THE LEGEND OF LYRICAL 喪失の翼と明の軌跡   作:蒼空の魔導書

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とうとうやっちまったぁぁぁア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ァァーーーーッ!! 詠★唱ッ!!(笑)

また自分の黒歴史が1ページ追加されちまったよぉぉーーーっ! うわあ”あ”あ”っ、死ぬゥゥゥーーーーーッ!!(頭を抱えて身悶える蒼空)

ええいっ! こうなったら開き直ってやる!! 今話は氷眼の少年が自身に秘められたチカラの一部を解放するぜっ!! ではどうぞっ!!!(やけくそ)




神器形成(セカンドブレイク)

『全てを喰らい尽す』というドス黒い怨念に等しい渇望を孕んだ血塗られた杭が機関銃から撃ち出された無数の弾丸の如く空間を貫き喰い荒らして行く。 50cm程の密集した間隙で一直線に飛ぶ赤黒い魔力棘の群列が身構える氷眼の少年の華奢な身体を串刺しにせんと殺到した。

 

「いけない、()()()()()()()()()! 避けてっ!!」

 

十年という長年に亘る魔法戦の経験の勘が働いたのかファングが放った《カズィクル・ベイ》という魔法から途轍もなく悍ましい何かを感じ取り嫌な予感がしたなのはは魔法の標的になっている氷眼の少年に回避するよう必死の形相で呼び掛ける。 言われるまでもなく彼は地を蹴ってその場を跳び退き、飛来した杭群の先陣がその後を追う形で焼け野原に突き刺さっていく。

 

「ハッ、それで躱したつもりかぁ? まだ後続は続いてんだよォォーーーッ!!」

 

ファングの言葉通り後に続く群列がうねり曲がる蛇の如く宙を後退する氷眼の少年を追撃。 通常ならば飛行スキルを持ち得ない者が回避する事適わぬその状況を彼は先程の超高速全方位攻撃で行使した氷の足場を形成し方向転換する事で容易に打破するが、その際に魔力杭の一つを右肩に掠らしてしまった。

 

「っ!?」

 

瞬間、その右肩に僅かな違和感を感じてアイスブルーの瞳が一瞬揺らぐ……掠っただけだった故に付けられた傷は極小だが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。 刹那に浮かんだ少年の苦悶を見逃さなかったファングが悪戯めいた笑みを浮かべた。

 

「おっと、言い忘れてたぜ。 この《カズィクル・ベイ》はな、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだ。 植物だろうと物質だろうと生物だろうと魔法だろうと見境無くなぁっ!」

 

故に全てを搾取する血塗られた杭の前に要塞級の防御力や不沈の耐久力などといったものは無力と化すのだ。 わざわざ魔法の性質を説明したのは相手にその恐怖を植え付けて精神的に追い詰める為であり、何故なら狩りとは如何なる手段を使って獲物を追い詰め、仕留めるのを楽しむ要素こそがその醍醐味なのだから。

 

「くっ!」

 

縦横無尽に空間を跳躍し向かって来る杭の群列を揺さぶりつつファングに接近しようと試みるが、地に刺さったまま残留していた杭がファングの殺意に従って其処から再び射出されて来る。 どうやらこの魔法はなのはのアクセルシューターと同じように誘導操作制御ができるようであり、更には障害に触れても残留させられる高度な持続性まで兼ね揃えているようだ。

 

「う”──がァ”ァ”ーーーッ!!」

 

それでも四方八方から雨霰の如く次々と飛来して来る杭を並外れた観察眼と反射神経を駆使して致命的な接触だけは避け続けていたが、絶えなく続く猛攻を捌いている内にとうとう一瞬の隙を生じさせてしまい一筋の赤黒い刺閃が氷眼の少年の左脇腹を抉る。 直後に彼は空気中の水分を凝固させて作り出した氷のナイフで生気を奪われ腐り堕ちてゆく肉を躊躇する事もなく切り落としたが故に腐食が臓物まで及ぶ事はなかったがその焼けるような激痛はとても声を抑えきれるものではない。 焼け野原に降り立ち天に響いた少年の悲痛の絶叫を爽快に心地の良いBGMとして聴き入れたファングが陶酔を露わにして叫ぶ。

 

「痛ぇか? 痛ぇだろ! 嬉し涙流せやオラァァァーーーッ!!

 

狂喜乱舞の怒号が上がると共に宙を飛び交い空間を赤黒く蹂躙する無数の魔力棘は横幅に広がるような隊形を組み、激痛で動きが少々鈍った氷眼の少年に向けて一斉に突貫して行く。

 

「あれは“ファランクス・シフト”!? まずいっ!!」

 

人間の身体の大きさでは中を縫う事が不可能な間隙の狭さで大気に蜂の巣を穿つこの突撃隊形はフェイトが口に出した驚愕の通りまさに広範囲密集突撃陣(ファランクス)だ。 横に広がる楔状の無差別絨毯攻撃からはどんなに素早く動けようとも逃れきる事はまず不可能だろう。

 

「~♪ ははっ、これはマジで圧巻じゃあないか! でも赤グロの雨とか、あのヤローのセンスは相当歪んでるねぇ。 華が感じられねーしよ」

 

「うん、まるでイナゴの大群が向かって来ているみたいだね。 マズそう……」

 

「いや、お前アレ食う気あるのかよ!? さすがのオレもその感性はイカレてると断言するぜ、なぁ?」

 

「常識人のあたしに同意を求めないでください、宇宙人の感性は理解できませんので」

 

『私は「ベアトリス、モードリリース……」ちょっ!? 何をするんですかモルド! 私はま……だ──』

 

「アカン、どうにかせぇへんとあのキレイな男の子は蜂の巣やで!」

 

「逃げて、お願いっ!!」

 

氷眼万事休すか? そんな絶体絶命の危機的状況を前にして酷く焦燥に駆られだす六課の隊長達とは裏腹にその前に並ぶシルバーガスト小隊員達はこんな状況の中でも余裕そうだ。

 

これは決して彼等が楽観的なわけではない、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……」

 

視界いっぱいに降り注ぎ殺到して来る血染めの杭の前面に無言で立ち氷眼の少年は瞼を閉じて意識を静めた。 全てを喰らい尽す呪詛を相手に防御など無意味。 間隙の狭い広範囲絨毯攻撃故に回避する事も適わず、剣と魔法すらも貪り尽くしてしまう事だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

故にこの危機を打ち破るのに必要なのは魔法より遥かに上の“格”を持つチカラだ。

 

かつて黄昏を司った女神の抱擁すらも永遠には成れぬ刹那であった。──」

 

白く艶やかな長髪を海から来る潮風で揺らし、“人”を失った少年はその身に宿す聖なる遺物の“格”を引き上げる狂詩(うた)(うた)う。

 

「──久遠の果て、永劫かと思われた黄昏が終わりを告げ、世界に生きる人々が慈愛を失おうとも──」

 

まるで世界の時が止まったかのようだ。 彼が詠う間、殺到して来る無数の杭が永遠の刹那に氷らされたかのように停滞している。

 

「──明けぬ夜など無い。 いつの日かきっと、虚空に浮かぶ氷海の果てに、輝く未来への黎明が必ず訪れる事だろう。──」

 

詠に呼応するかのように彼の右手に握られたデバイスが引き上げられる“格”に従い形を変えていく……身に宿す聖なる遺物に合わせ、彼がイメージする“神器”の形へと。

 

「──ああ、なんて世界は美しい。 夜空に煌く星々の輝きが、私達に不屈の勇気を与えてくれる。──」

 

間もなく詩は詠い終わり、それと共に少年の宇宙(せかい)はまた一つ神の領域へと近づくのだ。

 

「──故に現在(いま)は進もう、絶望の闇夜を照らす未来への黎明を迎える為にも。──」

 

活動(アッシャー)から形成(イェツラー)へと。

 

「──神器形成(セカンドブレイク)──」

 

その刹那、()()()()()()()()()。 無数の血染めの杭が詠い終えた少年ごと焼け野原を穿ち、地を喰らい尽した。

 

「嫌ぁぁああぁぁああぁああああああーーーっ!!!」

 

刹那に少年の無事を祈っていた不屈の少女の悲鳴が焼け野原に響き渡り──

 

「ヒャッハー! ()ったァァーーーッ!!」

 

奴を仕留めたと勝利の喜声をあげるファング。 だがそれらは次の瞬間に一切合切が駆逐される事となる。 何故なら──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──虚空なる黎明の刃器(フィンブル・ギア・インビジブル)》ッッッ!!!

 

地と少年を喰らい血染めの棘野原と化した筈の一帯が瞬く間に凍土となったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぁ……あ……?」

 

「なんや……ねん……私……夢でも見とるんか……?」

 

「綺麗……」

 

開いた口が塞がらないとはこの事か……六課の隊長達は()()()()()()()()()()()()()()を目の当たりにして唖然とせざるを得ず、陽の光に反射して輝くその光景に見とれて動揺と茫然を入り混じらせた感情に当てられて放心している。

 

「な……なんだァ? あの小僧いったい何をしやがった!?」

 

「うっそ、ファングの()()()()()()()()()()()()()()()()()()よ! ちょっと有り得なくない? 【搾取】の魔法効果で氷結なんか吸い取っちゃう筈なのに」

 

唐突に顕れた荒唐無稽な事象に敵側もまた困惑を露わにしていた。 何の冗談だコレは? 無数の血染めの杭が敵ごと広範囲の地を突き穿ったと思った瞬間にその範囲の全て氷結しただと? ありえない、“全てを吸い取り奪い尽くす串刺し公(カズィクル・ベイ)”の名を冠するこの魔法は()()()()()()()()()()()()()()()()()。 そんな氷結スキルなどで──

 

「この莫迦者共が! “聖遺物持ち”が用いる《E(エイヴィヒカイト)デバイス》の機能特性の記憶をその螺子が外れた頭から忘却したのか!!」

 

狼狽するファングとカッツェの無様を見兼ねて敵側で唯一この不可解な事象の理由を看破していたヴォルカーンがそう叱咤を飛ばすと二人はハッ! と我に返った。 目の前に広がった氷原の(ことわり)を悟ったが為に。

 

「Eデバイス……まさかっ!!」

 

「自身に宿る聖遺物の“格”を昇華させる《セフィロトシステム》──!?」

 

そう二人が呟いた刹那、周囲に動揺を齎していた氷原に亀裂が走り幻想的な音を立てて砕け散った。

 

砕けて宙に舞う無数の氷片。 威風堂々とした鬼気を纏いてその中央に立っているのは無論、()()()()()()()()()()()()氷眼の少年であった。 血染めの杭に全身を貫かれた筈なのに目立った外傷は全く見られず、その無事な姿を確認した彼の仲間達はまるで最初から分かっていたと言うかのように表情を綻ばせる。

 

「やっと《神器形成(セカンドブレイク)》を解放しましたか。 正直少し心配しましたよ」

 

「嘘付け、お前ベアトリスの騒がしさに鬱陶しがっていた以外はずっと平静だったじゃんかよ……まあ、そういうアタシも信じてたけどな♪」

 

「バーカ! アイツがそう簡単に殺られる訳ねーだろ。 つーかあんな白髪のっぽに後れを取るような三下だったんならそもそもオレはアイツを隊長どころか同じ小隊に誘ってすらいなかったぜ」

 

「うんうん! それでこそ僕が何時か斬りたいと思っているヒュッ君だよ! あの氷山のように冷たくて鋭い殺気……あぁん、堪らないよぉ~♥」

 

「またドン引き発作に身悶えているアルはこの際放置するとしてと……アレがあの人の《神器形成(セカンドブレイク)》か。 初めて見たけれど、こう内に宿る聖遺物から漲って来る神気がゴワアアァッ! っていう感じでとにかく凄まじいわね。 形成されたあの神器の形も異様だし、あの人自身が発している氷の剣のように鋭い威圧もパワーアップしていて凄く気圧されるっていうか胸が高鳴るっていうか……とにかく言葉で言い表せない程凄い形成だわ! さすがはあたし達の隊長と言うべきか、()()()()()()の聖遺物保持者よね!」

 

自分達の隊長が内に眠るチカラを解放したのを見て少しハイになっているようで、おかしなテンションを口走っているのが二人程いるが、それも仕方がないだろう。 彼等の期待の視線を一身に集める氷眼の少年の右手は分厚い氷で固められており、その手に握るように固定されているのは氷そのもので形造られた刀の柄であった。 その上部に視線を遣ると柄と同様に彫刻されたような氷の鍔が乗っているのだが、その先が朝百合の少女が発言した通りに異様な有り様なのだ。

 

──何だ、あの聖遺物は? ()()()()()()()()……だと……!?

 

口には出さないが氷眼の少年が形成した新たな武装を目の当たりにしたヴォルカーンがその異様さに内心で瞠目する。 氷眼の少年の右腕に“融合”している()()()()()()……いや、そもそも本当にアレは刀なのか? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、乃至真実に“虚空”なのだろうか……? 少年の生存を確認した事で心からの安堵を表に出していた不屈の少女もまた少年の異様な得物を凝視して訝しんでいる。

 

──傷一つ無く生きていてくてたのは良かったけれど……なんだろう、あの凄く強大で不思議なチカラを感じるデバイスは。 さっきまであの人が持っていた刀型のデバイスが形態を変えた姿? たぶんそうなんだろうけど、それにしてはおかしい。 ()()()()()()()()()()()()()()()()なんて少なくとも管理局の技術力ではまだ実現できていないし……いったいあの人の──彼等が持っているチカラは何なの?

 

視線を転じてみれば側で戦いの行方を一緒に見守っている親友二人も同じ疑問を抱いているようだ。 彼女達はまだ知らない、この広大な次元世界には魔法以上の強大なチカラが存在している事に。

 

霊山のような静寂さを感じさせながらも神々しく溢れる出る蒼い神気……その淡い光輝を全身に纏い形成した()()()()()()()を毅然と構える氷眼の少年の立ち姿は清冷さを感じさせながらも視る者総てを圧倒する荘厳さを感じさせる。 まるで長きにわたる暁闇(ぎょうあん)に黎明の光を齎す蒼白の夜叉

 

「キヒッ! いい重圧だ。 面白れぇ、ようやく本気で戦り合う気になったみたいだなぁ。 いいぞ、さあ、もっと俺を楽しませてみろぉっ!!

 

氷眼の少年の身体の奥底から漲る闘志と並々ならぬ鬼気。 それに礼を尽くすかのように対峙する戦奴の戦意も最高に高められ、狂喜の咆哮が天地を揺るがす。 清冷なる氷刃の戦意と搾取する血牙の殺意、二つの闘志が鬩ぎ合い緊張が暴風となって戦場を蹂躙する。

 

「ああ、望むところだ。貴様を──」

 

そろそろ恐怖劇(グランギニョル)序章(プロローグ)の幕を下ろすとしよう……さあ──

 

「──斬るっ!!」

 

翼を折られた戦乙女達の無念と悲しみに満ちたこの戦場に終止符(ピリオド)を打てっ!

 

 

 

 




うがァァァァア”ア”ア”ア”ーーーーッ!!(クソな詠唱文を読者様方に曝した恥ずかしさのあまりに発狂する蒼空)

……コホンッ! 大変お見苦しいところをお見せして申し訳ございませんでした。

今話で登場した《神器形成(セカンドブレイク)》は獣の爪牙の皆様が知っての通りDies iraeのエイヴィヒカイトの形成位階に該当します。

と言ってもこの世界にはあのウザッたいニートが座に存在していないので奴の秘術とは別物ですけどね。 《E(エイヴィヒカイト)デバイス》という意味不明なデバイスも《セフィロトシステム》とかいう痛々しい名のデバイスシステムも《神器形成(セカンドブレイク)》という呼び名もDiesのエイヴィヒカイトと差別化する為に考えた設定です。 詳しい内容はストーリーを進めていく上で説明しますので、今はこの次元世界にはこういうチカラがあるという事だけ把握していてくれれば大丈夫です! まあまだ序章が終わっていないので色々細かく出し過ぎると返ってこんがらがりますからね。

次元王軍ラグナガンド第二二六強襲中隊との初戦もおそらく次話で決着できるでしょう! 機動六課初日崩壊という衝撃的悲劇で始まった初戦は果たしてどういう結末を迎えるのか? お楽しみに!!

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