グレイフィアに告白を断られた次の日、兵藤は机に頬杖をついてボーッと窓から見える景色に視線を向けていた。
「兵藤君」
教室の前方で教鞭を執る教科担当の教師から呼びかけられてもトロンとした表情で窓の外に映る風景に視線を向けて心ここに在らずの様な状態の兵藤。
「兵藤君、大丈夫?」
何時もはしっかりと授業を聞いている兵藤に「何故?」と思い訝しみながら教鞭を執っていた教師が話しかけると兵藤は慌てて立ち上がり、机に置いておいた教科書を取った。
「は、はい!話を聞いてませんでした!すみません!」
「い、いや、私は、何も『授業を聞いてますか?』とは聞いていませんよ?」
「・・・え?」
兵藤の行動に少し驚きつつ、謝る兵藤に自分は怒っていないと説明する教師の言葉に呆然としてしまう兵藤だった。
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「・・ハァ...今日は散々だったぜ...。まぁ、理由はわかるんけどな」
昨日の事を思い出し、再び「ハァ...」と溜息をついた兵藤は本日までに提出しなければいけない課題を先程終わらせたばかりの疲れた身体を引きずりながら校舎を出て校門へと向かっていた。
「でも、何だろうな?グレイフィア先生の話せない事って...?」
昨日、グレイフィアに言われた言葉を思い出しながら兵藤がトボトボと歩いているとドルンッとバイクなど二輪車特有の唸る様な排気音が聞こえてきた。
排気音に驚いた兵藤が慌てて視線を向けると、そこにはまだ少し肌寒さが残っているからだろうか髪と同じ銀色のレザースーツを着たグレイフィアがCB400SFに跨っていた。
「せ、先生!」
「? ! ひょ、兵藤君⁉︎」
突然、予想外の人物に名前を呼ばれた為、ヘルメットを被ろうとしていたグレイフィアは驚いてしまい、こけてしまいそうになる。
「キャ⁉︎」
「ッ!」
このままではグレイフィアの脚がバイクの下敷きになってしまう、と瞬間的に感じ取った兵藤は持っていた鞄を投げだし全速力で駆ける。
(間に合え...間に合え!)
奥歯を噛み締め、腕を振り、脚を動かす。
自分の所為で初めて恋をしてしまった人を傷つけさせる訳にはいかない。
兵藤は一瞬、最悪の未来を考えてしまうがブンブンと頭を振り邪念を振り払う。
すると、兵藤の全力の行動は実を結び、グレイフィアの脚がバイクと地面の間に挟まるという最悪の未来を回避する事が出来た。
ムニュッとした女性特有の柔らかさが体の上半身と腕に当たりシャンプーのいい匂いが兵藤の鼻腔をくすぐる。
「・・・」
「・・・」
視線を交錯させて互いを見つめ合う兵藤とグレイフィア。
流麗な銀髪とまるでお伽話や創作物語に出てくるヒロインの様なまるで人間ではない美しいグレイフィアの顔が目の前に来て兵藤の心臓はドクンドクンと早鐘を打つ。
そして現在、兵藤に身体を支えられているグレイフィアの心臓も早鐘を打っていた。
先程まで一瞬の事でよく分からなかったが自分が現在置かれている状況を確認した彼女は昨日、告白されたという事もあるだろうが、悪くいけば自身にも危険が及ぶかもしれないというのに何の迷いもなく飛び込んで自分を守ってくれた兵藤の行動に頬を赤く染めて、兵藤の顔を見つめていた。
「・・あ、有難う。兵藤君」
「・・い、いえ。何ともなくて良かったです」
しばらくの間沈黙していたグレイフィアは兵藤に礼を言い、落としてしまったヘルメットを取ろうとサイドスタンドを立てる。
「あ、取りますよ。はい、どうぞ」
「ありがとう。ごめんなさいね?」
「いえ。先生の普段見られない姿見られて眼福ですよ」
「え?・・・あ」
ニコリと笑みを浮かべて話す兵藤の視線を見てクスッと笑ったグレイフィアは胸元まで開いていたジッパーを首元まで上げ、兵藤から受け取ったヘルメットを被った。
「全く、もう。Hな生徒さんね。・・でも、さっきは本当にありがとう。じゃあ、また明日ね。兵藤君」
「・・あ、あの、先生!」
「ん?どうしたの?」
「俺、頑張ります!」
「え?」
「せ、先生が何を思ってあんな悲しそうな顔したのか分からないけど、絶対先生を振り向かせてみせます...!」
「ッ! ・・・」
決意を固めた兵藤がそう言い放つと、ヘルメットを被っている為、どういう表情をしたか分からないが一瞬、ピクリと反応したグレイフィアは無言のままその場から去って行ったのだった。
グレイフィアがライダーだったらカッコいいなと思って書いてみました。
次で原作に入れたら良いなと思ってます