今後はこのようなことが無いように気を付けたいです。
あと、次話からの更新がかなり遅れます。
理由は、学校が本格的に始まるのと受験勉強に集中しなければならないからです。
受験が終わったらガガーッと更新速度が上がる予定ですので、それまで優しく見守っていただけると嬉しいです。
応援メッセージとか、凄く励みになります。
それでは、受験が終わるまでの間、これがずーっと最新話として表示されてしまうかもなので、何度も読み直してね!(←オイ)
「うぅ……何で霊夢さんがあんな写真持ってるんですかぁ!」
「…………さぁ、ねぇ?」
「う、うん。私には分からないなー」
うがー! と頭を抱えて絶叫する緑髪巫女――
早苗たち三人が住んでいる守矢神社に魔理沙がやって来たのが今からちょうど十分前で、早苗が魔理沙から例の写真を見せられたのが今からちょうど七分前のこと。つまり早苗は五分以上の間、こうして頭を抱えてわーぎゃーわーぎゃー叫び声を上げているという訳だ。その間、神様二人はずっと早苗から目を逸らし続けている。
「ひぅぅ……最悪ですぅ」ぱたん、とテーブルの上に力なく崩れ落ちる早苗さん。よよよ、ととても悲しそうに涙を流している早苗に諏訪子と神奈子のハートが一瞬で射抜かれてしまうが、そこは神様としての威厳とかプライドでなんとか持ちこたえることに成功した。二人にとっては目に入れても痛くない程の可愛さを誇る早苗だが、そんな早苗からの尊敬の念を得続けるために、二人は『守矢の二柱』として神々しく有り続けなければならないのだ。……まぁ、結構ギリギリなのだけれど。
早苗の頭をぺちぺちと叩きつつ、神奈子は苦笑を浮かべる。
「で? 結局早苗はどうするんだ? あの紅白巫女の願い通り、人集めに奮闘するのかい?」
「別に嫌なら嫌って言ってもいいんだよー?」
「いえ、やりますよ、人集め。私もその案山子さんが心配ですし」
エヘヘ、と子供のように笑う早苗に、守矢の二柱のハートが以下略。
とりあえず諏訪子が早苗をパシャパシャと写真に収め、神奈子が早苗をぎゅむーっと抱きながら頬ずりしたところで、早苗は乱れた巫女服を整える。少しだけ顔が赤くなっている辺り、本人的にも満更ではないのだろう。今日も守矢一家は平和です。
「それに」とあえて付け加え、早苗は前髪を手で掻き上げながら、
「ここで手柄を作っておけば、守矢の信仰も更に集まるでしょう?」
超幻想級のドヤ顔を浮かべた。
☆☆☆
「霊夢殺す霊夢殺す霊夢殺す……ッ!」
「さ、咲夜? 紅茶が凄い勢いで零れちゃってるんだけど……」
「大丈夫です問題ないですわ」
「問題ありまくりでしょう! ほら今も手がカタカタ震えちゃってるし!」
額にビキリと青筋を浮かべたままニッコリほほ笑むメイド――
つい二十分ほど前に魔理沙が咲夜を訪ねに来たわけなのだが、その時から何故か咲夜の様子がおかしいのだ。なんか拳を握りしめながら「な、何であの写真があの腋巫女の手にぃ……ッ!」と呻き声を上げているし、仕事も上手くこなせていないようだ。レミリアはずっとテラスにいたから原因はさっぱり分からないが、自分のメイド長の様子がおかしいことぐらいは重々承知しているつもりだ。というか、こんなに挙動不審だったら誰でも気づく。
レミリアは「はぁぁ」と掌で顔を覆い、
「咲夜、今日はもう仕事を終えなさい。これは主命令よ」
「お、お嬢様!? だ、大丈夫ですまだ続けられます!」
「見るからに続けられてないじゃないの。いいから、今日はもう仕事をさっさと終えて、自分がやりたいことをやりなさい。そうね、たとえば――魔理沙からの頼まれごと、とか」
「……気づいていたのですかっ?」
「魔理沙が来てから貴女の様子がおかしいのよ? 推理するまでもなく直感で分かるわよ」
フフン、と鼻を鳴らすレミリアを見て、咲夜は思わず鼻を両手で抑える。実のところ、彼女の鼻からは赤くてドロッとした液体が流れ落ちてきていた。流石はレミリア厨、凄まじい体質だ。
とりあえず時を止めて鼻血を拭い、咲夜は再び時を動かす。時を止めることができる彼女にとって、証拠を隠蔽することなんて料理を作るよりも簡単なこと。故に咲夜は安堵に胸を撫で下ろす。
奮闘のおかげで咲夜の鼻血には気づいていない様子のレミリアは予め咲夜が用意していたクッキーをパキッと噛み割り、
「何を頼まれたのかは知らないけれど、どうせあの魔理沙のこと、凄く楽しいことを画策しているに決まっているわ。――故に、咲夜。貴女は私の楽しみの為に、魔理沙からの頼まれごとを成し遂げなさい。いいわね?」
「承知いたしました。お嬢様のご命令とあらば、この十六夜咲夜、全力で魔理沙からの頼まれごとを達成させていただきますわ。…………ついでに霊夢殺す」
「漏れてる漏れてる。本音が漏れてる」
うふふふふふふふ、と妖しく笑う咲夜に、レミリアは「あはは……」と頬を大きく引き攣らせる。
☆☆☆
「もうっ、何であの写真を霊夢に渡しちゃってるんですか幽々子様ぁ!」
「妖夢の可愛さを幻想郷全域に伝えたかったからよ!」
「そんな自信満々に言わないで下さぁあああああい!」
えっへん! と子供のように胸を張る桃色髪幽霊――
白黒魔法使いがこの白玉楼に来たのが今からちょうど五分ほど前。その時に『宴会の準備のために人をかき集めろ』という頼みごと(?)と『ドキッ☆ 妖夢ちゃんのメイド服姿(はぁと)』を見せられてしまったのだ。引き攣った笑いを浮かべる魔理沙に対し、妖夢は完全に頭がショートしてしまっていた。それはもう、半霊どころか完全に死んでしまったかのように。
そんなわけで、とりあえず魔理沙には了承の意を伝え、こうして幽々子に抗議の声を荒げに来た、という訳だ。まぁ、幽々子は真面目に聞いてくれやしないわけなのだけれど。
妖夢は「はぁぁ」と頭の上にどよーんとしたオーラを纏いつつ、湯呑にこぽこぽとお茶を注いでいく。
そんな妖夢を幽々子はニコニコ笑顔で眺めつつ、
「妖夢ぅ。魔理沙の頼み、聞いてあげることにしたの?」
「はい。まぁ、噂の案山子さんの話を聞かされちゃいましたから……流石に放っておけません」
「そっかぁ。じゃ、今日はもうお仕事上がりでいいわよ? その代わり、ぱぱーっと人数集めてきちゃってねー」
「そんな簡単に言いますけど……というか、幻想郷の住人を巻き込んだ大宴会って、巫女の立場としては大丈夫なんでしょうか?」
「大丈夫よぉ。だって霊夢って、そーゆー堅っ苦しい掟とか絶対に護らないじゃない? だから、今さらそんな『巫女としての立場!』とか『妖怪と人間の関係性!』とかいうのを気にするのは、遅すぎるって感じなんじゃなぁい? まぁ、だからお賽銭箱がいつも空っぽなんだろうけど」
「あはは……」
ずずずーっとお茶を啜る幽々子に、妖夢は乾いた笑いを向ける。
主を失って二十年間も悲しみに暮れている名無しの案山子。妖夢も話には聞いたことがあるが、その話だけを掻い摘んで考えてみても、凄く主思いの案山子だと思われる。
持ち主不在の畑をずっと守ってきた案山子。そして、そんな案山子を元気づけるために行動を起こした鴉天狗。関係的には敵同士のはずなのに、何故か二人の間には何か言葉では言い表せない深いものがあるのだと思ってしまう。マイナスではなく、プラスの想い――みたいな。
妖夢は傍に置いていた『白楼剣』と『楼観剣』を手に取り、すくっと姿勢よく立ち上がる。何のためかは考えるまでも無い。どこぞの鴉天狗のお節介に付き合わされに行くのだ。
「それでは、行って参ります」ぺこり、と礼儀正しく頭を下げる妖夢を見て、幽々子は「はむっ」と饅頭に齧り付いて呑み込みつつ、
「鴉天狗の恋路の為に、頑張ってね~」
主の悪意百パーセントな一言に、庭師は引き攣った笑いを浮かべる。
☆☆☆
「あー……なんでいつも私が地底担当なんだろうか……?」
「まあまあ、別にいいじゃないか。それぐらい君が霊夢に頼られているということだろう?」
「香霖は気楽でいいよな。いっつも私たち二人の荒事を眺めてるだけなんだから」
「まぁ、悪戯好きの幼馴染みを持つと気苦労が絶えないから、気楽って訳でもないんだが」
「うっさいんだぜ」
旧地獄へと続く洞穴の前で、白黒魔法使い――
霊夢に指定された三人の少女に交渉(世間では脅迫というらしい。みんな覚えておこうね!)してからこの洞穴の前にやって来たわけなのだが、何故かそこには彼女の幼馴染みである霖之助が魔理沙が来るのを待っていた。空から降り立った時に凄く見覚えのある眼鏡野郎が岩に寄りかかって本を読んでいたのは、結構驚きの光景だった。
魔理沙が霖之助に「なんでここにいるんだ?」と聞いたところ、「君は交渉が苦手だろう? 今回の騒ぎは僕も興味があるからね。協力させてもらうよ」と相変わらず読めない微笑みと共に言い放ったのだ。昔から変わった奴だとは思っていたが、今回の件でますます霖之助のことが分からなくなった、というのは魔理沙の心の中の愚痴である。
魔理沙はウィッチハットの上からふわっとした金髪をガシガシと掻き、
「っつか、香霖って地底に行ったことあるの? 言っとくけど、地底の奴らって無駄に血気盛んだぜ?」
「地霊殿の主の妹さんとは話をしたことがあるよ。というか、まぁ、魔理沙よりも血気盛んな妖怪なんて幻想郷にはいないだろう? だから、僕もそれなりには立ち会えるはずだよ。話術を使ってね」
「お前マジで後で覚えとけよ。地底への落下中に箒から落としてやってもいいんだからな!」
「あははっ。それだけは勘弁だね」
「~~~っ! 少しは嫌そうな顔をしろーっ!」
どんな時でもポーカーフェイスな霖之助の頭を箒でバシバシと叩く魔理沙。相変わらず微笑みながら「お、おい。やめてくれよ」と両手で防御の姿勢をとっている霖之助に、魔理沙の頬は少なからず赤く染まってしまっている。彼女が霖之助に幼馴染み以上の想いを寄せているのは、一目瞭然だった。
霖之助を五分間ほど叩いたところで魔理沙は箒に跨った。
そして自分の後ろのスペースを親指で示し、
「さっさと乗れ! 置いてってもいいんだからな!」
「そう言いながらも待ってくれるのが魔理沙の優しいところだと、僕は思う」
「~~~っ! い、いいから行くぞバカ香霖!」
鈍感でポーカーフェイスな道具屋を乗せ、白黒魔法使いは地底へと落下していく。
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次回もお楽しみに!