ツンデレスナイパーの彼氏でポニーテールと乳の幼馴染みで神崎名人のライバルのいる暗殺教室   作:てこの原理こそ最強

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渚の時間

 

「彼方!おいしっかりしろ!」

 

ヘリポート下に落下した彼方は意識を失い、磯貝が彼方に声をかけ続けている。その場に凛香と桃花も駆けつけた

 

「ははっ、やってくれたなガキが...だが残念だったな!」

 

鷹岡は胸ポケットから新たなスイッチを取り出し治療薬入りのアタッシュケースを上空に投げスイッチを押した

 

「あ...あぁ...」

 

「そうだ!その顔が見たかったんだ!」

 

目の前で起きた爆発に絶望を感じている渚や烏丸先生。そして他のクラスメイト達

 

「あははははは!!!ひゃっははははは!!!あん?」

 

「殺す...殺してやる...!」

 

「そうこなくっちゃあな」

 

渚は我を忘れ鷹岡への殺意で埋め尽くされた。呼吸を荒くしナイフを持つ

 

「渚...」

 

「キレてる」

 

「俺らだって殺してぇよ!あんなゴミ野郎!でも渚のやつ、マジで殺る気か...」

 

「いけない渚くん!」

 

そんな時渚に何かが投げつけられた

 

「調子に乗ってんじゃねぇぞ渚!薬が爆破された時俺のこと哀れるような目で見てやがったな。一丁前に他人の気遣いしてんじゃねぇぞもやし野郎!ウイルスなんて寝てりゃ治んだよ!」

 

「寺坂お前!」

 

「そんなクズでも殺しちまったら殺人罪だ。テメェがキレる勢いで100億のチャンス逃すのか!」

 

「寺坂くんの言う通りです。渚くん、その男を殺してもなんの価値もない。逆上しても不利になるだけです。それよりもその男に薬学の知識なんてない。下にいた毒使いに聞きましょう。そんな男は気絶程度で十分です」

 

「おいおい余計な水刺すんじゃねぇよ!本気で殺させにこさせねぇと意味ねぇんだ!このチビの本気の殺意を屈辱的に返り討ちにして初めて俺の恥は消される!」

 

「渚くん、寺坂くんのスタンガンを拾いなさい。その男の命と先生の命、その男の言葉と寺坂くんの言葉、どちらに価値があるのか考えるんです」

 

「寺坂!お前この熱やべぇぞ!」

 

「こんな状態で来てたのかよ!」

 

倒れ込む寺坂を木村と吉田が支える

 

「うるさい...見るならあっちだろ。やれ渚...死なねぇ程度でぶっ殺せ!」

 

その寺坂の言葉に意を決したのか渚は上着を脱ぎ捨てスタンガンを腰にしまった

 

「おーおーかっこいいねー!ナイフ使う気満々だな。安心したぜ。一応言っとくがここに薬の予備がある。渚くんが本気で殺しに来なかったり、また邪魔が入ったりしたらこいつも破壊する。烏丸ー!じゃますんじゃねぇぞ!」

 

「クッ!」

 

「作るのに1ヶ月はかかるそうだ。全員分には足りないが最後の希望だぜー?」

 

「烏丸先生。もし渚くんが生命の危機と判断した時は迷わずあの男を撃ってください」

 

先々を見通す殺せんせーでもそんな言葉を出してしまうほどの状況だった。鷹岡は以前のような余裕な素振りはなく最初から戦闘体制。いくら暗殺技術を学んでいるからといって正面から軍人を倒すことなど不可能だ

 

「ダメ...渚!」

 

「ほらどうした。殺すんじゃなかったのか?」

 

渚は自分の得意な暗殺ペースに持ち込むことすらできず鷹岡にボコボコにされていた

 

「もう撃って烏丸先生!このままだと渚死んじゃう!」

 

「待て...手出しすんじゃねぇ」

 

「まだほっとけって寺坂?そろそろ俺も参戦したいんだけど」

 

「カルマ、お前は授業サボり魔だから知らねぇだろうが...多分あいつまだなんか隠してんぞ」

 

カルマが渚を再び見ると渚は不敵な笑みを浮かべゆっくりと鷹岡に歩み寄った

 

渚はこの状況でロブロから受けた必殺技を鷹岡を実験台に試そうとしていた

 

(タイミングはナイフの間合いの少し外。接近するほど敵の意識はナイフに集まる。その意識ごとナイフを空中に置くようにして離す)

 

パァン!

 

渚は鷹岡の顔の前で手を叩いた。緊張感が最大限に高まっている中で目の前で大きな音を出された鷹岡はその瞬間あらゆる思考、動作が止まった

 

その一瞬を見逃さなかった渚は腰に入れたスタンガンで鷹岡に電気を食らわす

 

「はぁ...!」

 

殺せんせー、烏丸先生、クラスメイトが全員目を見開いて驚く

 

(酷いことはされたけど授業への感謝はちゃんとしなきゃいけないかな)

 

「鷹岡先生...」

 

渚は前の時と同じような笑みを浮かべて言葉を発した

 

「ありがとうございました!」

 

鷹岡の首元に当てられたスタンガンから電気が走り鷹岡は気を失った

 

「おっしゃー!ラスボス撃破!」

 

『やったー!』

 

今回の黒幕、鷹岡を倒し全員が歓喜に沸いた

 

「あ、彼方くんは!」

 

「大丈夫だ」

 

「磯貝くん」

 

「気を失ってるだけだ。ちゃんと受け身取ってたから打撲はあるかもしれないけど骨折まではいってない。今速水さんと矢田さんが看てくれてる」

 

「そっか、よかった」

 

「やるじゃん渚くん」

 

「大丈夫か?」

 

「よくやってくれました渚くん。今回はさすがにヒヤヒヤしましたが安心しました」

 

「僕は平気だけどどうしよう。治療薬が...」

 

「とにかくここから脱出する。君達は退避、俺が毒使いの男を連れてくる」

 

「ハッ!テメェらに薬なんぞ必要ねぇ!」

 

『っ!』

 

ラスボスを倒したと思いきや今度はここまで倒してきた殺し屋達が勢揃いしていた

 

「ガキども、このまま生きて帰れると思ったか?」

 

「貴様達の依頼人は倒した。戦う理由はないはずだが、俺も十分回復したし生徒達も十分強い。これ以上互いに被害が出るのはやめにしないか?」

 

「あぁ、いいよ」

 

「諦めの...!え?いいよ?」

 

「ボスの敵討ちは俺らの契約には含まれてねぇ。それに言ったろ?そもそもお前らに薬なんて必要ねぇって」

 

「え?」

 

「どういうこと?」

 

「お前らに飲ませたのは食中毒を改良したこっち。あと3時間ぐらいは猛威を振るうが直に回復する。ボスが命令したのはこっちだ。こっち使ってたらお前ら本当にヤバかったぞ」

 

「っていうわけだ」

 

「ボスに依頼された時に3人で話し合ったぬ。猶予は1時間。ならば殺す薬でなくとも取引はできるぬ」

 

「お前達が命の危機を感じるには十分だったろ」

 

「あいつの命令に逆らったってこと?」

 

「お金もらってるのにそんなことしていいの?」

 

「アホか。プロがなんでも金で動くと思ったら大間違いだ。もちろんクライアントに最善を尽くすが、ボスははなから薬を渡す気はなかった。カタギの中学生を大量に殺した実行犯になるか、プロとしての評価を下げるか、どっちが今後に影響するのかどうか冷静に秤にかけただけだ」

 

「まぁそんなわけでお前らは残念ながら誰も死なない。おらよ」

 

「おっと」

 

「栄養剤だ。患者に飲ましてやんな。倒れる前より元気になったってお礼の手紙が届くほどに効く」

 

「信用するかは生徒達が回復した後だ。事情も聞くし少しの間拘束させてもらう」

 

「しゃーねぇな。来週は次のシフト入ってっからそれ以内にな」

 

烏丸先生が呼んだヘリが到着し、気絶したまま拘束された鷹岡を先に搬入しそれに続いて殺し屋達もヘリに乗っていく

 

「あれ、行っちゃうのおじさんぬ。俺のこと殺したい程恨んでないの?」

 

「俺は私怨で人を殺したことはないぬ。だからお前を殺す依頼が来ることを願うぬ。だから狙われるくらいのヤツになるぬ」

 

「そういうこったガキども!本気で殺しにきてほしかったら偉くなれ!そん時はプロの殺し屋のフルコースを教えてやんよ!」

 

殺し屋達は去っていった。彼らなりのエールを残して。そして渚達の潜入ミッションもホテル側が誰も認識することなくコンプリートした

 

渚達もヘリに搭乗しホテルへ向かった

 

「ありがとう寺坂くん。あの時声をかけてくれて」

 

「はっ!人数減ったらタコ殺せる難易度上がるだろうが」

 

「うん、ごめん」

 

ここにきて寺坂のツンデレである。しかし寺坂もようやくクラスに馴染んで来たのだとも感じられる

 

「彼方くんはどう?」

 

「眠ってる。それはもうぐっすり」

 

「そう」

 

彼方は固定されたストレッチャーに横になっており未だに目を覚ましてはいなかった。しかし烏丸先生曰く脈や呼吸も安定しているため危険な状態というわけではなく直に目が覚めるだろうとのこと。

 

「すごかったね彼方くん」

 

「あぁ。俺も最初は本気かって聞いちゃったよ」

 

「カナくん、昔から無茶ばっかりするんだー。小学校の頃友達が川に大切なストラップ落としちゃった時なんて一晩中探してて。その後風邪引いちゃってたし」

 

「そういえば木の上に乗ったバドミントンの羽取るために結構高いとこまで登ってたな。あれは落ちないかヒヤヒヤした」

 

桃花と龍之介が彼方の無茶行動シーンを解説しているのをクラスメイトが苦笑しながら聞いている

 

「そういえば千葉ってどういう経緯で彼方と知り合ったんだ?」

 

「たまたま席順が前後だったんだよ。その時た行の最後が俺でな行の最初が彼方だったんだ」

 

「へぇー。偶然ってあるんだね」

 

そこから彼方の話を中心に話が盛り上がった

 

そしてホテルに到着し寝込んでいるクラスメイトにもう大丈夫なことを伝えた。そしてそれぞれがそれぞれの疲れで泥のように眠った

 

しかしそんな中、体は疲れているのにずっと彼方の側についている凛香の姿があった

 

「...」

 

彼方が運び込まれた部屋は1人部屋。電気も点けず月明かりだけが部屋を照らしていた

 

「彼方...」

 

凛香はまだ目を覚さない彼方に向けて心配そうにそう呟いた

 

「はぁ...」

 

早く目覚めてほしい。みんな無事だと伝えた。お疲れ様と声をかけたい。今日一日頑張ったことを褒めてほしい。控えめに言って寂しい。そう考えながら彼方の手を握った

 

「っ!」

 

凛香が彼方の手を取ってほんの数秒、握った彼方の手がピクッと動いた

 

「彼方...?」

 

凛香...?」

 

小さく弱い声だがはっきり聞こえた。彼は今自分を呼んだのだと

 

「おはよ...彼方...」

 

うん...ごめん、もう少し寝たい...

 

「わかった」

 

凛香も...おいで...

 

「...ん」

 

完全に意識が戻っているのかまだ寝ぼけている感じなのかわからないが彼方の呼びかけに嫌がる素振りを全くせず、従順に彼方の布団に潜り込んだ凛香

 

「...」

 

彼方は再び眠りに就いた。しかし凛香は幸せを感じている。意識のない状態でも自分を抱きしめてくれている。そこでようやく睡魔に襲われた凛香は彼方の腕の中で静かに眠りに就いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全員が目を覚ましたのは次の日の夕方だった。そしてその中でも一番起きるのが遅かったのが彼方と凛香だった

 

「ん、んー...」

 

「...」

 

先に目が覚めたのは彼方だった。少し体がだるい感じがするが体を起こそうとすると隣で寝ている凛香を確認した

 

「...」

 

彼方は言葉を失った。凛香が隣で寝ているという驚きからか。はたまた自分は何かしでかしたかという焦りからか...

 

(ちょーかわいくね?)

 

違った...

 

(え、待って。凛香の寝顔!写真!携帯が...)

 

「った!」

 

「ん...」

 

凛香の寝顔を写真に収めるべく携帯を取ろうと左腕を動かした瞬間、肩らへんに激痛が走り声に出てしまった。その声に凛香も起きてしまった

 

「おはよ、彼方」

 

「あぁ...おはよ凛香...」

 

「どうしたの?」

 

「いや、なんでもない...」

 

そうは言いつつも手で顔を隠し悔し涙を必死に見らないようにしている

 

「...見えない」

 

「?」

 

凛香はそんな彼方の顔を隠している手を退かした

 

「うん、元気そう」

 

「まぁな」

 

「よかった」

 

「オレ、どれくらい寝てた?」

 

「私も昨日の夜一緒に寝たからわからない」

 

「そっか」

 

凛香は再び彼方を抱きしめ顔を埋める

 

「凛香?」

 

「本当に、無事でよかった」

 

「また心配かけちゃったな。ごめん」

 

「うん。でも、今回はみんな頑張った」

 

「そうだな。凛香もよく頑張ったな」

 

そう言って凛香の頭を優しく撫でる。この人はいつもしてほしいことをしてくれる。いつも言ってほしい言葉をくれる。凛香はそんなことを思いながら彼方に身を委ねている

 

「今何時だ?うげっ、もう夕方じゃん」

 

『失礼するわよ』

 

彼方が時間を確認してもう夕方だと知った時、部屋のドアがノックされビッチ先生が入ってきた

 

「あら、邪魔したわね」

 

「お気になさらずに」

 

「そう?ま、とりあえず目が覚めたようでよかったわ」

 

「おかげさまで。ありがとうございます」

 

「それは烏丸や他のクラスの子に言ってあげなさい」

 

「いえ、ビッチ先生も一応は先生なので」

 

「一応じゃなくちゃんとした講師よ!」

 

「おっと失敬」

 

「はぁ...まぁいいわ。今烏丸があのタコを倒す準備中よ。他のクラスの子達もみんなビーチに集まってきてるから、あなた達も動けるならいらっしゃい」

 

「わかりました。わざわざありがとうございます」

 

「あと、私は別に構わないけど中学生のうちから不純異性交遊はやめておくことね。きちんと知識をつけて親の了承を得てからにしなさい」

 

「わかっています」

 

「あっそ。ならいいわ」

 

ビッチ先生は無意識だろうが腕を組みその自慢の胸を強調しながら退出した

 

「だってさ凛香。行く?」

 

「彼方は?」

 

「肩は痛いけど足はなんともなさそうだから行こうかな。みんなにも心配かけただろうし」

 

「わかった」

 

そこで凛香は自分の携帯のランプが点滅していることに気がついた。開いてメールの内容を確認する

 

「水着」

 

「へ?」

 

「女子はみんな水着着よって、中村が」

 

「そっか。いいんじゃないか?どうせ殺せんせー死なないだろうし。その後少しでも遊ぶことになるだろ」

 

「そうだね」

 

「着替えるだろ?先に行ってよっか?」

 

「ダメ。一緒に行く」

 

「じゃあ待ってるから。着替えてきな」

 

「ん」

 

凛香はベッドから出て自分の部屋に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みなさん!次は花火ですからね!先生とも遊んでくださいね!?」

 

凛香が着替え終わり海に着くと既に遊びタイムに突入していた

 

「おや、遅かったですねお二人とも」

 

「遅れました」

 

『彼方くん!』

 

『彼方!』

 

「ストップですみなさん」

 

彼方が目覚めたことに歓喜したクラスメイトは一斉に彼方に飛び付こうとしたが殺せんせーに止められた

 

「彼は左肩を負傷しています。今押し倒しでもすれば悪化してしまいます」

 

「そうだった。具合はどうなんだ?」

 

「ありがと磯貝。振りかぶったりしなきゃ問題ないかな」

 

「そうか」

 

「彼方くん...」

 

「有希子も陽菜乃も元気になってよかったな」

 

「うん...聞いたよ?彼方くんまた無茶したんだって?」

 

「今回はオレより渚の方が無茶したんじゃないか?」

 

「あ、あはは...」

 

「渚くんはいいの!」

 

「いいの!?」

 

「あ、そういう意味じゃなくて。彼方くんは無茶しすぎなの!それで意識失ったり、心配する身にもなってよね!」

 

「あーすまん」

 

「倉橋さん、多分こういう話ってとっくに速水さんからされてると思うの」

 

「うっ!」

 

「でもなんでか直らないの。というか直す気がないんだと思うの。ね?彼方くん?」

 

「有希子...もう許してくれ」

 

「許すもなにも私は別に怒ってないよ」

 

「そ、そうか...」

 

「えぇ」

 

彼方は知っている。有希子の笑顔の裏では凍てつくような静かな怒りが潜んでいることを...

 

「もー!みんな遊ぶ時間なくなっちゃうって!」

 

「そうだねー。カナくんは後でたっぷり問い詰めるとして、今は遊ぼ!ほら、凛香ちゃんも!」

 

「ちょっと...」

 

「行っといで」

 

「...ん」

 

本当はまだ彼方とゆっくりしたかったものの桃花に腕を引っ張られ海に入った凛香

 

「ほぉ...速水もなかなか...!」

 

「岡島...」

 

「なんだよ彼...方...」

 

双眼鏡で女子達を見ていた岡島の方を2回タップして声をかける彼方。その声色は黒一色だった

 

「凛香のなにがなかなかって...?参考までに教えてくれよ...」

 

「そ、そりゃお前。え、笑顔。そう!笑顔だ!いやーうちのクラスの女子はみんな笑顔が素敵だよなー!」

 

「...そういうことにしといてやる。次はないからな?」

 

「イェッサー!」

 

暑さからではない汗を垂れ流す岡島は彼方への返事と共にきれいな敬礼をする

 

「お疲れ渚」

 

「彼方くん」

 

「オレ達がこうして遊べてるってことは渚が勝ったんだろ?」

 

「うん。かろうじてだけどね...」

 

「そっか。内容はわからないが結果助けられたな」

 

「そんな!僕だって寺坂くんや殺せんせーがいなかったら!」

 

「でも最後決めたのは渚だろ?」

 

「そう、だけど...」

 

「えぇ。渚くんはよくがんばりました」

 

「殺せんせー」

 

「それと彼方くん、きみもよくがんばりました」

 

「ありがとうございます」

 

話す彼方と渚の元に殺せんせーが現れ2人の検討を称えた

 

「ことはどうであれクラス全員が無事でせんせーはホッとしています。夏だけに!」

 

「「台無しだよ!!!」」

 

これにてE組の夏は幕を閉じ、新たな学期が始まる

 






海で遊びながら凛香は楽しそうに話す彼方と渚、殺せんせーの方に目をやっていた

(楽しそう)

彼方が元気になってよかったと思いつつ、なぜ今の彼方の隣にいるのが自分ではないのだろうと嫉妬してしまっている

(まさか渚も!)

「速水さん彼方くんの方見過ぎ」

「べ、別に…!」

「隠さなくてもいいって」

片岡に指摘され即座に誤魔化そうとするが既にバレてしまっている凛香

「一緒にいるの渚くんなんだから、そんな妬かなくてもいいんじゃないかな?」

「妬いてなんかない…」

(いや、バレバレなのよ)

この後も視界にはいつも彼方を入れてしまい遊びになかなか集中できない凛香であった

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