ドラゴンボール ギニュー親子の物語   作:残月

49 / 116
偉い人程、駄目人間の確率が高い

 

 

 

 

チチを抱えながら飛行する桃香は頭痛がドンドン酷くなっていた。体勢も安定せずフラフラと飛ぶ様子にチチも不安そうになっていく。

 

 

「と、桃香ちゃん……大丈夫だべか?」

「大丈夫……と言いたいですけど、すみません……」

「ちょっと大丈夫なのっ!?」

 

 

フラフラと飛んでいた桃香は遂に落下しそうになるが、それを救うように後方から飛んで来たブルマの飛行機が桃香とチチを拾い上げた。拾われた桃香とチチは狭いブルマの飛行機に乗り込み、フリーザの宇宙船が来るであろう場所へと飛んでいく。

 

 

「ちょっと桃香、どうしたのよ?」

「わかりません……頭痛が酷くなって……」

「桃香ちゃん、無理は良くねぇだ」

「大丈夫ですか?」

 

 

ブルマは桃香の様子を窺い、桃香は額を押さえながら体調不良を訴え、チチとプーアルは桃香を心配していた。

そして悟飯、クリリン、ピッコロ、ベジータ、天津飯、ヤムチャが揃っている場所へと降り立つ。

 

 

「お、お母さん、姉さん!なんで此処に!?」

「悟飯ちゃんだけ行かせられねぇだ」

「それに行き先も目的も聞いてなかったですからね」

 

 

悟飯がチチと桃香に何故、此処に来たのかと叫ぶがチチと桃香は純粋に悟飯が心配だったからだ。

 

 

「お、おい……フリーザってのは、こんなに大きな気を持っているのか!?」

「こんなもんじゃありません。もっともっと大きくなっていきます!」

 

 

フリーザの持つ戦闘力に恐れるヤムチャに悟飯がこんなものじゃないと叫ぶ。

 

 

「じょ……冗談じゃないぞ!そんな奴相手に出来ないぞ!」

「だったら、どうする……逃げ場なんて、何処にもないなんて分かっているだろう」

「ハッキリと言ってやろうか……地球はおしまいだ」

 

 

ヤムチャが叫び、ピッコロがどうしようもないと告げ、ベジータがこれで地球は終わりだと告げた。

 

 

「来たぞ!」

「フリーザの宇宙船だ!」

「う、うう……」

「桃香ちゃん、どうしただ!?」

「姉さん!」

 

 

飛来したフリーザの宇宙船を見て、桃香は膝を突く。その桃香を心配してチチや悟飯が寄り添うが悟飯やベジータには嫌な予感が浮かんでいた。フリーザの宇宙船を見た事で桃香のスーナとしての記憶が甦って来ているのだと。

 

 

「はぁ……はぁ……私……は……」

 

 

桃香は頭の中に流れ込んでくる雪崩の様なそれに堪えていた。

 

 

「ちっ……厄介な事になる前に……」

「ベジータさん!」

 

 

ベジータは桃香の記憶が戻る前に始末しようと拳を握るが、悟飯がそうはさせないと桃香を庇うように立ちはだかる。

 

 

「桃香ちゃ……」

「ごめんなさい……お母さん!」

 

 

チチが桃香に触れようとした瞬間、桃香は顔を上げてフリーザの宇宙船が飛んで行った方角へ素早く飛んで行った。

 

 

「ちっ!記憶が戻ったか!」

「そんな……姉さん……」

 

 

ベジータは桃香がスーナとしての記憶が甦った事を確信して舌打ちし、悟飯は桃香が再び敵になるのかと絶望をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フリーザ様!」

「おお、スーナさん。生きていたんですね、これは嬉しい」

「ほう……貴様がフリーザの言っていたスーナか」

 

 

記憶が戻ったスーナはフリーザと再会を果たしていたが、その光景に首を傾げた。

フリーザの宇宙船の周囲に何故か倒されたフリーザ軍の兵士が倒れており、フリーザとコルド大王に対峙する様に紫色の髪をした青年が立っていた。

 

 

「貴女は……」

「フリーザ様、彼は?」

「ああ……貴女が来る前に突如現れて兵士達を倒してしまったのですよ。お陰で私が働かねばなりません」

 

 

紫色の髪の青年はスーナを見て、何かを察した様なリアクションをし、スーナはフリーザに紫色の髪の青年が何者なのかと問う。フリーザから返って来た答えは兵士達を倒した者だと言う。

 

 

「全く……わざわざ、こんな辺境の惑星に来たと言うのに兵を全滅させられるとはな。ワシはこんな下らぬ前座よりも本命のスーパーサイヤ人を倒す事に専念したいのだがな」

「コルド大王様……兵士達を全滅させられて、言う事はそれだけですか?」

 

 

くだらないと吐き捨てるコルド大王にスーナは咎める様な視線を送るが、コルド大王は鼻を鳴らす。

 

 

「ふん、ワシは不甲斐ない兵士共の安否よりもレースの結果の方が気になる」

 

 

ラジオが入らないのかコルド大王は耳に付けていたイヤホンを外した。地球は宇宙から見れば辺境の惑星であり、競馬放送が聞こえなかったのだろう。

 

 

「次のレースこそ絶対に来るぞ、ケンタウロスホイミ!」

「まだ現役だったんですね、ホイミ」

 

 

意気揚々と拳を握るコルド大王に、スーナは過去にターレスが単勝一点買いをしていた神話と呪文が混ざった馬を思い出していた。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。