ドラゴンボール ギニュー親子の物語   作:残月

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クウラが地球に来た経緯

 

 

クウラの孫家訪問は一応は静かなものだった。孫家のテーブルに悟空、チチ、悟飯、スーナ。そしてクウラが座り食事をする。この異常空間が暫し続き、食事が終わった後、スーナが人数分のお茶を入れた。因にだが、ピッコロもこの場に同伴しているが食事を必要としない為に席には着かず、クウラを警戒していた。

 

 

「えっと……ご紹介します。この方はクウラ様……フリーザ様の兄君になります」

「似てっとは思ってたけど、やっぱフリーザの兄貴だったんか」

「似てますもんね」

 

 

クウラの事を知らない孫家の面々に紹介するスーナ。悟空と悟飯はフリーザの兄だと薄々感づいていた様である。

 

 

「だが、フリーザの兄と言う割には気が小さい……フリーザが地球に来た時、俺達は真っ先に気付いたがコイツが此処に来るまで俺達は気付かなかった……」

「ふん……俺の戦闘力のコントロールの扱いはフリーザよりも上手い。貴様等に気付かれずに来る事なんぞ造作もない」

 

 

ピッコロが疑問を口にするとクウラは鼻で笑う。その仕草にピッコロはグッと拳を握った。

 

 

「ま、まあまあ……落ち着いてくださいピッコロさん。そう言えばクウラ様、機甲戦隊の皆さんはいらっしゃらないのですか?」

「……死んだ」

 

 

スーナは今にもクウラに仕掛けようとするピッコロを落ち着かせ、クウラに何故、地球に来たのかを聞くとクウラからはスーナが聞きたくないであろう返答が返って来た。

 

 

「え、ちょ……ま、待ってくださいクウラ様!」

「スーナ……俺が此処に来たのは、お前に会う為。そして弟を倒したサイヤ人に会う事だ」

「あの……クウラ機甲戦隊ってなんですか?」

 

 

動揺するスーナにクウラは淡々と告げ、事情が分からない悟飯が口を挟む。

 

 

「クウラ機甲戦隊はギニュー特戦隊に対を為す部隊です。それよりもクウラ様……」

「一年程前の話だ……俺と機甲戦隊はある星を侵略する為に惑星に降り立った。其処では既に他の者が侵略を開始していたのだ。その者の名は……スラッグ」

 

 

悟飯の疑問に答えたスーナはクウラに続きを促した。するとクウラの口から出たのはスーナには聞き覚えのある名前だった。

 

 

「スラッグ……以前、フリーザ様に倒された異星人ですね」

「ソイツが生きていた様でな。奴は機械惑星ビッグゲテスターと同化していたのだ」

「ビッグゲテスター?」

「星と同化とは、どういう事だ?」

 

 

スーナがスラッグの事を思い出すと、クウラはスラッグがどの様な人物か話す為に機械惑星ビッグゲテスターの名を口にし、悟空とピッコロは疑問を投げ掛けた。

 

 

「その昔、捨てられた宇宙船や人工衛星が漂う宇宙の墓場に、一つのコンピュータチップがあった。奴はその自らの能力で、長い時間をかけ増殖していった。それは宇宙空間のあらゆる物を取り込み、そのエネルギーを吸収することによって成長していった。今では惑星をも食い尽くすほどになった巨大マシン星が、ビッグゲテスターなのだ。フリーザとの戦いに破れたスラッグは脳が運よくこの星に流れ着き、奴はメインコンピュータと融合しコアとなって、その星を支配した……とは言っていたがな。俺と機甲戦隊は惑星の侵略の事もあり、奴との戦闘になった」

「機械惑星ビッグゲテスター……私も知らなかったです」

 

 

クウラから機械惑星ビッグゲテスターの事を聞かされたスーナは、フリーザ軍に居た頃でも聞き覚えがないと思っていた。

 

 

「そして奴は失った自分の肉体に似せたアンドロイドを生み出し俺達に戦いを挑んできた。一体一体が凄まじく強く……機甲戦隊は其処で全滅した」

「そ、そんな……」

 

 

クウラから機甲戦隊の末路を聞いたスーナは信じられなかった。クウラ機甲戦隊は少数のエリートで形成された部隊でその強さはギニュー特戦隊に匹敵する。そのクウラ機甲戦隊が全滅するとは、あり得ない事だと思っていたからだ。

 

 

「生み出されたスラッグのアンドロイドは一体一体が機甲戦隊並みの強さだった……最初は良い勝負だったが段々数に押された機甲戦隊は敗北した。その姿も異様でな……銀色のメタリックな奴等だった」

「一体一体が機甲戦隊並みの強さのアンドロイド……脅威ですね」

 

 

クウラの話を聞いたスーナはその脅威に身を震わせた。一体一体が戦闘力10万以上のアンドロイドが量産されているのだ。恐るべき事態だったと想像するのは難しくない。

 

 

「正にメタルスラッ……」

「畳み掛けないでください、クウラ様」

 

 

危なげな発言をしそうになったクウラを止めたスーナ。

 

 

「俺はアンドロイドを倒した後、地上にスーパーノヴァを放ち、惑星もろともビッグゲテスターを宇宙の塵に変えてやった」

「あの……現地住民の方は?」

「ビッグゲテスターの内部で生命エネルギーにされていたらしい」

 

 

クウラの説明にスーナが口を挟むとビッグゲテスターの恐ろしい機能があったらしく、その惑星には人が残っていなかったらしい。

 

 

「ビッグゲテスターを宇宙の塵にした後、俺は惑星フリーザに向かおうとしたが……宇宙船も塵にしてしまったのでな。戻るまでに時間が掛かってな」

「クウラ様は宇宙空間でも生きていられますからね」

 

 

クウラが宇宙船もろともに惑星を消してしまった事で自力で戻るしかない状態になっていた事に苦笑いを浮かべる。

 

 

「時間を掛け、惑星フリーザに戻った俺はフリーザがサイヤ人に倒された事を知った。ついでを言うなら親父が軍の経費を使って宇宙競馬につぎ込んでいた事も発覚してな」

「……私が居ない間にコルド大王様は色々とやってくれたみたいですね」

 

 

 

クウラの口から告げられたコルド大王の不正に、スーナは自分がフリーザ軍から離れていた間に好き勝手されていた事実に頭を痛めていた。

 

 


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