魔法少女育成計画 -Deicide Side-   作:天都ダム∈(・ω・)∋

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*** プロローグ 終わる以上は始まる必要がある ***

◆八月五日 二十三時三十分 リップ・ロップ

 

「――――三日午後四時前、双葉市内の住宅で、自営業の袋辺理香子(ふくろべりかこ)さんが玄関先で血を流して倒れているのを、家族が発見しました。理香子さんは車椅子に座った状態で、鋭い刃物で胸部を刺されており、その場で死亡が確認されました。財布や貴金属等が紛失していることから、警察は強盗殺人と見て詳しい捜査を――――」

 

 つけっぱなしのテレビから、ニュースが流れてくる。

世界はいつでもどこでも物騒だ。常に誰かが傷つき、誰かが泣いて、誰かが死んでいる。

リップ・ロップは、有能だ。魔法の国から認められて、友人達から頼られて、世界に必要とされている魔法少女だ。

それでも、やっぱり死ぬときは死ぬのだ。

 最新のゲーム機、無数のモニター、幾台も重ねられたお気に入りのパソコン。それがこの部屋にあるものの全てで、自分の人生の全てだった。

 

「ごめん」

 

 口からこぼれた言葉は、刻んで、届けたものと同じだ。

 

「ごめん、多分、世界は滅びると思う」

 

 ごろりと仰向けになると、誰かがリップ・ロップを見下ろしていた。

 無機質な瞳。光のない瞳。意志のない瞳。自我のない瞳。

 なんて虚ろで、なんておぞましくて、なんて恐ろしくて、なんて気持ち悪い。

 けれど、仕方ない。

 だって彼女は、カミサマだから。

 人の気持ちなんて理解できない。

 私の気持ちなんて理解できない。

 誰の気持ちも理解できない。

 

「ねえ、お願い、助けて、私、まだ」

 

 それ以上は言うことができなかった。

 眼前の誰かは何もしなかった。何もしないまま、リップ・ロップという生命の、ありとあらゆる全ての機能を停止させた。

 

「――――私は、神である」

 

 もはや魔法少女ですらなくなった、ただの少女の死体は、ゆっくりと、歪な色の花に包まれていく。

 いや、死体だけではなく、部屋のありとあらゆるものが。その魔法少女の足元から湧き出る【何か】に侵食されて、変質していく。

 

「世界は――――――」

 

 神は降り立った。いや、既にこの世界に居たのかもしれない。

 

「――――私が、作り変える。神として」

 

 機械じかけの翼を広げた。神様だから、当然だ。空を舞う翼は、必要不可欠だ。

 額に第三の瞳が開いた。神様だから、当然だ。万物を見通す瞳が居る。

 全てを論理的(ロジカル)に。万物を混沌(カオス)に。

 故に神の名前は――――――ロジカルカオス。

 

 純然に、単純なる事実として記すならば――――――

 

 人だろうが獣だろうが、そして魔法少女だろうが。

 神を殺すことなど、できやしない。

 

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