あと、評価してくださった方々、誠にありがとうございます。
リアスさんが持つ『悪魔の駒』で人間から悪魔になれる事を知った兵藤君はすぐ様、リアスさんに「自分をリアス先輩の眷属にして下さい」と頼み込んだ。
その言葉でどれだけ自分の事を愛してくれているのか分かり、言葉にならない程幸せな気持ちでいっぱいになった私だったが、心の中に残されていた『理性』がここで待ったをかけるよう私に警告した。
しかし、この時の私にはチクリと胸のあたりで痛みが走っただけで特に違和感を感じなかった為、理性の警告を頭の隅に追いやった。
しかし、隅に追いやった警告が頭の中を支配し始め、グルグルと頭の中をかき乱していく。
この時、目の前にいたリアスさんは兵藤君の頼みを聞き、ベンチに横になるよう促していた。
「じゃあ、兵藤君。いくわね」
「はい、お願いします」
兵藤君が自分の言葉に従い、ベンチに横になった事を確認したリアスさんは先程、小箱から出して手に持っていた『悪魔の駒』を兵藤君の胸の上に置こうとしたその瞬間だった。
私は、自分の頭の中をグルグルとかき乱し、支配していた正体を突き止めた。
「ちょ、ちょっと待って!ひょ、兵藤君」
「・・?」
「私は、私の事を愛してくれて悪魔に転生までしようとしてくれいる兵藤君をとっても愛してる。けど、私はこの感情と同等レベルで貴方のことをとっても心配しているわ」
「し、心配ですか...?」
「何を心配する必要があるのか?」と疑問を含んだ視線を受けた私は、先程、理解に至った考えを兵藤君に話す。
「転生したら、私とは少し違うけど、何十年か先に兵藤君も私と同じように自分にとって『大切な人』を看取る側の立場になるわよ」
「・・・!」
私が先程、説明した事を思い出したのか、私の言葉に「ハッ!」とした彼は、手で目元を隠す。
私が言ってる意味を理解し、これから先、自分の身に起こるであろう事象を想像したのか彼はツッと一筋の涙を流した。
「・・・」
兵藤君が涙を流し、それを見た私とリアスさんが黙っていると兵藤君は、目元から手を離し、数分かけて判断した考えを口にした。
「リアス先輩、俺を悪魔にして下さい。お願いします。・・・俺、考えました。数分の間だったけど、必死に考えて考えて決断しました。先程、先生が助言してくれたように悪魔になったら親父や母さん、そして友人達が、死んでいく様を何度も見届けることになるでしょう。・・でも、俺は先生が...初めて好きになった人の側にいれるなら耐えられます」
「・・・とても立派な決断だと思うわ」
兵藤君の決断を聞き、顔に熱が登っていく事を感じ取った私がリアスさんの言葉にすごく同意していると、一瞬区切っていたのかリアスさんは言葉を続けていく。
「愛する人の為に自分を変えようとするなんて、私は貴方を心の底から尊敬するわ。イッセー」
「⁉︎ い、今なんて...」
「・・ ⁉︎あ、いや、学校の廊下歩いてた時に偶々、貴方の近くを通った時に聞こえたのよ。・・嫌だったかしら?」
「全然!むしろ、光栄です。リアス先輩にイッセーと呼んでいただけるなんて嬉しいです!」
「そ、そう?なら、これから宜しくね。イッセー」
「はい!此方こそ宜しくおねがいします。リアス先輩」
イッセー...そういえば、私が彼の担任していた時も時々聞いたわね。その愛称。・・私も今度そう呼んでみようっと。
昔、彼とよく話していた松田君や元浜君が言っていた言葉を思い出していると、いつのまにか兵藤君がリアスさんに促され、ベンチに俯せの状態で横になっていた。
「じゃあ、初めていくわね」
兵藤君に一声かけたリアスさんは彼が神器持ちという事も考慮したのか、チェスで用いられるポーンの様な形をした『悪魔の駒』を小箱から三つ出して兵藤君の背中の上に置いてみる。
すると、一瞬煌びやかに紅く光った駒だったが、直ぐに光は失われ、元の状態へと戻った。
・・何も起きない事から察するに『失敗』なのだろう...。
しかし、リアスさんはそれを予想していたのか顔色を変えず、次々に駒を足していく。
四つ、五つ、六つ、七つ...駒が足されていく毎に段々とリアスさんの顔色が変わっていく。
「そ、そんな...。七つ目でもダメだなんて...」
先程とは打って変わり狼狽した表情を見せているリアスさんは「お願い...!」と呟きながら、小箱に入っている八つ目の駒を取り出し、彼の背中へと置いた。
すると再び、背中に置かれた駒は全て煌びやかに光り、それらは彼の背中に入り込んでいった。
「ふぅ...」と安堵したのか息を吐いたリアスさんはイッセー君に「背中に力入れてみて」と促した。
リアスさんから促され、背中に力を入れたイッセー君の背中からは私達と同じ、黒い蝙蝠の様な翼が生えてきた。
「うおっ⁉︎」
改めて、自分が悪魔になった事を感じたのか嬉しそうにイッセー君が嬉しそうに微笑んでいると、イッセー君に視線を向けていたリアスさんが急に私の方へ視線を向けてきて私に言った。
「彼は私の眷属となりましたが、『恋人』である貴女と共にいれる方が嬉しいでしょう。ですので、出来るだけ彼と一緒にいてあげてください。あ、あと、彼を鍛えてあげてください」
「鍛える?」
「はい。最近、堕天使が何人かこの駒王町に入ったという情報を小耳に挟んだのでもしかしたら、襲われるかもしれませんので」
「!分かったわ。出来るだけ彼と一緒にいるし、彼も鍛えるわ」
言いたい事を伝え終えたのか、私が彼を鍛えると約束すると、リアスさんはぺこりと頭を下げて、人払いの結界を解くと同時に、転移用魔法陣でその場から去っていったのだった。
次は、いよいよ金髪聖女さんが出てくると思います。
それでは失礼します。