そして彼らは色々な国を旅していく。
※連載の予定だったのですが、短編になりました。続きを思いついたら連載にするかもしれません。
だって書きたかったんだもん。
本当は、ずっと此処に居たかったのかもしれない。辛くても、苦しくても、生きるのが嫌になっても、此処に居たかったのかもしれない。だって、此処が俺の生まれた国だったんだから…
はは、この夢を見たのはもう何度目だろうか…もう見飽きたよ。
でももう後戻りは出来ない。それに俺の心はもう決まっている。
あの人に…あの娘について行くと…。
「……て。…きて。」
「…うん?」
何処からか女の子のような声と微かに馬車が揺れるような音が聞こえる。
何か夢の様な物を見ていていた気がする。まあ、気にする程のことでは無いだろう。
そんな事を思っていた矢先、後頭部に硬いもので殴られたような感覚が襲う。と言うか殴られた。
「いってぇぇええ!」
「ふん!何度も起こしてるのに起きない貴方が悪いのです!」
「んぁ?アリスか、だからって殴るこたぁねぇだろ!」
「この私が起こしに来たのに起きないのが悪いのです。それに殴ってません。ただハードカバーの本の角でアタマを叩いただけです。」
「そう言うのを殴るつーんだろ!」
「それに起きて開口一番罵倒とは貴方の精神を疑います。朝起きたらまず、おはようでしょう?」
「ハードカバーの角で叩かれてなきゃ言ってたさ。」
分厚い本でポンポンと手を叩きながら、俺を見て未だ収まらぬ理不尽な怒りを露わにしている金髪ロング貧乳女子の名はアリス。水色に近い色の足首まで隠れるドレスを来ている。年は知らないが見た所15,6歳というところだろう。
「んで?俺の上司に当たる所のアリスさんはなんで俺の部屋にいるんですかね?」
「サラが朝食が出来たから呼んで来いって。」
「貴女あの娘の主人ですよね?なんで使われてんだよ。」
「貴方がサラに如何わしい事をしないとは限らない。ならば主人である私が行くのが定石というものでしょう!」
「俺がお前に如何わしい事をしないという事は考えないんだな。」
「貴方ぐらいおそるるに足らないですもの。」
「さいですか。じゃあ飯食いに行くか。」
この馬車は魔法により、普通に豪華な官邸と変わらないレベルに拡張されている。見た目は普通の馬車だが、内部に入ればそこは官邸といっては何ら遜色無い。イメージ的にはハリー○ッターで出て来たテントをイメージすればわかりやすいだろう。
そんな馬車の部屋を出て、階段を降りている途中向かう方向からいい香りがした。
リビングにつくとメイドのサラさんが料理を並べている。
メイドのサラさんは料理は勿論のこと全ての家事をこなすひとで、その仕事ぶりは完璧と言う他ないレベルだ。
見た目は何処ぞのお嬢様とは違い、スタイルが良く、大きすぎる訳でもなく、小さすぎもしない物を持っている。髪はショートで色はブラウン。表情はいつも柔げで、全身から癒しオーラをはなっている。
服は勿論メイド服だが、ミニスカではなく丈が長いタイプの物を着ている。
「アリス様、将さんおはようございます。もう朝食は出来ておりますので温かい内にお召し上がりください。」
「有難う、サラさん。今日も綺麗だね。」
「まあ、将さん朝からお世辞はよして下さい。」
「寝てる人にハードカバーの角を喰らわすお嬢様とはえらい違いですよ。」
「アリス様そんな事なさったんですか?」
「将が起きないのが悪いのです。」
「そんな事じゃ将さんに嫌われちゃいますよ?」
「寧ろねがったり叶ったりです。」
そんな事を言いながらアリスは席に着く。
机の上にはサラさんの作った美味しそうな朝食が並んでいる。
メニューは蜂蜜バターを塗ったトーストに、サラダ、ベーコンエッグ、オニオンスープにコーヒー。
うん、今日も美味そうだ。
「そう言えばサラさんは食べないのですか?」
「アリス様と一緒に食事するなんて、メイドの私には出過ぎた事でしょう。出来るはずもございません。」
「私は一緒に食べても構わないですがね。」
「アリス様…ありがたい事ですが、それは私のポリシーに反します。我儘だとは分かってはいますがこのままでお願いします。」
俺とアリスが朝食を食べ終えた頃、サラさんが不意に口を開いた。
「アリス様、そろそろ次の国に到着致します。ご準備を。」
「ええ、分かりました。将、準備なさい。それとその見窄らしい格好をどうにかする事。サラ、手伝ってあげて。」
「アリス、
「死にたく無いならね。ほら早く準備なさい。精々私の役に立ちなさい。」
「へいへい、分かりましたよお嬢様。じゃあ、行こうかサラさん。」
「ええ、では将さんコチラへ。将さんに似合いそうな服を探しますので付いて来て下さい。」
これからまた次の国に着く。今度は余り過激じゃないと良いんだが。
そんな事を思いながら俺はサラさんに適当な服を見繕ってもらっていた。