やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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文字数だけなら約50位。もうじき200万文字です。

わずか一年未満でよくここまでこれたものです。

今後もよろしくお願いします♪


いつになく比企谷八幡は人に絶望している

side静・ジョースター

 

移動の間、私と由比ヶ浜、そして相模南はほとんど無言だった。

出会い頭こそヒッキーが倒れたを宣伝しまくった由比ヶ浜だが、段々盛りが酷くなるし、危篤状態に陥ったとか後から修正するのが面倒になるような内容にエスカレートしているので黙らせた。

イーハも相模も笑顔がひきつっている。

私は会社から送迎の車を呼んで相模と由比ヶ浜を乗車させた。

 

相模「セ、セダンのハイヤー……本当にSPW財団の幹部だったんだ……」

 

いろは「普段はハイヤーなんて使わないんですけどね?今回は相模先輩がいるから話は別ですよ」

 

静「まぁ、主に鍛練だったりでね」

 

相模「これは……どこへ行くの?」

 

いろは「SPW財団日本支部の本部です。海浜幕張の本社ビルですよ?職場見学で訪れた場所です」

 

相模「……………」

 

それきり、本部ビルまで車内はお通夜だった。

 

SPW財団日本支部本部。

海浜幕張の中でも一等地にある高層ビルだ。支部とはいえ国単位の本部として世界的な企業である故に一般開放されている区画を除いては警備や防犯も厳重。簡単には入れない。

まずは私とイーハのIDカードを渡して荷物の点検の後にボディチェック。金属探知機によるチェック等を終え、やっと内部に入れる。

 

静「これで私の勤務する支部長室にいけるってわけ。悪いけど、部外者である由比ヶ浜と相模は私か私の指定する職員の引率以外での社内の行動は控えて」

 

相模「え?見学とかダメなの?」

 

静「許可できないって。この忠告が破られれば普通に不法侵入で逮捕するから。それだけ社内の内部に部外者を入れることは厳しいんだから」

 

相模「わ、わかった……厳しいなあ……」

 

いろは「組織っていうのはそういうものですよ。秘密の漏洩は避けられるべき問題なんです」

 

支部長室のある最上階直通のエレベーターに乗り込みながら注意をする。ちょっとくらい良いじゃん…と言うかも知れないが、法律と照らし合わせるならばこちらの主張が正論だ。

正論である以上、譲歩はしない。

最上階に到着し、支部長室へと歩く。

私はカードキーを通して暗証番号を入力する。

 

カチャッ

 

っと鍵が解除される音がした後に扉を開け、中に入る。

これが通常、この部屋に入室する手順だ。

面倒ではあるけれど、規則だから仕方がない。

私が彼女達を伴って入室すると、正面のお兄ちゃんが顔を上げて手をあげた。

 

仗助「おう、ジョジョ。出勤したか。いろはも一緒か?」

 

静「イーハも一緒だし、相模と由比ヶ浜も連れてきたよ」

 

仗助「そうか。おう、少し休憩するぜ」

 

お兄ちゃんの言葉に反応したのが向かって左側の3つ並んでいる机の一番奥にある席、関東支部支部長のハッチである。

ハッチの両頬には一枚ずつガーゼが貼られている。鍛えられているイーハとジョルノ兄さんからの攻撃だもんね。しかも治療して貰ってないし。

部屋には承太郎おじさん、ジョルノ兄さん、マーチ、トリッシュ姉さんもいる。

 

八幡「とりあえず、ソファに座ってくれ」

 

ハッチが薦め、大きめのソファに着席するように薦める。

待機していた秘書がコーヒーを出す。

相模と由比ヶ浜はソファに着席すると、その座り心地の良さに驚いた表情を見せる。

 

結衣「すごーい!ふかふかだぁ!」

 

仗助「そりゃあおめぇ、ここには政財界のお偉いさんとかも来るんだからよ、それなりの物は準備するってもんだぜ?」

 

きちんとした応接室もあるから滅多にここに直接通すようなお偉いさんはいないけどね。

よほど緊急の用事があるとかの場合かな?

 

トリッシュ「ようこそ、相模さん……だったかしら?あたしのことは覚えてる?」

 

相模「イタリアのトップスターのトリッシュ・ウナさん……はい、その節はお世話になりました」

 

相模は緊張して体を縮こませる。まぁ、千葉村の時のあれが異常だったわけだし。

仕事に一区切りつけたお兄ちゃん達も相模達の反対側に着席する。

 

八幡「それで、体の調子はどうだ?」

 

ハッチが相模に言葉をかける。相模の状態は一応昨日の段階で確認したが、万が一という事もある。

何せ、一度は死んでしまったのだから。

 

相模「うん。大丈夫。それにしても比企谷って……」

 

相模がハッチをまじまじと見る。

ハッチの服装はスーツ姿で、髪型はオールバック。目付きの悪さを隠すためなのか、だて眼鏡をかけているけれど…。

 

相模「失礼ってわかってて言うけど……却って怖いよ」

 

八幡「なん……だと?」

 

もうね、何かだて眼鏡をかけるとイケメンになるとか言う比企谷八幡がいるらしいけど、ハッチの場合は別の意味でよく似合う。具体的には本職に見える。パッショーネにいても違和感がないよね。むしろサングラスをかけたら良いんじゃあないかな?

リサリサおばあちゃんのサングラスはお気に入りだからあげないけど(元々小町の物です)。

 

いろは「だから言ったじゃあないですか。ヤクザに間違われるからやめた方が良いって」

 

だて眼鏡をかけると目付きがマシになるっていうのは間違ってる!

 

相模「……で、体調は大丈夫なの?」

 

八幡「そもそも偽装だ」

 

相模「でも、その……すごい疲れているんじゃあないの?まだ顔色悪いし、頬の傷だって……」

 

八幡「多少は疲れてるけど、ここの仕事に比べたらはるかにましだよ。顔色は偽装の為のメイクだ。適当に白めにメイクを施して隈っぽいのを作ればそれっぽく見える。頬のガーゼは嫌みでやっているだけだ。戦闘訓練なんて遣ればあんなものは日常茶飯事過ぎてアーシスでは心配もされん」

 

あっさりと剥がしてゴミ箱に捨てる。そんな事はわかってるから誰もアーシスでは心配していない。それに、メイクも本当の事だと裏付けるように、ガーゼの下の肌は血色が良い。

 

八幡「いろはぁ。メイク頼むわ」

 

いろは「良いんですけど、誰に対するアピールですか?」

 

八幡「一応体調不良で休んでるからな。偽装には余念を入れなければな」

 

小町「普段サボるときとかはそんな偽装をしないじゃんか…血色のいい顔で堂々と出社するくせに…」

 

八幡「いやいや、今回はその偽装が必要なんだぜ?過労で倒れたと言う事実が必要なんだよ」

 

相模「返して!うちが本気でした心配を返して!」

 

嫌がらせには必要以上にリアリティーを追求するのがハッチだからね。その細かい嫌がらせに……痺れる憧れる!

 

結衣「ヒッキーが無理してたら怒ってたからね?」

 

八幡「あのファイルが今日処理した仕事だ」

 

文実と同じ量はあるファイルの山。

 

更には……

 

八幡「パソコンのデータにある量はその2倍。これが俺が普段やってる仕事の量」

 

まぁ、文実にしてもこっちの仕事にしても1日ですべてが山積みされる仕事という訳じゃあない。

だけど、その処理量は文実と関東支部の仕事に比べたら雲泥の差である。

 

八幡「あんなんで過労で倒れるくらいなら、ここでの仕事でオレはとっくの昔に毎日倒れてる。もっとも、俺がここでの仕事で倒れないのはそれはここで働いてくれている社員一人一人がしっかりやってくれているからだがな。負担で言うなら、ここでの仕事と文実は同等かもしれん。仕事の内容はレベルが低くても、あっちは一人一人が頑張ってないからな」

 

結衣「そういうところに怒ってるんだけど……それで普段通りに回せてるんだから凄いというか、呆れるというか……」

 

八幡「まぁ、チクチクやっていくさ。それよりも、形の上では相模もチクチクやることになるから、お前にとっては嫌な役割だぞ?」

 

相模「うん。覚悟はしている」

 

ジョルノ兄さんがピクリと反応するけど、特に動きは見せない。形は違えど相模の覚悟は本物であるとわかったからかも知れない。

 

結衣「でも、おかしいよね?ウルフスが原因ってわかってもさ、それが原因でヒッキー達に負担がいくだなんて…そっちのサポートをしていないあたしが言うのはおかしいかも知れないけどさ」

 

由比ヶ浜が言っていることは理想論だ。そして、それを分かっている上でハッチはこのやり方をやっている。

 

八幡「由比ヶ浜が言いたいことは分かっている。誰かを頼る、みんなで助け合う、支え合うってのは正しい。模範的な解答だろ」

 

でも、それは…

 

八幡「でも、それは理想論だ。それで世界は回っていない。必ず誰かが貧乏くじを引くし、押し付けられる奴は出てくる。誰かが泥を被る。それが現実だろ。だから、人に頼れとか協力しろとかは言わん」

 

それこそ百年前から何も変わっていない。

理想は理想。現実は現実だ。

 

八幡「それでも、強制的にやらせるとかやり方はあったはずだが、ウルフスの事もあったから放置してたけどな。だが、それはここまでだ。こっからは……」

 

潜伏の時期は終わった。相模のウルフスは追い払った。

作戦は決行する。

相模は守る。だが、ウルフスの甘言に乗った奴には相応の制裁はしてやる……。例えそれが人間の性であろうとも。

安心しろ。同じように私達も傷を負ってやる。

あんたららの逆恨みを受ける形で。

 

相模を除く私達は互いに頷き合う。これが覚悟の形の1つだ。

履き違えてはいけない。私達の目的はウルフスを倒すことだ。

文化祭を成功させることだけでは無いし、相模を守ることだけでもない。

相模に向けられる悪意を私達に逸らすことだってウルフスに狙われるであろう彼女を確実に守るための手段の1つだ。

そのためならば、多少の覚悟は決めてやる。

本当の目的の為に、暗闇の荒野に一筋の道筋を切り開く。そのために被る泥は…いくらでも被る。それこそが覚悟なんだから。

 

静「協力するよ。ハッチの覚悟に」

 

←To be continued




難産でした。
話が思い浮かばないものですね。
ちょっと無理矢理でしたが、今回はここまでです。

次回もよろしくお願いします。

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