転生作家は美少女天才作家に恋をする   作:二不二

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大変遅くなりました。


If3.転生作家のめぐみんルート・下

 **

 

 

 めぐみは階段を駆けあがる。

 カンコンカン、と階段は甲高い軋みをあげる。

 安普請のアパートの金属板である。雨ざらしなので、いちめん錆が浮いている。たわむことこそないものの、足を置くたびに、滑ってしまわないかと不安が兆してくる。そんなめぐみに大丈夫だと言わんばかりに、階段は、カンコンカンとおおきな音で応えるのだ。

 この音を聞く度に、めぐみの胸は痛くなる。それは、一郎の悲鳴のように思われた。

 

 一郎がこのアパートで暮らすようになったのは、つい数年前のことである。それまでは、血のつながった両親とともに、めぐみと同じマンションの、すぐ隣の部屋で暮らしていた。

 ――あの事故が起きるまでは。

 

 交通事故だった。家族を乗せた車は大破し、一郎だけが生き残った。

 一郎はすべてを失った。たくさんの愛情をそそいでくれた両親はもちろん、思い出のつまった部屋すらも。

 幸いにして、気の好い親戚がこころよく保護者を引き受けてくれたばかりか、転校しないですむようにと、ほどちかくのアパートまで用意してくれた。けれども、彼は仕事で国内外をわたり歩いたので、一郎はいつもひとりだった。

 

「気にしてないよ。両親が亡くなって悲しくはあるけど、心の整理はついてる。なにより、筆を執るこの手が無事だった。いつも言ってるけど、小説を書ければ、僕は幸せなんだ」

 

 飄々とした様子で一郎は言う。けっして辛そうな顔を見せない。

 けれども、本当は泣きたい筈なのだ。誰かに寄り添ってもらって、誰かと一緒に悲しみを、苦しみを、そして喜びを分かち合いたい筈なのだ。

 だから、めぐみはいつものようにとびきりの笑顔で、一郎の部屋に飛び込んだ。

 

「こんにちはぁ~。今日もニコニコ可愛いめぐみんがきましたよっ!」

 

 と元気よく扉を開けて、「うひゃっ!?」と悲鳴をあげた。

 

 ――熱気である。

 六畳二間の庵には、ふたりの人間の放つ気迫が、熱風となって渦巻いていた。

 壁際でひっそり執筆道具(ポメラ)に向かう一郎と、テーブルを占拠して、派手にカチャカチャ執筆道具(MAC)をうち鳴らすエルフが、熱風の発生源である。

 

 めぐみは目をむいた。

 いつも楽しそうに鍵盤(キーボード)上で指を遊ばせている一郎が、どういうわけか、気炎を立ちのぼらせて鍵打している。

 エルフも、普段の放蕩ぶりはどこへやら、別人のような顔つきで画面に向き合っている。

 

 しばらくもの言わぬ氷像となって、熱気渦巻く庵に立ちつくしていためぐみであったが、

 

「えーっと……いったい何があったんですかぁ?」

 

 一郎が水を求めて視線を上げたその瞬間に、そっとコップを差し出しながら、めぐみは尋ねた。

 

「ありがとう、めぐみ」

 

 驚くでもなく、慣れた様子でコップを受け取る一郎。のどを潤して、それから、簡潔に答えた。

 

「実は、エルフさんとの交際を賭けて小説勝負をすることになったんだ」

「えぇっ! それってぇ、エルフちゃんから告白されたってこと!?」

 

 一郎から交際を申し込んだなどとは欠片も思わぬあたり、めぐみは、一郎のことがよく分かっている。

 これまで、一郎は何人かの同級生に交際を申し込まれたことがある。そのたびに「小説以外に割く時間はない」という理由でばっさり断ってきたのを、めぐみは知っている。めぐみもまた、そうして袖にされたうちの一人なのだ。

 めぐみは思い出す。

 

 ――小学生のころ、はじめて異性(一郎)に恋をした。胸焦がす想いを留めておけなくて、そのまま一郎にぶつけた。

 当然、受け入れてもらえるものだと思っていた。一郎はいつもめぐみの側にいて、にこにこと優しく、あれやこれやと世話を焼いてくれた。家族のような親しい仲だった。そうした仲の深さはそのままに、恋人という関係に姿を変えて、いつまでも睦まじく付き合っていくのだと思っていた。

 そんな根拠のない自信は、あっけなく打ち砕かれた。

 

「悪いけど、誰とも付き合うつもりはないんだ。小説を書くより他のことに、なるべく時間を使いたくない」

 

 めぐみは泣いた。一郎とは想いを通じていると思っていたのに、それが思い違いであったのだと突きつけられたのだ。

 そんなめぐみと同じ思いを、大なり小なり、一郎に恋した少女たちは味わった。

 だというのに、この山田エルフという女は、一郎と同じ土俵に立って睨み合っている。それが悔しくて、恨めしそうに一郎をねめつけた。

 

「それで、受けちゃったんですか」

「小説勝負と言われたら、断れなくてね」

 

 バツが悪そうに答えた一郎であるが、その瞳には、後悔の色はいっさい見られない。代わりに、我が身すら焼きつくさんばかりの炎が燃えさかっている。

 めぐみは、こんどはエルフに向かって吠えた。

 

「エルフちゃん、ズルい!」

「ふふん。それだけわたしがイチローを深く理解してたってことね」

 

 胸を反らして自慢げにめぐみを見やるエルフである。

 めぐみは「ぐぬぬ!」と唸って、一郎に振り返る。

 

「一郎くん、ふこーへーですよ、ふこーへー! エルフちゃんだけズルイ!」

 

 頬をふくらませて、あざとくも可愛いらしい。

 けれども、いくら可愛かろうが、それは一郎の決心を揺るがすものたりえない。めぐみは、そのことがよく分かっていたので、別の手段をとった。

 

「その勝負、あたしも参加するんだからっ!」

 

 すなわち、一郎争奪戦への参加表明である。

 

「へぇ、いいのかしら? わたしはいずれ三千世界を支配する美少女天才ラノベ作家エルフちゃんだし、一郎も、わたしには及ばないとはいえプロよ。その点、めぐみなんかズブの素人じゃない」

「だって、一郎くんのこと取られるちゃいそうだから……」

 

 めぐみは、上目遣いになって一郎を見た。

 一郎は、バッサリと言う。

 

「ひとつ言っておくけど、僕は誰とも付き合うつもりはない。小説を書くことに勝ることはないからね。もちろん、小説勝負だって負けるつもりはない」

「ううん、ちがうよ一郎くん。そういうのじゃなくて……」

 

 めぐみは、エルフの行動力に焦っていたのだ。

 エルフは一郎のことをよく理解している。その点においては、自分もけっして負けず劣らずであると、めぐみは自負している。

 だからこそ、どうしようもないと感じることがある。小説という分野。そこでは、一郎は常にひとりだったのだ。めぐみは一郎につきまとい、しょっちゅう同じ部屋で過ごしてはいたけれども、一郎はひとりで小説を読み、ひとりで小説を書いていた。同じ場所にいるだけで、同じ時を過ごしていたわけではない。

 そんな領域に、エルフは踏み入ろうとしているのだ。

 

 それは、めぐみがしようとしてこなかったことである。

 めぐみは小説を書くことができない。楽しそうに小説を書き綴る一郎の姿を見て、魅せられて、ならば自分もと挑戦してみたことがある。けれども筆は進まず、それでもなんとか書いた文章は、面白みのない、無味乾燥な語句の羅列である。一郎のときに熱く、ときにしっとりとした、雰囲気のある文章とは比べようもない。

 

「あたしに小説なんて書けないけどぉ、でもっ、それでも一郎くんの側に居たい! そー思ってたけど、それだけじゃあダメなんだって気づかされたから。勝てないかもだけど、でもでもっ、そんなの理由にならないですっ。一郎くんとほんとうにいっしょに居ようと思ったら、こうしなくちゃダメなんだって気づいたんだもん!」

 

 めぐみは一郎を見る。その瞳には、あふれんばかりの慕わしさがにじみ出していた。

 それが分からぬ一郎ではない。

 

「めぐみ……」

 

 たいせつな家族のような存在の可哀想な姿に、一郎はぎゅっと胸を締めつけられる思いがした。

 めぐみと一郎は見つめ合う。一言も発してはいないのに、ふたりは互いの言わんとすることを手に取るように察することができた。

 

 ――こんな小説バカのことなんて忘れてしまえ。めぐみのことを幸せにしてくれる、素敵な男なんていくらでもいるんだから。

 

 ――そんなのイヤっ。あたしの幸せは、一郎くんの隣にいることなんだから。一郎くんの隣で、一郎くんを幸せにすることなんだから。

 

 そんな無言のやりとりに割って入ったのは、エルフのお気楽な台詞だった。

 

「面白い展開になってきたじゃない! ええ、もちろんいいわ。めぐみの参戦を認めてあげようじゃない」

「どうしてエルフさんが許可を出すんだい」

 

 渡りに船とばかりに、一郎はエルフにツッコミを入れる。

 もちろん、船はすぐに撃沈された。

 

「商品は黙ってなさい。これは一人の男を賭けた、女の戦いよ!」

「ええ……」

 

 エルフは、漫画のような熱い展開に意気高揚して声をあげた。無駄に尊大に胸を反らして、ピシリと一郎に指をつきつける。

 めぐみは一郎に、互いの胸がくっ付くくらいにすり寄って、上目遣いになって、

 

「一郎くんのこと、ぜ~ったいにあきらめないんだからっ」

 

 と宣言した。

 

「めぐみ――」

 

 何事か言おうとした一郎を遮って、

 

「よく言ったわ!」

 

 とエルフが喝采を叫んだ。

 エルフは、めぐみにずいと近寄ると、目をキラキラさせて馴れ馴れしく肩をたたいた。

 

「わたしのライバルたるもの、そうこなくっちゃ! 気に入ったわ。このエルフさまが、めぐみに小説の稽古をつけてあげようじゃない!」

「えっ、エルフちゃんの小説講座ですかー? えっと、そうですね、おねがいしま~す!」

 

 ほんの一瞬、疑わしげにエルフを見やっためぐみであるが、売れっ子作家であるということを思い出して、提案に乗ることにした。

 発言をつぶされた一郎も、小説狂いとして非常に興味をそそられる話題だったので、そのまま耳を傾ける。

 ふたりの注目があつまったのを確認して、エルフは口を開いた。

 

「一瞬の逡巡がなんだか気に入らないけど……まぁいいわ。小説に必要なものは何かしら?」

「んー、やっぱりストーリーとかぁ?」

「そのとおりよ! 売れる作品に必要なもの。それは画期的なストーリー。だからこそ、小説は英語でNovel(画期的な)というのよ!」

「なるほど。Novel(画期的)Novel(小説)こそが、一流の小説ってことだね」

 

 どんなトンデモ理論が飛び出てくるかと身構えていた一郎も、これには納得の頷きを返す。

 好感触の反応を得て、エルフはしたり顔で続けた。

 

「それじゃあ、ストーリーを活かすものは何かしら?」

「僕は文章だと思ってる。マンガになぞらえるなら、文章は絵柄だからね。どれだけ面白いストーリーでも、表現が伴ってなければ、魅力は伝わらない」

「ぶっぶ~、不正解ですぅ~」

 

 エルフは唇を尖らせて、ちからいっぱい持論を展開する。

 

「正解はキャラよ。ストーリーを生かすも殺すもキャラ次第。考えてもみなさい。マンガ、アニメ、ラノベ、映画のどれも、ヒットした作品には魅力的なキャラがいるわ。カッコいいキャラ、かわいいキャラ、えっちなキャラがね。考えてもみなさい。『恋姫○無双』からキャラを取ったら、あとに残るのはカスみたいなゲームシステムとペラペラなシナリオの『ゲー()』よ。そんな問題作がゲームやらアニメやらいろんなメディアで大暴れしてるのは、ひとえにキャラのおかげじゃない」

「エルフさん、ちょっとそのあたりで……」

 

 エルフの危険な発言に肝を冷やす一郎。

 そんな一郎の汲んでか、すかさずめぐみが割って入る。

 

「でもでもぉ~、『良いキャラ』って言われてもよく分からないっていうかぁ~。どういうキャラをつくればいいんですかぁ?」

 

 それは実にエルフ好みの話題だったので、エルフは快く話題転換に応じた。

 

「簡単よ。感情移入できる主人公(ヒーロー)と、かわいいヒロインをつくればいいのよ」

「はい、しつもーん。感情移入できる主人公っていうけどぉ、それってどういうのがいいの?」

「なんでもいいわ!」

 

 きゃるんとあざとく手を挙げるめぐみに、エルフは自信満々に答える。

 

下僕(読者)が共感できれば良いのよ。ろくにコミュニケーションが取れなくて、だからてっとり早く自分を犠牲にして問題を解決しようとする根暗なヤツとか。ハーレム作りたいって言ってるくせに、実はウブでチキンなDT気質なヤツとか。人の行動にあれこれ文句つけるくせに、けっきょく自分からは何も行動起こせない常識人気取りとか。ね、陰キャに刺さりそうでしょ?」

「なるほど~。わたしにはよくわからないけどぉ、そういうよく分からないことしちゃう人って、必ずクラスにいますもんね!」

「……欠点や弱さのない人間はいないからね。完璧超人じゃない、人間味のある人物像を見せることで、身近に感じてもらえるんだ」

 

 二人の会話から猛毒がしたたりはじめたので、一郎はあわてて話をまとめにはいった。

 だが、そこで止まらないのが我が道を行くエルフであり、天然のめぐみである。

 

「そういえば、西尾維新の戯言シリーズで、主人公がやたらめったら理不尽にモテるのを『欠点しかないから共感されて惚れられる!(キリッ』って説明してたわね」

「やだ、欠点しかないってキモい!」

 

 けれども、話題はどんどん危険の坂を転がり落ちていく。

 しょうことなしに、一郎は強引な話題転換を図った。

 

「エルフさん、主人公についてはよく分かったよ。それじゃあ、文章についてはどうだろうか」

「それなら読みやすい文章が至高ね! 面白いストーリーと最高のキャラがそろったら、それだけで頂点を取れるわ。あとは、子供から大人まで幅広い奴隷(ファン)が読めるように、読みやすい簡潔な文章にするのが正解よ」

 

 それは、まさしくエルフの文体であった。

 えっちでかわいいキャラと魅力的な主人公がおりなす、ちょっとおバカで熱いストーリー。それを、テンポの良い地の文章とコミカルな台詞で勢いよく転がすのが、エルフの『爆炎のダークエルフ』であった。

 そして、その逆を行くのが一郎である。

 一郎は、文章表現こそが小説の魅力を最大限にひきだす肝でると信じている。微細な感情の動きをほのめかす描写や、面白い文章表現こそが、読者を小説の世界に引きこむのだと主張する。

 

「それは違うよ、エルフさん。小説はストーリーも大切だけど、本当に面白い作品は、文章表現をたのしむだけで幸せなきもちになれるものだよ。すぐれた文章は、一節だけで半日は繰り返し読むことができる」

「それっていったいどんな変態よ……」

 

 どん引きだわ、と言わんばかりに半身になって一郎から距離を取ろうとするエルフに、めぐみは、何でもないように囁いた。

「一郎くんは、小説をおかずにごはんが食べれちゃう人ですから」

 

 実際、めぐみは、小説片手ににやにやしながら白米を咀嚼しつづける一郎の姿を見たことがあるのだ。

 一郎は、尚も熱く続ける。

 

「小説を遠足に喩えようか。魅力的な目的地を設定することはもちろん大切だけど、そこまでの道中も楽しめなくちゃあいけない。道すがらの景色はもちろん、足下に花々を見る近影まですべてを楽しめるように仕上げるべきだ。ストーリー進行はもちろん、その背後の世界観や、雰囲気まで楽しめないと勿体ないじゃないか」

「違うわ。まちがっているわよ!」

 

 エルフが両手を広げてポーズを決めた。もしもマントを羽織っていたなら、派手にはためいたであろう。厨二心をくすぐるポージングであった。

 

「今の時代、キャラが立ってなんぼなのよ! だいたい――」

「いいや。どれだけキャラが立っていても、表現がおざなりなのは小説じゃない。例えば、台本形式の文章を見せられて、これは小説だと言われた日には、僕は作者の気が狂うまでこんこんと説き伏せる覚悟がある」

「その例えは卑怯よ! もうちょっとマシな例えを出しなさいよ! そう、たとえばマンガだって、下書きなのに天下のジャンプに掲載されて原稿代までもらってる漫画家がいるじゃない。やっぱりストーリーとキャラなのよ」

「マンガと小説は違うじゃないか」

「それなら翻訳された小説はどうかしら? センスのかけらもない、英語の文法書から引っぱってきたみたいな文章が載ってるベストセラーの翻訳小説について、どう説明するつもり?」

「そういう本があるのは事実だよ。そして、それらはやっぱり本当の小説じゃない。実際に、村上春樹が小説の翻訳について語った著作『翻訳夜話』では――」

 

 エルフは熱く語り、一郎も珍しく頑固に持論を曲げない。そんな二人の作家のやりとりを適度に聞き流しながら、めぐみは考えを巡らせた。

 

「ふーん、いろんな考えがあるんですね~。きっと大切なのは、自分がどうしたいかなんですよねぇ」

 

 エルフであれば、キャラの輝く読みやすく面白いライトノベル。一郎であれば、文章と世界観に夢中になるSFファンタジー。

 

「それじゃー、あたしが書くなら…………うん。これなら書けそう」

 

 めぐみは、かわいらしい手帳を取り出して、ピンクのシャーペンを走らせた。

 

 こうして三人の小説勝負は火蓋を切ったのである。

 

 

 **

 

 

 それから、三人の小説に向かう日々がはじまった。

 

「さぁ、帰った帰った。それと、しばらくはウチに来ないでちょうだい。ライバルは馴れ合わないものよ。これから決着の日まで、互いに全力で牙を研ぐのよ」

 

 というワガママを炸裂させたエルフによって、三人は以前の生活に戻っていた。

 すなわち、エルフは自宅にこもってゲームとアニメ鑑賞と小説にとりかかり、一郎もまた自宅で一心不乱に筆を走らせ、そんな一郎にめぐみはべったりだった。

 ただ、いつもと違うところがある。

 

「う~ん…………文章を書くってむずかしーです」

 

 めぐみもまた、小説を書くべく執筆道具(スマートフォン)に向かっていたのだ。

 

 ひと息ついた一郎が、うんうん唸りながら文章を書き連ねるめぐみに気がついた。

 座布団に座して執筆道具(ポメラ)に向かう一郎の正面。ちょうど目線の高さに、ベッドに寝転がってスマートフォンをいじるめぐみの姿があった。

 

 春である。窓から差しこむ日差しはあたたかく、部屋はまっしろな陽気で満たされている。

 それで暑くなったのか、めぐみは上着を脱いで、まっしろな肩口をあらわにしていた。ちょうど一郎の方を向いていたので、ほっそりと華奢な首と、やわらかそうな胸元がのぞいている。桜色の唇からは、甘い吐息が桃色のしずくのように零れおちる。

 そんな無防備なめぐみの姿など、一郎にとっては慣れ親しんだものである。

 無遠慮に、ほっそり小さな手元のスマートフォンに顔を寄せると、楽しそうに声をあげた。

 

「へぇ、一人称の小説か。主人公は中学生の女の子なんだね」

「うんっ。幼馴染みの男の子にふりむいてもらいたくって、いろいろがんばる女の子の話なの!」

「それは……」

 

 一郎は困り顔になる。

 めぐみと一郎をモデルにしていることは明らかだった。

 

「一郎くんとエルフちゃんの話を聞いて、思ったんです。ふたりとも、自分の書きたいことを書いてるんだなぁって。それじゃー、あたしは何が書きたいんだろうって考えて、たったひとつしかないことに気づいたの」

 

 めぐみは、まっすぐに一郎を見つめて想いを告げる。

 

「あたしは一郎くんが好き。一郎くんの声が好き。やさしい言葉が好き。頑固なところが好き。あたしにかまってくれるところが好き。小説に夢中なのも好き」

 

 それは、めぐみのような幼い少女が抱えるには、あまりにおおきな想いだった。想いを告げるうちに涙がにじみ、声は鼻にかかった泣き声になる。

 

「……でも、一郎くんがひとりになるのはイヤ。小説が一番なのはいいけど、それでも、家族をもって幸せになってほしい。一郎くんには、誰かといっしょに幸せになってほしい。それで、その誰かはあたしじゃないとイヤなのっ」

 

 ――それでも、めぐみは泣かなかった。

 眦をぬぐうと、にっこりと笑顔を咲かせる、

 

「だからぁ、女の子ががんばってがんばって、男の子を幸せにするの! そういう話を書こうとしてるんですけどぉ、小説ってむずかしい」

 

 それは、朝露をまとったような笑みであった。濡れそぼってはいたけれども、みずみずしく元気でたくましい。

 

「めぐみ……」

 

 そんなだから、一郎は返答に窮した。

 一郎にはめぐみを――誰であろうと――受け入れるつもりがない。今生も小説と添い遂げるつもりだ。実際に、好意を寄せてきた物好きな子を何人か袖にしてきた。

 にも関わらず、めぐみだけは一郎から離れない。小鴨のように一郎を追いかけまわし、子犬のようにすり寄ってくる。変わらず想いを寄せ、変わらぬ想いを告げてくる。

 そういう相手ははじめてだったので、それも大切な身内のような存在だったので、どうして良いか分からず困惑しているのだ。

 その困惑を察して、めぐみは、一郎好みの話題に転じた。

 

「ねぇ、一郎くん。ここってもっと上手く書けませんかぁ?」

「……うーん。一人称の文章だからね。主人公の目で見たこと、感じ取ったことしか表現できなっていう制約があるから、どうしたって表現の幅は限られる」

 

 文章指南なら一郎の土俵だ。最初は困惑を引きずっていたが、生来の小説バカなので、しばらくもせぬうちに水を得た魚のように生き生きと語り出す。その横顔を、めぐみは嬉しそうにながめやる。

 

「だから、そこを逆手に取れば良い。主人公に勘違いさせて読者をミスリードさせたり、感情を独白させて読者を引き込んだりね。例えば、こうしたら良い」

 

 隣に座る一郎が、めぐみの手中のスマートフォンに手を伸ばす。いっそう近づき肩を寄せ、それは、恋人が寄り添うようである。

 

「あっ」

 

 一郎は気付いた。これはまさに、めぐみの小説内で描かれている状況そのものである。

 

「くっついたところがあたたかくって、なんだか、うれしいですねっ」

 

 えへへ、と幸せそうに笑う。

 

「で、ここはぁ、こういうふうに書こうと思うんだけど、どうですかぁ?」

 

 それは、傍から見れば、あからさまなめぐみからのアプローチである。

 けれども、めぐみにそのつもりはなかった。なんとなれば、めぐみには一郎のことがよく分かっていた。

 一郎は、ただただ一心にスマートフォンを――めぐみの書いた小説に見入っていた。

 

「……いいね。主人公の感情の熱量がつたわってくる。こういう独白は、僕じゃ書けないから、とても勉強になる」

 

 ときにめぐみの小説を褒め、

 

「ここの状況説明の文章はもっと淡々と書くと良い。そうすれば、感情を描写した場面との対比になって、いっそう映えるようになる」

 

 ときにアドバイスを送り、すっかり一郎は小説談義に熱中していた。それを、嬉しそうにめぐみは聞き、また積極的に質問を返し、自らの小説の糧にしていく。

 けれども、それは、めぐみの手に余るものだった。

 

「う~。やっぱり、小説ってむずかしいですよぅ」

 

 スマートフォンを持った腕を伸ばして、身をベッドに投げ出す。万歳あるいは降参の格好である。

 めぐみには小説のイロハが分からない。一郎のアドバイスは、助言というよりむしろ補助輪のようなもので、それがあればこそ、めぐみは小説を書き進めることができているのだった。

 

「やっぱり、あたしひとりじゃ完成できないかもぉ……」

「それは勿体ない。せっかく面白い話が書けてるんだから」

 

 その言葉を待っていたとばかりに、めぐみは飛び起きた。

 ずいと一郎に身を寄せる。一郎の胸板に自らの胸をくっつくけるようにすり寄る。きらきら輝く瞳が、至近距離から一郎を見つめていた。

 

「それじゃあ! いっしょに小説を書いてみませんかっ」

「一緒に?」

「うん。原作があたしで、文章が一郎くん! ふたりでひとつの小説をつくるのっ」

「うーん……」

 

 一郎は思案する。

 

 小説は、究極的には作家ひとりのものであると、一郎は考えている。文章を紡いでひとつの世界を描ききるのは、作家に課せられた責任である。であれば、めぐみもまた、ひとりで作品を描ききらなければならない。

 けれども、めぐみは作家ではないし、ひとつの作品を描くだけの力も経験も備えてはいない。

 それは惜しいことだ。めぐみの考えるストーリーは、一郎には決して生み出すことのできないものであるし、めぐみの紡ぐ心情の独白は、読む者の胸をしめつける。これにふさわしい形を与えれば、傑作になるにちがいない。

 

 という事情を勘案した結果、

 

「条件を詰めよう」

 

 一郎は是と答えた。

 

「基本的に、文章はすべてめぐみが書くんだ。ぼくはそれを、こういうふうにしたら読みやすくなるだとか、こうすればもっと魅力的になるだとか、ここは削るべきだとか、そういうアドバイスをする。つまり編集の仕事だね」

「えー、でもぉ……」

 

 めぐみは渋い顔をする。眉をへの字に寄せて、ぷっくり頬をふくらませた、あざとかわいい表情である。

 その反応を予想していた一郎は、すかさず言葉を継いだ。

 

「それでも書けないときは、僕が手直しをしよう。勿論めぐみの持ち味を壊してしまわないように、めぐみの文体に似せてね」

「そんな器用なこと、できるんですかぁ?」

「僕は、できないことは言わないよ」

 

 一郎は前世において「百の文体を持つ男」と呼ばれた。

 あらゆる時代、あらゆる分野の作品を読みつくして己が血肉とし、その結果、それぞれの作品にもっとも適した文体で書くことができるようになった。

 不気味の香るホラー。滑稽(コミカル)なミステリ。重厚なファンタジー。それぞれの雰囲気をひきだすべく、己が筆致を千変万化させることができるのだ。

 この技能を習得する課程において、ひとりひとりの作家、ひとつひとつの作品のもつ「文体」をはっきりと認識し、これを真似ることができるようになった。

 その「百の文体を持つ男」が、新たな糧としてめぐみの小説を欲している。

 

「めぐみの小説には、すごく良いところがある。それを僕は学びたいんだ。だから、めぐみと一緒に小説を書きたい」

 

 この言葉はめぐみをたいへん喜ばせた。

 めぐみは、自分は小説を書けないと思っていて、小説でもって一郎を喜ばせることができるなど思ってもみなかった。

 この、ずっと諦めていたことが、とつぜん手中に転がり込んできたのだ。

 

「ほんとうに、そー思ってくれるの?」

「めぐみ?」

 

 一郎はぎょっとした。

 めぐみが、ぽろぽろ涙をこぼしていたのだ。肩をふるわせ、こぼれる涙を手の甲でぬぐい、それでも足りず手の甲でぬぐっている。

 一郎はベッドに上がり、めぐみの隣りに腰掛け、ふるえる背中にそっと手を回した。

 その頃には、めぐみは、幾分か落ち着きをとりもどしたと見える。かわいらしいレースの縁りのハンカチを取り出し、そっと目元を押さえていた。

 

「ごめんね、一郎くん。うれしくって」

 

 ふるえる声で、めぐみは言う。

 

「一郎くんの大好きな小説のことで、役に立ちたいってずっと思ってた。でも、それはムリだって思ってたから……だからうれしいんです」

 

 目尻に涙を浮かべたまま、めぐみは淡く微笑む。

 眦を縁どる涙は、白光をまとって美しい。

 部屋に差しこむ淡い白光にいまにも溶けて消えてしまいそうな、それは儚い笑顔だった。

 

「めぐみ……」

 

 ――どうしてその行動を取ったのか、一郎自身にもわからない。

 気がつけば、一郎はめぐみを抱きしめていた。

 

「ひゃっ!?」

 

 これに驚いたのはめぐみである。

 夢にまで見た一郎の、年相応に細く、けれども意外とがっしりした男性らしい腕と胸板が、めぐみをぎゅっとかき抱いているのだ。

 何が起こったか分からない。それが、めぐみの胸中である。

 

 それは一郎も同じであった。

 鼻腔をくすぐる、甘い香り。

 普段はまったく意識に登ることのない、嗅ぎ慣れたはずのそれが、このときばかりはやけに存在を主張する。

 頭に靄でもかかったかのように茫然と、一郎はめぐみを抱きしめていた。

 

 もうどれくらいそうしていただろうか。

 とつぜんの事態に顔をまっかにしてあわあわ言っていためぐみであったが、衝撃が過ぎ去ると、こんどは果敢に攻めだした。

 

 めぐみは身を丸めて、顔を隠すようにして泣いていた。その上から抱きしめられたので、めぐみの身体と一郎の胸板には、わずかばかりの隙間があった。その隙間を詰めようというのである。

 二人は並んで座っていて、一郎が横向きになってめぐみを抱き抱えている。

 そのまま、めぐみは腰を一郎に寄せ、ぴたりとくっつける。

 すると、腰から腹、そして胸が一直線に起き上がり、結果、上半身をひしと密着させることとなる。

 

 それだけではない。

 めぐみは、もっと一郎にくっつこうと、腰をよじって正面から向き合った。一郎の脚に自らの脚をからめ、ふたりは全身くまなくからみ合う。

 

「ねぇ、一郎くん」

 

 めぐみの瞳が、熱っぽく一郎を見つめる。その瞳からは愛おしさ、慕わしさがあふれ、熱く濡れそぼっていた。

 そして、その想いを形にしたような言葉。

 

「ずっと、あたしといっしょにいてください。一郎くんのこと幸せにしたいの」

 

 それを聞いたとき、一郎は自覚せざるを得なかった。

 

「――そうか、これがそうか」

 

 このいじらしい幼馴染みと一緒にいると、こんなにもあたたかい。

 それは、小説を書くときに燃えあがる、魂を焦がすような炎の熱気とは異なる。それを想うだけで胸がうずき、居ても立ってもいられなくなって、ただただそれのみを成せと己を駆り立てる、あの業火にはとうてい及ぶべくもない。

 けれども、凍てついた心の隅々までじんわりと包みこんで解きほぐし、微睡むばかりにやさしくあたたかい。

 

 それは、きっと恋ではない。

 もっとやさしく、穏やかで深いもの。それが為に、今まで気付くことができなかった、大切なもの。

 

「めぐみ」

 

 一郎はめぐみの瞳をまっすぐ見据えた。

 

「たしかに、僕にとってめぐみは特別な存在だ。こうしていると、幸せなんだなって想うことができる」

 

 一郎は、めぐみの頭をやさしくひと撫でして、それから、そっと腕を離した。名残惜しそうな視線を投げかけるめぐみに、けれども、と一郎は続ける。

 

「でも、やっぱり小説が一番なんだ。小説を書いてるときの熱狂は、何物にも代えがたい」

 

 はっきりと放たれた拒絶の言葉に、しかし、めぐみは笑って答えた。それは、予想通りの言葉だったのだ。

 

「わかってますよーだ。一郎くんがそういう人だってこと!」

 

 愛しい我が子のワガママを聞かされた母親が、「しょうがないんだから」とあきれ混じりの笑みを浮かべるように、めぐみは笑う。

 

「一郎くんはマジメすぎるんです。小説が恋人でぇ、だから、他に浮気できないって思ってるんでしょ? 幸せは、ひとつに限らなくっていーんです。小説書くのも、あたしと居るのも、どっちも取っちゃって欲ばりハッピーセットでいいんですよぅ」

 

 めぐみは、一郎の手をにぎりこんで、諭すようにまっすぐ目を見て語りかけた。

 

「小説が恋人でもいーです。でもでもっ、奥さんが勤まるのはぁ、めぐみちゃんしかいないってわかってもらうんだからっ」

 

 それから、元気よく立ち上がる。

 後ろ手にかわいらしく手を組んで、ほそい背中を向けたまま一歩二歩とスキップする。くるりとふり返って、花咲くような笑顔を投げかけた。

 

「だからぁ、あたしが勝ったら、いっしょに幸せな家庭をつくりましょー! ふたりでいっしょに、たっくさん子供と小説をつくるんだからっ!」

 

 あたたかな陽光に包まれためぐみの姿に、幸せな未来を幻視した一郎は、じんわり胸にひろがる熱をぎゅっと噛みしめるのだった。

 

 

 **

 

 

 そして、いよいよ決着の日である。

 三人の姿は<七曜宮>にあった。

 

「遠路はるばるよく来たわね! さぁ、ここが決戦の地よ!」

 

 エルフが運命を語る予言者のように、両手をひらいて高らかに声を張る。

 これがマンションの最上階をまるごと占領する<七曜宮>でなければ、近所迷惑もはなはだしかったことであろう。しかし、そこはマイペースな二人のことである。

 

「うん。お邪魔するよ、エルフさん」

「やっほ~、おひさしぶりだねエルフちゃん!」

 

 勝手知ったる何とやら。

 風変わりな挨拶に気楽に応えながら、靴を脱いで上がる一郎。そんな一郎と自らの靴をととのえ、それから元気に挨拶を返すめぐみ。

 そんな二人を、エルフもまたマイペースに誘う。

 

「決戦の場はあつらえてあるわ。で、商品の席はここよ、ここ」

 

 エルフがバシバシ椅子をたたく。

 そこには、リボンで派手に装飾された、座り心地の悪そうな椅子があった。ご丁寧に「商品」という札が掛けられている。「商品」が勝利することをまったく考慮していないような有様である。

 

「僕も負けるつもりはないんだけど」

「あら残念ね。勝つのは、この美少女天才作家エルフちゃんだって決まってるもの」

「あたしだって負けませんよぅ!」

 

 口々に気炎を吐きながら、三人は席に着いた。

 白樺のおしゃれなテーブルを囲む形になる。なお、一郎の席だけはリボンでごてごてしており、腰を降ろすときにはガサガサと音を立てた。

 

「それじゃあルールの確認ね。三人でいっせいに、ひとつずつ同じ原稿を読んでいくの。で、一番おもしろい小説を書いた人が優勝よ!」

 

 テーブルをたたいて、にぎにぎしくエルフが言う。

 これにめぐみが待ったをかけた。

 

「そんなルールでだいじょーぶですかぁ? みんな自分の小説が一番だって言ったらぁ、勝負がつかないじゃないですかぁ。ほらぁ、どっかのネット小説投稿サイトだとぉ、たくさんアカウントつくってまで自分の小説に投票してランキング詐欺する人もいるみたいですしー」

 

 笑顔でさらりと毒を吐くのがめぐみである。

 そして、そんなめぐみの相手をするのが、一郎の役割である。

 

「ほんとうの物書きなら――小説が好きで好きでたまらない人間なら、面白い小説を素直に認めることができる筈だよ。たとえそれが、自分の今後に関わるような場面であってもね」

 

 一郎は、前世においてデビューする際になりふりかまわぬ場外戦を演じたことがある。

 大学卒業と同時に、新進気鋭の小説評論家としてするどい弁説をふるい、まず名を売った。それから、「そこまで言うなら、お前が理想の小説とやらを書いてみろ」という世間の声を利用して、書きたい物を好きなように書いた。

 その作品こそが、彼が二つの人生を股にかけて描きつづけている代表作『豹頭譚』である。

 

「デビューするためなら、何だってする。それは当然のことだとは思うよ。けれどもそれ以上に、僕たち物書きというイキモノは、小説が好きで好きでたまらないんだ。だから、おもしろい作品は正当に評価しちゃうんだよね。……めぐみもそうだろう?」

 

 そんな幼馴染みの影響があってか、めぐみもまた、小説が好きに育っていた。

 

「そう……ですねぇ~。やっぱり、おもしろいものはおもしろいですもんっ」

 

 と花咲く笑顔で肯んじたのを受けて、エルフが開戦を宣言した。

 

「さぁ。懸念がなくなったところで、はじめるわよ! 一番手は、とうぜんこのわたしね」

 

 テーブルに人数分の、プリントアウトした原稿をたたきつけるように置くエルフ。彼女は、己が作品を一刻も早く読んでもらいたくて、いよいよ抑えが利かなくなったのだ。

 そんなエルフとは対照的に、一郎とめぐみは落ち着き払っている。

 

「順番にこだわりは無いし、僕は構わないよ」

「ねぇねぇ、はやく読みましょうよぅ」

「ふーん、えらく余裕しゃくしゃくじゃない。そんだけ自分の小説に自信があるってわけ? いいわ、その自信を打ち砕いてあげようじゃない!」

 

 エルフは自信たっぷりに言い放つと、早く読めとばかりに原稿を二人に押しつけた。

 こうして、いよいよ三人は小説を読み始めるのだった。




14,097文字


たいへん! プロットが息してないの!

というわけで、予定の5割増しの分量でお送りしております。
完結編もできていますので、すぐに投稿できると思います。


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ネタ解説
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『恋姫○無双』からキャラを取ったら、あとに残るのはカスみたいなゲームシステムとペラペラなシナリオの『ゲー()』よ:
 異論は認めます。
 発売当初にプレイしたときは、こんなに大ブレイクする作品になるだなんて思ってもみませんでした。
 だってゲームシステムの酷さときたら、あかほりさとるをシナリオに招き、豪華CVと有能作画チームで脇を固め、メディアミックスでアニメまで放送して、まさに札束で殴って売りこんでやるぜオラァ! と世に送り出した結果大ゴケしたクソゲー『らいむ〇ろ戦記譚』(どうしたelf……)のゲームシステムさながらの、ゲーム性皆無の「ゲー無」だったんですから。
 今となっては、偉人女性化の草分けとなった、歴史の転換点とも言える意義深い作品ですね。

ろくにコミュニケーションが取れなくて、だからてっとり早く自分を犠牲にして問題を解決しようとする根暗なヤツとか。ハーレム作りたいって言ってるくせに、実はウブでチキンなDT気質なヤツとか。人の行動にあれこれ文句つけるくせに、けっきょく自分からは何も行動起こせない常識人気取りとか:
 それぞれ八○、ベ○・クラネルくん、キ○ン。
 ベ○くんに関しては、チキンでDT気質というより、単に性欲ゼロで朴念仁なラノベ主人公というだけだったり。


「違うわ。まちがっているわよ!」:
 某中二病悪逆皇帝のおなじみの決め台詞より。
 劇場版最新作『復活のルルーシュ』がようやく発売されますね。

西尾維新の戯言シリーズで、主人公がやたらめったら理不尽にモテるのを『欠点しかないから共感されて惚れられる!(キリッ』って説明してたわね:
 未読の人は、戯言シリーズも是非。ジャンルは、ミステリを装ったアンチミステリの皮を被ったラノベです。私のようなミステリ嫌いにも安心。

 エルフが両手を広げてポーズを決めた。もしもマントを羽織っていたなら、派手にはためいたであろう。厨二心をくすぐるポージングであった:
 某中二病悪逆皇帝の決めポーズ。なお、腰は「く」のじに曲がっている。非常にダサイ(ダサカッコイイの略)。

村上春樹が小説の翻訳について語った著作『翻訳夜話』:
 村上春樹が文体について語っています。勉強になります。
 英語の翻訳ということで、日本語と英語の文章の特徴を比較しながら、彼の考える「かくあるべき文章」について書かれています。

どっかのネット小説投稿サイトだとぉ、たくさんアカウントつくってまで自分の小説に投票してランキング詐欺する人もいるみたいですしー:
 小説家になる為なら仕方ないね……。
 でも読む側からしたら、ランキングが機能してないのは辛いです。
 だから、スコップサイトが本当に有り難い。私もスコップサイトを作っていますので、ご覧ください。作者ページにリンクがあります(ダイレクトマーケティング)。

一郎は、前世においてデビューする際になりふりかまわぬ場外戦を演じたことがある:
 栗本の御大がしでかしたこと。この面の皮の厚さよ!(褒め言葉)

かくしてエルフは、優勝宣言をする。両手でピースを形作り、脚を前後にひらいた中腰のポーズで、高らかに「優勝しちゃっったもんね!」とばかりに笑みを浮かべる:
 ドラゴンボールより。悟空の幼少期、天下一武道会にて、相打ちに倒れた悟空とジャッキー・チュンが優勝を争って取ったポージング。
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