岸波白野の転生物語【ペルソナ編】   作:雷鳥

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お待たせして申し訳ない。
ぎっくり腰やったり(現在進行形でツライ)その後花粉症でやる気をなくしたり(マジでこの時期はツライ)で執筆が遅れています。
前回、完二回になると言ったけどその前にGWでマーガレットのイベントを発生させる事にしました。




【マーガレットの挑戦状】

 五月になったが自分の生活はあまり変わっていない。

 いつものように勉強やら運動、そして最近は暇を見つけてはヒノに合いに向こうの世界に行って話しをしている。

 他にもベルベットルームに行ってイゴールやマーガレットらとも話もしている。シャドウやペルソナについてや無意識集合体や彼らの様な存在について色々と知れるし、なによりせっかく知り合ったのだから仲を深めたいとも思ったのだ。

 

 そして五月の黄金週間と言う名の連休にベルベットルームに向かうと、珍しくイゴールが居らずマーガレットだけが座っていた。

 

「あれ? 今日はマーガレットだけなのか」

 

「あら……これはお客様、申し訳御座いません。現在主は出ておりまして急用でなければまた日を改めて……」

 

 マーガレットはそこで言葉を止めると何やら考えるように視線を下げる。

 

「いえ、違いますね。ここはお客様の定めと不可避の場所であり『全く無意味な事』は起こらない。となるとこの出会いもまた何か意味があるのでしょうね」

 

 そうだろうか? ぶっちゃけ自分はここにはお喋りしにしか来てない気がするが、それも無意味な事ではないのか?

 

「改めましてようこそベルベットルームへ。私の名はマーガレットと申します。前任が突然不在となったのを受けて招かれた『力を司る者』よ。ふふ、主以外がこうしてお客を出迎えたのなんて、初めての出来事じゃないかしら」

 

 マーガレットはそう言っておかしそうに小さく笑う。

 確かに自分が訪れると毎回イゴールが居て出迎えていたなと思い出す。

 

 まあ自分はイゴールに何か頼んだり出来ないから彼が居ても居なくても別に問題は無いんだけどね。

 

 本来ならペルソナ同士を合体させたりするのが客人を手助けするイゴールの仕事の一つらしいのだが自分のペルソナはそれが出来ない。

 正直に言えばここに来る理由向こうの世界やペルソナ、シャドウなどについての知識を得る事と折角出会えた二人と仲良くなろうと思っているだけだ。

 

「ふふ確かにその通りですね。お客様はいつもやって来ては我々と話すだけ……そう、今なら……」

 

 マーガレットは何かに納得したように一度頷くとこちらに振り返った。

 

「お客様、良ければこれから私にお付き合いくださいませんか?」

 

「別にいいけど、何所に?」

 

 今日は特にする事もないので了承すると彼女は嬉しそうに口元に笑みを浮かべながら立ち上がるとこちらに近付きなんて事無いようにこちらの胸に触れる。

 

 そして空いている手を上げると辺りを光が包み、気付けば自分は幾つもの扉が立つ海の上に立っていた。

 

「ここは?」

 

「ここは【ヴィジョンクエストの間】、私が用意した貴方の中の世界よ。そしてこの扉の中にはあなたの記憶を基に作られた敵が存在している」

 

「あっと、つまり?」

 

 いきなり新たな情報が増え過ぎて意味が分からず問いかける。

 

「戦いなさい」

 

 凄まじく簡潔な答えが返ってきた。要点だけを口にする時のラニだってもうちょっと文字数多いよ。そしていつの間にかマーガレットがいつもの丁寧な口調ではなく砕けた言葉になっている。もしかしてこっちが地か?

 

 唖然としていると彼女は少しだけ自分から離れ扉を背にしてから口を開く。

 

「絆とは出会いと言葉を重ね、相手への理解が深まる事で固まるもの。けれど時に心は千の言葉よりも一つの行動で大きく震えるわ。貴方に、分かるかしら?」

 

「……ああ良く分かるよ」

 

 何度も自分を護ってくれたその背中の頼もしさを、引っ張ってくれたその手の暖かさを、自分に向けてくれたその瞳の優しさを、自分は今も覚えている。

 言葉だけではなく行動で示してくれた彼等のその信頼が、何も知らず、何も持たない自分をどれだけ支えてくれたことか、どれだけ嬉しかった事か。

 

 今も忘れずこの胸に宿るその暖かさを改めて思い出しながら彼女の言葉に強く頷き返す。

 自分の返答にマーガレットは嬉しそうに微笑むと何かを決意したような瞳をこちらに向ける。

 

「愚問だったようね。そしてその目を見て『彼』か『貴方』か迷っていたのだけれど、貴方に決めたわ」

 

 マーガレットは普段は見せた事の無い愁いを帯びた表情で空を仰ぐ。

 

「私には知りたいことがあり、その答えを示してくれる者を探していたわ。貴方なら私が求めている答えを見せてくれるかもしれない。これはその為の一種の私からの挑戦状の様なものだと思ってちょうだい」

 

 ああなるほど合点がいった。

 先程の彼女の台詞と今の説明でマーガレットが何を求めているのかを理解する。

 

「つまり、その信頼に行動と結果で示して見せろと」

 

 自分の解答にマーガレットは合格だと言うように口元に笑みを浮かべてみせる。

 

「ふふ。さあ最初の相手はこの扉よ」

 

 そう言って彼女が扉を示した扉には『海賊船に乗った子供』の影絵が描かれていた。

 何となく、この先に居る者が誰なのかを理解しながら扉を潜る。

 

「………ああ、やっぱり」

 

 懐かしい戦場がそこにあった。

 初めて人を、『友人』を殺した廃船の甲板。

 そして正面には『見知った知人』に似た二つの人型の影。

 

 一体は海賊服の様な衣装に身を包み片手に銃、片手にカトラスを握る仮面を付けた女傑の影。

 その後ろに同じく仮面をつけた学生服のような衣装に海草の様な髪が特徴の青年の影。

 

「かつて貴方が一対一で戦ったように、この世界で呼び出せるペルソナは一体のみ」

 

 振り返るといつの間にかマーガレットが立っていた。

 

「よく選んでペルソナを召喚しなさい」

 

 自分は正面へを振り返り、目蓋を閉じて呼び出すペルソナを考え、目蓋を開くと同時に叫ぶ。

 

「こい、セイバー!」

 

 あの影が『ドレイク』と『慎二』なのだとしたら物理特化、魔術特化のアーチャーとキャスターは分が悪い。エリザと迷ったが、スキルとステータスの安定性を優先してセイバーを選択した。

 

 こちらのペルソナ召喚を合図とするように、仮名シャドウ慎二が手を掲げ、同じく仮名シャドウドレイクが動く。過去と同じようで、けれどまったく違う戦いが始った。

 




と言う訳でP3Pをやった人なら分かる【ヴィジョンクエスト】です。
P3Pでは現在の強さで過去のボスと戦えたり、マーガレットが出す条件で戦闘をクリアする詰め将棋バトル等の所謂『おまけクエスト』となっています。
マーガレットとのコミュ上げ(と言う名の好感度上げ)と白野のペルソナ獲得手段の一つとしてこれが一番かなと思ったのでこうなりました。
最初は化物形態のサーヴァントだけを出す予定だったけど……ちょっと全員分の化物形態を考えられそうにないと判断して原作同様に決闘方式という形にしました。

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