一応、二話構成の予定です。
後艦これ関係ねぇじゃんと思われるかもしれませんが、実は艦これ関係あります。なので、運営に報告しないでください。お願いします。
「うひょっひょーい!!」
もう夜も遅い時間だっていうのに今日も奴の叫びが芝生村に鳴り響く。
「「「「「こぉらぁまてや高槻の孫ぉぉぉぉおおおお!!」」」」」
そしてそれを全力で追いかけているのであろうおじいちゃんとおばあちゃんたちの声が。
(今日は一体何をしでかしたのだろうか……)
そう思いながら私がおばあちゃんに頼まれて探し物をしていた蔵についている窓を開けて、そこから外を見るとそこには
「うわぁ…」
そこにあったそれを見た瞬間口からそんな声が漏れた。でもそれは嫌な意味でのうわぁじゃなくて、
「きれい…」
感嘆を込めたうわぁだった。
空には満天の星、近くの海に水面にそれは反射してきれいなキャンバスとなって一枚の絵となる。
だけど、おかしい。
(電気があるからこんなにも星が見えるはずがないのに…)
そう思いながらも手に持っていた懐中電灯の光をけして私は目の前に広がるその光景を黙って見ていた。
数分ほどそうしていただろうか。きれいな星が描く絵画を十分に堪能した私は蔵の窓を閉め、蔵から出る。
「あ…」
そして蔵から出て家の方に振り返ったことで漸くさっきのおじいちゃんたちの怒声の理由に気が付いた。
「停電してる……」
私の家も、隣の白の家も、その隣の深雪の家も全部が全部真っ暗になっていた。
今の時刻は夜の7時ぐらい。この季節は日が落ちるのが早いとは言っても寝る時間が早くなるわけじゃない。
だからこそ、今の時間電気がついていないとおかしいんだけど……
「まさか…」
背筋を凍らせながら私は走り出した。
走る先はやどかり町から送られてきた電気を一度集約させている変電所。
もし、あいつがそれに何か仕掛けでもして壊したのだとしたらとんでもないことになる!!
幸いなことに息を切らせながら辿り着いた変電所は誰かが入ったような跡もなく、無事に大きな音を立てながら動いていた。
「なによ……じゃあなんであいつは追っかけられていたのよ…」
そう愚痴を漏らしながら家まで戻るとお母さんはものすごい形相で、おばあちゃんは真顔で玄関で待っていた。
「……何か言うことは?」
玄関の中に入ってすぐにお母さんはそう言う。
「ごめんなさい。」
私はすぐに謝った。あいつのことで焦ったとはいっても何か一言は言ってから変電所の方へと向かうべきだったと帰る途中に後悔していたからだ。
「そう、ならなんでお母さんが怒っているのかわかっているの?」
「私が何も言わずにどこかへ、この真っ暗な状況で行ったことです。」
「……わかっているならいいわ。」
おかあさんはそう一言だけ言ってから奥へと上がっていく。私もそれに続いて靴を脱いでから自室へ行こうとしていると
「
おばあちゃんが私にそう声をかけた。
「何おばあちゃん?」
振り返って尋ねる。振り返った先にいたおばあちゃんは何か苦虫を噛み潰したような顔をしていたけれど
「確かお前はそろそろ15だろう?」
と聞いてきた。
「ええ、そうよ?だけどそれがどうしたのおばあちゃん。」
おばあちゃんがなぜそのような顔でそのことを聞いてきた理由がうまく理解できず、尋ね返してしまう。
「いや、いいんだ。ただ、一つだけ言っておこうと思ってね。」
おばあちゃんはそう言いながら私に近づいて、ちょいちょいと手を引き寄せるように動かした。
「?」
突然のことに首をかしげながらおばあちゃんのすぐそばまで顔を近づける。
「お勤めと言いながら近づいてくる黒いスーツの男には気をつけな。あれは敵じゃ。」
「え?」
「話はそれだけじゃよ。ほら、早く部屋へ帰りなさい。」
おばあちゃんはそう言って困惑する私を置いておいて部屋へと帰って行った。
「どういうことよ……」
おばあちゃんの真意を掴めずにそう呟く。
誰もいない廊下だから返事は返ってこない………はずだった。
「虫の知らせでも働いたんじゃねーの?お前のばあちゃんその辺鋭いから。」
「っ!?」
突然後ろから聞こえてきたなじみのある声に驚いて振り向く。
「美雲。わりぃ、十分程度でいいからちょっと匿って。」
振り向いた先には両の手を合わせてこちらへと頭を下げる高槻雄大の姿があった。
高槻雄大と言う少年の名前はこの村の外の人はそれなりに。
この村に住んでいる人は全員が知っている。
その理由は雄大がこれまでに類を見ないほどのいたずら小僧であるのと同時にとんでもないことをしでかした時にニュースになったことがあるからだ。
ニュースになったのは8年前。
この村の神社でご神体の船をかたどった像が割れるという事件があり、その犯人を雄大が捕まえた。
その取材として新聞社の記者がやってきて地方紙に名前が載ったのだ。
彼を一方的にけなすつもりはないから一応言っておくとそのニュースに載るまでは彼は今とは違ってあまりあほではなかった……らしい。
まぁ、私が覚えている限りでもたまに抜けていることもあったが、普通だった。
だけど、ニュースに載ってから調子に乗ったのか、それとも調子が外れたのか。彼はとんでもないいたずらをしでかすようになった。
全部を挙げると数えきれないからその中でも有名なものを上げると
・祭りのための神輿に担ぐ数時間前からもぐりこんで神輿が境内に入った瞬間にその上に登って踊り出す。
・三浦さんちの養鶏場の鶏を檻から逃がして外で遊ぶ。
・磯川さんちの牧場で放牧されている馬に乗って気が付いたらロデオをしている。(しかも最終的には柵を壊す)
などなどととんでもないことをしでかし続けている。
そして今日も何かをしでかして今この瞬間も追いかけられていたと思えるのは体から噴き出ている湯気、そして珠のように出ている汗から一目瞭然だろう。
「良いけど……で?アンタ今日は一体何をしでかしたのよ?」
一応十分程度なら匿ってもいいかと思い、許可するが聞きたいことを尋ねてみた。
「
「じゃあなんで全世帯停電してる訳よ?」
「この辺一帯を管理する機器のブレーカーが急に落ちたからだろうて。電気使えねーのは俺も困るからそれ上げたろうかと思って家から出たら追っかけられて今だよ。」
「あら?それって変電所の事?」
高槻の言葉を聞いてさっき動いてたわよねぇ~と思いながら尋ねてみる。
「ちゃう。変電所のあれはどっちかっていうとため込んでるやつや。俺が上げよと思ってたのは神社んとこにある。」
「神社?三船神社にあるのそんなの?」
三船神社はご神体が割れたとはいっても今もなんだかんだで参拝客もいるからかにぎわっている。
だけど、神社に電気関係の何かがあるなんて聞いたことがない。そんな私の考えを顔色から読み取ったのか高槻は
「なんか、俺も最近知ったんだけど三船神社の裏手にある山の中腹に変なレバーがあるんだよ。5日前にそれ興味本位で動かしたら町中停電したから間違いない。」
「5日前のはあんたなの!?」
5日前にも今日みたいに停電したが、すぐに復旧したため送電トラブルでもあったのかと誰も気にしていなかったがまさか目の前に元凶がいたとは……。
「よし、息も整ったし電気を取り返してくるわ~」
「あ、一寸待ちなさいよ!!」
「ほんじゃまた明日な~」
私の制止を無視してあいつは出て行った。
「……明日覚えてなさい!!」
玄関から飛び出して走っていくあいつの背中に叫ぶ。
「…」
あいつは後ろ走りしながら無言でピースサインをしてから向きを変えて神社の方へと走って行った。
それから数分後、電機は復旧した。
ジリリリリリリ!!
電気の復旧に合わせたかのように電話のベルが鳴る。その電話に母が出る。
「はい」
『………』
「はい、そうですが……娘に何か?」
『………』
「はぁ。神社の方ですか。それで」
『………』
「今年で元服だし巫女さんとして一度祭りに参加してくれないか。ですか?」
『………』
「そればかりは本人が決めることですので…」
『………』
「わかりました。本人に聞いてます。美雲~」
おかあさんはそう言ってこたつに入ってみかんをつついていた私に声をかけた。
「何?」
「三船神社の人がね。今度の秋祭りで巫女さんとしてちょっと働かないかって。」
少しだけ考える。その時、脳裏にあいつの言葉がよぎった。
『三船神社の裏手にある山の中腹に変なレバーがあるんだよ。』
あいつの言葉を思い出して殴りたくなるのと同時にその言葉の意味を確かめたくなった。
「……やるわ。」
おかあさんにそう答える。するとお母さんは電話口に向かった
「そうなの?わかった。お待たせしました。美雲はやるそうです。」
『………』
「分かりました。では、その打ち合わせで明日、学校が終わった後にでもですね。はい。」
おかあさんはそう言って電話を切る。
「じゃあ美雲、お勤め頑張りなさい。多分他の家の子も明日だろうから。」
と意味深な言葉を言って台所へと帰って行った。
「お勤めって何なのよ…?」
おばあちゃんは気をつけろ。お母さんは頑張れ。
二つの相反する意見を言われて私は混乱する。
こういう時になぜだろうか、私はアイツの顔を思い出してしまい、首を振った。
「ま、明日になればわかるでしょ。」
私は一人そう呟き、携帯を操作する。
メール画面を開いて打つのはちょっとしたこと。
送信画面が表示されて確かにメールが送信されたことを確認する。
「よし、明日に備えて寝ますか。」
パチンと両手で頬を叩いて気分を入れ替え、私は布団に入った。
ベッドボードに置いているスイッチを操作して電気を消す。
「明日……か。」
瓦屋根の上で片膝を立てた状態で座りながら少年は一人呟く。
「あ?わかってるわかってる。言われなくってもそのために俺はここにいるんだから。」
しかし、本当に一人なのか?と疑いたくなるかのような口ぶりでしゃべり続けていた。
「明日、全部熨斗を付けたうえでケリつけるさ。」
道化師のように少年は立ちあがり、月明かりに手をかざす。
「それが……俺の責任だ。」
それまでのお茶らけたトーンとは一転してそう告げる少年の姿は、白い服を着た何かと重なった。
そして次の日の”夕方”がやってくる。
次回は書けたら。
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