それと推理分は自分が当時プレイしていた時に考えた推理を思い出しつつ、直斗や白野ならこのくらいは気付くし調べているだろうと考えて書いてます。
う~ん! ようやくいつも通りの生活サイクルに戻った感じかな。
手を組んで上に挙げて身体を伸ばす。
テレビの世界に行って完二を助けてから一週間以上が経った。
向こうの世界での無理が祟ったのか三日程体調を崩して寝込んでしまった。
学校へは風邪で通した。普段から特に問題を起こしてはいなかったので、すんなりと信じて貰えた。完二は心配だがおばさんが直接学校に連絡したらしいのでたぶん大丈夫だろう。
いや、いつも通りじゃないか。
この一週間で身近で大きな変化が二つあった。
『ねえお兄ちゃん。今日の御飯はどうするの?』
今日は肉ジャガにする予定だよ。
頭の中に響いた声に心の中で応える。
一つ目の変化は完二救出後、ヒノの声が現実でも聞こえる様になった事だ。勿論周りには聞こえていない。
それと自分が誰かと喋っている時や考え事をしている時は邪魔をしないように黙ってくれる気遣いの出来る良い子だ。
それとこれはヒノから聞いて知った事だが、今迄現実世界でのヒノはただ自分を通し
て世界を見ているだけだったが、そこに更に『音』が加わったらしい。
そのため最近はヒノの為に暇があればテレビを観るようにしている。ヒノのお気に入りはヒノが幼いからか子供向けのアニメや動物が出る番組が好きらしい。ニュース等の時は興味が無いのか反応が無いのも子供らしい。
あの火の魂が原因だとは思うが、なにぶんヒノ自体もアレがなんなのか解っていないため推測でしかない。
こちらの世界で変化があった事を考えると向こうでもヒノになんらかの変化があるかもしれない為、一度向こうに行って確認しようと思っている。
そんな事を考えつつ二つ目の変化の方へと視線を向ける。
「にしてもまさか直斗が学校に転校してくるなんて驚いたよ。な、完二?」
「いや、つか、なんで男の制服?」
「……こっちの方が動き易いからです」
直斗はどこか誤魔化す様に視線を逸らしながら答える。
完二救出後、学校に通えるようになって暫くして直斗が転校して来た。
転校初日の朝に家に車でやって来たのには驚いたものだ。
事情を聞いてみると今後は自分達と一緒に行動すると決めた時には既に行動時間を合わせられるように学校への転入を考えていたんだとか。凄い行動力である。
ただ自分個人として事件だけじゃなくて今回の事を切っ掛けに二人にはもっと普通に学園生活をエンジョイして欲しいんだよね。
完二は人付き合い、直斗は仕事で殆ど学生らしい遊びをしていなさそうだと思い、これからは積極的に二人を遊びに連れ出そうと心の中で考えている内に家に到着する。
「それじゃあ上がってくれ二人とも」
「「お邪魔します」」
二人をリビングに案内してソファーにあったクッションを渡し、自分は鞄を置きつつキッチンからお茶のボトルと人数分のコップを用意し、お茶菓子としてスナックやチョコ菓子を皿に盛ってトレーで運ぶ。
「さて、それじゃあ改めて事件についての話し合いを行うとしようか」
「はい」
「うっす!」
普通にお喋りする前に今日集まった本題を口にしつつノートと筆記用具を取り出す。
「まず、現状の情報の確認を改めてしよう。たぶん直斗が一番事件に詳しいだろうから進行を頼む」
「ええ。ではまず最初の事件から」
直斗が今回の事件を時系列順に説明しそれをノートに書き出していく。
四月十二日に天城旅館に泊まっていた筈の山野真由美が死体として発見される。
直斗情報、山野真由美は十一日の正午過ぎから死体として発見されるまでの短い間だが行方不明になっていたらしい。それ以前は旅館の仲居さんが姿を確認している。更に山野真由美の関係者全員にアリバイが成立している。
四月十五日に第一発見者である小西早紀が死体として発見される。
同日の夜に天城雪子がテレビ報道され、その後マヨナカテレビに彼女らしき影が映る。
直斗情報、彼女は警察で事情聴取されたあとから死体が発見されるまでの間山野真由美同様に行方不明となっていたらしい。
四月十六日に天城雪子が行方不明に。
マヨナカテレビに今迄と違うテレビ番組の様な映像が映り、もう一人の天城雪子らしき存在が映る。
四月十八日にテレビの中で城に向かうも天城雪子の姿は無かった。
直斗情報、天城雪子自身は十七日に発見されその後体調不良でしばらく学校を休んでいる。
五月十三日に巽完二がテレビ報道される。
直斗情報、彼女曰くこの段階でテレビに報道された人物が狙われている可能性に気付く。
五月十四日以降に完二がマヨナカテレビに映り始める。
直斗が接触を開始し、自分も完二に可能な限り接触する。
五月十七日にもう一人の完二がマヨナカテレビに映る。
この時点で完二がテレビに入れられているのが確定する。
「ふむ、これが今判明している事実だな」
「ええ。そして完二君の発言を考えると彼がテレビに入れられたのは彼が僕と別れてから彼のお母様が店番をしている数時間の内という事になります」
「完二、何か覚えてること無いか?」
「すんません。アレから思い出そうとはするんすけど、色々あってよく思い出せねぇんすよ。お袋も特に怪しい人は来てねぇって言うし」
「まあ向こうの世界でも色々あったしな仕方ないさ」
申し訳なさそうにする完二にそう言って励ます。向こうの世界で起きた出来事を考えれば混乱して記憶が曖昧になるのは仕方ない事だ。
「だが完二が狙われた事で幾つか確定したな」
「ですね。まず、犯人は間違いなく車、それも人一人を放り込めるサイズのテレビを運んでいますね」
直斗の言葉に自分も頷く。
個室などなら兎も角として、テレビが近くにある状況なんて殆ど無いだろう。となればテレビは犯人が持参している事になる。
「そして犯人は複数か男性の単独犯の可能性が高まったな。完二は喧嘩慣れしているから薬か、またはスタンガンか何かで無力化した可能性がある。完二程のサイズの男性、それも自力で動けない身体をテレビに放り込むのは女性一人では難しいだろう」
「ええ、僕も同意見です。そして複数人による反抗は極めて低いと考えています。流石にその人数で動けばこの町で噂になっている思いますので」
直斗の意見に確かにと呟き同意する。
この町ははっきり言って狭い。知らない人が居ればすぐに分かるし何か起こればその日の内に噂が広まる。そんな田舎で大人数で行動していれば嫌でも目に付く。
「つまり犯人の最有力候補は男性の単独犯で最初の事件でアリバイの無い人物、という事になるな」
「ええ。もっとも条件に近い容疑者は生田目太郎氏ですが、彼にはアリバイが有る。となると、やはりこの町に住む誰かという事になりますね」
直斗の言葉に頷きつつ腕を組む。
「しかし動機が分かんないな。犯人がテレビに入れる能力を持っているのは間違いない。そしてテレビに人を入れたら死ぬ可能があるのは最初の事件で分かったはず。その後も犯行を続けるのはなんでだ?」
「そうですね。天城雪子までなら最初の事件になんらかの関係があって口封じの為、という線で推理も出来ますが、それは完二君が狙われた事で否定されましたからね………正直、考えたくありませんが現状で一番近い犯人の動機は快楽殺人という事になります」
「……最初の事件を切っ掛けに殺人に快楽を見出した、か。有りそうで恐いなその推理、なんせ殺人の方法がテレビに入れるだけで直接犯人自身が何かする訳じゃないから証拠なんて殆ど残らない」
自分の言葉にそこが厄介なんですよね。と直斗が真剣な表情で相槌を打ちつつ自分が書き込んだノートを見詰める。
「でだ完二……付いて来れているか?」
会話に一切入って来ない完二に声をかけると、彼は一応話は聞いていたが情報の整理が追いついていないといった表情をしてせみる。
「ああ……すんません無理っす。そういう頭脳担当は苦手なんで二人に任せます。俺は肉体労働で頑張ります!」
完二は少し考える素振りを見せるもすぐに諦めて腕を曲げて力瘤を作って見せてる。
「うん。話を聞いてるだけでも構わないさ。あとで必要な情報だけ纏めて教えるよ」
「ありがとうございます先輩!」
とりあえず完二には犯人についてとマヨナカテレビの情報だけ把握しておいて貰えれば十分だろうと判断し、事件についてもこれ以上話し合う事も無いため次の話題に移る。
「次にマヨナカテレビについてだけど、アレはなんなんだろうな。もう一人の天城が映ってから完二が映るまで噂通り統一性の無い感じだったのに完二が映りだして暫くはまた完二しか映らなかった」
完二救出後も雨の日のテレビにはもう一人の完二ではなく、今までの映りの悪い姿の完二が映っていた。
「正直マヨナカテレビについてはそもそも現象自体が不可思議によるものですからね。情報があまりにも少ない。唯一解っているのは向こうの世界に誰かが入れられると『もう一人の自分が映る』という事と、映った人物が犯人に狙われる可能性がある。という事ですね」
直斗の言葉に頷きつつノートに書き込んでいく。
「とにかく今は『テレビ報道された人物』と『マヨナカテレビに映った人物』の両方を対象に調査した方がいいかもな。どちらを理由に犯人がターゲットを選んでいるか分からないし。ただ今後は二人もマヨナカテレビを必ずチェックしてくれ」
自分の言葉に二人が頷くを確認し、最後の話題に移る。
「で、最後が天城雪子がどうやって向こうから戻ったのか、だけど……本人に直接確認するのは控えた方がいいんだっけ?」
直斗に確認すると彼女は頷いて見せた。
「ええ。僕の予想ですが犯人はある程度生還した人物にはそれとなく注意を向けていると思うんです。殺したと思った人物が生きているのですから。その場合、犯人は口封じに同じ人物を狙う可能性が高い。しかし犯人は彼女ではなく巽君を狙った」
「……彼女の普段の言動から身元はバレていないと判断した可能性が高いって事か」
「ええ、警戒する相手よりは無警戒の相手をといった考えで巽君を襲ったのでしょう」
「つーことはアレか? あんま外でこういう話をしない方がいいって事か?」
「そうだな。今後は何か情報を得たら今日みたいに家に集まった話し合おう。もちろんそう言うの抜きで遊びに来てくれて全然構わないからな」
そう二人に提案すると二人は笑って頷いてくれた。
空気も変わったので事件の話はここでお終いとノートを閉じて姿勢を少し崩して別の話題に移る。
「そう言えば二人とももうすぐ林間学校だけど、どうするんだ?」
「あ~俺は出席日数の関係で強制参加だそうっす。休んだら進級させねって釘刺されました。つーかあの生活指導のモロキンだかっていうセンコーには腹立って軽くキレかけたっすよ。こっちはガチで病欠だって言うのにどうせ親を脅してズル休みしたんだろうだの、中学時代のように調子には乗らせない、問題起こしたら停学させるだの何だのって」
話しながら当時の事を思い出したのか完二は不機嫌そうに顔を顰めつつスナック菓子を口に放り込む。
「諸岡先生ですね。僕も転校初日に会いましたが格好の事や都会から来た事等で幾つか小言を貰いました。ですがあの手の偏見持ちの大人は何所にでも居ますので気にしない方がいいでしょう」
直斗もお茶を飲みつつこれまでに出会ったそういった大人達の事を思い出したのか肩を竦めて見せる。
「あの先生は言動が過激だし偏見持ちな上に小言が多いからなぁ。でも生活指導としてはかなり真面目に取り組んでいるみたいだぞ。夜の見回りをしているのをよく見かけるし、三年生の話じゃ進路相談の対応もしっかりしているらしい」
「でも普段はアレなんすよね?」
「そうだね」
完二の言葉に苦笑しながら答える。まあ誰だって好き嫌い別に小言が多くて説教が長い人は苦手という事だ。
それからしばらく学校生活の愚痴や林間学校の話を筆頭に世間話に華を咲かせつつ、今度一度テレビの世界に行く事を約束してから二人は帰宅して行った。
あとは二年組の纏め話で五月は終了です。
六月、特に林間学校のイベントは飛ばすか書くか悩み中。白野はクラス違うし完二は悠達と接点が無いのでテントに行かないだろうし。面白い感じに纏められたら林間学校からスタート、纏まらなかったらりせのテレビ報道からスタートって感じになると思います。