THE LEGEND OF LYRICAL 喪失の翼と明の軌跡   作:蒼空の魔導書

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また長らくお待たせしました。 前回からの更新の間に軌跡シリーズ最新作にして待望の共和国編となる『(クロ)の軌跡』の発売決定や、来年に閃の軌跡シリーズのTVアニメ化決定など、ここ最近また色々と軌跡シリーズに大きな動きが見られてきましたね。

閃の軌跡がアニメ化するというのは大変驚きましたが、シリーズの途中からアニメ化なうえにゲーム原作アニメは爆死率が非常に高いらしいから、こちらは期待よりも不安の方がでかいかも……まあでも、閃シリーズは万が一当たった場合、後の可能性に大きな期待が持ててくる夢作品なのは確かだけど。(ス◯ブラやス◯ロボ参戦とか)




拳と悔し涙と不変の渇望(イジ)

ぐしゃりという熟れたトマトが潰れるような鈍い音が鳴った途端、摸擬戦場全体の時が停止したかのようにその空間の流れが遅延した。 その瞬間に外野で観戦していたはやて達機動六課陣営全員がそれぞれ衝撃と悲痛が入り交じった反応を露わにし出し、たった今バトルフィールド内で戦っている仲間のザフィーラが行った()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を目の当たりにして、凝視か目を逸らすか悲鳴をあげるなどをして皆大きな動揺を見せている。

 

「グフ……ッ!?」

 

それは先程、如何なる攻撃をも跳ね返してしまうゴートンの《金剛反射装甲(リアクティビアーマー)》によって惨く拉げ潰されていたザフィーラの左腕が再度、余計に酷く潰されたからだった。 彼は相手の挑発に乗って無事である右拳ではなく、あろう事か使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。 「ザフィーラァァアアッ!」家臣(かぞく)の名を哭き叫んで盛大な慟哭を露わにしている彼の主(はやて)や信じられないという動揺の目で前で起こった仲間の惨状に悲痛な面持ちで唖然としている六課の仲間達は無論の事、ロストウィング陣営と彼の捨て身の殴撃をその身で受け止めたゴートンまでもが予想だにしなかった反撃してきた相手に対して茫然と言葉を失っていた。

 

その捨て身の一撃は鈍色の魔力膜の持つ金剛石並の防御力とそれの多重層緩衝構造による攻撃威力軽減性能を()()()()()()()為、殴りつけた分厚い胸板が僅かながら仰け反らされた事でゴートンは堪らず小さく呻き声を漏らして脚を一歩だけ後退させられた。 この土壇場でようやくまともなダメージがゴートンに入ったが──

 

「グア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"------ッッ!!!」

 

左腕は当然無事では済まなかった……時が正常の流れを取り戻したその瞬間、地獄のような激痛に灼熱地獄の底から轟き響かせるような壮絶な絶叫をあげて、ザフィーラは両膝を着き、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を目一杯必死に右手で押さえつける。 だが直後、ザフィーラは常人ならショック死確実だろう激痛に抗い、べこべこに湾曲して使い物にならなくなった配管のような歪な形の左腕を万力もかくやと言わんまでに魔力強化を施した右腕の剛力をもって強引に曲げ戻しはじめる。

 

「グッ!! ぐぬぬ……ぬぉぉぉオオオオオーーーーッ!!

 

天に咆哮するように雄叫びを上げる事で、左腕が真っ直ぐ元通りに曲げている間に齎される地獄の激痛を緩和するものの、それでもその痛みは麻酔を打たずメスを身体に入れられるのと互角のものと言えるだろう。 一端の戦士であろうとも死にたくなる程耐え難いはずだ。 ゴートンはそう非常に信じ難い瞠目で、そんな激痛を遂ぞ耐えきって元に戻した左腕をだらりとチカラなくぶら下げながらも、まだ光を失っていない目でこっちを睨みつけてきている、目の前のザフィーラの姿に戦慄を隠せない。

 

「お前……いったい何を……ッ!!?」

 

その問いを投げかける前に再びザフィーラの絶拳がゴートンの腹部に炸裂する。 しかもまた重体の左拳でだ。

 

「──がはぁっ!!」

 

()()()()()()()()()。 腹を突き上げられて大量の胃液を嘔吐し、ゴートンはそういった驚愕の表情を露わにしながら、堪らず凹まされた腹部を抱えつつよろよろと数歩後退った。 ザフィーラは打撃(インパクト)の一点に魔力を集中し、極小攻撃範囲にとどまるが収束魔法(ブレイカー)を上回る貫通力を発揮していた。 その結果、ゴートンが纏っていた《金剛反射装甲(リアクティビアーマー)》をザフィーラの左拳が見事打ち貫き、遂に《鋼猿金剛(ハガンコンゴウ)》の無敵の皮膚に傷を入れたのだった。

 

「ぐぬあ"あ"あ"あ"………ッ!!」

 

無論、その成果の代償は無情凄惨極まりなく返って来た。 鋼の皮膚を砕いたズタボロの左拳から血塗れの左上腕までに走る血管という血管が反射抵抗により生じた内部圧力によって破裂し、守護獣の気高き鮮血が花を咲かせて弾け飛ぶ。 もはや血の一滴まで残らず流れ出尽くしたと言わんばかりに鮮血に染め上げられた左腕を庇い、三度齎された地獄のような激痛に苛まれてザフィーラは惨憺たる姿を晒した。 彼が狂い哭く姿にゴートンは目に果てしない動揺を浮かべてひたすら絶句しながら立ち尽くし、頭の中は相手のしてきたイカレた無謀に対する狼狽の感情で訳が解らなくなっていた。

 

「ぜぇ、ぜぇ……()()()使()()()()()()()()()など……はぁ、はぁ……何度潰れようと……構うものか……ッ!!」

 

「馬鹿な……お前、どうしてそこまでして?」

 

「言った……はぁ、はぁ……筈だ。 貴様の持つ【守護の意志】……守れなかった苦痛……“守るべき大切な者を背中にしては二度と倒れぬ”という重き決意……ゴホッ……我とて……それは同じだッ!!」

 

己の片腕を犠牲にしてまでこの勝負を諦めないと息も絶え絶えに言ってくるザフィーラにゴートンはその理由を問い質した。 それに対してザフィーラは全身の疲労困憊を強靭な意志で捻じ伏せて、宇宙(そら)の果てまで届けと言わんばかりに吼え返した。 自分にだって大切な者を守れなかった時はあったのだと、その無念も後悔の苦しみも無論知っていると、不倒の決意をしているのは貴様だけだと思うなと!

 

「ぬぉおォォオオオオッ!」

 

「くっ!?」

 

ザフィーラは咆哮とともにゴートンの纏う鈍色の魔力膜へ左拳の連打を浴びせていく。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、強引に鋼猿金剛が纏う無敵の皮膚を削り取っていく持久格闘戦法に出た。

 

「ぐぬぬぬッ!!? この程度ォォォーーーッ!!」

 

だがそれで反射効果による負傷度は大幅に軽減されたものの、打撃する度に腕に掛かる反射負荷は軽減されるどころか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 これでは諸刃の剣も同然。 だが、ザフィーラは一撃鈍色の魔力膜へ左拳を打ち込む毎に左腕へ齎される特大の激痛を気迫をもって休みなく堪え続け、ゴートンへ打ち込む連打の勢いを決して衰えさせようとしない。 彼の左腕はもう血を流し過ぎて黒に近いまで真っ青となっており、細胞耐久度は危険値(レッドゾーン)を超えしまっている。 これ以上酷使すればやがて細胞の壊死がはじまり、シャマルのクラールヴィントでも治癒不可となって、ザフィーラの左腕は完全に使い物にならなくなってしまうかもしれない。 だがそれでも──

 

()()()()()()()()()()()()()()()()! 我はこれ以上、掛け替えのない主や仲間達を傷付けさせぬと……そして、それら皆が大事にするものを、何者だろうと決して奪わせはせぬと誓ったのだッ!!!」

 

そう雄々しく吼え猛るザフィーラの気迫を受けてゴートンは返す言葉も出せず気圧されるがまま相手の発してくる熱き情念の言葉を聴き流せずに殴られるがまま立ち竦んでしまう。 依然として彼の全身に纏う無敵の鈍色の魔力膜が相手の拳を阻み返しているお蔭で一発一発受けるダメージは微々たるもので、その度に打ち込まれるザフィーラの左腕には猛烈な負荷が掛かっていく。 先程潰れた時に内部圧力で破裂した箇所の隅々から噴出した血が流れ出過ぎてしまい、とうに激痛を越えた猛烈な悪寒に変わってザフィーラの左腕の感覚は失われつつある。 にも拘らず、金剛反射装甲の金剛石並の硬度を執念で上回り、一撃打ち込む毎に徐々に威力が上乗せされて、今や相手の巨体を一発殴打する毎の衝撃が50cmほど仰け反らせて、背後へ貫通した波濤がその先の景色を粉砕していくレベルに達していた。

 

限界を超えてもこれ程の闘志を捻り出すザフィーラの信念は古代歴戦たる夜天の主の守護騎士としての矜持だけではない。 彼にもゴートンと同じように、守るべき大切なものを守れなかった無念と後悔が過去に幾度もあったのだ。

 

今から十年前、当時まだ九歳になったばかりの八神はやての手にあった夜天の……否、その時は遥か何代も前の悪しき心を持っていた魔導書の主が己の欲望を満たす為に使うべくして自分の都合で魔導書を改悪した所為で、その後の魔導書に選ばれた持主達の命を蝕み喰らい、世界を滅ぼして転生を繰り返すという破滅のテンプレートを強制的に実行し続けるバグプログラムに侵されていて、【()の書】という名の呪いの魔導書だった。 【烈火の将シグナム】【鉄槌の騎士ヴィータ】【湖の騎士シャマル】、そして【盾の守護獣ザフィーラ】の四人は魔導書の持主に忠実に仕えて守護する騎士プログラム《ヴォルケンリッター》であり、まだ九歳の幼い少女だったはやてにも今までの主と同じように変わらず彼女の忠実なる(しもべ)として仕えるべくして彼等は召喚された。 しかし、物心付く前に両親を事故で亡くし、《ギル・グレアム》という後見人から毎月仕送りされて来る援助金で独り天涯孤独に生活を過ごしてきた新たな幼き主は、守護騎士達を自分の願望を叶える為の道具として従わせる事を拒んだのだ。 そればかりか前代未聞な事に、はやてはザフィーラ達を自分と対等な家族として暖かく迎え入れ、彼等に“人”として生きる自由を与えたのだった。

 

だがしかし、闇の書の破滅の呪いはそんな心優しき幼き主の命をも容赦なく蝕み、放っておけばはやての未来は昏き闇に閉ざされてしまうのも時間の問題だった。 当然、遥か過去より歴先代の魔導書の主達に人ならざる道具や奴隷として扱われてきた自分等に“人”としての生き方を与えてくれたはやての命を闇の書の破滅の呪いの生け贄にされてしまう事などザフィーラ達守護騎士一同が見過ごせる筈もなく、幼き主の恩義に報いる為に彼女の命を破滅の呪いから解き放つべくして、今まで歴代の主の願望を叶える為に行ってきたように魔導書にインストールされていた【魔力蒐集】機能を使って、人間の魔導師を含む次元世界中の高い魔力を持つ生物等から魔力を奪い取って闇の書に蒐集していった。

 

その中でヴィータが、当時ははやてと同じく九歳の幼女魔導師であった高町なのはの持つ巨大な魔力量に目を付けて彼女を襲撃した出来事を皮切りに、彼女と彼女の友人であるフェイトや彼女達二人の身を保護していた時空管理局らに因縁を付けられてしまって、それからなのは達に蒐集活動を幾度も妨害されて対峙を繰り返したりしたが、その世界でクリスマスと呼ばれている聖夜を迎える直前にやっとの思いで主の願いを叶えるシステムを使えるあと一歩手前までの魔力量を闇の書に蒐集するまでに至った。 だがしかし……。

 

「嘗て我らは、まだ幼子だった我が主の命を希望への未来へと繋ぐ為、突然我らの味方を申し出てきた“仮面の男”二人の手を借りていた」

 

相手の鋼の皮膚を繰り返し殴り続けながら、ザフィーラは当時の出来事を語り出す。 その語気は淡々としたものだが、憎々しげな決まりの悪さを孕んでいる。 無論、それはその内容が彼にとって忘れられない程に忌まわしい過ちと後悔の記憶を掘り返すものだからに他ならない。

 

「だが彼奴らの正体が、我が幼き主の身を闇の書ごと永久凍結封印する企てを目論んでいた《ギル・グレアム》の使い魔である《リーゼロッテ》と《リーゼアリア》──“リーゼ姉妹”であるという事実に、我らは愚かにも最後まで誰一人として気付く事が出来ず、闇の書完成間近にして予定調和の如くリーゼ姉妹に裏切られた。 そして不覚にも我ら守護騎士は四人共々リーゼ姉妹の手に掛かり、魔法プログラム体である我らのこの身そのものを闇の書を完成させる最後の生け贄とされてしまい、我ら守護騎士が絶対に守るべき大切な幼き主──八神はやての意識は絶望の闇の内へと堕とされてしまったのだ。 主の守護騎士である我ら四人が……否、()()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……ッ!

 

「ザフィーラ……」

 

「あの時の事、まだ気にしていたの……」

 

ザフィーラは闇の書事件ではやてが一度闇の書の呪いに堕とさせてしまった事を自分一人の所為にし、この十年もの間その時の自責を背負い続けて深く苦しみ足掻いていた事を白状した。 今思い出しても心底悔しくて仕方がないという感情を剥き出しにして歯茎から出血させるほどに強く歯を噛み締めるザフィーラの後悔に塗れた昔語りを聞いて外野のはやて達も彼の心中を察して感傷を漏らしていた。 しかしそうしてやったところであの時リーゼ姉妹に傷付けられた《盾の守護獣》のプライドに塩を塗るだけだ。 不意を突かれたとは言え、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「高町達の奮戦のお蔭で、暴走状態で表へ出てきた魔導書の管制人格──《リインフォース・アインス》の中に潜んでいた闇の書の永続破滅転生プログラム──《ナハトヴァール》を取り除いてどうにか消去する事ができた。 我が主も闇の書の呪いから解放された事で徐々に現在のような健康体を取り戻す事ができた。 無論、我々守護騎士一同も主の命を希望の未来へと繋ぐという悲願を果たせた事に大変歓喜したものだが、主を救ったのは紛れもなく高町とテスタロッサが暴走したアインスを相手に必死に戦って止めた活躍によるものが大きく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()悔しさを噛み締めた」

 

そう淡々と語りながらもう既に五十回以上はゴートンの《金剛反射装甲(リアクティビアーマー)》を殴り続けているザフィーラの左腕からは、先ほどまで大量に流れ出ていた血がそろそろ尽きかけて、殴る度に少ない血滴がブシュブシュと小刻みに飛び散らせている。 反射効果で折れてしまわぬように魔力強化で骨と関節を固定しているものの、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 尚も仁王立ちで無抵抗にザフィーラに殴打を浴びせられ続けながらゴートンは無言で相手の悲壮な過去語りを聴き続ける。

 

「魔導書の転生プログラムが破壊された為にアインスが先に逝き、魔導書のバグが取り除かれた事で元の夜天の魔導書としての姿を取り戻した経緯を得て、“闇の書事件”が終結した後も、改めて我ら夜天の主の守護騎士一同はリーゼ姉妹に後れを取った不足を痛感した。 尊き主と大切な仲間達の進む希望の未来を守護する為に、今後これ以上我らが不甲斐無くてならぬと気を引き締め、守護騎士としてより精進を志し、騎士の戦技を一層に磨き高めていった……だがしかし、それから七年の月日が経ちても尚、またしても我ら守護騎士は襲い掛かる“黒き猛虎”の牙によって成す術なく倒され、チカラ及ばずもその牙によって守るべき主や仲間達の身を深々く傷付けられてしまった……

 

“闇の書事件”解決から七年……つまり現在から三年前、管理局本局のお膝元にある戦技教導隊が突然一人の男によって襲撃されたという事件があった。 襲撃者の男の名は《ライ・サンライズ》といい、その素性は管理世界最大規模の反管理局勢力である《アーノルド決起団》、その中でも黄道十二星座《獅子宮(レオ)》の称号を持つ十二人居る大幹部の内の一人という、数多に名を軒並み連ねる次元犯罪者の中でもSS級以上というトップクラスの戦闘力を誇る超大物だった。

 

「管理局内でも有数の才と戦闘技能を持ち合わせる高位魔導師が集う戦技教導隊に単身で挑み掛かって来たその決起団幹部の男は、戦技教導隊員という百戦錬磨の猛者達を、まさに獅子奮迅の如き暴威をもって圧倒し無双の強さを振るい蹂躙した。 この由々しき緊急事態に本局武装隊本軍は過去に例を見ない無双の戦闘力を持った襲撃者を無力化して捕らえるべく、高町やテスタロッサや我が主はやてと我ら守護騎士にクロノ・ハラオウン等といった本局の主戦力を中心にAA+ランク以上を持つ最高位の魔導師総勢三十名以上をもって【特選征伐隊】なる付け焼刃の最強部隊が編成され、その襲撃者たる決起団幹部《ライ・サンライズ》の征伐へと向かった。 我はこの戦いを闇の書事件での際の不覚を晴らす絶好の機会だと息巻き、絶対の自身を持って黒き猛虎へ挑んだのだ……だがしかし、彼奴は想像よりも遥かに強く、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……

 

闇の書以来の新たなる強敵──ライは獅子の鬣を思わせる漆黒の頭髪を長く肩より下に伸ばし、長身堅骨の体躯を持ち、猛虎の如き鋭い眼光で狩る獲物の全てを畏縮させ、百獣の王たる獅子の如き威風を放つ、黒き獅子虎(ライガー)のように勇猛苛烈な青年であった。 しかし彼の者は黒鋼(くろがね)の四肢を持ち、それを一度振るえば千匹もの獲物を薙ぎ倒す。 そしてその黒鋼の四肢が顕示するように、己が内に秘める飽くなき勝利へ燃やす執念と鋼の闘志をもって、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、凄まじき“光狂い”の猛獣であった……。

 

「彼奴は我らが幾度となく剣で斬り付けようと、槍で貫こうと、鉄槌や拳で殴打しようと、炎撃で燃やし、雷撃を浴びせ、冷撃で凍て漬かせ、挙句の果てに我が主と高町とテスタロッサで三人同時収束砲撃(トリプルブレイカー)を撃ち込みまでしても……どこまでも歯を食い縛り、決して地に倒れる事無く無尽蔵の体力と精神力を発揮して果てしなく我らに抗いの牙を向け続けてきた。()()()ッ!”と一言吼えれば満身創痍の心身に鞭を打って益々奮起し、彼奴はまるで“覚醒”したかのように()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()我らに猛攻を加え……やがて【特選征伐隊】は我ら現機動六課の主戦力とクロノ・ハラオウンの計八名を残して全滅させられるまでに追い遣られていた……」

 

「そしてお前等は決死の激戦の末に獅子宮のライ・サンライズと()()()()()、結局のところ奴の身柄を拘束できず逃亡させてしまった上にお前等を含む【特選征伐隊】は全員ライ・サンライズとの激闘を経て全治半年から一年半……最悪だった者はライ・サンライズの不倒の猛威を受けた体験が心的外傷(PTSD)となってしまい二度と魔導師として戦う事が出来なくなってしまい、本局はその一時期深刻なまでの戦力損失を被るに終息したという《AK(エースキラー)事件》……三年前に起きたその事件の顛末は俺達の耳にも届いている。 成程な……お前はその戦いでまた大切な存在を守ってやれず傷付けられた事を今も悔やんでいるというのか……そしてその挫折に極め付けて追い打ちを掛けたのが、先日次元王軍ラグナガンドの襲撃を受けた出来事の結末の……機動六課崩壊という訳か……」

 

“光狂いの黒き獅子虎”に“異次元より飛来した破壊の紫竜の爪牙”らと、夜天の主と仲間達の大切なものを奪いに牙を剥いて襲い来る数々の強敵達によって立て続けに脆くも盾を砕かれ地に這い蹲らされ続けた、この十年間に亘る夜天の主の守護騎士の敗北の戦歴……それは身を盾にして主とその仲間達を守護する役目を背負う守護獣たるザフィーラにとって溝鼠の糞を嘗めるに等しい屈辱に他ならず、彼は昔語りを続ける内にそのあまりに無様にも程がある己の晒してきた醜態の数々を振り返って、さすがに平静を保てなくなり、振るい続ける拳の勢いが衰えだしてきた。 そのところで無言を保っていたゴートンの口から同情が漏れ、ザフィーラはそれを聞いて己の情けなさに心底落胆を露わにする。

 

「無様な話だろう……フッ、嗤うがいい。 遥か数百年も昔、古代ベルカの戦乱の世において単騎の戦ならば無敗無双と謳われた我らヴォルケンリッターが、四騎揃いも揃っておいて三度も敵に後れを取り、護るべき主を背中にして屈辱にも地に倒され、その至らなさ故に我らの大切な主や尊き仲間達を傷物にされ、挙句皆が大事にしているものを奪われ……あろう事か我らが支えるべき主に──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()! 彼女に道具としてではない、家族として迎え入れて貰った十年前のあの日から、今に至るまでもッ!!!

 

集中的な部分魔力強化を用いて皮膚内部の骨組関節を完全に固定させた左腕の拳で執拗にゴートンを纏う金剛反射装甲の上から殴り付けながら、ザフィーラは遂ぞ自制が耐え切れなくなり、眼から大粒の涙を決壊させて心の内に秘めていた嘆き事を喉が枯れる程に哭き叫ぶ。

 

「悔恨やましくて仕方がなかった! 我は十年前の“闇の書事件”の失態で主であるはやてを守れず、彼女を絶望させ一度闇に堕とさせてしまったあの時から今まで経過して何も進歩せず、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ! 幾度となく襲い来る不埒な者共からはやての大切なものを守ってやれなかった! その度にはやてに喪失の涙を流させ、彼女は不甲斐無き我ら守護騎士の敗北の尻拭いの為に重い責任を背負い続けた! 我は十年間ずっと(はやて)ばかりに負担を重ね重ねと背負わせている! いったいなんなのだ、この騎士として恥ずべき、主君に対してどこまでも不義理な犬畜生は!? 身も心も繋がる絆も、夜天の魔導書の主の全てを、()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ッ! そんな使命の一つも全うできず、自由の生を与えて貰った恩義を報いぬ不義の騎士たる我なぞに、はやては身も心も傷付き続けながら気丈な振る舞いで……()()()()()()()()()()()()のだ……ッ!!」

 

「ザフィーラ……」

 

「それ程の重い後悔を背負って、今まで辛い思いをしていたのですか……」

 

「馬鹿……はやてちゃんを守れなかったのは、なにも貴方だけの所為じゃなのに、あんな無茶をして……ッ!」

 

「……」

 

ザフィーラが心の内に破裂しそうな程に溜め込んでいた慙愧の念を吐き出しながらゴートンの巨体を、既に耐久力の限界を超えて朽ちる寸前の左拳で幾度も殴り付けては相手の身を守る無敵の《金剛反射装甲(リアクティビアーマー)》によって魔力強化で固定された左腕が傷付き、その尋常ではない負荷によって齎される地獄の激痛に耐え忍び続けて苦鳴をあげていく……大切で唯一の男性である家族の雄々しくも悲痛なその姿を目の当たりに、はやて達八神一家は彼の心中を労しく思い、同時に彼と同じはやての守護騎士の身であったシャマルとシグナムは過去から現在までの度重なる敗北によって途方もない無力感と後悔を心に抱えては誰にもその闇を明かさず一人苛まれ続けていた同志に対して、温度差は真逆なれども二人共に憤りと悔しさを向けていた。 我らは同じ八神はやての守護騎士で家族だろう、なのにどうして一言も私達に相談してくれなかったんだ、何故その苦しみを私達にも共に背負わせてくれなかった!?

 

……だが分かっている。 ザフィーラは守護騎士の中で唯一、()()()()()()()()()()()()。 歴戦のベルカの騎士の矜持とは別に、《盾の守護獣》としての使命とも別に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……しかしそれでも、他の何よりも家族の身を大事に想い遣る心優しい彼の主は、自分の為に家族が心苦しんで無茶を行い傷付いていく光景を黙って見ている事など、とても耐えられなかった。

 

「もう……限界や。 これ以上ザフィーラにこんな試合は続けさせられへん。 シャマル、応急手当の準備を頼むで! なのはちゃん、早くタオルをn「お待ちください、主はやて」──シグナム!?」

 

ザフィーラの試合棄権(ギブアップ)宣言用のタオルを審判役のなのはに投げ入れさせる為に渡そうとしたはやての行動に、片腕で制止を掛けてきたのはシグナムだった。 彼女のその行動は同じ八神家の一員であり、彼女とは古くから共に並び立っては歴代の夜天の魔導書の主に仕え、長年切磋琢磨してきた守護騎士の同志であるザフィーラを見殺しにしろと言っているのにも近しく、あまりにも薄情極まりなく見えた。 はやては信じ難い感情を籠めた涙目をシグナムの背中に向けて、戦々恐々とその真偽を問い詰める。

 

「何で……止めるんやねん。 あの叫び苦しみながら酷く傷だらけになっていっとるザフィーラの姿が見えてへんとは言わんやろ? 一刻も早う手当せぇへんと、ザフィーラの左腕は駄目になってしもうかもしれへんのや。 そないな事になったら……私は……ッ!!」

 

「主の御心に反するのは百も承知の上です。 我が不敬に対する罰も、万が一の場合の責任も、この試合後に全て我が身をもって受け入れます。 ですがしかし、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 お願いです主はやて。 今はどうか、奴に己の意地と矜持を貫かせてやってください!」

 

シグナムに真剣な声音でそう懇願されては、はやてはこれ以上何も反論できずに唇を噛み締めて引き下がる他になかった……制止の腕を取り下げたその握り拳には彼女の内に流れる気高き血がだくだくと滲み垂れ、腕は寒々と震えている。 彼女だって本音は今直ぐにでも試合を止めに乱入したくて仕方がなく、心苦しいのだ。 自分と対等の守護騎士であるザフィーラが、あんなにも身も心もズタズタになって無茶な戦いをしている姿を、黙って見ているしかできないなどと……。

 

「我が無力で不甲斐無いが為に、はやてにあのような()()()()()()()()()()()()なぞ、この左手の痛みなんぞよりも何億倍耐えられん! ぬぉぉオオオオオオッ!!」

 

「ぐがッ!?」

 

そして遂に、無力な自分への嚇怒を籠めて打ち込み続けた拳が鋼猿金剛の纏う無敵の皮膚に罅を入れ、ゴートンの巨体を大きく殴り飛ばした。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ゴートンは靴底を滑走による地面の摩擦で削り、拳を振り切った体勢のザフィーラから5m程離れた所で停止し、ほんの二秒間掌で一撃を貰った右頬を押さえて痛みを和らげる。 その掌を離すと自分の鼻血が付着していた。

 

「信じられん。 まだこれ程のチカラが残っていたのか」

 

「舐めるなと言っただろう、ゴートン・リライラス。 貴様が守りたかった大切な者を守れずに喪った過去の懺悔を悔やみ、『鋼のように屈強に、決して砕けぬ男になりたい』と願い、このロストウィングで鋼の皮膚を磨き抜き、無敵の《鋼猿金剛(ハガンコンゴウ)》となったように。 我にもこの十年間、幾度も大切な主や仲間達を守り抜くという《盾の守護獣》の使命を一度も全うできず、主達が大切にしていたものを幾度も敵の手に奪わさせてしまい、己が無力と無念に苛まれながらも、100年以上も前から我がこの胸に抱き、意地と使命を貫く糧としてきた騎士の矜持と己の“渇望(イジ)”をこの手に、これまで夜天の主の守護騎士の一騎として心折れず戦い抜いてこれたのだ!」

 

傍から見るのも惨たらしく思う程にズタボロな状態のザフィーラに丸くした目を向けたゴートンは戦慄を混じらせた驚嘆を漏らす。 その言葉を聞いてザフィーラが不敵の笑みを見せながら相手を真っ直ぐと見据えてまだまだこれからだと言わんばかりに増々燃え猛る闘気と漲る魔力を纏い、雄々しく拳を構えて吼え猛る。

 

「我は『何者にも皆を傷付けさせぬ不破の盾で在りたい』ッ!」

 

その誓いこそ、彼が百年不動として胸に持ち続けてきた渇望──

 

「魔導書の持主に従属する為だけに作られたプログラム体に過ぎない我ら守護騎士などに人並みの人生を与えて下さった我が主はやてを! シグナム、ヴィータ、シャマルら百年以上の永い刻を共に歩み幾多の戦場を潜り抜けてきた夜天の主の守護騎士の同志達を! リイン、なのは、フェイト、スバル、ミクティーヌ、エリオ、キャロ、ヴァイス達掛け替えのない機動六課の仲間を! クロノ・ハラオウン等我らの大事な隣人達を! そして、()()()()()()()()()()()、ゴートン・リライラス。 特務遊撃支援部隊ロストウィング!!」

 

「何? ()()()()()()()……だ?」

 

「無論だ。 この団体摸擬試合が終わった後は貴様達ロストウィングも晴れて我らの仲間内に入るのだからな。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()事こそが《盾の守護獣》の名を持つ我が使命……そして我が胸に宿る“不変の渇望(イジ)”だッ!!

 

「……フッ。 いいだろう! 先程お前の【守護の意志】を見下げて侮った事を謝罪する」

 

確かな【守護の意志】を示し。 その根幹に在る渇望を打ち明け。 身内は勿論、本局のトップエリートと辺境世界の最底辺不良部隊という格差の隔たりがあった為にこうして互いにいがみ合い、団体摸擬試合という形で自分達と対立しているゴートン達ロストウィングの連中も含め、この身を盾にして全てを護ってみせると大胆不敵にも言ってみせたザフィーラの魂に強く懐深いものを垣間見たゴートンは、それに敬意を表してこの試合中に相手の持つ【守護の意志】を自分に比べれば取るに足らないものだと侮辱した全ての非礼を詫びて潔く前言を撤回。 そして目の前の誇り高い人狼の騎士を己と対等の【守護の意志】を持つ戦士であると認め、彼を全力で拳を振るうに値する相手だと認識を改めて、全身全霊の魔力と闘気を練り上げて右腕を覆う機重鉄腕(ベヒモス)を今まで以上に豪快に振り上げて一陣の突風を起こすと共に薙ぎ払い、その鉄爪を眼前に立つ盾の守護獣へと差し向けて言った。

 

「ここから先は、ただひたすらに互いの意志と魂を懸けて全力の拳をぶつけ合うのみだッ!」

 

「フッ、いいだろう……()くぞ。 ロストウィングの鋼鉄の守護神──鋼猿金剛(ハガンコンゴウ)》ゴートン・リライラスッ!!

 

「来い。 機動六課の誇り高き守護神──《盾の守護獣》ザフィーラッッ!!!

 

ここに両陣営の守護神は互いの持つ【守護の意志】を認め合った。 ならば最早言葉は不要。 そう互いに相手の名を呼び合ったのと同時に最終ラウンドのゴングは鳴り、先程ゴートンの踏み込みによってバトルフィールドを丸ごと陥没させて出来た巨大クレーターリングの中央で二人の漢の拳と拳が激突し、火山の大噴火と見紛う朱い衝撃波が天を突き抜けた。

 

……ここから先の試合展開はまさに“泥仕合”という他に言い様がなかった。 魔法も戦技も戦術も駆け引きもそこに介在しない、只ひたすらに互いの顔面を拳で交互に殴り合い続けるという、泥臭く品の欠片もない唯の喧嘩であった。 しかもゴートンは「ここで不公平だと言って手加減をしては、対等と認めた戦士への侮辱だろう」と考えて無敵の《金剛反射装甲(リアクティビアーマー)》を解除しないでそのままやってきている為に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という、その実態不公平極まるタイマン勝負なのだときたものだから、もう目も当てられない……その筈なのに──

 

「ぬぅぅんッ!」

 

「ぶはぁっ!……ぐぬぬ。 まだまだだッ!」

 

「がはぁっ! クッ、この程度……ヌォォオオオッ!!」

 

何故だろうか、このむさ苦しい男二人が筋骨隆々の肉体で殴り合うという、漢臭くも泥臭く誰が観ても不毛だという感想を述べるであろうこの醜い喧嘩の風景が、この場に居る誰一人として一瞬たりとも目が離す事ができないでいる。 他の声も雑音も一切立たさず、息を呑んで()()()()()()()()()()()()()()()()()と思うのはどうしてだろう?

 

「ぬぉぉおおおおぉぉおおおーーーっ!!」

 

「ハァァアアアアァァアアアーーーッ!!」

 

下品な叫び声をあげて互いの顔面に拳を減り込ませ、それによって互いの鼻孔から吹き出させた大量の鼻血によって両者の肉体全身が汚らしい朱に染まっていく、()()()()()()()()()()()()()()()()……()()()()()()()()()()()()()()()()? それこそ、永遠に見続けていたいとも思える程に……だがしかし、何事も終わりは何時か訪れるものだ。

 

「はぁっ、はぁっ! ……貴様の……負けだッ!!」

 

「ゼェッ、ゼェッ! ……俺の……勝ちだッ!!」

 

ザフィーラはとっくの前に耐久値の限界を超えて身体に蓄積され続けたダメージによって、ゴートンはザフィーラの粘りと大質量を誇る機重鉄腕(ベヒモス)の重量を長時間ぶっ続けに休まず振るい続けた事による右腕への超過負荷で体力の底が尽きた為に、両者共に遂ぞ後一撃繰り出すのが限界だという極限のクライマックスに達したのだった。

 

「ぬぉぉおお、ゴートォォオオオーーーーンッ!!!」

 

「ザフィーラァァアアアーーーーーッ!!!」

 

機動六課、ロストウィング、外野の両陣営の誰もが息を呑んで見守る中、全身血塗れで睨み合った二人の漢が最後の意地を振り絞って同時に相手へと拳を打ち出した。 リーチの差でゴートンの機重鉄腕が先にザフィーラの顔面へ入るかと思えたが──

 

「ンガ!?……が……──」

 

「アァァ……あ……──」

 

どうやら両者共に意地よりも()()()()()()()()()()()()()()()。 全力全開で相手の顔面へ振り抜いた互いの左腕が交差したのと同時に二人の巨体が踏み込んだ足から前のめりに崩れるようにして地に倒れ伏し、二人は静寂の毛布に包まれてゆっくりと眼を閉じる。 ザフィーラとゴートンが双方共相手へと己の拳を届かせようとして最後まで意地を振り絞ったのが誰の目にも分かるような、互いへ腕を伸ばし合った両者の雄々しい倒れ様を目の当たりにして両陣営はあまりにも壮絶な男の戦いの決着に唖然となって誰しもが数秒の間声を出せないでいたが、審判役のなのはが「……はっ!?」と逸早く我に返り、バトルフィールド(クレーター)内で互いに倒れ伏した二人へと近寄って直接両者の意識が無い事を確認する。

 

「ザフィーラさんとゴートンさん、()()()()()()()()()()……です。 よって二人共戦闘不能と見なし、この試合は引き分k──「ぶっ……ぐふっ! はー! はー!」──ッ!!?」

 

「「「「「「「な───ッ!!?」」」」」」」

 

「嘘……やろ……?」

 

なのはがこの場に居る皆へ向けて引き分け試合(ドローゲーム)を宣言しようとしたまさにその直前、倒れ伏していた()()()()()()()()()()()()息を吹き返して意識を取り戻したのだった。 その為なのはの試合結果発表が途中で止まり、全力を出し尽くした満身創痍の有り様で再び立ち上がったその男の雄姿を、完全に気を失い倒れたままの方の味方陣営側一同全員がとても信じられず衝撃のあまりに眼を剥いて驚愕と放心の様相を表していた。

 

そして立ち上がった男は自分の目の前でこちらの足下へと左手を伸ばしきったまま前のめりに倒れ伏している相手を見下ろし、勝ち誇る微笑を浮かべると共にその重い口を開き──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見事だ……《盾の守護獣》ザフィーラ。 俺はお前と全力で拳を交えられた事を……誇りに思う」

 

そう本物の【守護の意志】を持った誇り高い対戦相手へ健闘を称えたのだった。

 

「しょしょしょ、勝者は──ロストウィングの《ゴートン・リライラス》さんッ!!

 

なのはが審判役として公正に改めてこの試合の勝者の名を高らかに謳いあげた。

 

その直後同時にザフィーラの全身が眩い光に包まれ、それが剥がれるように消えると其処には()()()()()()()()姿()()()()()()()()()()()()が疲れ果てて泥のように眠っていた。 試合で体力も魔力も持てる全てのチカラを出し切って枯渇した為、エネルギー回復の為に自動で守護獣形体に変わったのだろうが、それでもゴートンの《金剛反射装甲(リアクティビアーマー)》に打ち込み続けて反射ダメージ負荷を耐久力限界を超えるまで蓄積させた左腕は血の抜けた紫色に染まり切っていて非常に危険な状態にあった為、我先にと六課の部隊主任医務官であるシャマルが六課陣営側のベンチから飛び出し誰よりも逸早くザフィーラの許へと駆け寄って、早々と眠る彼の左腕に応急手当を施してはデバイスのクラールヴィントを使って治癒魔法を掛ける。 その行動が功を奏し、幸いにも取り返しが付かなくなるギリギリで、ザフィーラの左腕はなんとか壊死に至らずに済んだのだった。

 

数秒経って処置を終え、「安静にしていればもう大丈夫」だと言ってシャマルがザフィーラの容態が安定した事を伝えると、六課陣営の皆は一先ずほっと安堵の様相を呈し、それでようやくシグナムに道を開けてもらえたはやてが泣き出しそうな顔をしてザフィーラの許へと歩み寄ると、我慢しきれず目から涙を決壊させて隣に寄り添うようにして彼の毛並みへと顔面を埋める。

 

「ごめんなぁ。 そして、ありがとな……ほんまに……ありがとう……うぅ、ああああああーーーッ!

 

今まで十年間ずっと、こんな酷くボロボロになって私の大切なものを守ろうと頑張ってくれてありがとう、私の自慢の守護獣……そんな感謝の気持ちを表すようにはやては愛おしい家族を労しく抱きしめ、同時に彼の仕える主としてどこまでも自分は力不足であると痛感し、その事が情けなさ過ぎるあまりに嘆いて泣き叫んだ声が悲愴なまでに山彦に反響するのだった……。

 

 

 




ザフィーラVSゴートン、遂に決着! いや~、三話に渡って四万字以上も男同士の単調な殴り合いを書く羽目になるとは思わなかったなぁ……疲れた。(汗)

しかしザフィーラってこんなに重く過去の失敗を引き摺って意地になるような性格だったか? と、疑問に思うでしょうけれど、男は大体は意地を持って戦うものだと自分は思っているので、自分が書くザフィーラやエリオは原作よりも意地っ張りなところがあります。 ス◯ライドとグ◯ンラガンは(おとこ)を学ぶ教科書であるッ!(燃)

それにしても昨夜に放送開始した新作アニメ『戦闘員、派遣します!』のキサラギ幹部の皆様……何か元絵よりカワイクなっとるやん!? 特に氷結のアスタロト様、貴女そんな童顔激萌え美少女だったっけ? 原作の一枚絵だともっと大人のお姉さま風の印象の顔付きだった気がするんだけど……だが、悪の女幹部のエロコスプレツンデレ童顔美少女とはだいぶ自分特だし、それも良し!(おいッ!?)

呪術廻戦のアニメも最後まで面白かったし、最近は色々と面白いアニメ・ゲームが多く出てきていて、目移りしちゃってます♪(小説書けよ)

では、また遅くなる可能性が高いけれど、次回もお楽しみに!

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