やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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赤龍帝と原石の鎮魂歌

side東方仗助

 

丈城「ウ…ウソだろ……オイ…!」

 

仗助「なんじゃこりゃ…最早怪獣じゃねぇか!」

 

幾多のスタンドによる戦法を駆使し、レイナーレをあと一歩のところまで追い詰めることに成功した丈城、八幡、俺の三人。

だが突如として降ってきた数機の航空機を取り込もうとレイナーレが跳躍してしまい、確認の為に急いで屋上に向かう。

そこにいたのは、墜落してきた航空機を取り込んで巨大化と大逆転復活を果たしたレイナーレの異形な姿であった。

 

レイナーレ『GYAOOOOOOOOOO────────ッッ!!』

 

巨大化してわかりやすく野太くなった咆哮を上げるレイナーレ。次の瞬間肥大化した片腕を振り上げ、その狙いを俺達三人に絞った。

 

八幡「! 不味いッ、みんな避けろ!!」

 

八幡の一声に、三人は一斉に柵を足場にして空へ回避。そのすぐ下を巨腕が通過。柵や屋上の入り口が薙ぎ払われてしまった。

 

八幡「あっぶねぇ……! クソッ、あンのデカブツゥッ!!」

 

いくら柔術を使える俺でもあれは無理だ。

 

仗助「八幡落ち着け! 何の対策もなしに突撃は危険だ!」

 

反撃に転じようと八幡が『ザ・ジェムストーン』を出して突貫しようとするも、すぐに第二波が三人を追撃。今度は逃げ場がなくぶっ飛ばされてしまった。

いってぇぇぇ!

あの八幡が打つ手なしかよ……。

 

レイナーレ『GYAOOOOッッ!!』

(ドガン!)

 

丈城・八幡・仗助「「「ぐわあああぁぁぁぁ───────────っっ!!」」」

 

ラッシュを食らった時とはまた違った衝撃はとてつもなく重く、三人はなす術なく宙を舞うしかなかった。

負けた!第4章ー4、完!メメタァ!

ついでにハイテンションJO×JO、完!メメタァ!

 

が、

 

((ガシッ!))

木場「ジョジョ君! 大丈夫かい?」

 

丈城「おおっ、裕斗ナイス!」

 

ゼノヴィア「ふぅ、三人揃ってヒヤヒヤさせてくれる」

 

八幡「助かったぜ、ゼノヴィア!」

(ボスッ)

 

仗助「おおおっとぉっ!? ……よっと。おっ、康一ィ! 音のクッショングレートだったぜ!」

 

康一「間に合ってよかった!」

 

そこへカラワーナ戦を制した木場とゼノヴィア、康一が急行。悪魔の翼を展開して宙に投げ出された丈城と俺をキャッチした。そして康一は尻尾文字を俺に放って衝撃を緩和。無事に救出された。

 

木場達に介抱されて息を整えていると、そこへさらなる応援が到着。

 

リア眷属「「「「ジョジョ (君) (さん) (丈城先輩) (パイセン)!!」」」」

 

残りの眷属とアーシスメンバーが集結。これで一人も欠けることなくレイナーレとの最終決戦に臨む形となった。

 

アーシア「レ…レイナーレ様…!!」

 

露伴「ハハハ…逆に笑っちゃうな。ここまでくるといよいよリアクションが取りづらい」

 

ゼノヴィア「残るはこいつだけか……。しかしいつの間にこんな巨大な姿に変貌したんだ?」

 

仗助「俺たちもよくわからねぇんだよ。詳しく話したいところではあるけど……」

 

裕斗「…その隙はないようですね」

 

救援に気が付いたレイナーレが再び咆哮。彼らに向けて巨腕を振り上げた。

 

レイナーレ『GYAOOOOOOOO──────ッ!!』

 

リア「来るわよ! 備えて!」

 

一足先に察知したグレモリーが警告し、全員がその場から飛び退く。そして叩きつけられた巨腕を伝い、木場・クァルタ・俺・子猫が肩付近に接近。

 

裕斗「『双覇の聖魔剣』ッ!!」

 

ゼノヴィア「デュランダルッ、覇ァッ!!」

 

仗助「『クレイジーダイヤモンド』!!」

 

小猫「……食らえッ!!」

 

各々の得物で斬撃と打撃を繰り出す四人。だが

 

レイナーレ『GYAAAAAAAAッッ!!』

 

裕斗・ゼノヴィア・仗助・小猫「「「「うわあああぁぁっっ (キャアアァッッ)!!」」」」

 

簡単に弾かれた上に全く効果がない。

不味いぜ…ただのデカブツならジャンピン・ジャック・フラッシュで浮かせてエコーズact3の重力で落下させればグッチャリなんだが、何らかの魔法陣を展開して自重を支えていやがるみたいだ。

続け様に屋上に移動した音石と姫島、グレモリーとカマクラが挟み込むように接近。電気攻撃に滅びの一撃、空気弾がレイナーレに放たれた。

 

朱乃「音石さん!」

 

明「さっきよりもドキツイやつをかましてやるぜ! YEAH!」

 

リア「食らいなさい!」

 

カマクラ「シャアアッ!」

 

攻撃は全弾ヒットするも巨体のレイナーレには物理攻撃が通じない。しかも反撃として巨腕のアッパーが繰り出され、音石さんとカマクラの立っている場所付近が破壊されてしまった。

 

明「わーッ!? 危ねぇ!!」

 

カマクラ「ニャ─────ッ!?」

 

明「カマクラァ────ッ!?」

 

危険と判断して回避したもののそこも崩れてしまい、音石さんとカマクラが落ちてしまう。間一髪朱乃とグレモリーが一人と一匹を回収。事なきを得た。

 

朱乃「お怪我はありませんか?」

 

音石「あ、あぁ…何とかな、ありがとう。にしても俺たちの力が全く通用しないなんて、こんなことあるのかよ!?」

 

カマクラ「ウゥ〜ッ……!」

 

リア「まさに怪物ね……! あの図体じゃ歯が立たないわ!」

 

少し離れた場所に着地し、しばし息を整えるグレモリー達。その近くには先程弾き飛ばされた木場が城廻やアルジェント、露伴に介抱されていた。どうやら予想以上のダメージに痛手を負ってしまった様子だ。

 

その間にも進撃を続け、怪獣並みの暴れ回りをみせるレイナーレ。学校を破壊される様に怒りを募らせるリアだったが、その視界に進撃を食い止める者達の姿が映った。

 

リア「ジョジョ! それにギャスパーまで……!!」

 

康一「見てください! 八幡君もいる!」

 

滑空やレイナーレの巨体を利用したパルクールで、某調査兵団顔負けの立ち回りをみせる丈城と八幡。ギャスパーも負けじと『停止世界の邪眼』を使って動きを拘束。持続はしないが、前衛二人の回避や立ち回りのサポートに徹している。

ははは…やっぱり八幡はああでなくちゃな。

熱い八幡なんてアイツじゃあない。冷めてるくらいが丁度良いんだ。

 

露伴「考えたな。あえてあの巨体を足場にすることで巨腕の攻撃に当たる確率を極力減らしている。考えもなしに突貫したどっかの支部長とは大違いだ」

 

仗助「うっ、うるせぇな! でも二人共初対面の割には息ピッタリだぜ……。あれに関しちゃグレート通り越して脱帽もんだな」

 

露伴「次元を超えた魂の同調、ということか……」

 

嫌味を口にしながらも、しみじみと二人の連携の潤動さに感心する露伴。俺もその光景を目にし、熱く燃え上がるものが沸々を込み上げてくる。舐められたままじゃ終われない。4代目ジョジョの名は安くねぇ。

 

露伴「……行ってこいよ。東方仗助」

 

仗助「!」

 

それを読み取ってか、露伴の野郎が半ば呆れ口調でそう促す。

 

露伴「君の考えていることなんて『ヘブンズ・ドアー』を使わなくったってわかるさ。あれを見せつけられて、黙って引き下がるような男じゃないだろう? さっさと行って足を引っ張るなり討ち死にするなりしてくるといい」

 

めぐり「ちょっと、露伴ちゃん!」

 

仗助「ヘッ…いっぺん死にかけた奴相手にビビるわけねぇだろ! あんな奴怖かねェッ!! 野郎ぶっ殺してやらァァ───ッ!!」

 

いつもの露伴節の中に垣間見える優しさが、この時ばかりははっきりと見えた。彼の見えざる後押しに、こみ上げる心火が俺を行動へと導く。

なんだかんだで腐れ縁だよなぁ。露伴よぉ。

 

そして全身に心火のヴィジョンをメラメラと纏わせた俺は次の瞬間、脱兎のごとくレイナーレと交戦する丈城達の元へと駆け出していった。

 

億泰「仗助ェ…熱くなるのはいいけどよォ、その言葉を使うタイミングが違う気がするぞ……絶対」

 

露伴「第一、今回の戦いだけで他作品ネタが多いと思うんだがね。コ◯ンドー然り壇◯斗然り……。面白いのはいいが盛り込み過ぎてもよくないぞ」メメタァ!

 

めぐり(なんのことだろう……露伴ちゃん)

 

 

side比企谷八幡

 

ギャスパー 「ジョジョパイセン! うなじは削いだのかよ!?」

 

丈城「だァからこれ巨人じゃねっつの!! ◯体起◯装置も持ってねぇし!!」

 

現時点で兵藤・俺・ウラディの三名がレイナーレの進撃を食い止めている。しかし時間の経過とともに徐々に劣勢に追い込まれていた。やはり図体の違いが大きく、力の差は歴然であった。

 

八幡「くっそぉ……あとちょっとで倒せるところまでいっていたのに! 第一あの飛行機は一体どっから降ってきたんだよ!!」

 

ホント、そこ。

 

丈城「八幡! 今はそれどころじゃない! どこかに奴を倒せるヒントがあるはずだ! 攻撃を避けつつそれを見出せ!」

 

んなこたぁわかってるわ。

それに分析は重要だぞ?

俺はディオだぞ?そしてジジイ…ジョセフの弟子だ。

言われなくてもやってるし、隙を誘うようにチョロマカとやってるけどな?こりゃまた隙がねぇんだよ。

攻撃を回避しながら、巨大なレイナーレの周囲を探索して弱点を探す丈城と俺。

しかし巨大化しただけで特に変わったところは見当たらず、『チョコレイト・ディスコ』でつけた傷も塞がっていてスカ。本当に弱点がない。

モビル○ーツみたいなロマンなだけの作る意味のない間抜けな産物に有りがちな、自重を支える関節の弱点も魔法というチートで無効にしてやがる。フ○メタル・パ○ックのラムダ・ド○イバかよ!ベヘ○スか!

何か別の世界に飛んだ別の俺がハイテンションでその戦略を使ってる気がする…(4-5参照)

 

焦りが募り、いつ攻撃を食らってもおかしくない状況に陥る三人だったが、その時あらぬところから仲間の声が轟いた。

 

仗助「オラァこいよデカブツ! どこ見てやがる!」

 

それに反応した三人が急いで辺りを見回す。すると破壊された新校舎三階の壁の穴から、レイナーレの気をひこうと煽る仗助の姿を発見した。しかしそこはレイナーレの真ん前でもあり、危険と隣り合わせのリスキーポイント。丈城も俺もこれはマズイと、すぐに逃げるよう呼びかける。

何考えてんだよ!あの兄貴分!

 

八幡「ちょっ!? 仗助! そこは危ないぞ!!」

 

丈城「今すぐそこから離れろ! あの攻撃を食らったら一巻の終わりだ!」

 

その警告に、仗助は口角を上げてこう返した。

 

仗助「三人共こっちに来い! 俺に任せろ!」

 

シシッとさも意味ありげな笑みを浮かべ、自分のところに来るよう返す仗助。一体何を考えているのだろうか。

だが、仗助は意味のねぇことはやらない。

そこだけはジョセフ同様に信用できる……のか?

今一つジジイほど安定の信頼感がねぇんだよな。仗助の場合は。

 

ギャスパー「何考えてんだかしらねぇけど……大丈夫なのか? アレ」

 

八幡「考えても仕方ねぇ! 丈城、女装野郎、行くぞ!!」

 

丈城「応ッ!」

 

ギャスパー 「オイその二つ名ヤメロ!」

 

やかましい!いろはの声の女装男の娘なんて女装野郎で充分だっつーの!

思わずジョジョ(静・ジョースター)になっちまったわ!

 

俺の呼び掛けに応じ、兵藤とウラディは至急仗助の元へ。動きを察知したレイナーレはそれに反応し、巨腕を二人に目掛けて叩きつける。間一髪コウモリ化とハーミット・アメジスト……ではなくパープルによるターザン移動法で回避し、仗助と一足先に到着していた俺と無事合流した。

 

仗助「よし、三人共一旦下がれ!」

 

丈城「いきなりだなオイ!」

 

指示通り俺達三人が後衛に回り、仗助がタイミングを見計らってレイナーレの攻撃を重視する。案の定レイナーレは四人を狙って巨腕を伸ばす。その距離が10mを切った瞬間、仗助が仕掛けた。

 

レイナーレ『GBAAAAAA!!』

 

仗助「『クレイジーダイヤモンド』!!」

 

自身のスタンドを側に立たせ、辺り一面の瓦礫を対象に能力を発動。瓦礫は元に戻ろうと穴に集まり、そこには既に内部へと進入した巨腕。従って……

 

(ゴゴゴッ! ガッ、ブチブチィッ!!)

レイナーレ『OOOOOGYAAAAAAAAHHHHHH──────────ッッ!!』

仗助「忘れたのかよ──────ッ、俺の『クレイジーダイヤモンド』は壊れた物を"治せる"んだよ──────ッ!!」

 

戻る瓦礫に押しつぶされ、伸ばした巨腕が血飛沫と共に切断した。

 

八幡「おおっ、流石仗助ェ! 日本支部長の名は伊達じゃねぇな!」

 

こんな派手な自動追尾弾を仕掛けてやがったのか。さすがは俺の上司(忘れてるかもしれないが、俺は関東支部支部長だ。次期日本支部支部長らしい。逃げてぇ)

 

丈城「成程『サーフィス』戦の修復能力による切断攻撃か! やるな!」

 

ギャスパー「ヘッ、やっと役に立ったなオッサン!」

 

仗助「最後の言葉で全部台無しだよこのスカタン!!」

 

切られたトカゲの尻尾のようにビチビチ跳ね回る巨腕の残骸を丈城が処理し、一先ず息を整える一同。各々が負った傷を修復しつつ、緊急作戦会議を開いた。

 

ギャスパー「しかしビビっちまうな…こうも連チャンで神器がまともに効かない相手が続くと気が狂うぜ」

 

仗助「弱点ナシ……俺らの攻撃が全く通用しない悪夢……ある意味グレートだぜ、こいつぁ…」

 

八幡「亡霊スタンド×丈城への逆恨み×取り込んだ数機の飛行機、か。嫌な相乗効果だよ。それ以上のパワーで裏回るとなると……何があるんだ?」

 

丈城「まずスタンドだと限られるな……。『牙 ACT4』とか『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』が使えるコンディションなら話は別だけど。かといって『赤龍帝の籠手』のレベルも現状そこまで高くはない。ヴァーリと殺りあった時だって惜勝だったし」

 

戦況は依然として絶望的。上級悪魔やスタンド使いの力を持ってしてでもレイナーレにダメージを与えるに至らなかった。正に絶対絶命のピンチ。打つ手が思い浮かばない。

いや、方法はあるんだが……後処理を考えるとな。

ん?何だ兵藤?俺を見つめるな!

海老名が…花京院の転生の腐女子が喜ぶ事は…

 

花京院の転生の腐女子の声

『ジョジョハチ!キマシタワー!』

 

何でこの世界にまで腐の呪いが届くんだよ!

三浦!アヴドゥルは仕事しろ!おかんだろ!

 

三浦『知らねーし』

 

海老名院と三浦ドゥルの幻覚はともかく、兵藤は、何かを決断したらしい。

 

丈城「………一個だけ、あるぜ。起死回生の一手が……!!」

 

八幡・仗助・ギャスパー「「「えっ!?」」」

 

大抵の場合、ここは『逃げるんだよォォォ!』が来るんだが、どうやら『くるっ♪シュゴォォォ』をする気はないようだ。

その言葉が言い終わるや否や、兵藤が突如として『ホワイト・スネイク』を出現。そして何を思ったのか、八幡の頭……ではなく遺体と同じ右足からDISCを抜き取った。

 

八幡「おおわっ!? な、何をするだァッ! びっくりしたー!」

 

ホワイト・スネイク『比企ヶ谷八幡。今、アナタノ記憶カラ『ザ・ワールド・レクイエム』ノDISCヲ抜キ取リマシタ…』

 

ん?ザ・ワールド・レクイエム?いつの間にかレクイエム化してたのか?

 

八幡「はっ? え、どゆこと?」

 

ホワイト・スネイク『聖ナル遺体トナッテ散ッタ原因ガ何ナノカ…ソレハワカリ兼ネマスガ、少ナクトモアナタノ器デハ足ラナカッタノハ事実。デモ、ソノ器ガ二ツアレバ……』

 

おい、兵藤。お前は俺の記憶を見たんだろ?

2つのレクイエムを…ザ・ワールド・レクイエムとハーミット・パープル・レクイエム…。それを俺の魂だけで使ってしまったが為に起きた悲劇だ。

ザ・ジェムストーンが2つのスタンドの融合ではなく、上手くバランス良くブレンドさせた技術だということに俺自身が気が付いていなかった事だ。

レクイエム化させた事でバランスが崩れ、俺一人では2つのレクイエムを支えきれなかったんだよ。

 

仗助「……丈城、お前まさか!」

 

丈城「そのまさかだよ……。八幡の『ザ・ジェムストーン・レクイエム』でケリをつける!!」

 

仗助「「!!」」

 

その手は考えていたよ。

矢があったのならな。

今ならば俺には3つの魂がある。

その内の1つである砕けている俺は除外として、兵藤とドライクの…赤龍帝本来の魂がこの体にはある。

 

丈城「真実根本から抹消できんなら、これ以上の有効打はない! 八幡一人の力で制御しきれないのならオレも一緒に付き合う!」

 

八幡「へ、ザ・ジェムストーン・レクイエムを克服する手段なら既にあるんだよ。お前こそ、覚悟はあるんだろうな?」

 

仗助「なっ!おめぇは何が原因で魂が砕けたのかわかってるのか?」

 

八幡「ああ。元に戻ったときには使えないが、今だけは制御できる。ザ・ジェムストーン・レクイエムを使っても砕けない」

 

丈城「確信はあるんだな!だったら更にそれを絶対にするぜ!スタンドだけがオレの持ち味だけだと思ったら大間違いだ!」

 

そう言い切った兵藤の左腕には、いつのまにか展開されていた神器『赤龍帝の籠手』が出ていた。それを見て今度はウラディにもわかったようだ。

 

ギャスパー「そうか、『赤龍帝の贈り物』!」

 

丈城「Exactly (その通り)! これで二人分強化すれば安定するはずだ!」

 

強化された八幡と丈城の器。そして『ホワイト・スネイク』による役割の分担。この方法ならば、低リスクで『ザ・ジェムストーン・レクイエム』を扱うことが出来る。というのが兵藤の考えだ。

成る程な。それなら砕けた俺でも支えられる1つの魂にカウントされる。

 

八幡「矢がなくても出来るんだな?レクイエムが」

 

デュオロン・オブシディアンならともかく、ザ・ジェムストーン・レクイエムが矢も無しに使えるなんてな。

 

仗助「……わかった。それでいこう」

 

八幡「……信じるんだな、仗助?」

 

 

以外や否や、同じくらい危険性を知っている仗助がその案に乗ったのだ。彼は無言で立ち上がると、兵藤の胸ぐらを引っ掴み

 

仗助「但し……二人ともゼッテー生きて帰ってこい!! 遺体になって散るんじゃねぇぞ!!」

 

ならねぇっての。確実なんだからよ。

迫真の剣幕でそう後押しする。そうして兵藤は当然とばかりに首を深く縦に振り、次に俺に目を向けた。

 

 

丈城「だってよ。この日本支部長さんがこう言ってんだ。やるっきゃねぇだろ、八幡!」

 

八幡「砕けない自信はある。でも、レクイエムを甘く見るなよ…」

 

上手くいくか否かはハッキリしている。千葉村でレクイエムがそれが答えだと言っていたからな。

だが、レクイエムの真実に俺はともかく、兵藤がもつのか…真実から弾かれないのかが心配だが、本人の覚悟が出来ているのなら…やるか!

 

八幡は一拍置いて、腹を括った。

 

 

八幡「……わかった、やろう。兵藤。だが、心配なのは砕ける事じゃあない。それは間違いなく起こらない。怖いのはお前の方だ。神転生なんて異物が果たして真実に弾かれないか…なんだよ。それでも構わねぇならやるぞ」

 

丈城「グッド! O.K. Open the climax (クライマックスの始まりだ)!!」

 

互いの覚悟が固まったところで、兵藤は俺と共に『スティッキィ・フィンガーズ』で屋上に移動する。

レイナーレはまだ巨腕を切断されて痛がっていたが、二人の姿を見て咆哮。再び憎悪をかき立てた。

 

 

レイナーレ『GYAOOOOOOOOOO────────ッッ!!』

 

八幡「兵藤。やってくれ」

 

丈城「行くぜ!『赤龍帝の贈り物』!」

 

ドライグ『Transfer!!』

 

八幡と握手を交わし、彼の手甲に『赤龍帝の籠手』を翳す。二人の中に倍化のパワーが流れ込み、丈城が『ザ・ワールド・レクイエム』のDISCを頭に挿入。

 

俺もホワイト・スネイクでハーミット・パープル・レクイエムのディスクを取り出して頭に挿入する。

 

丈城「この俺、兵藤丈城が"真実からの消滅"をォッ!」

 

八幡「この俺、比企ヶ谷八幡が"真実の投影"をォッ!」

 

丈城・八幡「「二人の力で、今こそここに再誕せよ!『ザ・ジェムストーン・レクイエム』!!」」

 

そこで仗助が指を掲げる!今こそあの号令だ!仗助!

 

仗助「アーシス!スクランブル!」

 

リアス「いいわね!それ!」

 

今度はグレモリーが指を掲げる!

 

リアス「グレモリー眷族!スクランブル!」

 

そして仗助とグレモリーが頷き合い、人差し指を掲げながら互いの腕をクロスさせて叫ぶ!

 

仗助&リアス「DXD(デビル・クロス・ダイヤモンド)!スクランブル!」

 

悪魔とダイヤモンドを中心に出来たこの即席チーム…

デビル・クロス・ダイヤモンドか……。

レクイエムを再びやるにはいい門出だ!

シャウトと共に二人の周囲が多色のオーラに包まれる。その規模は遥かに凄まじく、地上にいるリア達やアーシス面々にもはっきり確認できた。

全てが白黒に塗り潰され、全てが停止した以前のレクイエムとは違うような……。

 

億泰「な、なんだァ一体!?」

 

リア「この波動……! まさか、ジョジョ達が何かしたの!?」

 

露伴「……これは、レクイエムの波動!?」

 

康一「ええっ!?」

 

めぐり「丈城さんは確かレクイエムに至っていない……! だとしたら、あの波動って……」

 

裕斗「八幡君の…レクイエム……!」

 

ヒツギー『ギャル……』

 

そこへウラディと仗助が合流。

 

 

音石「おい仗助! なんだありゃ!? 一体何がおこっているんだ!?」

 

仗助「……丈城のアシスト込みで、八幡のレクイエムが発動したんだ。八幡は上手くいく確信があるみてぇだがな。そこを更に丈城が補強したらしい」

 

ゼノヴィア「なんだと!?」

 

ギャスパー「そうギャーギャー騒ぐなよ。あの天下のジョジョパイセンがアシストしてやってんだ。ちょっとやそっとじゃ消えねぇよ」

 

小猫「……ある意味最強のアシスト。丈城先輩がついているのなら、ひと安心です」

 

おーい、そんなに俺は信用ねぇのかー?

俺だって初代ジョジョとディオの転生だぞー?

 

丈城「オオオオオオオオオオオオオオ……」

八幡「ハアアアアアアアアアアアアア……」

 

あの時とは違った、モノクロな景観とは違うカラフルで温かみのある景観。そして宙にふわりと浮かび、気を集中させる二人の中間に一体のスタンドのヴィジョンが浮かび上がった。

 

レクイエム「……これで4回目の召喚だな。どこの世界でも私を呼び出しおって……比企谷八幡。貴様は私を何だと思ってるんだ?」

 

八幡「へぇ?他に三回もレクイエムが発動したのか。大人気だな?レクイエム」

 

レクイエム「ザ・ワールド・ネオ・レクイエム、デュオロン・オブシディアン、ザ・ジェムストーン・ブラッド・レクイエム……そして今回はさしずめザ・ジェムストーン・ドライク・レクイエムと言ったところか…」

 

丈城「お前が『ザ・ジェムストーン・レクイエム』か。早速で悪いがお前さんの力、貸してもらうぜ!」

 

レクイエム「フ。人使い…イヤ、スタンド使いの荒い男だ。よかろう、存分にやれ。もはやこの私はただのザ・ジェムストーン・レクイエムなどではない。とある世界の比企谷八幡は真実に至った。研磨中のザ・ジェムストーン・レクイエム……比企谷八幡よ、貴様は真実に到達した。更に貴様は到達せねばならない。真実の先へと…ウルフスに対抗するためにも…そして、兵藤丈城。現段階では貴様は真実に到達することは叶わぬ…だが、真なる力に目覚めし時、貴様と私は再び出会うことがあるかもしれぬな」

 

丈城「レクイエムに魅入られし魂か。大変だな?お前も」

 

八幡「他人事じゃあねぇよ。お前も魅入られたっぽいぞ?」

丈城「マジで?」

 

今回を含めて4回目のレクイエムがそれぞれの平行世界に現れたか…。それにしてもレクイエムとの邂逅がこんなにも穏やかとはな。デュオロン・オブシディアンまで現れたとはビックリだが。

アレだけは無理だ。誰だよ?けーちゃんを怒らせた奴は…。

さて…と。レクイエムとの邂逅が4回目の俺はともかく、初めての丈城にはキツいかも知れん。精神力をガリガリ削るからな。

 

レイナーレはレクイエムのオーラを感じ取り、巨体にも関わらず後ずさる。彼女も本能的に悟ったのだろう。これは危険だと。

 

八幡「スゲェや……前と感覚が全然違う。これが『赤龍帝の贈り物』の力か!」

 

丈城「それだけじゃないさ。最初っから一人で二人分のレクイエムを扱うには、あまりにも負担がデカすぎる。一人分のレクイエムを俺が肩代わりした事で、お前の負担が半減したからだ。これなら互いの生還確率が高くなる!」

 

へぇ……。そこまで計算ずくか。っていうか、五人で支えてるのか?丈城とドライクが二つずつだから。

鬼に金棒を得た二人はレイナーレを対象に能力を発動。まずは『ハーミット・パープル・レクイエム』でレイナーレの真実を映し出す。

『ザ・ジェムストーン・レクイエム』から伸びた『ハーミット・アメジスト』が逃げようとしたレイナーレを包み込み、混ざったもの全てが出現した。

 

レイナーレ『グゥウウウッッ! 兵藤丈城ィィィ──────────!!』

 

丈城「レイナァアアレェェエエッッ!! 十万円返せェェ────────ッッ!!」

 

ぶれねぇな…。

 

八幡「……カオスだなぁ」

 

 

数機の航空機と『ノトーリアス・B・I・G』はまぁいいとして (いや良くはないが)、早々に兵藤とレイナーレの壇◯斗合戦勃発。クライマックスの戦闘シーンでギャグ挿入は勘弁してくれよ。

 

 

レイナーレ『お前ノセイデ! オ前のセイでぇェェェ─────ッッ!!』

ノトーリアス・B・I・G『WOOOOGYYAAAAHHHッ!!』

 

レクイエム「哀しき魂だ。この者達からは憎悪しか感じられない。これは真実ではない」

 

八幡「兵藤、お前の目にも見えているはずだ。トドメはお前がさせ! 『ザ・ワールド・レクイエム』で!」

 

"真実の投影"は済んだ。残すは"真実からの抹消"である。

 

丈城「ああ! コイツで決めて皆で帰るぞ!! 決着ゥゥ───────ッ!!」

 

丈城・レクイエム「「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!」」

 

二人のラッシュが、レイナーレや『ノトーリアス・B・I・G』、航空機を次々と真実から消してゆく。この二つの悪しき魂は、この世にもあの世にも留めさせてはならない。

 

レイナーレ『ギャアアアアアアアアアアアアアッッ!!』

ノトーリアス・B・I・G『GUGYAAAAAAAAAA───────ァァァッッ!!』

 

 

砂の塊が粒子に変わるように、悪しき二つの魂は虚空に消えていった。もうどこにも存在する事は叶わないだろう。

 

辺りを包んでいた穏やかなオーラが徐々に元の景観に戻り、二人は屋上にゆっくりと足をつける。その背後では既に抜け殻となったレイナーレの巨体が脱力状態で沈黙し、頭から空に溶ける形で消えてゆく。

 

 

丈城・八幡「「…………………」」

 

纏っていたオーラが消え失せ、二人は黙ったままその場に大の字で倒れこむ。それとほぼ同タイミングでリア達とアーシス面々が合流。急いで駆け寄った。

 

 

リア眷属「「「「「ジョジョ (さん)(君)(丈城先輩)(パイセン)!!」」」」」

アーシス「「「「「八幡!!」」」」」

 

抱き抱えてみると、二人とも疲労困憊といった脱力した表情でぐったりとしている。そして仲間の姿を視認すると、揃ってニッコリと笑って勝利を報告した。

 

丈城「ヘッヘへ……勝ったぜ、皆……!!」

 

八幡「この通り、五体満足でな…! にしても疲れたー!」

 

 

そう言って更に脱力する新生性悪コンビの俺達。特に変化もないことから、どうやら兵藤も無事のようだ。

 

リア「もう……! なんでこの手の人間って湯水のように無茶ばっかりするのかしらね……!!」

 

無茶だろうが、柱の一族をも狂わせたウルフスを何とかするしかないんだよ。

 

仗助「ほんとだよな……。ま、でもちゃんと約束は守ってくれた。それだけでも大したもんだよ、ホント」

 

確信はあったからな。他の世界の俺が何をしたのか知りたくないが…。

 

康一「そうだね」

 

アーシア「おかえりなさい、二人共」

 

こんなに暖かいおかえりなさいは初めてだ…。

早く千葉に帰りたい…。

そしてウラディを見る。

 

八幡(いろは………もうすぐ帰るよ)

 

気がつくと夜が明けていた。

 

半壊の新校舎の屋上には、戦いに勝利した喜びを分かち合うDXDの姿が朝焼けに照らされている。そしてMVPを介抱し、リーダー同士でハイタッチを交わすグレモリーと仗助。互いに大切な存在が欠ける事なく勝利した健闘を讃えた。

 

sideレクイエム

 

レクイエム(やれやれ…息を吐くように無茶をする男達だ。だがこんな賑やかな者達がいる以上、この世界は大丈夫だろう。無論、お前も例外ではないぞ? 比企ヶ谷八幡よ……お前に告げるのはいつもただ1つの言葉だ。更なる成長を遂げ、真実の先へと進め……。研磨されし原石…ザ・ジュエルよ)

 

とうとう疲労から眠り込んだ二人を見て、私は静かに瞑目し、その姿を朝日に溶け込ませるようにして消えていった。

また会おう。比企谷八幡、兵藤丈城、空条承太郎、一条承一郎。

 

sideなし

 

ここに、復活した堕天使達のリベンジマッチは、慈悲深い悪魔達と違う世界からの訪問者達の大金星という形で幕を下ろしたのだった。

一体、彼らの黒幕は誰だったのか…。

それを知ることは、ついぞ比企谷八幡達アーシスには無かった。

あの偽仗助は?堕天使の黒幕は?全ての決着は……

兵藤丈城とグレモリー眷族に委ねられる。

 

(←To Be continued…)




今回はここまでです。次で4-4が終了になります!

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