やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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前回までのあらすじ

ホテルロイヤルオークラで勉強会を実施中、妹と陽乃に誘惑されてベットに引きずり込まれる八幡であった。

………これだけ!?


遅刻

side比企谷八幡

 

やっと小町と陽乃さんから解放され、服を着直した俺はリビングルームでぐったりしていた。顔中キスマークだらけなので、いろはがお湯で濡らしたタオルで顔を拭き取っている。

 

いろは「まったく…はるさんもマチちゃんも油断も隙もない…」

 

ゴシゴシ…

 

陽乃「だからって、アーシススクランブルはやりすぎだとお姉さんは思うんだよね?いろはちゃん?」

 

小町「そうそう。あれは本当に緊急戦闘配備の号令なんだからさ、むやみやたらに使うものじゃあないよ?お姉ちゃん」

 

そうか?俺が逃げたら即アーシススクランブルがかかるのは気のせいかな?

陽乃さんと小町はそれぞれ片方ずつの腕を陣取る。

 

戸塚「なんでだろう。大和くん辺りが羨みそうな状況なのに、ちっとも羨ましくないのは」

 

だろうね?

俺が死んだように目を腐らせていると、小町がぼーっと俺を見ていることに気付いた。

 

八幡「なんだよ」

 

小町「んー?いや、お兄ちゃんイケメンだなーっと思って」

 

八幡「それはありがとよ。でも、余計なトラブルを作った恨みは消えんぞ?このガキ。アホ毛引っこ抜くぞ。コントロールできない余計な赤石ごと」

 

と、俺がちょいと凄んでみても小町はむしろ笑う。

 

小町「そう言ってもお兄ちゃん、修行以外で小町のこと絶対に叩いたりしないよね?」

 

八幡「あ?ちょいとでも俺が優しいと思ったのか?この間抜けが!まぁ、冗談はさておき、やったらやったで3倍返しのルビーレーザーが飛んでくるだろ、お前の場合は。それだけだっつーの。勘違いするな」

 

小町「んふふー。ジョジョお姉ちゃんの口癖まで真似ちゃって♪照れてる照れてる♪」

 

そう言ってホホチューしようとする小町だが…、ガシィっといろはが承太郎ばりに小町の肩を掴んで止めにはいる。

 

小町「むぅ…お姉ちゃんのケチ!」

 

いろは「せっかく拭いたんだから、余計な物を付けないの」

 

イラッときたのか、いろははナイチンゲールで小町にデコピンする。具体的に言うと、クレイジー・ダイヤモンドでネズミにライフル弾を撃つくらいの強さだ。つまり正真正銘の全力全開。…頭ふきとばなくてよかったね?

 

小町「っつ~!」

 

ぺちっと派手な音を立てたおでこをおさえながら小町が呻いた。額に波紋を集中させながら小町は涙目のルカでいろはを睨む。

 

小町「むー……ちょっと頬にチューしようとしただけじゃんか。いつもは自分が独り占めしてるくせに…おはようからお休みまで暮らしを見つめる度にさ」

 

いろは「私はライオンじゃあありません!いいから支部の仕事してよ、仕事」

 

陽乃「いろはちゃん、あざといくせに変なところで真面目だよねぇ。いやー、世の中には色んなタイプの兄や姉がいるよねー♪この間会社の入り口で小町ちゃんを待ち伏せしていた波紋使いの少年がいたんだけどね?ボコボコにしたあとに身の上話を聞いたらね?最近、お姉さんが不良化したんだって。夜とか全然帰って来ないらしいよ?」

 

あいつか…。あいつ、波紋の戦士としては中級クラスの陽乃さんにも負けたか…。まぁ、陽乃さんのアヌビス神の力なら、普通の奴なら勝てるはずもないか。

 

陽乃「でも、そのお姉さんは総武高に通ってて、超真面目さんだったらしいよ?なのに、いきなりの不良化でしょ?そこに最近総武で暴れている比企谷兄妹&ジョジョちゃんの噂を聞いて、早合点で八幡くんや小町ちゃんをつけ狙い始めたらしいわよ?」

 

八幡「迷惑な…」

 

小町「次からスナイプしてもらおうかな…」

 

小町がバッチをキュット握る。狙撃するな。

それにしても、そろそろ眠くなってきた。

 

陽乃「まぁ、彼の家の事情だからなんとも言えないけど、妙に懐かれちゃって、相談されちゃったんだよね?あ、その子、川崎大師君って言ってね?あれ?何かおかしいな大使?太子?大師?まぁ、何だっていっか。四月から塾に通い始めたんだって」

 

八幡「陽乃さん」

 

陽乃「ん?」

 

八幡「ストーカー気質の奴に懐かれると厄介です。早いところ始末するべきですよ。何でしたら護衛のスナイパーを貸しますから」

 

陽乃「お姉さんの心配をしてくれるのは普通に嬉しいんだけど、八幡くん?目が怖いよ?スナイパー用意するのはやりすぎだよ?」

 

ちょっと本気の目になっていたらしい。でも、陽乃さんは何かと勝負運というのがない人だ。いざという場面で何度も窮地に落ちているこの人を心配するのは、ジョルノの家族としては当然の事だ。

 

八幡(それに、変な男に引っ掛かりでもしたら、大変じゃあないか!お父さん、そういうのは許しませんよ!」

 

いろは「ハチ君、口に出てますよ」

 

陽乃「ふふふ…素直じゃあ無いんだから♪八幡くんは♪じゃあ、お姉さんが変な男に引っ掛からないように、しっかりお父さんには捕まえていて貰わないと♪」

 

小町「あ、それは小町の前世のお父さんなんだから、陽乃さんには渡しませんよ!ゴミィちゃんも過剰反応しないで!」

 

ぐふっ!久々に聞いたぞ、ゴミィちゃん…たまにやられる方が効くなぁ…。

 

いろは「それは以前にわたしの前世の夫ですー!それに、現世の婚約者を誘惑しないで下さいー!」

 

やめろ、三方向に引っ張るな!

大岡裁きじゃあないんだ!コイツらはちぎれるまで確実に綱引きをする!

しかも、三方向とも行き先はベッドじゃあないか!

普通に眠らせてくれるならともかく、この場合はちがうよね!?ただただ普通に眠いんだから、1人で眠らせて!

こういう時こそ相棒の出番だ!ジョジョえも~ん!出番ですよー!

 

静「…………(スチャッ!)」

 

目が合った瞬間にサングラスを目にはめてソファに深く座り直しやがった!「私はもう、眠っている」アピールするんじゃあない!昔あったよな、そんなネタ!「ハイスクール奇○組」とかであった北○の拳のパロディが!

テメェ、普段は裏切りは許さないとか言っておきながら、自分は裏切る気か!

オイコラ!家訓はどうした!戦略上逃げても戦いそのものからは逃げないのがジョースター家の家訓だろうが!

 

静「ムニャムニャ…私はお兄ちゃん一筋だから、ハッチ争奪戦には加わってません。なので、戦いそのものに参加してません…ムニャムニャ…good-bye ハッチ」

 

ジョジョぉーーーー!

 

結局、この日は明け方近くまでこの騒ぎは続いた。

 

承太郎「ヤレヤレだぜ」

 

……

………

 

朝である。雀がチュンチュンしていた。いわゆる一つの朝チュンである。

本当の意味での朝チュンは何とか回避したが、あんなことになるのなら、本当の意味での朝チュンを迎えた方が良かったかもとか思う。

ん?いま、何時ごろ?

 

八幡「ピョッ!」

 

小町ほどではないが、俺も横に寝ている状態からジャンプする事が可能になった。

 

ゴンっ!

 

八幡「………中々痛い」

 

ジョセフ「兄妹揃って同じ事をするかのう?」

 

ジジイが呆れながらため息をつく。

 

八幡「おい小町、朝だぞ!」

 

言ってから気付く。周囲を見回してジジイ以外、誰もいないことを確認するのに約2秒。次に窓の外に目をやる。太陽が結構な高さにあったのを確認するのに約3秒。幕張の町並みを一望できるこの部屋の売りなどマジでどうでも良い。そして、時計に目をやる。九時半。上から見ても9時半。下から見ても9時半。たっぷり5秒をかけて現状確認。最後に、ニヤニヤしているジジイの顔を見て殺意が湧くのに6秒。

ザ・ジェムストーンが時間停止できる二倍の時間をかけて衝撃の事実とご対面。

 

八幡「超遅刻じゃん。それに、10人以上もいるのに、何故誰一人として俺を起こさん…」

 

ジョセフ「気持ち良さそうに寝ておったからのう。普段は憎たらしいくそガキじゃが、寝てる姿は年相応に可愛いげがあるのう?

次にお前さんは『やかましい、くそジジイ!キモいことを言ってる隙があったらさっさと起こせ!』という」

 

八幡「やかましい、くそジジイ!キモいことを言ってる隙があったらさっさと起こせ!………ハッ!」

 

やられた!いまだにこれをやられる!

 

ジョセフ「ニッシシシ!まぁ、徐倫も寝かしておけと言っておったし、今日くらいは休んでもええじゃろ。ルームサービスで朝飯も頼んでおくぞい?」

 

八幡「お粥セット頼むわ。まぁ、家族愛が強い身内で涙が出るよ」

 

徐倫が気を利かせたのか。そうでもなければいろはやジョジョに起こされているだろう。

お粥セットがくるまでの間に制服に着替える。休んでも良いとは言われたが、仕事もあるからそうも言っていられない。社畜になれている自分を呪う。

 

ジョセフ「で、部活の方だけはでるのかのう?一緒に行くか?」

 

八幡「そうだな。ジジイと散歩しながら通勤するのも悪くないな」

 

ジョセフ「決まりじゃな。杜王町の時は承太郎や仗助とこうして赤ん坊の静を抱いてよく散歩したもんじゃ」

 

お粥を二人で食べたあとに、戸締まりを確認してからフロントにキーを預け、ホテルを出る。いつもとは違う通学路。行き交うのは学生達のロードレースではなく、仕事に励む営業マンやダイエットのおばちゃんたちだ。

隣を歩くジョセフを見る。一度は背骨が曲がったとは思えない姿だ。波紋の修行をやり直したことにより、肉体年齢は50代の頃に戻っている。総入れ歯だった歯もジョルノに治してもらっており、いろはによって白内障も治っている。下手をしたらエジプトの戦いの頃より若返っているかも知れない。波紋のレベルも天才と呼ばれていただけあり、俺とそう変わらない。娘のジョジョよりも実は肉体レベルは高かったりする。何故か義手だけは治さないが。

殺しても死ななそうだな、このジジイは。

俺とジジイは他愛もない会話を交わしながら、総武高校まで歩く。

そして、堂々と表門から入り、昇降口でゆったりと上履きに履き替え、教室へと向かう。

超重役出勤だというのに堂々と二人して校舎の中をばっこする。

 

ガラ!

 

物言わぬ瞳が一斉にこちらに向けられる。教室内に訪れる静寂。ひそひそ話も先生の講義の声も消え失せた。

いや、先生の講義の声はなんで来たの的なポカーンとした顔だったが。

俺は遅刻が嫌いなのではない。この空気が嫌いなのだ。

 

八幡「しまった、教室を間違えた」

 

ジョセフ「わっはっは!仕方のない奴じゃのう?」

 

八幡「いやいや、気付いていたのなら教えろよ」

 

ジョセフ「すまんすまん。孫同然のお前さんとの会話が楽しくてのう。可愛くて仕方がないのじゃよ」

 

八幡「リアル曾孫娘と娘が睨んでいるけど?」

 

ジョセフ「おお、気付かんかったぞぃ。とにかく、間違えたのならいくぞ?八幡。二人とも襲いかからん勢いじゃわい」

 

八幡「こういう時にはもちろん、アレだよな?」

 

ジョセフ「うむ、息が続くまでやるぞい!」

 

静&徐倫「逃がすかよォォォ!」

 

さすがは家族。

あっという間に意図を読まれて捕まってしまった。

 

徐倫「はぁ…比企谷。来なくて良いって言ったのに…。さすがにいるとわかっている以上、授業が終わった後で来なさい。あと、ひいお爺ちゃんは先に行ってて」

 

八幡「うす、空条先生」

 

静「娘の私よりハッチと仲良しってどうなの?パパ…後で承太郎おじさんに泣きついてやる…。ね、空条先生」

 

徐倫「ノーコメントよ。比企谷、席に着きなさい。授業を続けるわよ」

 

うーっす。あと15分か。

 

←To be continued




着々と進むエンジェルラダー編!
というか、既に階下にいます。


原作との相違点。

小町は八幡を真面目と評価する➡意外と仕事が真面目なのは小町も知っているので、イケメンと評価。

デコピンをするのは八幡。常人のフルパワーでデコピン➡いろはがナイチンゲールを使ってデコピン。スタンドのフルパワーはかなり痛い。

色んな兄妹の話と大志の話は塾が同じの小町から聞かされた➡千葉支部(といっても日本支部の本社内にある)の前で小町を出待ちしていた大志をボコった陽乃から聞かされた

寝坊した八幡は慌てて母親が作ったトーストセットを食べて登校➡ルームサービスでお粥をゆっくりと食べ、ジョセフと散歩しながら登校

八幡が登校したときの授業は平塚先生の国語の時間➡ゆっくり散歩して登校したので授業はさらに進み、徐倫の英語の時間。ちなみに原作通り慌てて登校したとしても、授業は朋子の国語の時間。結果は変わらず。

それでは次回もよろしくお願いいたします。



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