THE LEGEND OF LYRICAL 喪失の翼と明の軌跡 作:蒼空の魔導書
閃の軌跡がアニメ化するというのは大変驚きましたが、シリーズの途中からアニメ化なうえにゲーム原作アニメは爆死率が非常に高いらしいから、こちらは期待よりも不安の方がでかいかも……まあでも、閃シリーズは万が一当たった場合、後の可能性に大きな期待が持ててくる夢作品なのは確かだけど。(ス◯ブラやス◯ロボ参戦とか)
ぐしゃりという熟れたトマトが潰れるような鈍い音が鳴った途端、摸擬戦場全体の時が停止したかのようにその空間の流れが遅延した。 その瞬間に外野で観戦していたはやて達機動六課陣営全員がそれぞれ衝撃と悲痛が入り交じった反応を露わにし出し、たった今バトルフィールド内で戦っている仲間のザフィーラが行った
「グフ……ッ!?」
それは先程、如何なる攻撃をも跳ね返してしまうゴートンの《
その捨て身の一撃は鈍色の魔力膜の持つ金剛石並の防御力とそれの多重層緩衝構造による攻撃威力軽減性能を
「グア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"------ッッ!!!」
左腕は当然無事では済まなかった……時が正常の流れを取り戻したその瞬間、地獄のような激痛に灼熱地獄の底から轟き響かせるような壮絶な絶叫をあげて、ザフィーラは両膝を着き、
「グッ!! ぐぬぬ……ぬぉぉぉオオオオオーーーーッ!!」
天に咆哮するように雄叫びを上げる事で、左腕が真っ直ぐ元通りに曲げている間に齎される地獄の激痛を緩和するものの、それでもその痛みは麻酔を打たずメスを身体に入れられるのと互角のものと言えるだろう。 一端の戦士であろうとも死にたくなる程耐え難いはずだ。 ゴートンはそう非常に信じ難い瞠目で、そんな激痛を遂ぞ耐えきって元に戻した左腕をだらりとチカラなくぶら下げながらも、まだ光を失っていない目でこっちを睨みつけてきている、目の前のザフィーラの姿に戦慄を隠せない。
「お前……いったい何を……ッ!!?」
その問いを投げかける前に再びザフィーラの絶拳がゴートンの腹部に炸裂する。 しかもまた重体の左拳でだ。
「──がはぁっ!!」
「ぐぬあ"あ"あ"あ"………ッ!!」
無論、その成果の代償は無情凄惨極まりなく返って来た。 鋼の皮膚を砕いたズタボロの左拳から血塗れの左上腕までに走る血管という血管が反射抵抗により生じた内部圧力によって破裂し、守護獣の気高き鮮血が花を咲かせて弾け飛ぶ。 もはや血の一滴まで残らず流れ出尽くしたと言わんばかりに鮮血に染め上げられた左腕を庇い、三度齎された地獄のような激痛に苛まれてザフィーラは惨憺たる姿を晒した。 彼が狂い哭く姿にゴートンは目に果てしない動揺を浮かべてひたすら絶句しながら立ち尽くし、頭の中は相手のしてきたイカレた無謀に対する狼狽の感情で訳が解らなくなっていた。
「ぜぇ、ぜぇ……
「馬鹿な……お前、どうしてそこまでして?」
「言った……はぁ、はぁ……筈だ。 貴様の持つ【守護の意志】……守れなかった苦痛……“守るべき大切な者を背中にしては二度と倒れぬ”という重き決意……ゴホッ……我とて……それは同じだッ!!」
己の片腕を犠牲にしてまでこの勝負を諦めないと息も絶え絶えに言ってくるザフィーラにゴートンはその理由を問い質した。 それに対してザフィーラは全身の疲労困憊を強靭な意志で捻じ伏せて、
「ぬぉおォォオオオオッ!」
「くっ!?」
ザフィーラは咆哮とともにゴートンの纏う鈍色の魔力膜へ左拳の連打を浴びせていく。
「ぐぬぬぬッ!!? この程度ォォォーーーッ!!」
だがそれで反射効果による負傷度は大幅に軽減されたものの、打撃する度に腕に掛かる反射負荷は軽減されるどころか、
「
そう雄々しく吼え猛るザフィーラの気迫を受けてゴートンは返す言葉も出せず気圧されるがまま相手の発してくる熱き情念の言葉を聴き流せずに殴られるがまま立ち竦んでしまう。 依然として彼の全身に纏う無敵の鈍色の魔力膜が相手の拳を阻み返しているお蔭で一発一発受けるダメージは微々たるもので、その度に打ち込まれるザフィーラの左腕には猛烈な負荷が掛かっていく。 先程潰れた時に内部圧力で破裂した箇所の隅々から噴出した血が流れ出過ぎてしまい、とうに激痛を越えた猛烈な悪寒に変わってザフィーラの左腕の感覚は失われつつある。 にも拘らず、金剛反射装甲の金剛石並の硬度を執念で上回り、一撃打ち込む毎に徐々に威力が上乗せされて、今や相手の巨体を一発殴打する毎の衝撃が50cmほど仰け反らせて、背後へ貫通した波濤がその先の景色を粉砕していくレベルに達していた。
限界を超えてもこれ程の闘志を捻り出すザフィーラの信念は古代歴戦たる夜天の主の守護騎士としての矜持だけではない。 彼にもゴートンと同じように、守るべき大切なものを守れなかった無念と後悔が過去に幾度もあったのだ。
今から十年前、当時まだ九歳になったばかりの八神はやての手にあった夜天の……否、その時は遥か何代も前の悪しき心を持っていた魔導書の主が己の欲望を満たす為に使うべくして自分の都合で魔導書を改悪した所為で、その後の魔導書に選ばれた持主達の命を蝕み喰らい、世界を滅ぼして転生を繰り返すという破滅のテンプレートを強制的に実行し続けるバグプログラムに侵されていて、【
だがしかし、闇の書の破滅の呪いはそんな心優しき幼き主の命をも容赦なく蝕み、放っておけばはやての未来は昏き闇に閉ざされてしまうのも時間の問題だった。 当然、遥か過去より歴先代の魔導書の主達に人ならざる道具や奴隷として扱われてきた自分等に“人”としての生き方を与えてくれたはやての命を闇の書の破滅の呪いの生け贄にされてしまう事などザフィーラ達守護騎士一同が見過ごせる筈もなく、幼き主の恩義に報いる為に彼女の命を破滅の呪いから解き放つべくして、今まで歴代の主の願望を叶える為に行ってきたように魔導書にインストールされていた【魔力蒐集】機能を使って、人間の魔導師を含む次元世界中の高い魔力を持つ生物等から魔力を奪い取って闇の書に蒐集していった。
その中でヴィータが、当時ははやてと同じく九歳の幼女魔導師であった高町なのはの持つ巨大な魔力量に目を付けて彼女を襲撃した出来事を皮切りに、彼女と彼女の友人であるフェイトや彼女達二人の身を保護していた時空管理局らに因縁を付けられてしまって、それからなのは達に蒐集活動を幾度も妨害されて対峙を繰り返したりしたが、その世界でクリスマスと呼ばれている聖夜を迎える直前にやっとの思いで主の願いを叶えるシステムを使えるあと一歩手前までの魔力量を闇の書に蒐集するまでに至った。 だがしかし……。
「嘗て我らは、まだ幼子だった我が主の命を希望への未来へと繋ぐ為、突然我らの味方を申し出てきた“仮面の男”二人の手を借りていた」
相手の鋼の皮膚を繰り返し殴り続けながら、ザフィーラは当時の出来事を語り出す。 その語気は淡々としたものだが、憎々しげな決まりの悪さを孕んでいる。 無論、それはその内容が彼にとって忘れられない程に忌まわしい過ちと後悔の記憶を掘り返すものだからに他ならない。
「だが彼奴らの正体が、我が幼き主の身を闇の書ごと永久凍結封印する企てを目論んでいた《ギル・グレアム》の使い魔である《リーゼロッテ》と《リーゼアリア》──“リーゼ姉妹”であるという事実に、我らは愚かにも最後まで誰一人として気付く事が出来ず、闇の書完成間近にして予定調和の如くリーゼ姉妹に裏切られた。 そして不覚にも我ら守護騎士は四人共々リーゼ姉妹の手に掛かり、魔法プログラム体である我らのこの身そのものを闇の書を完成させる最後の生け贄とされてしまい、我ら守護騎士が絶対に守るべき大切な幼き主──八神はやての意識は絶望の闇の内へと堕とされてしまったのだ。 主の守護騎士である我ら四人が……否、
「ザフィーラ……」
「あの時の事、まだ気にしていたの……」
ザフィーラは闇の書事件ではやてが一度闇の書の呪いに堕とさせてしまった事を自分一人の所為にし、この十年もの間その時の自責を背負い続けて深く苦しみ足掻いていた事を白状した。 今思い出しても心底悔しくて仕方がないという感情を剥き出しにして歯茎から出血させるほどに強く歯を噛み締めるザフィーラの後悔に塗れた昔語りを聞いて外野のはやて達も彼の心中を察して感傷を漏らしていた。 しかしそうしてやったところであの時リーゼ姉妹に傷付けられた《盾の守護獣》のプライドに塩を塗るだけだ。 不意を突かれたとは言え、
「高町達の奮戦のお蔭で、暴走状態で表へ出てきた魔導書の管制人格──《リインフォース・アインス》の中に潜んでいた闇の書の永続破滅転生プログラム──《ナハトヴァール》を取り除いてどうにか消去する事ができた。 我が主も闇の書の呪いから解放された事で徐々に現在のような健康体を取り戻す事ができた。 無論、我々守護騎士一同も主の命を希望の未来へと繋ぐという悲願を果たせた事に大変歓喜したものだが、主を救ったのは紛れもなく高町とテスタロッサが暴走したアインスを相手に必死に戦って止めた活躍によるものが大きく、
そう淡々と語りながらもう既に五十回以上はゴートンの《
「魔導書の転生プログラムが破壊された為にアインスが先に逝き、魔導書のバグが取り除かれた事で元の夜天の魔導書としての姿を取り戻した経緯を得て、“闇の書事件”が終結した後も、改めて我ら夜天の主の守護騎士一同はリーゼ姉妹に後れを取った不足を痛感した。 尊き主と大切な仲間達の進む希望の未来を守護する為に、今後これ以上我らが不甲斐無くてならぬと気を引き締め、守護騎士としてより精進を志し、騎士の戦技を一層に磨き高めていった……だがしかし、それから七年の月日が経ちても尚、またしても我ら守護騎士は襲い掛かる“黒き猛虎”の牙によって成す術なく倒され、チカラ及ばずもその牙によって守るべき主や仲間達の身を深々く傷付けられてしまった……」
“闇の書事件”解決から七年……つまり現在から三年前、管理局本局のお膝元にある戦技教導隊が突然一人の男によって襲撃されたという事件があった。 襲撃者の男の名は《ライ・サンライズ》といい、その素性は管理世界最大規模の反管理局勢力である《アーノルド決起団》、その中でも黄道十二星座《
「管理局内でも有数の才と戦闘技能を持ち合わせる高位魔導師が集う戦技教導隊に単身で挑み掛かって来たその決起団幹部の男は、戦技教導隊員という百戦錬磨の猛者達を、まさに獅子奮迅の如き暴威をもって圧倒し無双の強さを振るい蹂躙した。 この由々しき緊急事態に本局武装隊本軍は過去に例を見ない無双の戦闘力を持った襲撃者を無力化して捕らえるべく、高町やテスタロッサや我が主はやてと我ら守護騎士にクロノ・ハラオウン等といった本局の主戦力を中心にAA+ランク以上を持つ最高位の魔導師総勢三十名以上をもって【特選征伐隊】なる付け焼刃の最強部隊が編成され、その襲撃者たる決起団幹部《ライ・サンライズ》の征伐へと向かった。 我はこの戦いを闇の書事件での際の不覚を晴らす絶好の機会だと息巻き、絶対の自身を持って黒き猛虎へ挑んだのだ……だがしかし、彼奴は想像よりも遥かに強く、
闇の書以来の新たなる強敵──ライは獅子の鬣を思わせる漆黒の頭髪を長く肩より下に伸ばし、長身堅骨の体躯を持ち、猛虎の如き鋭い眼光で狩る獲物の全てを畏縮させ、百獣の王たる獅子の如き威風を放つ、黒き
「彼奴は我らが幾度となく剣で斬り付けようと、槍で貫こうと、鉄槌や拳で殴打しようと、炎撃で燃やし、雷撃を浴びせ、冷撃で凍て漬かせ、挙句の果てに我が主と高町とテスタロッサで
「そしてお前等は決死の激戦の末に獅子宮のライ・サンライズと
“光狂いの黒き獅子虎”に“異次元より飛来した破壊の紫竜の爪牙”らと、夜天の主と仲間達の大切なものを奪いに牙を剥いて襲い来る数々の強敵達によって立て続けに脆くも盾を砕かれ地に這い蹲らされ続けた、この十年間に亘る夜天の主の守護騎士の敗北の戦歴……それは身を盾にして主とその仲間達を守護する役目を背負う守護獣たるザフィーラにとって溝鼠の糞を嘗めるに等しい屈辱に他ならず、彼は昔語りを続ける内にそのあまりに無様にも程がある己の晒してきた醜態の数々を振り返って、さすがに平静を保てなくなり、振るい続ける拳の勢いが衰えだしてきた。 そのところで無言を保っていたゴートンの口から同情が漏れ、ザフィーラはそれを聞いて己の情けなさに心底落胆を露わにする。
「無様な話だろう……フッ、嗤うがいい。 遥か数百年も昔、古代ベルカの戦乱の世において単騎の戦ならば無敗無双と謳われた我らヴォルケンリッターが、四騎揃いも揃っておいて三度も敵に後れを取り、護るべき主を背中にして屈辱にも地に倒され、その至らなさ故に我らの大切な主や尊き仲間達を傷物にされ、挙句皆が大事にしているものを奪われ……あろう事か我らが支えるべき主に──
集中的な部分魔力強化を用いて皮膚内部の骨組関節を完全に固定させた左腕の拳で執拗にゴートンを纏う金剛反射装甲の上から殴り付けながら、ザフィーラは遂ぞ自制が耐え切れなくなり、眼から大粒の涙を決壊させて心の内に秘めていた嘆き事を喉が枯れる程に哭き叫ぶ。
「悔恨やましくて仕方がなかった! 我は十年前の“闇の書事件”の失態で主であるはやてを守れず、彼女を絶望させ一度闇に堕とさせてしまったあの時から今まで経過して何も進歩せず、
「ザフィーラ……」
「それ程の重い後悔を背負って、今まで辛い思いをしていたのですか……」
「馬鹿……はやてちゃんを守れなかったのは、なにも貴方だけの所為じゃなのに、あんな無茶をして……ッ!」
「……」
ザフィーラが心の内に破裂しそうな程に溜め込んでいた慙愧の念を吐き出しながらゴートンの巨体を、既に耐久力の限界を超えて朽ちる寸前の左拳で幾度も殴り付けては相手の身を守る無敵の《
……だが分かっている。 ザフィーラは守護騎士の中で唯一、
「もう……限界や。 これ以上ザフィーラにこんな試合は続けさせられへん。 シャマル、応急手当の準備を頼むで! なのはちゃん、早くタオルをn「お待ちください、主はやて」──シグナム!?」
ザフィーラの
「何で……止めるんやねん。 あの叫び苦しみながら酷く傷だらけになっていっとるザフィーラの姿が見えてへんとは言わんやろ? 一刻も早う手当せぇへんと、ザフィーラの左腕は駄目になってしもうかもしれへんのや。 そないな事になったら……私は……ッ!!」
「主の御心に反するのは百も承知の上です。 我が不敬に対する罰も、万が一の場合の責任も、この試合後に全て我が身をもって受け入れます。 ですがしかし、
シグナムに真剣な声音でそう懇願されては、はやてはこれ以上何も反論できずに唇を噛み締めて引き下がる他になかった……制止の腕を取り下げたその握り拳には彼女の内に流れる気高き血がだくだくと滲み垂れ、腕は寒々と震えている。 彼女だって本音は今直ぐにでも試合を止めに乱入したくて仕方がなく、心苦しいのだ。 自分と対等の守護騎士であるザフィーラが、あんなにも身も心もズタズタになって無茶な戦いをしている姿を、黙って見ているしかできないなどと……。
「我が無力で不甲斐無いが為に、はやてにあのような
「ぐがッ!?」
そして遂に、無力な自分への嚇怒を籠めて打ち込み続けた拳が鋼猿金剛の纏う無敵の皮膚に罅を入れ、ゴートンの巨体を大きく殴り飛ばした。
「信じられん。 まだこれ程のチカラが残っていたのか」
「舐めるなと言っただろう、ゴートン・リライラス。 貴様が守りたかった大切な者を守れずに喪った過去の懺悔を悔やみ、『鋼のように屈強に、決して砕けぬ男になりたい』と願い、このロストウィングで鋼の皮膚を磨き抜き、無敵の《
傍から見るのも惨たらしく思う程にズタボロな状態のザフィーラに丸くした目を向けたゴートンは戦慄を混じらせた驚嘆を漏らす。 その言葉を聞いてザフィーラが不敵の笑みを見せながら相手を真っ直ぐと見据えてまだまだこれからだと言わんばかりに増々燃え猛る闘気と漲る魔力を纏い、雄々しく拳を構えて吼え猛る。
「我は『何者にも皆を傷付けさせぬ不破の盾で在りたい』ッ!」
その誓いこそ、彼が百年不動として胸に持ち続けてきた渇望──
「魔導書の持主に従属する為だけに作られたプログラム体に過ぎない我ら守護騎士などに人並みの人生を与えて下さった我が主はやてを! シグナム、ヴィータ、シャマルら百年以上の永い刻を共に歩み幾多の戦場を潜り抜けてきた夜天の主の守護騎士の同志達を! リイン、なのは、フェイト、スバル、ミクティーヌ、エリオ、キャロ、ヴァイス達掛け替えのない機動六課の仲間を! クロノ・ハラオウン等我らの大事な隣人達を! そして、
「何?
「無論だ。 この団体摸擬試合が終わった後は貴様達ロストウィングも晴れて我らの仲間内に入るのだからな。
「……フッ。 いいだろう! 先程お前の【守護の意志】を見下げて侮った事を謝罪する」
確かな【守護の意志】を示し。 その根幹に在る渇望を打ち明け。 身内は勿論、本局のトップエリートと辺境世界の最底辺不良部隊という格差の隔たりがあった為にこうして互いにいがみ合い、団体摸擬試合という形で自分達と対立しているゴートン達ロストウィングの連中も含め、この身を盾にして全てを護ってみせると大胆不敵にも言ってみせたザフィーラの魂に強く懐深いものを垣間見たゴートンは、それに敬意を表してこの試合中に相手の持つ【守護の意志】を自分に比べれば取るに足らないものだと侮辱した全ての非礼を詫びて潔く前言を撤回。 そして目の前の誇り高い人狼の騎士を己と対等の【守護の意志】を持つ戦士であると認め、彼を全力で拳を振るうに値する相手だと認識を改めて、全身全霊の魔力と闘気を練り上げて右腕を覆う
「ここから先は、ただひたすらに互いの意志と魂を懸けて全力の拳をぶつけ合うのみだッ!」
「フッ、いいだろう……
「来い。 機動六課の誇り高き守護神──《盾の守護獣》ザフィーラッッ!!!」
ここに両陣営の守護神は互いの持つ【守護の意志】を認め合った。 ならば最早言葉は不要。 そう互いに相手の名を呼び合ったのと同時に最終ラウンドのゴングは鳴り、先程ゴートンの踏み込みによってバトルフィールドを丸ごと陥没させて出来た巨大クレーターリングの中央で二人の漢の拳と拳が激突し、火山の大噴火と見紛う朱い衝撃波が天を突き抜けた。
……ここから先の試合展開はまさに“泥仕合”という他に言い様がなかった。 魔法も戦技も戦術も駆け引きもそこに介在しない、只ひたすらに互いの顔面を拳で交互に殴り合い続けるという、泥臭く品の欠片もない唯の喧嘩であった。 しかもゴートンは「ここで不公平だと言って手加減をしては、対等と認めた戦士への侮辱だろう」と考えて無敵の《
「ぬぅぅんッ!」
「ぶはぁっ!……ぐぬぬ。 まだまだだッ!」
「がはぁっ! クッ、この程度……ヌォォオオオッ!!」
何故だろうか、このむさ苦しい男二人が筋骨隆々の肉体で殴り合うという、漢臭くも泥臭く誰が観ても不毛だという感想を述べるであろうこの醜い喧嘩の風景が、この場に居る誰一人として一瞬たりとも目が離す事ができないでいる。 他の声も雑音も一切立たさず、息を呑んで
「ぬぉぉおおおおぉぉおおおーーーっ!!」
「ハァァアアアアァァアアアーーーッ!!」
下品な叫び声をあげて互いの顔面に拳を減り込ませ、それによって互いの鼻孔から吹き出させた大量の鼻血によって両者の肉体全身が汚らしい朱に染まっていく、
「はぁっ、はぁっ! ……貴様の……負けだッ!!」
「ゼェッ、ゼェッ! ……俺の……勝ちだッ!!」
ザフィーラはとっくの前に耐久値の限界を超えて身体に蓄積され続けたダメージによって、ゴートンはザフィーラの粘りと大質量を誇る
「ぬぉぉおお、ゴートォォオオオーーーーンッ!!!」
「ザフィーラァァアアアーーーーーッ!!!」
機動六課、ロストウィング、外野の両陣営の誰もが息を呑んで見守る中、全身血塗れで睨み合った二人の漢が最後の意地を振り絞って同時に相手へと拳を打ち出した。 リーチの差でゴートンの機重鉄腕が先にザフィーラの顔面へ入るかと思えたが──
「ンガ!?……が……──」
「アァァ……あ……──」
どうやら両者共に意地よりも
「ザフィーラさんとゴートンさん、
「「「「「「「な───ッ!!?」」」」」」」
「嘘……やろ……?」
なのはがこの場に居る皆へ向けて
そして立ち上がった男は自分の目の前でこちらの足下へと左手を伸ばしきったまま前のめりに倒れ伏している相手を見下ろし、勝ち誇る微笑を浮かべると共にその重い口を開き──
「見事だ……《盾の守護獣》ザフィーラ。 俺はお前と全力で拳を交えられた事を……誇りに思う」
そう本物の【守護の意志】を持った誇り高い対戦相手へ健闘を称えたのだった。
「しょしょしょ、勝者は──ロストウィングの《ゴートン・リライラス》さんッ!!」
なのはが審判役として公正に改めてこの試合の勝者の名を高らかに謳いあげた。
その直後同時にザフィーラの全身が眩い光に包まれ、それが剥がれるように消えると其処には
数秒経って処置を終え、「安静にしていればもう大丈夫」だと言ってシャマルがザフィーラの容態が安定した事を伝えると、六課陣営の皆は一先ずほっと安堵の様相を呈し、それでようやくシグナムに道を開けてもらえたはやてが泣き出しそうな顔をしてザフィーラの許へと歩み寄ると、我慢しきれず目から涙を決壊させて隣に寄り添うようにして彼の毛並みへと顔面を埋める。
「ごめんなぁ。 そして、ありがとな……ほんまに……ありがとう……うぅ、ああああああーーーッ!」
今まで十年間ずっと、こんな酷くボロボロになって私の大切なものを守ろうと頑張ってくれてありがとう、私の自慢の守護獣……そんな感謝の気持ちを表すようにはやては愛おしい家族を労しく抱きしめ、同時に彼の仕える主としてどこまでも自分は力不足であると痛感し、その事が情けなさ過ぎるあまりに嘆いて泣き叫んだ声が悲愴なまでに山彦に反響するのだった……。
ザフィーラVSゴートン、遂に決着! いや~、三話に渡って四万字以上も男同士の単調な殴り合いを書く羽目になるとは思わなかったなぁ……疲れた。(汗)
しかしザフィーラってこんなに重く過去の失敗を引き摺って意地になるような性格だったか? と、疑問に思うでしょうけれど、男は大体は意地を持って戦うものだと自分は思っているので、自分が書くザフィーラやエリオは原作よりも意地っ張りなところがあります。 ス◯ライドとグ◯ンラガンは
それにしても昨夜に放送開始した新作アニメ『戦闘員、派遣します!』のキサラギ幹部の皆様……何か元絵よりカワイクなっとるやん!? 特に氷結のアスタロト様、貴女そんな童顔激萌え美少女だったっけ? 原作の一枚絵だともっと大人のお姉さま風の印象の顔付きだった気がするんだけど……だが、悪の女幹部のエロコスプレツンデレ童顔美少女とはだいぶ自分特だし、それも良し!(おいッ!?)
呪術廻戦のアニメも最後まで面白かったし、最近は色々と面白いアニメ・ゲームが多く出てきていて、目移りしちゃってます♪(小説書けよ)
では、また遅くなる可能性が高いけれど、次回もお楽しみに!