THE LEGEND OF LYRICAL 喪失の翼と明の軌跡   作:蒼空の魔導書

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約束通り昨日更新した話の続き約五千字を投下っ!!

主人公達の名前はまだ明かさないとは言いましたが、二つ名は別モノですよね?(爆)



絶望の焼け野原を穿つ黎明の流星

氷の塔が海面に倒れ、天まで昇るような水飛沫をあげて氷の橋が架かる……その道を道標に完全武装でその上を飛翔する空襲兵隊が撃墜しに向かう目標は高町なのはを腕に抱えて()()()()()氷眼の少年。

 

()()()()()()()()()()()()()S()()()()()()()()()()()()()()()高位の空戦魔導師の集団が徒党を組み、フェイト・T・ハラオウンの最高飛行速度に匹敵する機動力をもって空を突貫する編隊はまるで彼等が通り過ぎる空道上に存在するあらゆる生物を一瞬で食い荒らして行く紫色の八咫烏の群れのようである。

 

──うそでしょ、わたしと同等の魔力を感じる魔導師があんなにっ!!

 

なのはは氷眼の少年の腕の中で飛来してきている敵戦力の強大さを感じ、驚愕に眼を見開いていた。 当然だ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()であり、時空管理局最優の魔導師の称号《エース・オブ・エース》を持つなのはですらも自分と同格のSランクオーバーの魔導師三人以上の包囲挟撃を受ければ撃墜は必至なのだから。

 

「……」

 

()()()()()()()()()()()()()()()。 それ程に強大な戦力がもう目前まで迫って来ているにも拘らず、この氷眼の少年は顔色一つ変えずにヴォルカーン達が戦闘を繰り広げている戦場をその氷眼に納めている。

 

──あんな異常戦力を馬鹿正直に正面から相手になんかしたら一巻の終わりだ、早く逃げないと!!

 

「あ……あのk──っ!!?」

 

焦燥に駆られたなのはは自分を抱えている氷眼の少年の顔を見上げ、向かって来る敵隊から急ぎ離れるように促そうと今も激しく鳴り続けている胸の鼓動を抑えて口を開こうとするが、それは少年自身の手によって止められてしまった。

 

──ふ、ふえぇぇっ!?

 

羞恥熱が高まるあまりに思考回路が沸騰しそうになり、連続して打たれる鼓動の音の間が無くなる程に心拍数も急上昇、なのはは自分の唇に後数ミリ近づければ接触してしまうような至近距離にそっと添えられた雪のように白い指先を前に眼を見開き、顔全体を朱く染めて恥じらいの動揺を見せている。 動揺のあまりにその指先から視線を逸らして見上げてみれば凛々としたアイスブルーの瞳が彼女の碧い瞳を優しく見つめており、空いた方の手の人差し指が少年の薄紅色をした唇の前に立っていた為に胸の鼓動が更に速まってしまう。 凛々しい女性にも見紛うような整った顔立ちの美少年が自分を横抱きにしながら優しい眼で“シー”とやる仕草が見下ろす光景は年頃の女性の眼には猛毒極まりないだろう、故に不屈の心という強靭なメンタルを持つなのはがタジタジになってしまうのも無理はないと言える。

 

「よっしゃー!俺が一番槍ぃぃーーーっ!!」

 

だが桃色空間を形成している場合ではない、こんな事をしている間にもう最前列の敵兵が二人を射程圏内に捉えそうだ。 それを察知した氷眼の少年がたじろぐなのはに囁いた。

 

「口を閉じていろ。 舌を噛むぞ」

 

──え?ちょ──にゃぁぁああああああーーーーっ!!?

 

訳の分からないまま心の準備が整うのも待ってくれずに容赦なく彼女にバリアジャケットを纏っていても全身が引き千切られてしまいそうな凄まじいGが襲い掛かった。 今日まで彼女が十年間空の魔導師として飛んできて今まで見た事がないような超速で雲が流れて行く。

 

「ぐはぁ──っ!!?」

 

その一秒も経たぬ間の刹那、悶絶するような声が耳に入ってきたので眼下に目を向けて見れば銃剣型デバイスを手放して海へと落下して行く紫の軍服を着た兵士が一人。

 

──ええぇっ!? 何あれぇぇええーーーっ!!

 

驚愕が過ぎるあまりに彼女が持つ全マルチタスクが絶叫一色に染まっていた。 今落下して行った兵士が明らかに先程“俺が一番槍ぃぃーーーっ!!”と叫んでいた敵兵だったからだ。

 

いったい何故と思う間も無く再び彼女に襲い掛かるGと視界を流れて加速して行く雲──

 

「な、なn──ぐふぅぅっ!!

 

「は、速過ぎr──ぶべらっ!!

 

「ラウンドシーr──あべしっ!!

 

「イヤーーーッ! グアーーーッ!!

 

そして瞬く間に次々と母なる海へと落下して行く第二二六強襲中隊の空戦魔導師達……よく見るとその落下して行った敵兵達は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()をしていた。

 

これが意味するのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という事に他ならないだろう。

 

いったい誰が? という疑問は撃墜された兵士達がその直前に飛行していたであろう位置を逆算し其処に視線を向けてみれば直ぐに解決できた。 其処に存在していたのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。 そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。 詰まる所──

 

──この人がわたしを抱きかかえながらフェイトちゃんよりもずっと速いスピードで()()()()()()()、Sランクオーバーの敵魔導師達を徒手空拳や蹴りを使って殴り落としているゥゥーーーーーッ!!?

 

「怯むなぁぁぁっ! 撃って撃って撃ちまくれぇぇえええーーーーっ!!!」

 

氷眼の少年の圧倒的速力と近接戦闘技能の高さを目の当たりにした後続の敵兵達は無闇に接近するのは得策ではないと判断したようであり、迅速に遠距離射撃による空間弾幕爆撃殲滅戦法に切り替えてきた。

 

「にゃぁぁああぁぁあああぁああああああーーーーーっ!!!」

 

エース・オブ・エースの悲鳴が無数の爆音と共に大空に轟き渡った。

 

マシンガン、サブマシンガン、アサルトライフル、ショットガン、対物(アンチマテリアル)ライフル、マイクロガン、ミニガン、バズーカ砲、対戦車擲弾(パンツァーファウスト)、皆大好きRPG-7、グレネードランチャー、ロケットランチャー等々の対魔導師用改造質量兵器はもちろん。 射撃魔法、追尾魔法弾、誘導操作魔法弾、炎弾、雷弾、冷弾、飛翔魔力刃、なのはの《エクセリオンバスター》にも匹敵する砲撃魔法等々の色取り取りの弾幕が二人の行く道を埋め尽くしていく。 極めつけにははやての《フレースヴェルグ》とも遜色がない広域殲滅砲撃までもが無詠唱で発射されて来る上に、豪華特典として無数の集束魔法(ブレイカー)が一斉に撃ち放たれて大空を蹂躙していく。

 

その地獄絵図のような空を見上げ、地上のはやて達はそれぞれ十人十色の驚きを露わにしていた。

 

「ななな、なのはちゃぁぁああああんっ!!?」

 

「そんな、なのhゲホッ! ゴホッ!!」

 

「おいおい、安静にしていろよ。 活力剤で自然治癒力を高めたからといってまだ背中の傷は塞がりきっていねぇんだぞ、なあ?」

 

「いいや、大丈夫でしょ。 あれアイゼナッハ流の秘薬だし」

 

「それ……説明になってないですよ」

 

「うお、すっげ! 空全体が爆心地じゃねぇか。 小規模の次元震が発生しているみてーだし、ミッドぶっ壊れちまうんじゃねぇの? あはははっ!」

 

「全っ然笑えないわよっ! もしそうなったらあたし達もタダじゃ済まないじゃない!!」

 

『そうですよ、タダより安いものは無いんですからね! なのでタダで済むのならタダで済む方を──』

 

「ベアトリス、頼むからいい加減に黙ってくれ」

 

地上では援軍に来た五人が地上に残っている第二二六強襲中隊の面々と交戦しながらも連携を駆使して其処らに満身創痍及び戦闘不能状態で転がっていた機動六課の面々を回収。 彼女達を一ヶ所に集めてその周りを五人で囲む事で護りを固めていた。

 

「かはははっ! なんだテメェ等、逃げ回り出しやがったからもうへばったのかと思ったら随分と余裕そうじゃねぇかよ?」

 

「アハハハッ、この状況でよく他の事なんかを気にできるよねー。 自分達から進んでチェスで言う“詰み(チェックメイト)”同然の状況を作ったっていうのに……ひょっとして何か企んでいちゃったりする?」

 

東側では満身創痍のフェイトと未だに根気よく意識を保ち続けているミクティーヌを含むFW陣を紅髪の少女と白百合の少女が護っていて、その眼前には第ニニ六強襲中隊の兵士達が隊列を組み一斉射撃の体勢を取っている。 南側では肋骨を五・六本砕かれてノックアウトされたヴァイスを小柄の少年が護っており、その眼前でファングがまだまだ楽しめそうだと牙を見せて笑っている。 その対角の北側では全員戦闘不能状態で気を失っているヴォルケンリッター達とリインを破天荒少年が護り、その眼前でカッツェがこの状況で雑談に興じている敵対者達に対して呆れた笑いを浮かべつつも何かを期待するかのようなニヤ付いた半目で彼等を見据えている。 そして西側ではやてを護っている白雷の騎士の眼前には無論──

 

「愚か者共が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とはな」

 

第二二六強襲中隊の隊長であるヴォルカーンが白雷の騎士達を失望が籠った眼光で射貫き、背中の頭上に強大な魔力を孕む巨大な鉤十字の魔法陣を顕現させていた。 彼が放つ威圧感は焼け焦げる鋼鉄のように追い詰めた愚か者共の精神を削ぎ落とす。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()だ。 加えて言えば戦力に差があれば差がある程にその決着性は決定的なものとなる。 オルランドが今言った通り、貴様等はもう完全にチェスで言う“詰み”だ。 阿呆共が、そんな足手纏いにしかならぬ小娘共を護って何になるというのだ」

 

「……」

 

ヴォルカーンから蔑みの視線を向けられてはやては反論する事もなく俯いていた。 それは現実的に認めざるを得ない事柄なので何も言い返せないのだろう。 現に彼女達機動六課はヴォルカーン達第二二六強襲中隊に完膚なきまでに叩きのめされてしまい、こうして何所からともなく救援にやってきた別部隊の少年少女達に護られて現在自分達の為に彼等が窮地に陥ってしまっているのだから、足手纏いと言われても仕方がない。

 

それを心外に思ったのか、白雷の騎士が厳かな面持ちで言い返す。

 

「確かに兵法に倣うのならばその通りなのでしょう、戦況を悪化させる要素は例え味方であろうと切り捨てる、なるほど合理的です……しかし局内で“特殊な立場”に置かれている僕等ですが、曲がりなりにも弱きを助ける管理局の部隊で況してや僕は“義”を貴ぶ騎士、たとえ獣の腹の中に飛び込む事になろうとも救える命を見捨てたりしません!

 

「ふん、“義”か……私も総帥閣下に“忠()”を誓った身だ、故にそれを否定はせん。 ……だが大局を見誤ってまでその小娘共を護る価値があるとは思えんな」

 

ヴォルカーンは汚物を見るような蔑んだ目ではやて達を一瞥する。

 

次元世界の法と秩序の絶対的守護者たる常勝不敗のエース達の栄光を失わせぬ為、その盾となる。 成程、調()()()()()()()だな、くだらん上に愚かしい。 貴重な“聖遺物持ち”をそのような瑣末事の為に使い捨てにするとは、つくづく管理局という組織は無脳の塵溜だな。 反吐が出る」

 

「っ!! アンタ、()()()()()()を知っているの!?」

 

自分達の素性を知っているかのようなヴォルカーンの口振りに対し白百合の少女が声を荒げて問い返す。 するとヴォルカーンはまず自分の目の前に立つ白雷の騎士を一瞥し、次に小柄の少年、紅髪の少女、白百合の少女、破天荒少年と見定めるように視線を移していく。

 

「ああ、()()()()()()()でな。 《戦天使(ヴァルキュリウス)》《切燕(スパーダ)》《烈槍(グングニル)》《朝百合(ガウェイン)》《破戒狼(ゲオルグ)》そして──」

 

最後に自分の部下達が大規模爆撃を行った影響で隙間が見当たらない程濃厚な爆煙で埋め尽くされてしまっている東の空に視線を移したその瞬間、爆煙の空の一部分に“円形の孔”が穿たれた。

 

第二秘剣———《彗星爛(すいせいらん)》っ!!

 

孔を突き抜けて飛来した黎明の流星が焼け野原を穿つ。 ()()()()()()()()()()急降斜下し、突き放った切っ先は大地を爆砕──

 

「「「「「「「ぐぁぁあああああーーーーっ!!?」」」」」」」

 

同時にその着弾地点にて一斉射撃体勢を取っていた第二二六強襲中隊の兵士達に爆砕の衝撃が容赦無く襲い掛かり、TNT爆弾で建築物を爆破するかの如く彼等は纏めて蹴散らされた。

 

「──それ等を統べる《氷眼(アレストグレイシア)》。 成程、こうして合間見えてみるとなかなか壮観ではないか。 戦場に立つ意識はともかく、戦闘能力の方は期待できそうだな」

 

「氷眼……まさか、情報部のファイルにも書いてあった()()()()()()()!?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だって噂の奴か……かはっ、面白ぇ! 今日は本当に最高の闘争日和だぜっ!!」

 

流星が地を爆砕した影響で舞い上がった粉塵が霧散していく。 形成されたクレーターの上に姿を現した氷眼の少年を上質な得物を見定めるような獰猛な眼光をもって見据えて破壊の柴竜の爪牙達は不敵に笑い──

 

「目標を確認した。 これより任務遂行の為、敵を無力化する!」

 

その猛威と正面からぶつかりに行くかの如く、氷眼の少年は威風堂々と高らかにそう告げるのだった。

 

翼を失いし烏を抱く刹那の粉雪──特務遊撃支援部隊ロストウィング《シルバーガスト小隊》。 此処に集結!

 

彼等ははやて達機動六課を絶体絶命の危機から救う事ができるのか、はたまた彼等も破壊の柴竜の爪牙に敗れ六課の戦乙女達と共に地獄(ヴァルハラ)へと堕ちてしまうのか。

 

さあ、恐怖劇(グランギニョル)の序章は最高潮(クライマックス)だ!

 

「……あれ? ところで、なのはちゃんは?」

 

そして氷眼の腕に抱かれていた筈のなのは(メインヒロイン)の行方は如何に? 全ては彼等を見下ろす蒼き大空が知っている……かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんかいつの間にかメインヒロイン(なのは)が何所かに消えてたぁぁアアアアアーーーーッ!!?(予定に無かった事態が起きたので蒼空錯乱(焦))

だって第二二六強襲中隊のザコ兵士共(ナイトメアモード)が無茶苦茶やるんですもーーーんっ! はやてのフレースヴェルグ級の広域殲滅砲撃を無詠唱ブッパだとか! 集束魔法(ブレイカー)一斉掃射とかぁぁああーーーっ!!(泣)

ところでヴォルカーンが《聖遺物持ち》という気になる怒りの日的単語を口にしてましたねぇ。 当然これはこの世界の戦闘において重要なファクターだったりしますよ!

あ、ネタバレですが、もちろんなのははこんなんで死んじゃいません。 ええメインヒロインですもん! 序章で死ぬ訳がないじゃないですか!! さすがにこれぐらいのご都合主義は許してくだされーーーっ!!(土下座)

じゃあ彼女が何処へ行ったのかは、また次話で。 心配せずとも大丈夫、なのはさんの事ですからきっと冒頭から【ヒュ~】っと出て来ますよ、きっと。(笑)

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