やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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アドバイザー

side比企谷八幡

 

ほどなくして、そのアドバイザーが到着した。

 

雪乃「で、彼らがそうなのかしら?」

 

雪ノ下は扉の前に立つ二人の人物をちらと一瞥した。

 

海老名「なんで私呼ばれたの?」

 

材木座「ふむぅ?」

 

露伴「ふむ……東方は東方でも朋子さんの方の東方か」

 

キョトンとしているのはいろはに呼んでもらった未来の親戚、海老名と由比ヶ浜の彼氏の材木座……と露伴先生だ。

むしろ、なぜ露伴先生もいるのか俺がキョトンなんだが、大方材木座に付いてきたのだろう。例によってリアリティーの追求か?

いつもの事だからまぁ良いか。露伴先生だし。深く考えなくても予想できる。

海老名は相も変わらず不思議そうな顔でいろはに話しかけた。

 

海老名「ね、いろはちゃん。私、何で呼ばれたの?珍しいよね?こういう場面に呼ばれるって」

 

いろは「ちょっと相談がありまして」

 

海老名「相談?」

 

海老名はくるりと会議室を見渡して首を捻る。確かに、この体育祭運営委員会と海老名を繋ぐものはない。せいぜいアーシスのメンバークライだろうが、こういう時に海老名を頼ることはまずない。その理由は本人がいくら考えたところでわからないだろう。

 

静「それはだね。体育祭では毎年、独自の目玉競技が開催されてるんだけど、今年は中々アイデアが出て来なくてさ。そこで海老名の知恵を借りたいって訳」

 

ジョジョが要点をまとめて話す。

 

海老名「まぁ、ジョジョっちがそう言うので私を頼るのは少ないし、別に良いけど…何で私?」

 

いろは「わたしにはわからないけど、ハチ君が選んだんです」

 

いろはが答えると、海老名は興味深そうに俺を見た。

 

海老名「ヒキタニ君が?へぇ……DIOが私をねぇ…」

 

前世の因縁からか、俺が海老名を頼ることは滅多にない。それが分かってるのか、海老名は驚きを伴った声で言い、俺をまじまじと見る。

 

八幡「文化祭のホシミュとか大盛況だったろ?世界を見破ったりする発想力もあるし。またああいう変なアイデアあんならお願いしたいんだけど」

 

花京院時代からもザ・ワールドの能力を見破ったりなど、海老名の発想力の高さを俺は買っている。戦闘でもハイエロファントの結界や、あの世界での妖精との戦いでも限られた能力を活かして勝利へと導く、アレンジメントやディレクションが得意な、いわば1を10にするタイプのプロデューサーなはずだ。加えて、プロジェクトの進行や管理についても文化祭の実績的に信頼はおける。自分で殺しておいて言うのもアレだが、もし花京院が生きていたら杜王町やパッショーネでは重チーさんやポルナレフさん、ナランチャさんの犠牲は無かったのかも知れない。

この総武高校の生徒に限って言うなれば、これ以上のプロデューサーはいるまい。

 

海老名「ふぅん、意外だね?ヒキタニ君がそう言うので私を買ってくれるなんて。期待されてるなら頑張ろうかな?」

 

海老名はふふっと軽やかに笑う。

すると、今度は材木座が不思議そうな顔をして俺を見る。

 

材木座「八幡。して、我にもそれを期待していると考えて良いのだな?」

 

材木座が眼鏡を光らせて言ってくる。

材木座の発想力もバカに出来ない。何せ80年前という昔でありながら、サイボーグとなってジジイと共闘したシュトロハイムの科学力。

現代の科学をもってしても追い付けない技術を持っていたのは他でもないシュトロハイムの発想力と技術力だ。

何よりも、柱の一族や吸血鬼が紫外線に弱いという事実にたどり着く発想力は海老名のそれよりも上である可能性がかなり高い。

ましてや、普段はイタい奴だが、波紋の戦士でもないのに復活したサンタナや異世界のエシディシを倒し、更にはハーメルンをも撃退している発想力を俺は買っている。

 

露伴「目玉競技か……あまり取材にはなりそうに無さそうだな」

 

露伴先生は乗り気では無さそうだ。だけど、罰ゲームとも思える俺達のハンデをいくつか考えたのって、この人なんだよなぁ…。ピンクダークの少年が大ヒットしてるのもその着眼点にあるんだし、普通は蜘蛛の味を確かめようだなんて並の日本人には出来ない発想だろう。日本人が虫を食べる習慣はイナゴくらいしか無いわけだし。

 

八幡「そんじゃあ頼むわ。目玉になりそうなものを頼む」

 

俺が言うと、海老名はスッと眼鏡の位置を直す。

あ……何かデジャヴ……。

( ○∀○ )

という顔が透けて見える。

 

海老名「目玉になりそう…つまり、話題になって盛り上がりそうな競技ってこと?」

 

静「まぁ、平たく言えばね( ゜∀ ゜)」

 

相棒!お前もか!

 

海老名「話題になって盛り上がれば良いんだよね?ナニが盛り上がっても良いんだよね?」

 

それまで思案顔だったのに、ぐ腐っと一瞬笑顔を浮かべたのを俺は見逃していない!近距離パワー型の動体視力と承太郎仕込み観察眼が今は憎い!忘れてた!この女の特性を!発想力がどういうベクトルに向かうのかを!なに?ナニを盛り上がらせるつもり!?怖い!怖いよこの女!ある意味で波紋の戦士殺しだよ!この怖さを乗り越えてはいけないんだ!数分前までの自分に波紋疾走(オーバードライブ)を食らわせたい!ザ・ワールドではなく、バイツァ・ダストが今は欲しい!時を巻き戻したい!無かったことにしたい!

心底ビビっていると、めぐり先輩がパンっと手を打つ音がした。

 

めぐり「うんうん♪頼もしくて良いよね♪露伴ちゃんも考えてくれると助かるんだけどなぁ?」

 

露伴「何で僕まで?城廻めぐり。僕は君の便利屋何かじゃあない。断る!」

 

めぐり「うう……それはないよぉ……私は露伴ちゃんに身も……」

 

露伴「わかった!わかったからそれ以上言うんじゃあない!いらない誤解を招くだろ!興味本意で来るんじゃあ無かった!」

 

ここまで慌てる露伴先生も珍しいな。ホント、めぐり先輩は露伴先生の天敵……いや、最強の嫁だな。

何が恐ろしいって、これが計算されたあざとさや策なんかじゃあなく、天然で行われている事だと言うことだ。

そう言うのだったのならば露伴先生だってここまでたじたじにはならない。その露伴先生の鉄壁の意思をも貫くめぐり先輩の天然さ。そこに痺れる、憧れるゥ!

 

ニパァ♪

 

涙目のルカから一転、満開の桜を思わせるような満面の笑みを浮かべためぐり先輩。ホントにわざとじゃあないよね?

 

めぐり「決まりだね♪じゃあまずは男子の目玉競技のアイデア出し、手伝ってもらえるかな?」

 

嬉しそうにめぐり先輩がまとめると、海老名と材木座が頷いた。露伴先生も同時に頭を下げたが、そのまま上げない。単純に項垂れただけだったらしい。

 

海老名「じゃあ、考えてみる~」

 

材木座「義輝におまかせ~☆」

 

二人ともほぼ同時に言うと、お互いに顔を見合わせた。

 

海老名「頑張ろうね、ヨッシーくん?」

 

材木座「笑止!此度のプレゼン対決!我が勝つ!あと、ヨッシーって言うな!そう言って良いのは結衣嬢だけだ!この呪いの腐女子!」

 

えらく気に入らなかったのか、材木座は海老名にくってかかった。

なんだろ。普段は仲良いとは言わないまでも、決して悪くなかったはずなのに、つっかかるなぁ。クソオタの矜持として海老名にライバル意識を燃やしているのか?やべぇ、すげぇどうでもいい。露伴先生もあまり気にしてないみたいだし。

 

いろは「いつの間に対決になったんですか……ナチスの考える事はよくわかりません…」

 

あー……元イギリス人だからナチスに良い印象がないのか、それともスピードワゴンの事で個人的にシュトロハイムに思うところがあるのか、いろはが材木座に冷たい視線を送る。

 

八幡「ま、競争原理の方が良いものが出来るんじゃあないの?知らんけど」

 

いろは「それもそうですね。………ってことはハチ君争奪戦も?」

 

いや、それは本気で勘弁して?僕は君一択だからね?ハーレムに興味ないし、いろはが一番だからね?

かくして元ナチス軍人のマリオの相棒恐竜と腐女子の法王の緑の対決が始まろうとしていた。

 

露伴「ふ………いつも通りに考えるんだ。この二人専用のルールを……」

 

露伴先生は露伴先生でクックックッ……と黒い笑いを浮かべていた。中学生の時みたいなのは勘弁してくださいよ?

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。
では原作との相違点を。


由比ヶ浜が呼んだのは海老名→材木座

海老名は由比ヶ浜に呼ばれた→いろはに呼ばれた

材木座は勝手に来た→呼ばれた。代わりに勝手に来たのは露伴

八幡が自分に用がある事に驚く海老名→…は同じだが、種類が違う

次回は「三浦が買い物に行く」という話から派生してドンパチへと移ります。

それでは次回もよろしくお願いします。

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