岸波白野の転生物語【ペルソナ編】   作:雷鳥

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と言う訳で白野のワイルド能力についての回。
正直、白野のペルソナはメインの五人も含めてボス戦で徐々に増えて行く展開にするか、それともメイン所だけは最初から呼べる仕様にするかで現在も悩み中。そのせいで執筆が遅れてます。もし仕様変更する場合はこの回の内容も一部弄るので、その時は報告します。



【ペルソナとワイルド】

 変な城を訪れた翌日、起きたらもう昼近くだった上に体調があまり良くない。今日は学校が休みで久しぶりに天気も晴れたので天城の事は気になるが探索は止めて代わりに向こうの探索用の靴と服を買いにジュネスに向かう。

 

 ジュネスは全国でも有名な大型デパートチェーン店だ。その影響で商店街は寂れて行く一方だがやっぱり一度に買い物が終わるのは助かるし便利だ。まぁ、豆腐は丸久さんの方が美味しいからあっちで買うけどね。

 

 一通りジュネスで買い物を終えて豆腐を買う為と情報を収集する為に商店街に行く。最近商店街では噂話をよくしている人が多いから、何かしら面白い話を聞けるかもしれない。

 

 商店街にたどり着くとそこにはいつもと違う光景が広がっていた。

 商店街の南側にある本屋『四目内党書店(よめないどうしょてん)』と『だいだら.(ぼっち)』と言う名の金属加工店の間に青白く光る扉が出現していた。しかし周りの人間はその扉の存在をまるで『見えていない』かのように素通りして行く。

 

 青色……まさか。

 

 気になって扉に近付きドアノブに触れる。

 ガチャリ、と言う鍵の外れる音が聞こえた。意を決して扉を開くと強い光が自分と辺りを包み、気付けばあの青い部屋に座っていた。

 

「ようこそベルベットルームへ。お待ちしておりました」

 

「やっぱりあの扉はここに繋がっていたのか」

 

 イゴールがいつもと同じ笑顔で迎え、傍に控えたマーガレットは軽く頭を下げた。

 

「なるほど、鍵はここを出入りするための物か」

 

「左様でございます。して今日の御用は?」

 

「自分のペルソナ能力について詳しく教えてくれ。何か気になる事を言っていただろ?」

 

「そうでございますね。ではまずペルソナ能力の基本から改めてご説明いたしましょう」

 

 イゴールのペルソナ能力の講座が始まり、疑問に思ったことを訊ねつつ色々と頭の中で纏める。

 

 自己の意識、所謂『もう一人の自分』を制御し顕現する能力をペルソナ能力と呼ぶ。

 もちろん普通に生活していればそんな力には目覚めないらしいが、特異な現象や存在に遭遇するのを切っ掛けに能力に目覚める事があるんだそうだ。ちょうど自分のように。

 

 次にペルソナは本来は一人につき一種類の意識までしか制御できないんだそうだ。

 しかし稀に『世界の補助』によって複数のペルソナを制御し、好きに交換できる者がいる。

 彼等はそういった存在を『愚者』のアルカナを持つ者と呼び、その能力を『ワイルド』と呼んでいる。

 

 なんでも人間にはそれぞれアルカナと言う物が定められており、愚者というアルカナは世界の命運を握るような大きな出来事に巻き込まれる運命にあるんだとか。生前の世界的に言えば抑止力のようなものだろう。

 そうした運命を乗り越えた愚者のアルカナを持つ者は『命の答え』というものを得て『奇跡』を成して別のアルカナとなり、世界からの補助も失ってワイルドの力を失うらしい。

 

 自分はその答えを得た結果が『愚者』らしく、かなり特異な存在なんだとか。そしてイゴール曰くそのアルカナの性質上、ほぼ確実に厄介事に巻き込まれる運命にあるらしい。泣けてくる。

 

 それとシャドウやペルソナにはどのアルカナに属しているのかを示す番号がシャドウは仮面に、ペルソナはカードにそれぞれ描かれている。セイバーは五番だから『皇帝』という訳だ。

 

「そしてお客様のペルソナ能力ですが、お客様も愚者を持つ為ワイルドの能力を行使する事が可能です。しかしお客様のワイルドは本来の物とは些か異なります。本来なら一つのアルカナでも複数のペルソナが存在し、それらを同時に持つ事もできるのでございますが、お客様の場合は一つのアルカナにつき持てるペルソナは一体のみ。そして我々はお客様の補佐としてペルソナ同士を合体させてより強力なペルソナを生み出すという事もしておりますが、お客様の場合それも不可能で御座います」

 

 いや、ペルソナを付け替えられる時点で十分なのにそこから更に好きなペルソナを生み出せたりできるって本来のワイルド能力者ってチートじゃない? 流石は世界の補正を受けただけはあるってことか。

 

「では次に今お客様が呼び出せるペルソナを調べると致しましょう。マーガレット」

 

「はい」

 

 彼女が手を宙に翳すと一冊の本が現れた。

 

「こちらに触れていただけますか」

 

 言われた通りに本に触れると本が勝手に捲れ、そこから光るカードが現れ宙に並べられる。

 光は徐々に薄れ、ペルソナを呼ぶ時に現れるカードが浮かび上がる。

 光るカードの数は二十一枚。

 中央に『愚者』のカードが配置され、その真上に『Ⅰ』のカードが配置され、それから時計回りに数字の順にカードが愚者を囲うように並んでいく。

 

 全ての配置が終わると一部のカードには絵柄が現れる。

 『Ⅳ』と書かれたカードにはセイバーの姿。

 『Ⅵ』と書かれたカードにはキャスターの姿。

 『Ⅷ』と書かれたカードにはアーチャーの姿。

 『ⅩⅤ』と書かれたカードにはエリザベートの姿。

 『ⅩⅩ』と書かれたカードにはギルガメッシュの姿。

 それ以外は絵柄の部分が光っている物と黒く塗りつぶされている物に分かれていた。

 

 ……まぁうん。セイバーが皇帝なのもアーチャーが正義のアルカナなのも分かる。エリザとギルガメッシュもそれぞれの在り方を思い出せば間違いない。

 だがキャスター、お前はなんで恋愛!? 存在的に太陽か魔術師じゃないの? いやでも人間に恋焦がれた所や恋人のアルカナは魅了や誘惑の暗示でもあるし、あながち間違ってもいない、のか?

 

 ギルガメッシュとはまた違った意味でこちらの想像をぶち抜いていくキャスターに対して懐かしさを覚えつつも盛大にツッコミを入れる。 

 

「……素晴らしい」

 

 そんなこちらの内心を気にした様子も無く、マーガレットがやはり恍惚とした表情でカードを眺める。イゴールが軽く咳払いして現実に戻ったのか、少し頬を赤くしながら説明を再開した。

 

「ごほん。申し訳ございません。これらがお客様が呼び出せるペルソナで御座います。光っている物は切っ掛けさえあればペルソナ化出来る物。黒い物はいまだ絆を育んでいないものでございます。それとこのギルガメッシュは存在そのものが御しがたい程の強力な力を持っています。使用は極力控えた方がよろしいでしょう」

 

 流石はギルガメッシュ、世界は違っても簡単には使われないとは何処までも自己主張の激しい王様だ。

 

「……えっと、つまり自分はギルガメッシュを除いた四枚のペルソナで戦いを切り抜けろ。という事ですか?」

 

 まあこの四枚でも状況に合わせて替える事が出来るのだから問題ない訳だが。

 

「『現状』ではそうでございます」

 

 なぜだろうマーガレットは今『現状』の部分だけ強調したような気がしたが、それっきり口を閉ざしてしまう。

 気にはなったが今は体調もあまり良くないし今度でいいかと話を切り上げて二人に別れを告げてベルベットルームから去る。

 

 扉を潜るとまた光が辺りを包み、気付けば商店街に戻って来た。ベルベットルームへの扉もそのままだ。

 

 どうもベルベットルームに関渉している間は時間は止まっているみたいだな。

 腕時計で時間を確認すると、けっこう話し合っていたのに時間が進んでいなかった。テレビの世界では時間は進んでいた事を考えるとやはりあのベルベットルームという空間は特別らしい。

 

 まぁ時間が進まないなら予定通りに行動できるからこちらとしてはありがたいな。

 

 当初の予定通り、商店街で噂話に聞き耳を立てながら豆腐を買って帰宅した。 

 

 

 

 

 帰宅した自分は遅めの昼食を摂ったあとに気休めだが薬を飲んでから横になり、眠りに付くまでの間に現状で分かっている事を頭の中で纏めてこの事件について推理する。

 

 今この町で起きている事件はただの事件じゃない。不可思議な世界と力が関わった異常な事件だ。

 犯人は現実の人間なのか、それとも向こうの世界の異形か、これは前者の可能性が高いと思う。向こうの異形がこちらに来て殺人を犯したならもっと派手な痕跡が残っていてもいいはずだ。

 

 ではその手口は?

 これは恐らく『テレビ』だと思う。

 犯人はなんらかの方法で被害者に近付き、テレビに放り込んだ可能性が高い。

 恐らくテレビに人を入れたら相手が死ぬと分かったのは山野アナを殺害した時だろう。

 自分にはナミ様のお陰で向こうに行っても戻って来る事ができる。だが犯人が都合良くそんな道具を持っているとは考え難い。もちろん出入りできる可能性もゼロではないが、可能性は低いだろう。

 

「問題はどうやってテレビに入れたかだな。人一人を入れるテレビなんて都合良く在るわけ無いから持ち運んでいるはず。となると、車を利用している可能性が高い。それに複数犯の可能性もあるか」

 

 手口についてはこんなものだろうと考えるのを止め、次はマヨナカテレビについて考える。

 

 少なくともマヨナカテレビの内容が向こうの世界と繋がっているのは間違いない。しかし映し出された映像が違うのは何故だ?

 

「少なくともあの逆ナンの番組が映る前は城なんて無かった筈だ。もしかし天城が向こうに行ったせいで生まれた?」

 

 町で情報収集と言う名の聞き耳を立てていた時に面白い話を耳にした。

 一つは死んだ山野アナが天城の実家の天城旅館に泊まっていたという情報。

 もう一つは天城が行方不明だということだ。しかし天城がマヨナカテレビに最初に映った時はまだこっちの世界に居たのを自分の前で千枝が確認している。

 つまり彼女が行方不明になったのは千枝の電話のその後からと言うことになる。そして行方不明と同時にあの不思議な番組が放送された。そこから推測するに何者かが彼女を向こうの世界に放り込んだって事だ。

 

 しかしなんのために? マヨナカテレビに映ったからか? でも映ったら殺すって、それじゃただの愉快犯だな。

 

「とりあえず纏める事は纏めたし、明日の夜にもう一度向こうに行こう」

 

 ゆっくりと目蓋を閉じ、天城の無事を祈りながらその日は眠りに付いた。

 




体調不良は御都合主義。でも実際あれだけボロボロになってたら翌日は痛みと疲れで満足に動けないよねってことでP3の体調不良設定を組み込んでみた。

わかり易くワイルド能力の違いを説明すると↓

原作のワイルドの仕様→同一ペルソナ以外のペルソナなら同じアルカナでも所持できる。更にペルソナ合体で別ペルソナを作り出す事も出来る。

白野のワイルドの仕様→1アルカナに付き一体のみ。ペルソナ同士の合体が不可能な上に呼び出せるペルソナも限定されている。

呼び出せるペルソナが限定されている説明も入れるはずだったけど、長くなるので別の回でマーガレットさんに説明させます。

違いとしてはこれくらいです。
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