「ついにここまでたどり着きましたか……」
「うん、たそがれってこういうこうけいをいうんだろうな。なぁ、えみや、とおさか」
「うん、明らかに通常空間じゃないな。ところで俺の名前を知ってるお前はだれだ?」
「あら、シロウ。なんでここに? それにアスカじゃない。引き籠り店主が出てくるなんて珍しいわね」
「はいはい、こっちに注目してくださいね」
ついにここまで来た。
長かった……そうでもない気がしないでもないが、とても四時間ではすまされない程の年月が経っている気がしないでもない。
集いしはカプさばの頂点二人。そしてオレ。
「こまかい話はざっと飛ばしまして、こうなってしまってはしかたありません。
私自ら貴方達を無価値の混沌に堕としてさしあげましょう」
「我が前に立とうとは、人の子りゃよ。
己が業にくいありゃためるがよいでしゅ」
「なんだ、赤ん坊がしゃべってるぞ!」
「ど、どういうこと!?」
「きんしるいだ! ここはちびちゅきがくえんじゃないんだぞかえれ!」
「はい、ありがちな驚きリアクションとメタ発言ありがとうございましゅ。
私こそは聖杯に選ばれしもの、ベィビィ・カレン。通称カレンちゃんでふ。
聖杯の力であらゆるキャラの価値が下落する世界を開くものなのでしゅよ」
「そうか、それでどのボスキャラも残念だったんだな!!」
「いやいや、残念ってレベルじゃなかったでしょ」
「とーさか。しんちゅういたみいる」
何故だ。
何故ほかの二人は普通(?)に喋れるんだ!
ひらがなだとわかりづらいってそろそろだな!
「安心するといいでしゅ。私は観測系ベイビィ・カレンちゃん。同じ観測系であるアナタにはとくべちゅしょちをしゅるでしゅ」
パカッ、と。
非常に古臭い音を聞いた。
足元で。
「あっ」
「あ」
「ばいびー」
声を上げる暇もなく。
オレは、空に空いた穴*1に堕ちるという、よくわからない経験をする事となった。
★★★★
「あでっ」
ぼと、と。
これまたよくわからない、先ほどと打って変わって……かなり暗い場所に出た。
強く腰を打ち付けてしまい、とても痛い。この世界痛みとか感じるんだな。
「いらっしゃい、お姉さん」
「ぬ……きんぱつくんじゃないか。いまうえでとおさかとせいぎのみかたががんばってるんだ、いちおうはやくもどらないと。きんぱつくんはなにかしらないか、もどるほうほう」
「それは知っていますが、教えません。
お姉さん、憶えていますか? お姉さんの金色のカプセル、元々誰の持ち物だったか」
「なんのこんきょもないけどきんぱつくんだとおもう」
「あはは! 正解です。
つまるところ、僕も
マスターが目を合わせたら、どうなるかわかりますよね」
「えいれいがさーばんとをこうしするなんて……あ、きゃすたーさんとか、なんならえーれーとーさかがやってたか」
「はい」
……まぁ、エクストラステージ、ってとこかね。
一応気にはなってたんだ。
オレのデッキには──ライダークラスがない。その代わりと言っては何だが、エクストラクラスのさーばんとが一体入っている。
クラス名自体が無いから、エクストラクラスかどうかさえ怪しいけどな。
「そいじゃあ、やりますか。
ちなみにさ、きんぱつくん」
「なんですか?」
「ここって、どこ?」
「え? それは勿論──」
唐突に。
ピシ、ピシピシ! と……暗闇に罅が入る。
この光は。
「……なるほど、てんのさかづき、か」
「ええ──じゃあ、はじめますよ。天笠のお姉さん」
「……ああ!」
ここに、最後の戦いが始まった。
「いけ──ねこあるく!」
「あはは! 子供の僕が大人の僕を行使する日がくるなんてね!」
さぁ始まりました実況はこの私、バゼット・フラガ・マクレミッツと!
解説のアンリマユでお送りいたします……ってか?
本家の実況がvsカレンに出張ってるからって、どうしてオレ達がこんな茶番に付き合わされてるのかね……。
時給が良いからです! 四時間で五千円!
そりゃ納得。
じゃあ解説していくと……あー……まずちっさい王様がでっかい王様を呼び出して、うわ、固定砲台じゃねぇか。あんなんお近づきになりたくないわー……ひくわー……。
そして西方アスカが繰り出したのはクラス不明! ネコアルク……ネコみたいな顔をした、私の感性が間違っていなければ非常に危険な真祖だか死途だかなんかの枝分かれな気がしないでもありません!
そしてネコアルクは召喚された瞬間──跳躍! 跳躍したぁ!
「いけ、らんさー! せいばー! あーちゃー! きゃすたー!」
「僕相手にそれを使ってくるか……遠慮が無くていいね。今回ばかりは、君が僕の親友を使う事を認めよう!」
ランサーは召喚された直後にでっかい王様に突撃、共倒れと来たか。オレが思うにありゃ人間ですらない気がするんですけどね。んで着物の女に弓兵とは名ばかりの双剣を持った女、あとは本? まともなのがいやしねぇじゃん。
ああいうのを見ると、オレってわりとマトモなさーばんとに見えるよな。
あなたはマトモかもしれませんが最弱です!
そして西方子ギル! 繰り出したるは……私のランサー! そして青セイバーに、ライダー、キャスター……メンツが第五次ダァァアアアア!
金さえ払われればなんでもやるんだなアンタ。
ま、そこが良い所なのかもしれないけどさ。
「ねこあるく! ねこあるく! ねこあるく! ねこあるく!」
「うーん、こうしてみると第五次のさーばんとは本当に粒ぞろいだったんだなぁ。大英雄ばっかり。まぁ大人の僕には劣りますけど」
ネコアルクが大量投入! ちなみに先ほど飛んで行ったネコアルクはまだ帰ってきていません!
そして……なんでしょう、私の腕とかそのあたりが妙にうずく声のネコアルクに、何に頷いているのかわからないネコアルクに、なんか艶やかなネコアルクに、生理的に受け付けないネコアルクが現れます! ネコアルクオンパレードだ! デッキ所持制限はどこ行ったぁぁああああ!?
いや、あれ五匹でネコアルクなんだろ? しかしネコアルクってなんなんだ?
なんでか、一切敵う気がしないんだけど。
あと足止めはしてるけど全然ダメージ入ってなくないか?
「あさしん、あーちゃー! ねこあるく! らんさー! ばーさーかー!」
ふむ、どうやらネコアルクはダメージを与えないしダメージを受けないようですね。ただの邪魔者です。召喚できるカプさばの枠が圧迫される分、召喚者にとっても邪魔者に成り得る。
とはいえ別の攻撃手段がありますから、不利というわけではないでしょう。カプさばは基本目の前のものには攻撃し続けますし。
おいおいマスター、アンタがそんな冷静だと俺の解説が無価値になるだろ。
もっとはっちゃけてくれないと。
「あさしん、あーちゃー!」
「まいったな~。これは、マスタースキルを使わざるを得ないや。
──
な、なんということだ──!!
頭上から降り注いだ武器武器武器防具!
その全てが西方アスカ、東方子ギル双方のカプさばを無に変えたァァ!!
うーわえげつねぇスキルを使いやがる。自分のカプさばも見境なしかよ。
しかし、やべぇな。確かアイツの拠点、体力1だったよな?
これで何かを食らえばおしまいだ! どうする西方アスカァァァアアアア!
「じゃあ──こっちも、つかわせてもらうよ。
──
二つ目のマスタースキルとかマジ勘弁。ルール違反じゃね?
ま、オレには関係ないからいいけど。で、効果は?
あ、ああぁ!
跳躍していたネコアルクが帰ってきたァァァアアアア!?
しかも東方子ギルの拠点に大ダメージ! どこから降ってきたんだァァァ!!
拠点にダメージを与えたけど、本人? 本猫? も死んだな……。あ、新しく召喚されたヤツが飛んでった。
なるほど、あの技は諸刃の剣だけど、カプさばでなら使えるってワケね。
そして西方アスカのマスタースキルによって
西方アスカの勝利です! そして給料はいただいたぁー!
はいはい。お疲れさん、っと。
★★★★
罅は広がり続ける。
もう、裂けていない場所などどこにもない。
傷は覆い隠されてしまった。より大きな傷に。
「で、きんぱつくん。あー……金髪君。
本当のネタバラシと行こうじゃないか」
「そうですね。ようやくあの世界もループから抜け出して、歩み始めたようですし。
こちらも前に進む時間が来たようですね」
光が入ってくる。
太陽の光──ではない。
これは。
月の光だ。
「ま、厳密には太陽の光なのかもしんないけどな」
「はは、それは言いっこなしですよ。
さて、お姉さん。天の逆月にぶつかったことで、起源を傷に変えられたお姉さん。
お姉さんの本来の起源は、なんでしたか?」
月の光が、世界に満ちていく。
オレが、何故あんなにも豪運だったのか。
何がどう、「全てが逆さま」だったのか。
あぁ──。
「本当にオレは──ツキが良い」
何もかもが逆さまだった。
何もかもが逆さまになった世界で、傷だった。
なればその逆は──正しい位置は、ツキだったのかもしれない。
オレは、天の逆月へ
どこぞのカルデアに
「月ではなくツキ、というところがミソですね。故にこそ、あのピーターパンが気になって見に来たわけで」
「衛宮みたいに剣に生きたわけじゃない。傷は常にオレのそばにあったからさ。ランサーさんと波長があったのは、
「さぁ、そこはなんとも。
あ……そろそろ、崩れますよ。あちらも終わったみたいですし」
「うん。
こっちの世界は、続くのかな」
「続きますよ。
僕とお姉さんは、残念ながらあちらへは行けませんけど」
「あ、やっぱり?」
足元の天の逆月の向こうで、ベイビィ・カレンの手をひっぱる正義の味方が一人。
達者でな。
「……ま、この辺りでツキもツキたって事で。行きつくところまで行きつきました、ってな」
「今回ばかりは僕にもどうしようもないかなー。
まぁ、死ぬわけじゃなくて、消えるだけです。四日間はもう終わっているので還元はされませんが、まぁ、そんなものですよ」
唐突なシリアスはノーサンキュー。
だがまぁ、そんなものだ。
ギャグ時空故か恐怖は……まぁ、半々だが。
ここでオレが生きてしまえば色々と台無しになるからな。
「というワケで、金髪君」
「はい、というワケです。お姉さん。
──僕にはどうしようもありませんので、ここにある聖杯の力を使いましょう。いいですよね、マスター?」
『……ま、特例おぶ特例でしゅし。さらに特例を重ねた所で、問題はないでちょふ。聖杯に願うにしてはなんちょも陳腐な願いでしゅが──』
口を挟む暇はなかった。
ただ。
「金髪君!
敢えて、貴方の名は呼ばないけれど……本当に!
ここまで
「あはは。さようなら、お姉さん」
光がオレを包む。
そして──。
★★★★
「と、いう夢を見た」
「いやいや野場氏、それを夢にしてしまうのは明らかにこう……色々と」
「ま、わかってるよ。夢じゃなくて……まぁ、なんだろうね」
「拙者にもわかりませぬが……夢じゃなかったのでしょう。
あ、話は変わりますが、小学4年生にして一児のパパをしてきた現在高校一年生の衛宮氏、今日は娘さんは?」
「うん? カレンは幼稚園にいったぞ!!」
「相も変わらず純粋な目。はぁ、ここは一体何時空なんだろうねぇ……」
聖杯に願う事は。
──明日も世界が、続いていきますように。
| ??? | ネコアルク | ||
| レベル | 99 | ||
| 経験値 | 00 | 体力 | --- |
| 次のレベルまで | 0(上限) | 攻撃力 | --- |
| 召喚コスト | 5000マナ | 忍耐力 | --- |
| 再召喚待ち | 2秒 | 突破力 | --- |
プロフィール
ガイアより枝分かれした真祖的な存在とはもう全く別個体のネコ的なもの。
基本的な攻撃力はない代わりにダメージも受けないお邪魔虫。
フィールドに召喚できるカプさばの数は決まっているので、手札をも圧迫する。
どこぞの骨董品店に色々と卸しているとかなんとか。
アクション
ひしめき合ってフィールドを邪魔するぞ!
内一体は大ジャンプ! 月まで跳躍する。
戻ってきた後は敵の拠点に突撃だ! 自分も死ぬけど拠点にも大ダメージ!
カプさば扱いなので何匹でも召喚できるぞ! 流石に百体は無理!
アスカ
必殺技
『
自分の拠点体力まで相手の体力を削り取るぞ!
え? どこぞの復讐者の宝具に似てる?
そりゃそうだ。だって天笠の傷だぜ? 天の逆月たるアイツと同──