのよ!」
「ははは、ごめんごめん。でもさ、事実は小説より奇なりじゃないけど、珍しい体験ができたでしょ。これって絶対小説に生きるよ」
「まぁ、たしかにネタにはなるわね」
むくれた様子を見せた少女に、一郎は嬉しくなった。それは、ここへきてやっと見ることができた、少女の素の姿だった。
原因は、先の学校の一件だろう。この少女は、あの無遠慮な反応に苦手意識を覚えたのだ。
それを、一郎は残念に思う。もったいないことだから。なにより、自分の好きなあの場所を、もっと好きになってほしいと思ったから。
「考えてもなかったようなことが学校ではたびたび起こるし、そうでなくても、いろんな人を見て話すだけでキャラクターの幅が広がる。ふふ、本当に変な子とか、お節介な子もいて、まるで小説なんだ。学校に通って本当に良かったと思ってるよ。仕事は忙しいけど、けど、仕事のこれ以上ない糧になってる」
「ふぅん。そこまで言うなら、行ってみてもいいかなって気にもなるわね」
まぶしそうに笑う一郎に、少女も思わず笑みがこぼれた。それは、しかし、苦笑に変わる。
「でもね、やっぱり今は無理よ。仕事量が多いもの。わたしもやってみて驚いたんだけど、メディアミックスの作業って大変なのよね。小説の連載はもちろん落とせないし、アニメ脚本の監修や会議、販促の書き下ろし原稿、対談の仕事だってあるもの」
「それってさ、全部原作者がする必要あるの」
「無いわ」
けれど、と続ける。
「なかにはアニメ化、ゲーム化作品に全く関わらないって作者もいるわ。自分は原作だけでいい、アニメやゲームは門外漢だからお任せしますってね。でも、それって無責任じゃない。作品のことを好きでもなんでもない、悪くすれば知りさえしないスタッフが、好き勝手に改変したオリジナル作品を作っちゃうことだってあり得るのよ。そして、それを私の信者たちが買っちゃうの。それって不義理じゃない。私の作品を信じて、まったく別物の作品を買わされちゃうのよ。そんなことにならないように、原作者はちゃんと監修しなくちゃならないの。それが信者を持つ天才作家の務めってもんよ」
耳の痛い話である。
一郎の『豹頭譚』もまた、アニメ化されたことがある。「スタッフにお任せします」と言ってノータッチにした結果は、驚きの試写会だった。殴られた敵兵が地面に首まで埋まるという、ショッキングな絵面が放映されたのである。ちゃんとしたSFファンタジーを書いていたつもりだったのに、自分が書いていたのはギャグだったのかと思い悩んだものである。なお、視聴者の感想はといえば、円盤の売り上げが全てを物語っていた。
楽しい時間というものはあっというものである。そんな仕事の話をするうちに、すっかり時は移ってしまった。
「すっかり陽も傾いちゃったね。そろそろお暇するよ」
と言って玄関口に出た一郎に、少女が声をかける。
「山田エルフよ。私のことなら、そう呼んで」
それは、登校の誘いに来た一郎に対する、彼女なりの返答だった。
「ペンネームか。同業者としては認めてくれたってことかな」
同級生としては接しない。つまり、学校に行くつもりはないということである。
「悔しいけど、発行部数じゃイチローに負けるもの。この世界、どれだけ売れてるかが全てだわ」
心底悔しそうに、渋々と言った様子で、エルフは続ける。
「ま、先輩の忠告はありがたく受け取ることにするわ。仕事が一段落して余裕ができたら、試しに一度登校してみることにするわ」
「十分だよ。その言葉がもらえただけで、先生に対する義理も、先生の面目も立つ。何より、楽しみができた。エルフさんと一緒に学校生活を送れたら、きっと最高に楽しい体験になる筈だから」
そう言い残して、一郎は去った。
見送るエルフの頬は、夕日の赤に染まっていた。
7,696文字
時系列としては、和泉マサムネがクリスタルパレスを初めて訪問した後です。つまり裸ピアノの後。
さて、正月分の書きためは以上です。これ以降は、時間と体力・気力がある時にちょくちょく書いていきたいと思います。
なお、本作は小説の練習を兼ねています。文章についてご意見、ご助言、ご感想をいただければ幸甚です。
最後に、エロマンガ先生二次創作、特に山田エルフ先生を愛でる作品が増えることを願って。