THE LEGEND OF LYRICAL 喪失の翼と明の軌跡 作:蒼空の魔導書
今回はスバルの過去と彼女が懐いた渇望の話がメインです。
「臭っ──さああああああああいいいいいいいいわああああああああッッッ!!!」
模擬戦場全体に充満していた次元世界一の悪臭がするという現生魔法生物の
「結界張っても死にさらしそうなぐらいに超臭いわ、アホーーーッ!! っちゅうか、オナラの魔法とか、ホンマにアホかっ!? あのチャラ男、アホなんとちゃうかああああああッ!!!」
結界が無かったら即死でしたね☆ と言えるレベルの激悪臭をとばっちりで嗅がされた理不尽に、エセ関西人芸人やがみんの魂が込められたツッコミ絶叫がメルクーリア連峰の山並みに反響し、珍妙な空気に響いてくる。 スバル達機動六課FW陣の試合対戦相手であるフォックス・ストーンが悪ふざけに放った放屁魔法の攻撃被害範囲は広すぎて、その激臭はバトルフィールドの外野にまで及んでいた。 そのとばっちりでバトルフィールドの外野線が引かれた目の前に設置されていた控えベンチの両陣営に山よりも
「いいや、ちぃっとちゃうなぁ機動六課の部隊長はん。
「ぶっ──はあああああああッ!! ゲフッ、ゲフッ……うえぇ、まったくだぜ。 あの万年時代遅れの
「ガスぅ~……うっぷ」
「八神。 機動六課の連中も。 何度も身内が馬鹿な迷惑をやらかして、すまないな……」
戯れに使用する次元世界一臭い放屁魔法の被害に同所属部隊の仲間である自分達を巻き添えにして鼻が捻じり千切られるような酷い目に遭わせてくれた、只今バトルフィールド内上空で束になって怒涛に攻め掛かるスバル達4人を纏めて迎え撃っている真っ最中であるフォックスを全員でゲッソリとした表情になって扱き下すロストウィング陣営側一同……ある意味で猛毒ガスよりも有害なガスを嗅がされた直後の気分悪さによって胃の中から吐き出しそうになっているロッキーの背中を横から片手を伸ばして摩っているゴートンがもう片方の手で恥と情けなさがゴチャゴチャになった自分の顔面を覆い隠しながら、生真面目に身内が引き起こした迷惑行為に対する謝罪をはやて達へ向けて伝えてくる。 その誠意を見て、はやてはどうにか溜飲を下げれて気を落ち着ける。
「ぁ……てか、いやいや。 別にリライラス三尉の所為やあらへん訳やし……」
「別に“ゴートン”で構わない。
「ハハハ……おおきに。 まあ、もう過ぎた事やし別にええわ。 それよりも試合状況はどうなっとるんや?」
はやては気を取り直し、鼻の曲がりを回復した皆とともに上空で続いている試合の様子に視線を移した。
スバル・ナカジマは物心が付いたばかりの幼少の頃、今現在のような積極的で明朗快活な気質はなく、それとは真逆に当時は元来内気で人見知りな性格をしていて、戦いや争い事などは大の嫌いであった。 少し怖い目をみると直ぐに泣きわめき出して、今は亡き彼女の育ての母である《クイント・ナカジマ》や現在は父《ゲンヤ・ナカジマ》が部隊長を務める陸上警備隊で一緒に勤めている姉《ギンガ・ナカジマ》の背中へとサッと逃げ隠れてしまっていた程で、その殆どの者が戦闘を生業としている魔導師などとは非常に縁遠いような、泣き虫な普通の女の子だったのだ……。
現在の新暦75年から約八年前にミッドチルダの首都防衛隊所属の陸戦魔導師であった母クイントがとある特別任務で殉職してしまい、スバルはその形見にクイントが魔導師として愛用していたアームドデバイス《リボルバーナックル》の右手用のを、姉ギンガが左手用のを受け継いだ。
でもしかし、よく懐いていた母の死に直面して、まだ幼かったスバルの未成熟な心には人一倍に大きな傷ができてしまっていた。 元々暴力や争い事を嫌っていた気質が母の死後につれてそれが極端に酷くなった。 大好きな姉であるギンガがシューティングアーツの稽古に誘ってもその途端に激しく泣き喚いて拒否するようになり、管理局の魔導師が活躍している戦地のニュースや戦いで悪人をやっつける特撮ヒーローや変身ヒロイン物などといった戦いに関するTV番組は頑なになって視聴しようとはせず、街の公園で遊んでいて他の子供達がブランコの取り合いになってケンカを始めだしたのを視界に映した途端に酷く恐怖してその公園から遠くへと逃げ出してしまって、その後日からはその公園には二度と近寄らないようになる。 それ程までに“戦い”に関するあらゆる物事をスバルは大変嫌悪した。
『戦いはあたしの大事な人達を傷付けて、あたしからみんな奪って行ってしまうんだ。 だから、戦いなんて、大っ嫌い……!』
姉ギンガが亡き母の跡を継いで管理局の魔導師になる為にシューティングアーツを磨き続けて陸士訓練校に入学していく傍ら、スバルは次第に魔導師になる道から遠ざかっていっていた……。
そうして時が流れ、現在から四年前となる新暦71年4月を迎える。 スバルは陸士訓練校の春休み期間で休暇を取るギンガに父ゲンヤの勤め先である陸士108部隊へ遊びに行こうと誘われた。 正直に言えば魔導師が大勢居て日常的に大嫌いな戦いが近くに存在している管理局の部隊になんて行きたいなどとは思わなかったが、今となっては自分と姉の唯一無二の親であり日頃から仕事が忙しくてなかなか顔を合わせていなかったゲンヤには久しぶりに会いたいと思った為、しぶしぶと姉からの誘いを受けた。
そしてナカジマ姉妹は同月の29日に飛行旅客機を乗り継いで陸士108部隊へと向かう為にミッドチルダ臨海第8空港へとやって来た。
ところが其処へ再び不幸がスバルに降りかかった。 次元航行便に何者かが隠して密輸されていた危険度SSS級の
爆発の衝撃で崩れ落ちる建物の瓦礫、迫り来る火の手、パニックになって逃げ惑う人々の荒波……それらにナカジマ姉妹も否応なく巻き込まれてしまい、スバルはギンガと離れ離れにされて、挙句の果てには炎の中に独りぼっちで閉じ込められてしまうのだった。
『うぇぇん。 熱いよぉ……怖いよぉ……助けてよギン姉ぇ……』
火災から逃れようとして押し退け合いながら空港の出口へと向かって行く一般客の雪崩に飲み込まれた時に脚を挫いてしまった所為で負った怪我と自分の周りを取り囲んで逃げ道を閉ざした炎が齎してくる熱と煙、そして何時も頼りにしていた姉と逸れて誰も居ない場所に閉じ込められた中で齎され続ける耐え難い孤独感によって、当時僅か11歳の幼子だったスバルは身も心も極限の苦痛に酷く苛まれていた。
『……もう嫌だよ。 戦いも、痛いのも、大切な人が死んであたしの側から居なくなっちゃうのも、こうして独りぼっちにされるのも、何もかも大嫌いだ!』
彼女の身も魂も燃やし尽くしてやると言っているかのように周囲を包囲する炎が徐々ににじり寄って来る中で、スバルはどうしてこんなに嫌な事ばかりが自分に降りかかるのかと不幸を泣き喚き、理不尽を怨む。
『だから、お願い……誰か……誰でもいいから……
故に彼女はこう
『──よく頑張ったね。 もう大丈夫だよ』
一時は何を身勝手な願いをするな無礼者がと言わんばかりに、傍に聳え立っていた天使の石像が周囲の炎に全身を燃やされながら倒れてきて、遥か
『安心してね。 これで安全な場所まで一直線だから!』
両足に履いた光の翼の靴で宙を舞い、一切穢れの無い白き衣を纏った長い栗毛の可憐なる天使──当時は15歳だった時空管理局の若手魔導師きっての不屈のエース“高町なのは”は左手に携えた
『ディバイイィィン────バスタァァアアアアアッ!!!』
その
『ぁ……ああ……っ!!』
その桜色の光は幼いスバルの目に尊く焼き付けられ、そこから流れていた不幸を嘆く涙は止んでいた。 何故ならまさしくその光は
それから、スバルはなのはの片腕に抱かれて砲撃で空けた吹き抜けから星空へと飛び出し、別の場所でフェイトに救出されていたギンガとともに、父ゲンヤのもとへと無事に送り届けられたのだった。
あの日、煉獄のような炎の中で苦痛からの救済を願った自分のもとに舞い降りた
そしてスバルは思ったのだ、『高町なのは……あの人こそが、あたしや次元世界の総てから“痛いの”を全部消し去ってくれる、絶対不堕の天使様に違いない』『あたしはあの天使様に近づきたい。 その為なら、どんなに痛くても我慢できるし戦えるんだ!』と……そうしてスバルは
その夢を絶対に叶えてみせるとして、スバルは母クイントが亡くなった日から今まで頑なに拒絶していたシューティングアーツの稽古を再開。 後に亡き母の形見であるリボルバーナックルを右手に、姉ギンガが通ったのと同じ陸士訓練校へと進む。 そこで訓練候補生寮で同室だった縁もあって《ミクティーヌ・ベクターン》とコンビを組む事となり、互いに切磋琢磨して訓練校のカリキュラムをやり遂げ、彼女は見事首席という最高の成績で卒業してみせた。 涙々の卒業式を終えた訓練校門の前で訓練校で授業と生活をともにしているうちに親友関係になっていたミクティーヌと卒業記念に訓練で破損した訓練用デバイスの部品を交換した時の思い出はあれから二年経った今も彼女の記憶に色褪せず残っている。
それからスバルは卒業してからすぐに訓練校からの推薦状を持って親友ミクティーヌとともに念願の時空管理局へ入局を果たし、二人共々《陸士386部隊災害対策課》に配属され、陸士部隊の先輩方から仕事の基本をビシビシと叩き込まれた新人研修期間を終えて……。
新暦75年4月初頭、スバルに待ち望んでいた憧れの人との再会と転機が訪れた。 この日、彼女はミクティーヌと一緒に“陸戦魔導師ランク”のBランク昇格実技試験を受けるため、ミッドチルダ北部に在る荒廃都市区画へとやって来ていた。
それでもスバルの
『お疲れさま、二人とも』
『あ……』
その立派な魔導師の浮かべる優し気な微笑みとその人から掛けられた労いの声をハッキリと認識し、スバルは思いも寄らないサプライズを受けたかのような感激と呆然とした声を漏らす。 自分の記憶に留めて忘れもしない、あの空港火災の中で炎の熱さと怪我の苦痛と孤独の恐怖の中ただ怯えて泣いて誰かに助け求める事しかできないでいて、とても情けなくて弱かった幼い自分のもとに舞い降りてくれた、白い衣を纏った長い栗毛の天使様──時空管理局が誇る絶対無敵の《エース・オブ・エース》にして本局戦技教導隊所属のSランクオーバー級空戦魔導師、高町なのは一等空尉。 4年前のあの日見た時よりも彼女は益々と凛々しく美しく身体もより理想の女性らしい豊かな起伏に富んでいて、しかしあの日と全然変わらない優しさと頼もしい雰囲気を纏わせて、今再び成長した自分のもとに舞い降りて来てくれた。 自分の事を苛んでいたあらゆる“痛み”を桜光の砲撃で消し去って救ってくれたあの瞬間からずっと狂おしい程に憧れを懐き、その背中に追い付きたいと思っていた人と再び出会えた感動に、両目の奥に熱いものが込み上げてくる。
『なのは……さん……』
『ん?』
『あ……ああ、いやっ! 本局の高町なのは一等空尉……ですよね? ええと、あのぅ……そのぅ……』
『……ふふ。 別にそんなに硬くならないで。 “なのはさん”でいいよ。 みんなそう呼ぶから。 ……それと、
『え? ……あたしの事、覚えていてくれたん……ですか?』
『うん。 元気そうで良かったよ、
『っ! はい……はいぃッ!!』
スバルは憧れた英雄に自分の名前を呼ばれた感激が極まり過ぎて、もう堪らず目許に溜めて我慢していた涙をその場で決壊させていた。 そして、この瞬間に彼女の中で高町なのはという存在は絶対的な崇拝対象になってしまった。
『なのはさんに付いて行けばあたしは絶対に大丈夫』
『無敵のエース・オブ・エースと呼ばれて、誰よりも強くて優しいなのはさん』
『なのはさんに指導してもらえば、あたしは何処までだって強くなれるんだ』
『なのはさんだったら、きっと誰にだって負けないし墜とされたりしない』
『なのはさんこそあたしがずっと願い求めてた、世界の総てから“痛いの”を消し去ってくれる絶対不堕の天使様に違いない』
『なのはさんなのはさんなのはさんなのはさんなのはさんなのはさんなのはさんなのはさんなのはさんなのはさんなのはさんなのはさんなのはさんなのは──』
そして……
──嘘だ。
先日に六課が奇襲を受けた時、スバルは相対したラグナガンド軍の戦奴達が放つ計り知れない
──なのはさんが敵に墜とされて負けただなんて、そんなの絶対に……嘘だ!
竜が去った後に医療センターの病室のベッドの上で眠りから覚めた時、隣のベッドに寝転がりながら【誰の心でも簡単に踏み躙れる友情ゴッコのススメ】という変に怪しい表紙タイトルの心理学本をゲラゲラ笑って読んでいた何事も無い様子の
『ん~、気を遣って言うと……ゴメンね。 気を遣った言葉が思い浮かばない程、フルボッコにされて負けちゃったんだ。 なのはさん達……』
『……は?』
ちょっと申し訳なさそうな口調になった親友からの返答は例え次元世界中の天地がひっくり返ったとしても絶対に有ってはならない隊長陣の敗北結果報告だった。 勝利の期待とは真逆の内容を聞かされて思わず耳を疑い、表情を硬直させて茫然自失と間の抜けた声を口から漏らした。
『ご、ごめんミク。 ちょっと寝起きで耳がボケてたかもしれない。 もう一度言ってくれる?』
ふふ、またまたぁ、悪い冗談を言わないでよね。 どうせ、時々意地悪な性格が出るこの親友がいつも自分にやってくるドッキリかイタズラなんだろう……そうだよね? 頼むから、そうだと言ってくれ。
『そんな事言って、聴こえないフリして誤魔化してるんでしょ? 信じられないのは分かるけれど、現実見た方が良いよ。 気を遣ってもう一度言うけどね、
『「嘘だああああああああああッッッ!!!」』
そして現在、スバル・ナカジマは悪夢のように思い返していた過去の己と重ね合わせて、絶対無敵だと信じていた
「トウギューヒラリーマンチーング
「ごがっ──!!」
「「「スバル(さん)!」」」
しかし、がむしゃらに振り被った
『くっ! ……キャロ、強化を頼む!』
『あ……う、うん。 わかった──』
「──エリオ君お願い! 《ブーストアップ・ストライク&アクセル》!!」
猛烈な勢いで地面に叩き墜とされたスバルのダメージは心配だが、この隙に相手から追撃されたら危険だ。 高速機動特化型魔導師が故の高速思考回転速度で真っ先にそう判断したエリオは念話で自分が居るすぐ側のウィングロード上に立ちながらスバルが墜とされた地点を苦悶の表情で見下ろしていたキャロに
「かー○ーはーめー──「ハアアアァァーーッ!!」──って、うおっぴぃ!?」
彼の予想通り相手自身が真下へ叩き墜としたスバルに向かって追撃の収束砲撃魔法を撃ち込もうとしていた直前に滑り込む形でエリオは横から不意を突く。 得物である
しかしフォックスは寸出のところでエリオの横槍に反応し、突き出しかけていた両腕を引っ込められた事で高速射出されてきたストラーダの穂先をギリギリ躱した。
「ふぅ、危なi「まだだッ!」──って、そのまま
だがエリオだって自分よりも魔導師として経験も実力も圧倒的に格上の相手に対して、不意を突いた攻撃でも必ず決定打を当てられるなどと思い上がってはいない。 彼は
「はああああっ! やっ! ふっ! それっ! てりゃあああああ!」
驟雨の如き神速の乱れ突き、からの体重移動の宙空一回転と手首の
《鉄槌の騎士》ヴィータ直伝の
「これならッ!」
「のわおっとっとっ! あっ、あぶにぃー。 ちょっとヤンチャしすぎでしょエキセントリック少年」
「誰がエキセントリック少年ですか! でも段々とフォックスさんの動きに付いて行けるようになってきましたよ。
そう言って波に乗ってきたエリオが腕と手首を巧く使って突き出すストラーダの穂先の軌道を制御する事で変幻湾曲自在な連続突きを繰り出してくる。 フォックスはそれを若干冷や汗を掻きながら絶妙に
「いや、別に
「別に、只の子供の思い付きですよ。 実戦経験で上回っている格上の人相手に対して
自分の持つ武才の高さを相手から賞賛(相変わらず死語だらけの言葉遣いで褒められているのか馬鹿にされているのかイマイチ判断つかないが)されても、エリオは驕る事なく謙遜と説明を返しつつ隙の生じぬ槍捌きで果敢に攻め続けて、当たるスレスレを躱し続けるフォックスを徐々に疲弊させていく……そして、程なく肘の返しを柔らかく使った上下段二連突きを放ったところでとうとうストラーダの穂先が相手の青紫色ワックスがけツンツン頭に覆い被さっていた
「チョベリバー!」
「
フードを突き取ってギラギラと照り付ける日の下に晒したフォックスのガングロピアス面に決定打となる一撃を狙い定め、エリオは《烈火の将》シグナム直伝の《紫電一閃》を放つ。
「紫電────一閃ッ!!!」
シグナムが繰り出す
──よし、当たっ……て、な──ッ!!?
フードが突き捲れて、高山特有の猛烈な直射日光が眼に刺さった為に一瞬の硬直を曝したフォックスの眉間に雷速の真空ドリルが突き貫いた──かに見えたが、非殺傷ダメージの手応えが無く、その頭部をストラーダの穂がすり抜けた。
「身代わりの
「背後からドーン!」
「──ぐば、あ″あ″あ″あ″あ″ぁぁぁ!!」
ストラーダに貫かれたフォックスの幻影分身体が紅紫の霞と化して消滅し、それと同時に本体が
電磁超加速を使用した雷速の刺突を空突きした直後、若干十歳の幼子の細腕に襲い掛かってきた反動はその必中必殺の威力に比例して凄まじく、その猛烈な推進力を抑え止める事はエリオの未発達の筋力では身体強化魔法で筋力強化を施しても難しかった為、柄に両腕を引っ張られて先程のスバルと同様に前傾姿勢につんのめってしまった。 更に言うとエリオの紫電一閃は技を繰り出そうとする直前に
「エエ、エッ、エリオーーーーーッ!!!」
「エリオ君ーーーーー!!」
「キュオオーーーーーン!!」
「クッ! エリオのあの紫電一閃は強力な分、相手に付け入れられる隙は大きいか……どうやら実戦で使うにはまだまだ改善と修練の時間が要るようだな」
「そうですね。 だけどエリオも背中に攻撃を受けた時に、
派手に外野へ吹っ飛ばされたエリオに
『よしキャロ。 此処は気を遣って、教科書通り二人で背中合わせになって守りをガッチガチに固めておいて、
『そ……そうですね。 エリオ君もスバルさんも沢山食べるから丈夫だし、きっと二人共やられていないと私も思います。 時間稼ぎでいきましょう、ミクティーヌさn──』
「ところがギッチョン、そうは問屋が卸三杯!」
「──って、嘘、いつの間に!?」
「百合の間に割り込んでか~ら~のぉ~。 秘打、ハクチョウの舞い!」
「きゃ、きゃあああっ!」
「ギャオギャオ!」
エリオが飛ばされて行って落下した場所を見定め、彼が持つ高い機動力を考えれば其処からバトルフィールドへ戻って来るまではそれ程長い時間は掛からないだろうと判断したミクティーヌは念話を通してキャロに時間稼ぎ作戦を提案する。 それを聞き、頼れる相方の少年がやられて一瞬放心していたキャロが気を正してその提案を呑み、早速作戦に移ろうとしてフリードを抱いたままミクティーヌの許へと駆け寄ろうとするが、二人の作戦を読み切っていたフォックスが
「うおおっと!? 気を遣って言って、ギャグっぽい格好の割に重い打撃力してるし。 でもボクはどっちかと言うと男の
「わわわ、私だってそうですよ! でも、好みの
「誰もタイプの男なんて聞いてないにー☆ あ、それー。 何やら乗って参りましたー! いつもより多く回しておりマッチョオオオオ!!」
「「ヌーーーーッ!!!」」
「キュルルーーーーッ!!!」
まるでギャグ漫画のようにコミカルなスピンで回転し続けるフォックスを魔法の防壁で挟み、ミクティーヌとキャロは防壁に超高速で断続的に叩き付けられる錫杖の打撃力が思いの他凄まじくて防御を維持するのも一苦労だという様相を呈しながら、相手から何を根拠に
「──ぐあっ!? 痛っっってぇ……おいフォックス! テメェ、
機動六課FW陣四人と一匹を相手に一人で大太刀回り圧倒的な実力差を見せつけるフォックスの大暴れっぷりはバトルフィールド外野の両陣営控えベンチにまで飛び火が及ぶ程に凄まじいものであった。 上で前後に挟むミクティーヌとキャロの防壁を猛烈な勢力で押し退けていっているフォックスの超速旋風回転攻撃に巻き上げられた土砂礫が野球の弾丸ライナーを連想させる瞬間スピードで流れ飛ばされて来た、それが彼が自慢にしているトレードマークであるリーゼントのトサカを潰して頭にクリーンヒットした事で額に大きなタンコブを作ったビスマルクが真っ赤に茹で上げた
「あんの多重次元宇宙一の超超超大ドアホウが──ったく! さっきの絶死級オナラガス弾といい、そろそろええ加減にせぇよ? これ以上ふざけ腐れ続けとるんなら、あのガングロチャラ男の股間のピア○ンに此処から一発
「……なるほど、確かに大分強いね、あのフォックス君という子」
「あん?」
対戦相手が格下の新人魔導師チームな上に軽い挑発で容易に激怒し暴走してチームの連係を無視し
「なんや高町? 人ん事ジロジロと見つめおってからに……まさかワイに気でもあるんか? 悪りぃんやけど、
「こっちだって君みたいに短気で怒ると直ぐに銃抜いて問答無用で眉間を撃ってくるような人を彼氏にしたいだなんて一生思わないからねッ! ……ただね、ちょっとフォックス君について訊きたいの」
有ろう事か恋情を向けられていると勘違いされた挙句にセクハラセットで断じて言ったつもりもないこちらの告白をフッてやったかのような口ぶりを吐きながら上唇を噛み締める程凄く嫌そうな顔をしてきたガンマに、滅相極まりなさ過ぎたあまり途轍もなくムカッ腹を立てて自分もお前なんかを恋人にするなんて願い下げだと負け惜しみ全力全開でフリ返してやった彼氏イナイ歴=年齢のまま成人を目前に控えた純潔乙女の高町なのは。 その所為でとても不機嫌を被った顔になったが、なのはが訊きたかった事はフォックスの戦闘能力についてであった。
「
経った今、竜巻旋風でFW後衛の二人の防壁を同時に粉砕しそのまま二人共仲良く外野へ弾丸ライナーで打っ飛ばし、グルグル眼を回してふらつきながら回転を止めたフォックスを怪訝そうに見上げ眺めるなのは……彼女は戦技教導官として、自分の教え子の四人(+一匹)を同時に相手取りながら
「でも
「あ~、そういう事かいな……せやけど、そないな事なら全然心配は要らへんて。
なのはの疑念にガンマが何だそんな事かと書いたような真顔と共に蟀谷をポリポリ掻き、続けてフォックスはもうそろそろ本気を出してくると断言する不敵の笑みを浮かべて、激しい試合の余波を受けて濛々と立ち込めた大量の砂煙に蔽われたバトルフィールド内にて、経った今地面から起き上がった魔法格闘少女の人影へ物を試すような鋭い視線を差すのだった……。
どうしよう、スバルの渇望が確定レベルでヤバイ内容のものになってしまったよ。(白目)
エリオ君強化しました☆ 原作のかみなりパンチもイイけれど、超電磁加速斬撃はロマンだぜ!
さて、次回こそは此処まで引っ張っていたフォックスの特殊能力を御披露目します。 FW陣は果たしてどこまで食らい付けるのか? お楽しみに!