やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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葉山隼人は先を見据えている

side比企谷八幡

 

修学旅行での最後の夕食を済ませ、部屋に戻った。

本来であればうちのクラスはこれから入浴時間だ。そして俺とジョジョは婚約者の風呂へと向かうべく行動を開始して徐倫や承太郎と攻防していたに違いない。だが、今夜はそうも言っていられなくなった。

先ほど葉山から聞かされたのだ。

 

八幡「戸部があのライトアップされた竹林で告白する?」

 

葉山「ああ……それで護衛をアーシスでお願いしたいと思って。今となっては戸部達も護衛の対象なんだろ?」

 

だから俺達が泊まる部屋では戸部が落ち着きなくうろうろしているのか。

まぁ、確かに護衛は必要あるだろうな。この短期間でヨハネが別の依代を乗っ取って戸部を柱の一族にしたりとかあり得ない話でもない。

マンティコア、ハーメルン、横牛がそれをやってきたんだからな。

 

戸部「っあー、やべ。緊張してきた。やべ」

 

そんな戸部の背中を大和がどやしつける。衝撃でけぽっと戸部が咳き込んだ。重々しい大和の声が響く。

 

大和「大丈夫だ」

 

大岡「戸部も彼女もちかー、俺と遊んだりしなくなるんだろうな~」

 

気が早い。……つうか、ほとんど成功率が低いように思える。多分緊張を解すためにそう言ったんだろうけど。

言って戸部をチラッと見る大岡。すると、戸部も反射的に返す。

 

戸部「そんなことねーからー。ってかやべ、今それどこっじゃなかった、やべ」

 

せっかく解れた緊張もすぐに戻ってしまったようだ。その背中を大和がどやしつける。

 

大和「大丈夫だ」

 

このまま無限ループに突入しそうだった。それはそれで楽しそうだな……。

 

八幡「なぁ葉山……1つ聞きたいんだが、アイツはスタンド使いに戻りつつあるのか?」

 

葉山「……ヒキタニも聞いたのか……俺も昼間に聞かれたな……俺の判断で答えて良いものか迷ったからはぐらかしておいたが……」

 

葉山は正規にアーシスではないから戸部に話すかどうかを強制する権利はアーシスにはないが、葉山は俺達の都合に合わせてくれたようである。

 

八幡「まぁ、ジジイや承太郎には戸部の件については話してある。後はジジイが判断することになるんだが、中途半端に復活しているということが判断を難しくしているらしい」

 

スタンドが見えているということはかなりの確率でスタンド能力が戻っている可能性があるのだろうが……。

 

八幡「護衛の方については?」

 

葉山「空条博士が来てくれるみたいだ」

 

八幡「ホテルを抜け出すって事か?良く承太郎が許可を出したな。それも自ら護衛を買って出るなんて」

 

葉山「姫菜だから……じゃあないのか?優美子や姫菜の事は特別気にしている感じがするからな」

 

それを言われると俺の耳が痛い。

花京院とアヴドゥルを殺したのは(DIO)だからな。

 

八幡「………わかった。俺も行こう」

 

戸部達はテンション高く部屋を出ていき、俺と葉山もそれに続く。

川べりへと向かいながら、隣を歩く葉山に声をかける。

 

八幡「どう思う?」

 

葉山「どう……とは?」

 

葉山がこちらを見ることなく答えた。

 

八幡「告白だよ。少なくともお前は戸部に協力しようとは思っていたと思う。ウルフスのせいでそれどころじゃあ無かったけどな」

 

基本世界とは違う。葉山隼人はこの世界では板挟みになってはいない。葉山なりに戸部を応援しているのはわかっている。

だが………

 

八幡「葉山。どう考えても戸部に目はない。それがわかっていないお前とは思えないんだがな」

 

海老名姫菜が戸部の告白を受ける可能性が高いとは思えない。三浦の話を聞いている事も俺がそう判断する理由の1つだ。

俺なんかでもそれがわかってしまう。葉山が気がつかないとは思えない。

 

葉山「………そうだろうな。俺もそうだと思う」

 

八幡「なら、戸部が傷つくだけで終わる。お前はそういうのは嫌いな奴だと思っていたけどな」

 

葉山「そうだな。誰かが傷つく。それが友人である戸部ならば、なおのこと見たくはない。今が気に入ってるのも確かだ。アーシスも含めて悪くはないと……思う。こんなメチャクチャな奴等だけど」

 

照れもせずに葉山はそう言う。

 

葉山「そんなメチャクチャな奴らで騙しや嘘は当たり前な奴等だけどさ……絆だけは何故か強い。言いたいことを言い合いながら、特にヒキタニなんかは厳しい言葉もガンガン言われていて、それでもみんなと上手く交わっている。ああいうのが本物……というヤツなんだろ?」

 

………どこで聞いたんだ?その言葉を。

 

葉山「戸部は本気で姫菜の事を想っている。それで想いを止められないというならば、俺は協力するし、責任は負うつもりだ。前にも言っただろう?俺なりのみんな仲良くを目指したいって。俺なりに考えていたんだ。一歩踏み込んだ形でのみんな仲良く……それが本物のみんな仲良くなんじゃあ無いかって」

 

八幡「そんな理想通りにいかせるのは難しいんじゃあ無いの?大抵はそこで壊れる」

 

葉山「わかってるさ。失ったものは戻せない。戻らない。ましてやそれが命だったなら、どんなスタンドでも戻らない。例外は究極の力のみ」

 

それは承太郎が仗助に言った言葉だ。

それを覆したのも『アイズ オブ ヘブン』世界の承太郎だけどな。

 

八幡「レクイエムなら使わんぞ?振られた事実を消したりとか、戸部の想いを消したりとか、そんな事に使うつもりも無ければ力も無い」

 

ウルフスが作り出した偽りの真実だけしか俺は消すつもりはない。そんなものはオーバーヘブンと同じだし、個人的に都合良くレクイエムを使おうとすれば、おそらく俺が真実から弾かれる。

 

葉山「それは残念だ」

 

八幡「おい……」

 

葉山「冗談だ。いつも君の性悪にやられているんだ。たまには俺がやり返しても良いだろう?」

 

一瞬本気かと思ったぞ。嘘を消すスタンド使いが冗談という嘘を言うとは……。

 

葉山「本音は失ったものは戻せない。完全に元に戻せる力なんてどこにもない。クレイジー・ダイヤモンドだって物理的には元に戻せても、心とかそういうものにどこか完全に元には戻せない何かがある」

 

……考えた事も無かったな。そういう見方もあるのか。

 

葉山「元には戻らないけど……別の何かを作り替え、それが本物になれば良いんじゃあないとは思わないか?例えば君の中のジョナサンとDIOや俺と雪乃ちゃんの今みたいにさ……何事もなかったように過ごすこともしない。そういうのは苦手じゃあ無かった(・・・・)けれど、俺のスタンドはそういうのは許さないらしい」

 

それは………。

 

八幡「随分とリスクな事をやるんだな。それも一度関係を壊して再構築するなんて……スタンド使いらしい荒っぽいやり方だな」

 

葉山「何かを隠して関係を維持するのも大人のやり方なんだろうけどな。本来ならば俺はそういう方を選んでいたんだ。たが、そんな俺を変えるには、アーシスはインパクトがあったらしい。それに、戸部ならば…と期待してしまうんだ」

 

繊細な奴じゃあ無かったのかよ。

 

八幡「上っ面(サーフィス)じゃあない本物ってことか。間田さんに怒られるな」

 

葉山「間田さん?」

 

八幡「杜王町のアーシス仲間であり、仗助の高校時代の同級生だ。俺のアニメ仲間でもある。文化祭でも会っただろ?康一さんと同じ身長の。あの人のスタンドがそういう名前なんだ」

 

ワシントンDCではお世話になったしな。

 

葉山「ああ。会ったと言ってもチラッと見かけただけだけどな。杜王町の人達ともキチンとした形でいつかは会ってみたいな」

 

八幡「機会があれば会うこともあるだろう。なるほど葉山……お前の本当の依頼は後の事かよ。一番苦手な分野の依頼をしてきやがって……」

 

葉山「極力で構わないよ。修学旅行前にも言ってたじゃあないか。引っ掻き回すことしか出来ないって。ああ、物理的に引っ掻き回すのはいつもの事だったっけ?」

 

こいつ……本音を暴露した瞬間に言いたい放題じゃあないか。もしかして葉山は………。

 

八幡「お前、もしかして俺とお前は杜王町での関係に例えるならば……」

 

葉山「東方会長と岸辺露伴先生……かもしれないな?」

 

遠回しに嫌いだと言ってるだろ、それは。

いい笑顔で言いきりやがって……。

 

八幡「いつかは決着付けてやるからな。葉山」

 

葉山「レクイエムは無しにしてくれよ?」

 

八幡「じゃれあい程度の事ならばな。本気の敵対ならば使える手は何だって使ってやる」

 

もっとも、じゃれあい程度の事でも負けるつもりは更々ない。訓練が本格的になったらしごいてやるから覚悟しておけ。

 

葉山「だったら、無事に帰るぞ?比企谷」

 

八幡「無事に千葉にな……」

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

原作崩壊タグ(大分前からそうでしたが)が仕事をします。葉山の狙いは一歩前に進んだみんな仲良く…。をやってもらおうかと考えています。
理由ですか?

趣味です。

としか答えようがありません。

それでは次回もよろしくお願いします。

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