『先生』を愛した赤龍帝   作:女騎士

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十四話

グレイフィアさんとのトレーニングを始めて一週間。

徐々に、グレイフィアさんから課されたトレーニングメニューに慣れてきた俺は現在、グレイフィアさんに手伝って貰いながらストレッチを行っていた。

 

「はい、1、2、3、4、5」

「ふぅ〜...」

「1、2、3、4、5」

 

息を吐きながらゆっくりと前屈を行っていき、五秒かけてゆっくりと身体を戻していく。

背中に乗り掛かって貰っているグレイフィアさんの掛け声に合わせながらストレッチを行なっていると、地面に膝をつけて俺の肩の上に腋を乗せて顔を首元に寄せていたグレイフィアさんに問われた。

 

「あ、そういえばこの前話してくれてたビラ配りの仕事は順調にこなせているの?」

「はい。魔力が少なくて未だにチャリで街中を走り回りながらですが何とか」

「自転車で...?あ、もしかしてトレーニングの一環?」

「はい、微々たるものでしょうけど仕事にも取り入れたらその分強くなれる気がして」

「凄い。よく頑張ってるね」

 

褒め言葉を述べたグレイフィアさんは俺の背中から退いて立ち上がり膝についた砂を払った。

 

「よいしょ」

 

立ち上がって、お尻についている砂を払った俺は、先程、グレイフィアさんから頂いた水に溶けているプロテインが入った容器を手に取り、呷った。

水道水で容器を洗い、公園を出るとグレイフィアさんがバイクに腰を預けながら俺が出てくるのを待ってくれていた為、礼を言って、先程、洗った容器を返した。

 

「今日もありがとうございました。コレ」

「ううん、気にしないで。私が好きでやってる事だから」

 

俺から受け取った容器を肩にかけている小さな鞄にしまったグレイフィアさんはその鞄を身体の前方にやり、バイクに跨った。

グレイフィアさんがバイクに跨った事を確認した俺はタンデムをする要領でバイクに跨り、グレイフィアの腹部に腕を回した。

俺を家に送り届ける為に、兵藤宅へと向かっている最中、偶然、バイクに付いているミラーでヘルメット越しにグレイフィアさんのキリッとしているがどことなく優しそうな目が見えた俺は、「やはりこの人が俺にとって一番だ」という幸せな感情が心を満たして先程よりも少し腕に力が入ってしまった。

 

「ん?どうしたの?イッセー君」

 

腹部にかかる俺の力が強まった事を感じ取ったのか、赤信号で停車した際に俺に声を掛けてきたグレイフィアさんに力が強まった理由を話すと、「そっかそっか」と嬉しそうに呟きながら右手で俺の腕と手を撫でて、此方に顔を向けた。

 

「ありがと、イッセー君。私も今、凄く幸せよ」

 

ヘルメットで口元は分からないが、嬉しそうな声音と目元を見て、更に幸せになる俺だった。

 

早朝トレーニングからの学校での授業...怒涛の勢いで迫ってくる睡魔に何とか耐えながら放課後を迎えた俺が部室に向かうと、

 

「イッセー、そろそろ次のステップに進んでみない?」

 

と声を掛けられた。

 

「・・へ?」

 

リアス先輩の問いかけについ、素っ頓狂な声をあげてしまうと、リアス先輩は自身が考えていた事を説明してくれた。

紙を配る仕事もそろそろ慣れてきた頃だろうから、今日からは契約というものを取ってくるようにそしてそれに先当たって今この場にいない子猫ちゃんの代わりに契約を取ってくるようリアス先輩から聞いた俺は了承し魔法陣が描かれている場所に立った。

転移用魔法陣の中に入った俺を確認したリアス先輩が魔法を発動させようと詠唱を始めた。

 

うおっ⁉︎ま、眩しい...!

 

リアス先輩の詠唱と共に輝きだす魔法陣に驚き、思わず目を閉じてしまっていると次第に輝きが収まっていく。

 

「・・・」

「・・・」

「・・・」

 

・・あれ?

目の前に立つリアス先輩と姫島先輩と木場の三人と視線を交えた俺が混乱しているとこの現状を理解したのかリアス先輩より魔力の扱いに長けている姫島先輩が口を開いた。

 

「お、恐らくですけれど、イッセー君の魔力量が足りていなくて転移が不可能だと思われますわ。部長」

 

おずおずと話しだす姫島先輩の考えを聞き、驚いたリアス先輩は「え、そんな事ある?」と言いたげな表情を浮かべながら姫島先輩を見た後、少しの間、考えを巡らして口を開いた。

 

「しょうがないわ...。イッセー、自転車で赴き、契約を取ってくるのよ」

 

室内にある自身の文机からある機械を取り出したリアス先輩に機械の画面を見ながら、依頼人の元へ赴いて契約を取ってくるように言われた俺は機械を受け取り、学校の外に出た。

夕陽が沈み、街灯が点灯していく中、依頼人の元へ赴いた俺はそこが偶々、アパートだった為、併設された駐輪場に自転車を停め、依頼人が住んでいる部屋へと向かった。

 

「お、ここだな」

 

リアス先輩に渡された紙を見ながら苗字を探して歩いていると紙に書かれた苗字と同じ苗字が書かれた扉を発見した俺は、扉の隣についているインターホンを押した。

すると、少し痩せ気味の自分より少し歳上だと思われる男が出てきた。

 

「どちら様ですか?」

「あ、先程、ご依頼いただいた悪魔の者です」

「悪魔がインターホン押して来るか⁉︎帰ってくれ!」

「ま、待って下さい!」

 

ごもっとも!依頼人...森沢さんの正論に何も言い返せないが契約を取らないのは不味い...。

どうしたものかと悩んでいると、どうしたことか森沢さんが扉を閉めようとする力を緩めてくれた。

 

「・・ハァ...。取り敢えず、悪魔だって証拠見せてくれたら話を聞くよ」

「あ、ありがとうございます!じゃ、じゃあ少し待って下さいね」

 

悩んでいる俺を同情してくれたのか森沢さんに自分が悪魔である証拠を見せるよう促された俺は、周辺に誰もいないか確認した後、背中に力を入れて翼を出した。

悪魔特有の漆黒の蝙蝠の翼を見た森沢さんは納得して、部屋の中へと入れてくれた。

何とか、森沢さんに話す場を設けて貰った俺は森沢さんに何をして貰いたいのか聞いた。

すると、逆に何が出来るのか問われ、再び、答えに困ってしまった。

 

「・・あ、ドラグ・ソボール...」

「ん?好きなの?ドラグ・ソボール」

「はい、単行本全巻持ってます」

「・・ほほう?だったらドラグ・ソボールの話でもするか」

 

子猫ちゃんにも用事くらいあるだろうしドラグ・ソボールの話をするだけで契約を行ってくれた森沢さんの優しさに触れて、若干、泣きそうになってしまった俺は涙を流すわけにはいかないと思い、森沢さんに感謝を述べた後、ドラグ・ソボール談議に花を咲かせたのだった。




次回ははぐれ悪魔討伐、フリードとの出会いを書こうと思っています。
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