『先生』を愛した赤龍帝   作:女騎士

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十三話

キッチンで晩ご飯の用意をしていた母さんに断りを入れて自転車で急いで駒王学園へと向かった俺は駐輪場に自転車を停め、夕陽が沈んで辺りが暗くなってきている中、旧校舎の階段を登って、部室の扉をノックした。

 

「入りなさい、イッセー」

「はい、失礼します」

 

先程、携帯越しに聞こえた声でも伝わったが、明らかに怒りが込められたそのリアス先輩の声に内心、ビビりながら室内へ入ると、リアス先輩と姫島先輩がいた。

目を吊り上げるリアス先輩とニコニコと微笑む姫島先輩。

・・笑ってる方が恐怖を感じるのは何故だろう?

姫島先輩の微笑みに安堵より恐怖を覚えていると、リアス先輩は姫島先輩を連れて目の前までやってきた。

 

「イッセー」

「は、はい」

「貴方、私との約束守らなかったわね?」

「や、約束ですか?」

 

身に覚えのない事を問われた俺が思わず問い返してしまうと、リアス先輩の隣に控えていた姫島先輩から自己紹介が終わって部室を出る前の事を思い出してみればいいと助言を頂いたので思い返すと、確かにリアス先輩と教会や神社には近づかないと約束していた。

姫島先輩の助言により思い出せた俺が思い出せた事をリアス先輩に報告しようとすると、思い出した事が表情で伝わったのか俺に視線を向けていたリアス先輩は「ハァ...」と溜息を吐いた。

 

「良い?イッセー。さっき、グレイフィアさんに聞いたって言ってたけど私からも言っておくわね。教会や神社は私達、悪魔にとって敵地。踏み込めば、神側と悪魔側で問題が起こるわ。だから、絶対...ぜぇったいに!踏み込んじゃ駄目よ。あと、これは、グレイフィアさんと一緒にいるとしても駄目よ。良いわね?」

「は、はい!」

 

ビシッと此方を指差して注意するリアス先輩の怒り具合に圧倒されてしまった俺はつい、背筋をピンッと張り敬礼してしまった。

俺の姿を見て、「ん、分かったなら良いわ」と呟いたリアス先輩に帰宅の許しを得た俺は「失礼しました」と言って部室を後にした。

帰宅して、晩ご飯を食べ、風呂から上がった俺は自室のベッドに横になっていた。

特にする事もなかった為、今日学校で勉強した範囲を復習していると、ポケットに入れておいた携帯が鳴った。

通話機能をオンにし、電話に出てみると、グレイフィアさんだった。

 

『もしもし、イッセー君?』

「はい、グレイフィアさん。どうかしましたか?」

『んー、ううん。声聞きたかったから掛けちゃった』

「掛けちゃったって...俺も聞きたかったですよ」

『そう?良かった。・・フフッ』

 

グレイフィアさんが微笑む姿を思い浮かべて、自分も自然と微笑みを浮かべていると携帯越しにポチャンっと水滴が水面に落ちる音が聞こえてきた。

その音を聞いて、まさかとは思ったが一応聞いてみることにした俺はグレイフィアさんに問いかけた。

 

「あ、あの、グレイフィアさん」

『ん?何?』

「い、今って、な、何しておられますかね?」

 

つい、いつもより丁寧な言葉遣いで問いかけてしまうと、少しの間が置かれた後、問い返された。

 

『・・聞きたい?』

「は、はい。それは是非!」

『・・イッセー君が想像してる通りにお風呂よ。お・ふ・ろ。正確に言えば、湯船に浸かってるわ』

「お、お風呂!やっぱり!・・あ...」

 

興奮してしまって、つい指でビデオ通話のボタンを押してしまった俺。すると、スピーカーモードにしてたのか、画面上に湯船に浸かるグレイフィアさんの肢体が映った。

突然の事に驚き、思わず片腕で胸元を隠すグレイフィアさんだったが押しつぶされるその豊満な胸を見て遂に、鼻血を出してしまった俺はティッシュを鼻に詰めた。

グレイフィアさんにジト目で視線を送られる俺が視線を逸らしていると少しの間を置いて「・・H」と言われてしまった。

蕩けるような甘い声に脳内がクラクラしていると、グレイフィアさんは此方の方へ身体を身体を動かし、間を置いて甘い声で言われてしまった。

 

『・・同棲したら一緒に入りましょうね?』

 

画面越しで頬を赤く染めながらニコッと微笑むグレイフィアさんの姿にクリティカルヒットを喰らった俺は、最早、言葉が出てこずコクコクと頷くばかりだった。

すると、誘ったグレイフィアさんも相当に恥ずかしかったのか「じゃ、じゃあ、明日から前言ってた特訓始めるからおやすみなさい』と早口で捲し立てて通話が切られた。

・・ギュって潰れて腕からはみ出てる胸...エロ過ぎだろ。

先程まで画面に映っていた恋人のあられもない姿を思い浮かべた俺は、煩悩を消し去る為とグレイフィアさんが言っていた特訓に遅れないように、充電器のコードの先端を携帯に差して、部屋の電気を消して、早めに眠る事にした。

翌朝、昨晩セットした携帯のアラームが鳴った。

アラームを止め、動きやすいようにジャージに着替えると五時だった。

「ふぁ...」とつい欠伸が出てしまった俺だったが、冷たい水で洗顔をして眠気を吹き飛ばした。

先日、グレイフィアさんに教えて貰った時刻になった事を携帯のロック画面で確認した俺は静かに門扉の外に出た。

顔を右往左往させて、どちらから来るのか待っていると右側からバイクの音が聞こえてきた。聞き覚えのある音に顔をそちらの方へ向けてみると、フルフェイスのヘルメットで顔まで分からないが、グレイフィアさんらしき人物が市販されているグレーのジャージを着て此方にやって来た。

その人は俺の目の前で停車し、ヘルメットのシールドを開けた。

 

「待たせてごめんなさい」

「いえ、自分も今出て来たところです」

「そうなの?良かったわ」

 

俺の言葉に安堵したグレイフィアさんにタンデムする人様に持っているのかバイクの側面に取り付けてあったジェットヘルメットを渡された俺はそれを被り、バイクに跨った。

近くの公園へとやってきた俺たちはバイクを降り、公園内へと入った。

 

「そういえば、どうしてバイクで来たんですか?この距離ならランニングがてら来ても大丈夫かなって思ったんですけど」

「それはね、私が考えたトレーニングがつい先日まで普通の人間だったイッセー君には結構ハードだと思ったからよ。それに、恐らくだけどトレーニングをした帰りは走れないと思うわ」

 

魔法でバイクを隠しながら説明してくれているグレイフィアさんの説明内容に冷や汗をかいていると、バイクを隠し終えたのか公園内に入ってきたグレイフィアさんに一枚のルーズリーフを渡された。

事細かく書かれたトレーニング内容の量に卒倒しかけた俺だったが、何とか持ち堪えて、トレーニングを始めた。

トレーニングを始めて一時間程が経過した頃、俺は「ゼー、ハー」と荒い息遣いをたてながらその場に寝転がっていた。

き、きっつい...!

予想していた以上のトレーニングのキツさに「俺、大丈夫か...?」と弱音を吐きそうになってしまうが、口には出さず、此方を心配そうに見つめているグレイフィアさんを見て、「頑張ってこの人を守れるくらい強くなるんだ」と新たに決意を固め、立ち上がった。

二十分ほどかけてストレッチとクールダウンを行った俺はトレーニング中にグレイフィアさんから貰ったプロテイン入りの飲料水を煽り、その容器を公園内にあった水道で洗った。

 

「ありがとうございました」

「ううん、私がサポートしてあげられるのってこれくらいだから」

「いやいや、そんな事ないです!グレイフィアさんには効率が良いトレーニングの仕方を教えて貰ってる上、人が来ない様に結界とか貼って貰っていて滅茶ありがたいです!」

 

バイクに既に跨っているグレイフィアさんに洗った容器を渡して礼を述べた俺。

すると、容器を背負っていたリュックにしまったグレイフィアさんは軽く口角を上げて微笑んだ。

 

「そう?そう言って貰えたら嬉しいわ。・・それじゃ、家まで送るから乗って」

「はい!」

 

来た時と同様、グレイフィアさんのお腹に手を回してタンデムを行った俺はグレイフィアさんの体の柔らかさに癒された。




グレイフィアとのビデオ電話のシーンを書いててR-15のタグも貼っとくべきかと考えさせられました。

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