THE LEGEND OF LYRICAL 喪失の翼と明の軌跡   作:蒼空の魔導書

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お待たせしました! 序章前編のラスト一話更新です!

読者の皆様が気になっているであろう闇堕ちティアナが登場! 原作だと味方である筈の彼女が何故敵サイドに居るのか? その全貌……まではまだ語られませんが、大まかな経緯だけは説明されます。 大変大雑把にですがね……。



任務完了、帰還する!

ラグナガンドの尖兵達にチカラ及ばず敗北を喫してしまった機動六課の戦乙女達。

 

「ひぐっ……グリフィス君……皆、ゴメンな……仇は絶対に……う”っ、う”あ”ぁぁ……んぐ……う”ぅ、ぐずっ……」

 

なのはとフェイト、周囲に展開された通信用空間モニター越しに映し出されている六課の後見人三名がその遣りきれない気持ちを共有するように、多くの大切を奪われた深い悲しみに苛まれ泣き崩れているはやてを慈悲と悲愴に満ちた眼で見守り気を消沈させていたが……しばらくしてなのはがふと横を振り向き、その視線の先で襲撃者達を撃退してくれた氷眼の少年らが自分達に何も告げずこの場を去ろうとしていたのを偶然にも目撃する。

 

「なのは、行って」

 

「フェイトちゃん? でも……」

 

『はやての事は私達が看ておきますから、高町一尉は彼等を引き留めておいてください』

 

「あの人達はラグナガンドの奴等を知っている風だった。 彼等が局の何所の部隊に所属しているのかも不明だし、この場で彼等を事情聴取する必要は十分にある……なのはは雪色の髪をした彼に色々とお礼だって言いたいんでしょう?」

 

フェイトとカリムにこの場に遠慮せず行くよう後押しされたなのはは「ごめんフェイトちゃん。 すいません皆さん。 はやてちゃんの事はお願いします!」と謝罪を告げて氷眼の少年の背中を引き留める為に駆け出して行く。 背中で空間モニター越しのクロノが『彼等は……まさか』と何やら意味深な小言を呟いているようだが、それを気にする猶予はない。

 

「ま……待って!

 

回復した分の魔力をフル稼働させて身体強化魔法を施した脚力をもって全力全開で突っ走り、彼女は去ろうとする氷眼の少年の背中に向けて必死に声をかけて呼び止める。 後ろ直ぐを着いて来ていた烈槍の少女と共にこちらを振り返って歩みを止めてくれた自分の命の恩人である彼に、なのはは八年間胸に秘め続けた想いを全部ぶつけてやる勢いのままに言った。

 

「行かないで……今度こそちゃんとお礼を、言わせてくださいっ!!」

 

数メートルの距離を挟んで立ち止まり、激しく息を切らした必死の形相で懇願してきた彼女を見て氷眼の少年は一瞬の驚きを表情に浮かべるが、相手にそれを認識する間を与えず冷静な顔付きに戻す。 隣に寄った烈槍の少女があたかも自分の言った通りだっただろうと澄ました笑みを向けてきているのを流し、少年は怪訝なアイスブルーの瞳で不屈の少女を見つめ、不可解な感情を孕ませた口で訊く。

 

「何を言っている?」

 

救援に対する感謝を示す意味での礼ならば納得だが、()()()()とはどういう意味だか理解できない。 短い疑問の言葉に含まれたその訴えを持ち前のコミュニケーション能力の高さで即座に理解したなのははまず初めて出会ったあの日の事を相手に思い出してもらう為に語りだした。

 

「覚えていますか? 八年前、吹雪が激しく吹き荒れていた世界でアンノウンの奇襲によって傷ついて死にそうになって、もうわたしはダメなのだろうかと生きるのを諦めかけたその時に、消えそうになったわたしの命を、冷たくて優しい眼をした雪の精のように綺麗な男の子──君が現れて助けてくれた、あの時の事を……」

 

まるで恋焦がれた思い出を語るかのように聞き返してきた内容を聴き入れ、氷眼の少年は「あの時か……」と記憶の引き出しから内容に該当するものを引っ張り出して短く呟くとなのはの幼さが残る顔にまるで春の花が咲き乱れるかのような微笑みが浮かび上がる。

 

「やっぱり、やっぱり君だったんだね! 見間違いなんかじゃなかった……わたし、ずっとあの時のお礼がしたくて、もう一度会いたくてあれから八年間、必死に君の事を探し続けていたの。 なかなか手掛かりが見つからなくても諦めずに根気よく探し続ければ、いつか必ずまた君と再会できると信じて……本当に……本当にまた君に会えた! 会えてよかったよぉ……っ!!」

 

再会の嬉しさのあまりに大きな碧い瞳を潤ませて心喜ばしく表情を綻ばせるなのは。 春の花々のように可憐な彼女の笑顔を向けられた少年は平静を保ちながらも内心少し照れくさそうに一瞬だけ相手の視線から目を逸らしている。 ホント常人には気付けない刹那の一瞬のみの動作だったのだが──

 

『おいおいなんだよ~、そんなファンタジー恋愛モノみてーな事してやがったなんて聞いてないぞ~お前ぇ♪ 昔雪の中に颯爽と現れて自分の命を救ってくれた名前も知らない男が愛しくて愛しくて仕方がなく、また会う為に八年間も探し続けていたなんて凄ぇ一途だよなぁ。 いや~、ウチの隊長様も隅に置けないな~、コノコノォ~♪ にっひひ~!

 

「黙れ」

 

冷静沈着でいつもクール振っている隊長の珍しいデレを見逃す事など一切しなかった烈槍の少女がわざわざ念話を使って揶揄ってきて横肘でウリウリと脇腹を小突き鬱陶しくニヤニヤを向けてくる為に氷眼の少年は内心イラッときたらしく無愛想に冷たく一言言って黙らせた。 長年探し続けていた想い人(?)と再会できた事に喜び恍惚とした微笑みを溢しつつ陶然たる眼差しを向けて来ているなのはに悟られないような小言で……。

 

「あの時も含めてさっきも、二度も危ないところを助けてくれて本当にありがとう。 君に救われたお蔭で、わたしは今、生きています!」

 

ずっと待ち焦がれていたんだこの瞬間を、というようになのはは溜め込んでいた逸る気持ちを吐き出すよう命の恩人の少年へ向けて感謝のお礼を伝えていく。

 

「この御恩は絶対に一生忘れません。 それでそのぅ、何か君にお礼がしたいっていうか……え~っとぉ……」

 

「礼は不要だ、気にしなくていい。 結局のところお前達を襲撃し此処等周囲一帯に甚大な被害を齎したラグナガンドの尖兵共は取り逃がしてしまったうえに奴等の企みを看破する事ができず、管理世界全体を波瀾と恐慌に陥れてしまう最悪の宣戦布告を実行するのを奴等に許してしまった……“襲撃者の撃退”という救援任務達成条件の最低ラインはクリアーしたが、この失態は本局・地上、問わず局全体の信用を堕としめ修正困難の深刻な打撃を齎してしまったのは確実と言える。 それを踏まえると撃退の功績よりも失態に対する責任の方が遥かに大きい、()()()()()()は免れないだろうな」

 

「で、でもそれは……」

 

お礼の申し出を拒否され、明確な理由を付けて返ってきた指摘に言葉を詰まらせてしまうなのは。 確かに今回、敵の襲撃によるなのは達本局のトップエースが多数人員に組み込まれていた最精鋭部隊、機動六課の完全敗北と新暦開闢期以来行われた事は一度もなかった全次元世界規模の戦争の開始を告げる宣戦布告が入念に仕組まれた策略によって全管理世界に知れ渡らせてしまったが為に管理世界は今この時も大混乱に陥ってしまっている。 故に生きているのならば敗北によって失ったものに悲嘆し、後悔に暮れてこんな何も無くなった焼け野原にいつまでも立ち尽くしている場合ではないだろう。

 

「お前も胆に銘じておくといい、戦いの(ロード)の終点に誰もが祝福される最高の結末(トゥルーエンド)など用意されてはいない。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……“世界中の人々総てが例外なく幸福の笑顔でいられる完璧な世界”なんてあり得ないんだ」

 

なのははそれを否定する言葉を返す事ができなかった。 魔法のチカラを手にしたばかりの世間知らずの幼女だった頃の彼女ならば「そんなの絶対に違うよ!」とハッキリ言い返していたかもしれないが、あれから十年間彼女は管理局に入局して以来本局のエースとしての任務を通し次元世界中の情勢を視て回り、様々な人の中に蔓延る悪意と業や能力の無い者に世知辛い世界の危うい部分を知ってしまった。 特に内紛などの人と人が傷つけ合う争い事に関しては互いに掲げる主張が重く相容れない事柄が多過ぎてどうしようもない場合が殆どだった。 幾らどこまでも暗く深淵の常闇のような辛い運命に打ち勝っていく為日々戦いの研鑽を積もうとも、世界中の人々総てが抱く理想が異なっている限り必ずどこかで衝突が起きてしまい、争い合う事で必ず誰かは抱いていた理想を失ってしまう。 それこそが人の“不幸”なのだから……故に戦いの果てに誰にとっても最高の結末などあり得ない。

 

「とにかくラグナガンドによって管理局に宣戦布告がされてしまった以上、奴等との抗争はもう避けられない。 礼は有難く思うけれど今は馴れ合っている場合じゃないというのは判るだろう?悪いが此処でいつまでも油を売っている訳にはいかない」

 

気が付くと何時の間にか氷眼の少年の仲間達が全員彼の許に集合していた。 流石にもう帰ってしまう雰囲気だ。 このまま彼等を帰らせてしまっては自分を送り出してくれたフェイト達の意を無下にする事になってしまう、なのはは慌てて彼等を引き留めようと上手い言葉を必死に口から絞り出そうとする……しかし──

 

「悪いんだけど、アタシ等も忙しいからさ。 あのフェイトって奴によろしく言っといてくれよ! じゃーなー!」

 

「え?ちょ、ちょっと──」

 

「任務完了、帰還する!」

 

彼女が引き留める口実を口に出すよりも先に氷眼の少年が毅然と撤退の号令を発した事でシルバーガスト小隊全員がシュッ! という音と共にこの場から姿を消して行ったのだった。

 

「──ぁ……」

 

まるでNINJAの如く瞬間移動のような目にも映らぬ疾さで去って行ってしまった自分の命の恩人である少年が一瞬前まで立っていた場所に向けて手を伸ばしたまま硬直するなのは……引き留めは失敗に終わった。 それで彼女が思わず漏らしてしまった気の抜けた声が何もかもが破壊し尽くされた機動六課の隊舎跡地の焼け野原に虚しく木霊した。

 

「……せめて名前くらい、教えてほしかったなぁ……」

 

親友と部隊の後見人に託された事を果たせなかった気まずさと自分の命の恩人と親しくなる事ができなかった虚しさに耐え切れず、なのははその場で愕然と落胆するのだった。

 

こうして希望の未来の大空に羽ばたく翼を折られてしまった戦乙女達──《古代遺物管理部機動六課》と組織の業を背負い翼を奪われた烏達──《特務遊撃支援部隊ロストウィング》の初邂逅(ファーストコンタクト)は終わった……しかし、掛け替えのない大切な多くを奪われて失った悲しみに暮れる戦乙女達は今は知る由も無かった。 近い将来に自分達の危機を救ってくれた部隊の者達と再会を果たし、互いに手を取り合って絶望の未来に立ち向かって行く運命なのだという事を……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──かくして、数多の次元の海にその名を轟かす英雄であった少女達は、破壊の柴竜の爪牙によって希望の翼をへし折られてしまい、寸分の光も見当たらない底知れぬ絶望の深淵へと堕ちて往くのであった……と」

 

敵の強大過ぎる暴力の前に成す術もなく大切なものを奪われ、深い悲しみに苛まれて途方に暮れる悲劇のヒロイン達……そんな彼女らを襲撃戦の爪痕が届いていない離れた見晴らし台の上から異様な雰囲気を醸し出す()()()が見下ろしていた。

 

望遠鏡などの遠視道具の類は所持していない、読唇術なんて使っていない、それどころか視力強化魔法すらも全く用いない肉眼の遠視で10km以上距離が離れた機動六課隊舎跡地上の悲惨な状況をこの二人は完璧に把握していた。

 

「私が描く《(オオ)イナル黎明》への恐怖劇(グランギニョル)の序章……最高には程遠いかもだが、初の試みにしては悪くはない出来だったと思うよ」

 

「……」

 

二人組の内一人は次元王軍ラグナガンドの第二二六強襲中隊が機動六課を襲撃して来るほんの直前、世界の時間概念を停止させるという神掛かったチカラを使ってなのはの前に姿を現していた謎の美女──《トリスメギストス》である。

 

何が愉快なのか滑稽なのか、何もかもが無くなった寂寥感漂う焼け野原の上で砕けた硝子工芸品の様に惨めな悲愁を晒すなのは達を見遣りながら彼女は真意の読めない不毛な笑みを浮かべており、隣で彼女の見ている景色と同じ様子を不機嫌そうに窺っていたオレンジ色の長髪をした少女が不快を覚えたらしく、無言の視線をトリスメギストスに向ける。

 

(そら)に愛され、生まれながら英雄の才を有する。 他の追随を許さぬ圧倒的魔導潜在能力をもって降りかかる脅威の悉くを打ち破り、他の悲しみに共有しようとする慈愛と拒絶に立ち向かう勇敢な意志で数々の悲劇を救済し、空に舞えば墜とされる事は無く勝利を絶対のものとする無敵の英雄として数多の次元の海の頂点の魔導師としてその名を轟かしてきた希望と栄光の魔法少女──」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()を愉悦が浮かび上がった双眸に映し、トリスメギストスはまるで実験後のモルモットを眺めて実験結果に満足する科学者のような優悦な笑みを浮かべている。

 

「──そんな彼女達が一堂に集結し、来たる絶望の未来を打ち破るべく結成した魔法少女達の夢の部隊、機動六課。 多くの期待と描いた理想の未来に望む夢を背に部隊を始動させたその日、何の前触れもなく突如として未だ嘗てない程の理不尽極まりのない強大な敵戦力によって襲撃を受け、その圧倒的暴力の前にチカラ及ばず蹂躙し尽くされた末に完敗。 それによって大切だったものの多くを失い、あのように嘆き悲しむ事となってしまった……ふふふ、実に面白いな。 世界に愛されこの世に生を受けた主人公のような少女達が自分達がチカラを結束させれば世の平和を乱す総ての害悪を打倒できると妄信した挙句、自分等よりも強大なチカラを有する敵戦力に蹂躙された末、惨めにも破壊し尽くされた自分等の部隊舎の跡地に這い蹲り悲嘆する結果になってしまうとは……くっくっく、()()()()()()()()()()()()

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、傷心して悲みに暮れている少女達をそんな利己的な感情を孕んだ眼で見て悦に浸るとはこの女、最悪の人格破綻者であるようだ。 人の人格を見抜ける優れた慧眼を持つなのはが彼女の存在を“不毛”と感じていたのも納得がいく。

 

「今まで信じ続けていた魔法と絆のチカラがAMFのような対魔法でも魔法を無力化するような魔導師殺しでもない、自分達の潜在能力だけを幾ら研磨したところで到底敵わないような純粋な戦力の前に敗北し、今まで築き上げてきた最強という自負を粉々に打ち砕かれたあの少女達が絶望という深淵に堕ちた未来(さき)には、いったいどのような結末が待ち受けているのやら……ふふふ、実に興味深くは思わないか? なぁカスケイド、否──()()()()よ」

 

そこでトリスメギストスは隣で怪訝な視線を送ってきている元管理世界出身の同行者に管理世界において異常戦力とされるだろう機動六課が侵略組織の尖兵達によってアッサリと蹂躙されて敗北した現実をどういった感情で受け止めているのか気になり、その視線に面白がるような眼を合わせて訊いてみた。

 

「別に。 どうだっていいですよ、そんな事……」

 

返されてきたのは欠片の興味も無い事を訴える実に素っ気の無い返事であった。 下流に向かって流れ落ちて行く連滝(カスケイド)のように『未来に光の空を求める程、地の闇の底へと堕ち征く』という《魔名》と呪いを植え付けられている《ティアナ・ランスター=カスケイド》にとって自分が過去に住んでいた世界の英雄がフルボッコにされて地に墜とされたのを見たところで、返した言葉の通り()()()()()()()()だからだ。

 

「おやおや、ふふ、人が口にした事を非難するような眼を向ける割には、随分と冷たいじゃないか」

 

「“副首領”の言った事には同感ですよ、ただその物言いと貴方の薄ら笑いがキモかっただけです……まあ、あんな戦争狂人外軍団によって完膚なきまでに叩き潰された挙句、自分達に依存レベルの信頼を寄せている全管理世界の管理局員や一般住人等に敗戦の無様を生中継で曝されるという苦渋を舐めさせられた機動六課には同情はしますが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ティアナは馬鹿馬鹿しいと言わんばかりの辛辣な態度で肩を竦める。

 

「負けてトップエースのプライドが傷つけられたから何? 散々苦労して起ち上げた部隊が初日で潰されたから何なの? 大して接点の少ない部下が何人も死んだ? 自分達が信じていたチカラが全く通用しなかった? 敵の策略に嵌められて地に這い蹲っている自分達の無様な醜態を全世界に曝された? ……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……ふふふ、そうか。 ()()()()()()()()()()()()のだったな」

 

冷徹なコメントでラグナガンドの尖兵に敗北した機動六課に対する評価を当然な風に述べるティアナ。 トリスメギストスは“本来の彼女”と“目の前の彼女”を比較して奇妙な可笑しさを覚えながらも納得の笑みを露わにする。

 

この世界の正史──【叙情的な魔法少女の英雄譚(リリカル・サーガ)】であったなら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 魔導師として圧倒的才能を誇る機動六課の前線メンバーと比較してあまりにも凡小な才しか持たない自分に葛藤を抱きながら時に上司と擦れ違い、時に仲間と協力し合って徐々に魔導師として成長していく彼女の本来の物語は視る者の多くを元気付けさせる魅力的な輝きを感じさせていたのだが、しかし──

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 六年前に唯一の肉親である兄が()()()()()天涯孤独となった時に初めて会った時も貴方は不可解な発言が目立つ印象でしたが、最近の貴方は特に意味不明な発言をする事が多くなっている気がしますし、騎士団を留守にしてフラッと何所かへと居なくなる事も年々多くなっているじゃないですか」

 

──今だって《聖十字円卓》の誰にも留守にするのを告げないで出て行った副首領を偶然見かけたから気になって後を付けて来たんだし……。

 

この生真面目さは正史通りではあるものの、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 正史だとバリアジャケット展開時のなのはの様に長い髪を可愛らしいツインテールに纏めていたが、艶やかなストレートに下ろした事でとても引き締められた雰囲気を醸し出している。 身に纏っている黒の線を裾付近に走らせた白い外套は彼女の言う“騎士団”の制服なのだろうか。 右肩の辺りにある白銀色の十字架(ズィルバー・クロイツ)を模った留め金がなんとも聖騎士を思わせる。

 

「未だに騎士団の首領の席である第一位だって空席のままなんですから、副首領である貴方が自重してくれないと“首領代行”が心労で逝ってしまいますよ」

 

「それは問題ないだろう。 片想いのまま別れた昔の男にいつまでも未練がましく、生き汚いあの“終焉の巫女”殿が多少のストレスを患った程度でヴァルハラに召されて逝くとは到底思えん。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 故に私は心置きなく“錬成陣”の準備に着手する事ができている。 計画実行の日は近いぞ、カスケイド」

 

「……」

 

ティアナは人使いが荒い癖に自由人な副首領に呆れて額を片掌で押さえた。 しかし嘆息する事は無く、片腕で陰に隠した表情には「そう、()()()()なのね……」という長く待ち兼ねた色が浮かび上がっている。

 

彼女達には“成し遂げるべき悲願”があり、その為ならば他者の犠牲をも厭わない、()()()()()()()()()()()()()()()()()()……感傷に耽ていると突然彼女達の近くの空間が歪みだし、転移陣が出現。 ティアナが纏っている物と同じデザインの外套を纏った男が二人、其処に転移されて来た。

 

「ティア、こんなところに来ていたのか。 随分と探したよ」

 

(りつ)……」

 

一人は長身で黒髪の優男。 聖十字円卓において《ザイフリート・ニーベルンゲン》の魔名で呼ばれている。 本名は《櫻井(さくらい)(りつ)》という“高町なのは”や“八神はやて”と似たようなニュアンスをしていて、その手には彼の背丈よりも巨大な黒塗りの大剣が携えられている。 ティアナとは随分親しい関係にあるようで、転移して来るや彼女に真っ先に掛けた声には相手への思い遣りを感じられた。

 

「トリスメギストス、貴様こんなところにカスケイドを連れて何をやっている? ()()()()()()()()()()()()()()()()()のだから、おとなしく“城”に籠っていろ。 大事な集会時、毎度神出鬼没な貴様を探し出すのは毎度面倒だからな」

 

真紅の切れ眼でトリスメギストスを鬱陶しそうに睨みつけているもう一人は《シックザール・テスタロッサ=ルーク・ジ・アビス》。 鋭い剣のように威圧的な雰囲気で近寄り難い男だが、良く整った金色の長髪と乙女の様に白い肌というギャップ要素がこの手の人間によく視られる根暗なイメージを割と感じさせない。 フェイトのミドルネームである“テスタロッサ”が名に含まれている事から、彼はフェイトに何か関係があったりする人物なのだろうか?

 

この場に集まりしトリスメギストス、ティアナ、律、シックザールの四人……彼等が《白夜十三騎士団(ドライツェーン・ヴァイスリッター)》。 己が渇望(ねがい)を為すべく白銀の聖十字の下に集い、その身に聖なる遺物と魔の呪いを宿した十三の超人……否、魔人集団。 穢れ無き聖なる白夜に遣わされし使徒(エインフェリア)である。

 

「ふふ、失敬だな。 私が頻繁に“城”を留守にする機会が多いのは私自身自覚はしているが、崇高な計画を成そうとするには念入りの準備が必要不可欠なんだ。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()? 君達が無駄に感じているその労力も計画実行の為の必要経費だと思いたまえ。 故に、悪いが君の要望に応じてやるつもりは欠片もないのだよルーク。 私は引き篭もりニートなどという劣等人種になどなるつもりはないんだもん♪

 

そんな返事を気味悪くニヤけながら豊満な胸を張って言ったトリスメギストスをウザッたく感じたシックザールはキレ気味になって盛大に文句を打ち返した。

 

「何が“もん♪”だ貴様。 忘れたとは言わせんぞ? 前の活動報告集会時、貴様は聖十字円卓の出席をすっぽかし第61管理世界の霊脈調査とかいう名目でその世界の生態系を無意味に混沌なものへと変えていただろうが」

 

「ああ……あの時は本当に大変だったよね。 お蔭で管理局の自然保護隊に副首領の所業がバレないよう、騎士団総出で情報隠蔽工作をするハメになっちゃって、あはは……」

 

「もうあんなくだらない事で無駄な労力を浪費するハメになるのは二度とゴメンだわ。 ちょっとは自重してくださいよ副首領? “錬成陣”の準備ができるまで管理局や聖王教会に私達の存在を感付かれるような行為はなるべく避けるよう私達に命じたのは、他でもない貴方自身でしょうに。 言い出しっぺの貴方が計画に支障をきたすようなマネをしてどうするんですか、まったく……」

 

律とティアナが間髪入れずに追撃を加えてもマイペースな副首領は飄々と何所吹く風で柳のように受け流し「ふふふ」と薄ら笑いを浮かべるだけしかしない。 本当にイラッと来る副首領だ。

 

「それはそうとティア、先程母さn……“首領代行”から招集が掛かった。 至急僕らと共に“城”へ」

 

しかし彼等はこんな事をしている暇があって来た訳ではない。 律がティアナにそう伝えると此処に転移して来るのに使用した転移陣を足下に再び展開し、ティアナは伝えられた事に頷いて転移陣の内に入ろうと近づき……入る直前で唐突に足を止め、背中を向けたままトリスメギストスに言い忘れていたと冷え切った口調で話す。

 

全ての次元世界も、ここから見える焼け地の上で見苦しく泣いている管理局の負け犬の天才達も、同志である私達ですら、貴方にとっては()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に過ぎないのでしょう。 別にそれについて今更どうこう言うつもりもありません……しかし、軽挙妄動が過ぎて我々の計画に支障をきたすのであれば……」

 

「それは無用な心配というものだよカスケイド。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

不毛な愉悦の仮面を被っていて何を考えているのか不可解極まりない存在であるこのトリスメギストスにも“成し遂げたい目標”というものはあるらしい。 故に彼女は自分の行動で自分の理想への道を塞いでしまうようなヘマをするなど絶対に有り得ないと断言する。 他人にはどんなにふざけて見えていても()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……。

 

「ならこれ以上は何も言いませんが、先程も言った通りちょっとは自重してくださいね。 私にも絶対に成し遂げたい“悲願と復讐”があるんですから……」

 

ティアナが念入りに釘を刺す事ように言いたい事を言い終えると転移陣が起動準備完了を示す眩い光を発し、彼女が一歩その内側に足を踏み入れると同時に光が勢いよく天まで昇り出す。

 

「……フンッ!」

 

遥か先の焼け野原の上に両手で這い蹲りながら惨めに泣き続ける部隊長の両肩を抱いて手厚く慰めている心優しき金色の執務官の姿をふと視界に入れたシックザールがその無様を蔑むかのように鼻を鳴らしたのを最後に天まで昇りきった光が転移陣内に立った三人の魔人の姿を覆い隠して消滅……跡にはもう三人の姿と気配は()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そして見晴らし台の上にはトリスメギストス一人だけが残る。

 

「……ふふっ、“負け犬の天才”か……()()()()()()()()()()()()()、不思議なものだな。 ティアナ・ランスター、まさか君が高町なのは達に対してそのような感想を吐き捨てるとは……ふふふ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、くくく……」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を感じ、益々愉悦を覚えて思わず愉し気な微笑を浮かべてしまうトリスメギストス。

 

正史においては機動六課という天才の枠組み内に身を置き、隔絶した能力差に嫉妬の念を抱きながらも雲の上の存在であるなのは達に憧れと信頼を抱いていたあの自称凡人の秀才魔導師少女が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とは、何という皮肉だ。

 

トリスメギストスの出す奇妙な笑い声が木霊する中、一吹きの清涼な微風が齎された。 同志達を見送った彼女の艶やかなポニーテールを小さく揺らしてそれが通過して行くと、彼女は肩を竦めて益々可笑しそうに笑い出した。

 

「くふ、ふふふ、ふははははは! しかし私に対して“少しは自重しろ”とは、くくく、なんともまあ難儀な事を要求してくれるじゃあないか、カスケイド。 何せ私が過去に邂逅して一目に惹かれ、堪らず《黎明の神器(フィンブル・ディバイディング)》を贈与した六名の内、二人もこの場でその成長ぶりを拝見する事ができたのだから、己の内底より湧き上がる濃熱な歓喜を堪えて打ち震えるなと言う方が、土台無理な話だろう? ふふふ……」

 

ああ、愚直に遥か(そら)の那由他の先へと無限に飛翔する事を至高に掲げる雄々しき破壊の柴竜の君よ……。

 

「初の邂逅より実に“約七十五年ぶり”といったところか。 ふふふ……遥か高みへの飛翔を誉れとする底なしの意欲、視る者総てを例外なく宙へと惹き上げる威光、その明星の如き不屈の輝き……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 安心したぞ、()()()()()()()()()()()()()、“破壊の柴竜殿”よ」

 

ああ、私に初めて“恋”という感情を抱かせてくれた雪上に根強く咲く愛しき白の香雪蘭(フリージア)よ……。

 

「なんと勇ましく美しい成長を遂げていたものだ。 夜叉のような鋭き意志を感じさせつつも戦巫女の如き玲瓏とした佇まい、洗練に磨き上げられた流麗な体技、『美しい世界が醜く変化してしまわぬよう氷の中に留めてしまいたい』という純粋で真摯な渇望(ねがい)。 陳腐な表現だがどれも素晴らしいの一言に尽きる。 ああ、残酷な吹雪荒れ狂う白銀の世界に咲いてしまった儚き一輪の花よ、君が放つ黎明の輝きを目にする度にどうして私はこんなにも強く惹かれてしまうのだろうか? ──ああ、胸が熱い、君を想うと脳髄が溶けてしまうようだ。 うふふふ……

 

貴方達こそこの舞台の主演だ! さあ至高に近しき役者達よ、涙を流して踊り狂うがいい、《(オオ)イナル黎明》への恐怖劇(グランギニョル)はまだ始まったばかりなのだから……そして彼女はいつの間にやら総ての多次元宇宙の中心に存在する“座”に居た。

 

「さて、これにて序幕は終了だ。 破壊の柴竜の君よ、儚き白の香雪蘭(フリージア)よ、未だ出番は先で舞台に上がるその刻を待つ四つの黎明よ。 果たして君達の誰が《(オオ)イナル黎明》に至り、この“座”に覇道を届かせる事ができるのだろうな? ふふふ、愉しみだ」

 

彼女によって狂わされた叙情的な戦乙女達の英雄譚(リリカル・サーガ)。 破壊の柴竜の爪牙によって深く傷付き、深淵の底に堕とされた絶望を前に戦乙女達は再び立ち上がれるのか?

 

「正史の英雄達も含め、舞台に立つ全ての役者達に祝福あれ。 君達の働きには期待してしているぞ。 ──私に“理想の結末(アクタ・エスト・ファーブラ)”を見せてくれ

 

全ては“氷眼の少年”と【未来に羽ばたく翼を奪われし烏】──《ロストウィング》との再会に懸かっている事だろう。 “座”に座る美しくも不毛な創作者は、自分が求めて已まない理想の結末を夢想して遊覧施設に遊びに行く前日の幼子のようにウキウキと表情を綻ばせていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……次元王軍ラグナガンド第二二六強襲中隊の襲撃によって機動六課が壊滅させられた悪夢の初戦から丁度日を跨ぐ頃、とある無人世界某所にて。

 

『夜分遅くに失礼します、マクラウド特務遊撃支援部隊長殿』

 

執務机に両脚を投げ出してだらしなく煙草を吹かしていた筋骨隆々で大柄の男性のもとへクロノが通信を繋いで来た。

 

「ん? なんだクロノボウズじゃねぇか! がはははっ、なんだよ超久しぶりだなぁ、お前が執務官資格取得試験に合格して祝ってやった時以来か?」

 

『ええ、ざっと十三年ぶりと言ったところでしょうか。 お久しぶりです』

 

「そうかそうか。 聞いたぜ、お前今はもう提督で、カワイイ奥さん貰ってガキまでいるそうじゃねぇか? ……かーっ、時が経つのは早ぇもんだなぁ。 あんなガキの頃女みてぇな童顔でヒョロかったへなちょこ魔導師のクロノボウズが提督ねぇ。 あっはは! よくデカくなったもんだ!!」

 

『そう思うのなら“ボウズ”はもう止めて下さいよ。 僕はもう二十四の大人なんですから』

 

「がははは! いや~、スマンスマン! あの頃が懐かしく思ってツイな、はははははは!」

 

歳が離れていながらも親しい雰囲気で話す二人はどうやらなのは達が魔導師になる以前からの知り合いらしい。 人をおちょくるように笑っているこの大柄の男性の名は《デイビット・マクラウド》と言い、今年で丁度五十歳になる年配の魔導師だ。 会話から察するにデイビットは管理局に入局した当時のクロノの先輩にあたる人物なのだろう。

 

通信モニター越しのクロノが呆れるかのように一度嘆息をすると、デイビットは笑うのを一度止めて執務机に投げ出していた両脚を下ろし、何を察したのかモニターに映るクロノと面倒臭そうに向き合った。

 

「で? こんな夜遅く俺に連絡をよこしたって事は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()? 局の厄介者が集まる俺の部隊──《ロストウィング》によ」

 

『……はい』

 

肯定の意を示す返事をしたクロノの表情は大変気まずそうになっていた。 デイビットが言うように、《ロストウィング》とは()()()()()()()()()を抱えている。

 

『デイビットさん。 本日の……今はもう前日になってしまいましたが、夕刻にあった事件の内容は既にご存知ですよね?』

 

「ああ、起ち上げられたばかりのエリート部隊……確か《古代遺物管理部機動六課》だったか? そいつ等が突然何所からか湧いて出て来た謎の侵略組織に襲撃されて潰されちまって、その謎の侵略組織が管理局に宣戦布告してきたんだろ? 管理世界を繋ぐ次元ネットを纏めてジャックされたんだ、そこまでやりゃあ流石に()()()()()()()()()にだって情報が行き届くだろうよ」

 

『しかしデイビットさん……いえ、マクラウド()()()()()()()()()殿』

 

クロノは真剣な眼をして言う。

 

『惚けているようですけど、貴方は敵の襲撃時、通信回線を介してロストウィングの最精鋭小隊に機動六課への救援命令を出しましたね? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()……』

 

「……ああ、そうだが」

 

誤魔化しは効かないなと察し、デイビットはクロノが指摘してきた内容を肯定する。 どうやって知ったかなんて局の各部隊が保有する通信回線使用の履歴を確認すればいいだけだ。

 

『やっぱり、機動六課の窮地を救い、本局所属のエース級魔導師のチカラを遥かに超えてきた規格外な襲撃者達と互角に渡り合っていたあの小隊は貴方の部下達でしたか……』

 

自分の推測が正しかった事を確認し終えるとクロノは一度意を決したかのように深く頷く……そして呼吸を整え、無理を承知でその口からデイビット──ロストウィングへの依頼を切り出したのであった。

 

『デイビットさん、折り入って依頼……いや、お願いがあります。──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──敵の襲撃によって壊滅した機動六課の隊員達をしばらくの間、ロストウィングで預かって頂けないでしょうか?』

 

 

 

 

 

 

 




やっと……やっと終わったぁぁぁっ!! 前に宣言した通り、今話をもって序章前編『折られる戦乙女達の翼、恐怖劇(グランギニョル)の開演』は完結です!

闇堕ちティアナの所属先は予告でも紹介した新敵勢力──《白夜十三騎士団(ドライツェーン・ヴァイスリッター)》! 今回はちょっとですが、なんだかラグナガンドよりもDiesっぽい敵集団が出てまいりました。 もちろんティアナも含め所属している団員全て“聖遺物持ち”です!

ラグナガンドが正面から挑み掛かって来る“表の敵”ならば、白夜十三騎士団は戦争の裏方でひっそりと良からぬ計画を進める“裏の敵”です。 管理局とラグナガンドの争いの裏で彼等はいったい何をするつもりなのか? 主人公陣と彼等が会敵するのは何時何処でなのか?

次回から序章後編に入ります! お楽しみに!


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