ーー最近2人が冷たい
ことりが感じる違和感、不信感
それをきっかけに始まるすれ違いの物語。

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さて、とってもお久しぶりです!
オリジナルの執筆頑張ってます。
今回は超短編です。
楽しんでいただけると嬉しいです!
本編だけじゃなくてあとがきまで見るといいことが……?


ふるえるつばさを押す風は

「穂乃果ちゃん、今度の衣装ことなんだけど……ね、だから……って、穂乃果ちゃん? 聞いてる?」

 

「うぇ!? ど、どうしたの? ことりちゃん?」

 

「ことりの話、聞いてた?」

 

「も、もちろんだよ! ちゃんと聞いてたよ?」

 

「……そ、そっか。ならいいんだけど……」

 

ことりは少し儚い笑顔を浮かべて頷いた。

最近、穂乃果の態度が冷たい。

ことりは最近の自分の行動を思い返す。

 

 

ーーことり、何か穂乃果ちゃんに悪いことしちゃったのかな? 何もしてないと思うけど……もしかして知らないうちに何かしちゃったのかも……

 

 

 

不安に駆られたことりはもう1人の幼馴染、海未に声をかける。

 

「海未ちゃん……」

 

「ことり? どうかしたのですか?」

 

海未の優しい言葉に安心したことりは最近の穂乃果の様子を相談しようとする。

 

「あ、ああ! 穂乃果がそういうことは時々あることですしきっと大丈夫ですよ」

 

海未の様子も変だった。

思い返せば最近は新しい曲のためにみんな頑張っていたが、なぜか自分だけ仲間はずれにされているかもしれない。自分だけ色々関わらせてもらえてないかもしれない。

一度そうだと思ってしまうとその思考は止まらない。

 

「そう、だよね……」

 

それだけなんとか返すとことりは部室をあとにした。

彼女の耳に海未の小さな呟きは聞こえなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、自分の気のせいだ、今日はきっと大丈夫、そう言い聞かせて部室にやってきたことりはその気持ちを完全におられた。

 

「海未ちゃん! この前ね……」

 

「そうなんですか? もう本当に穂乃果は……」

 

「ええー、海未ちゃん酷いよー!」

 

「ええーじゃありません! ほら、早く行きますよ」

 

仲良く話している2人。いつもなら何も感じないが、今は引っ掛かりを覚えてしまった。

そして、悪い考えが頭の中をよぎる。

 

「あっ……ことりちゃん……」

 

バツの悪そうな穂乃果の言葉にことりは確信してしまった。

 

 

 

 

ーーことり、もう穂乃果ちゃんにとっていらない子なんだ

 

 

 

 

何かが込み上げてきた。

 

見せちゃダメ

 

彼女は駈け出す。

誰かに自分の名前を呼ばれた気がした。それでも彼女は立ち止まらない。

とにかくどこかに行かなくちゃ。

小さな光の粒を散らしながら彼女は学校から飛び出した。

 

 

 

 

 

どう走ったのか、どこをどういったのか、彼女はまるでわからなかった。檻のような場所に囚われた彼女は周りを何も見ていなかった。ただ、いつの間にか家にいて自分の部屋のベットの中にいた。

 

それを自覚したとたん彼女の目に涙があふれる。

 

海未ちゃん、穂乃果ちゃん……

 

一度あふれ出した気持ちはもうとどまることを知らず、自分ではどうしようもなかった。

自分の中にあふれる不安と思いに押しつぶされそうな感覚を抱きながらことりは1人自分のベッドにこもった。

 

 

その日、ことりは夢を見た。

幼い日の記憶。三人で楽しかったころの記憶。

いつからこうなっちゃったんだろ。何度考えても答えは出ない。

それでも考えずにはいられない。

それでも答えは出ない。

その思考で頭がいっぱいになる。

そしてまた思いがあふれだす。

彼女の頭がこの日、休まることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女は何かの義務感のように今日も学校に行く。

こうなってしまった自分を見たら何か言ってくれるんじゃないか、そんな淡い期待を込めながら。

一睡もできなかった重い体を引きずって彼女は学校に向かう。

 

「ねえねえ海未ちゃん……」

 

「穂乃果、だからここでこういう話は……」

 

「あ! えへへ、そうだった……」

 

楽しそうに話す2人。

 

「ことりちゃん……?」

 

「あんた、ひどい顔してるわよ」

 

誰が見ても今のことりの様子は正常ではない。

他の誰もが気付いた。

花陽とにこが声をかける。

絵里と希が2人で何か話している。

 

 

 

 

 

 

それでも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然息を吹き返したかのように動き始めたことりは真っ直ぐ2人の元に向かう。

 

「…………で……」

 

「こ、ことりちゃん!」

 

「なんで、なんで海未ちゃんばっかなの! なんでことりとは何も話してくれないの!」

 

自分の中で何かが決壊した。

一度決壊したものは止まることを知らず、ひたすら流れ出す。

 

「ことりのこと、もういらないんだよね……穂乃果ちゃんにとっても海未ちゃんにとっても……」

 

「そ、そんなわけ……「ならなんでお話ししてくれないの?」……そ、それは……」

 

「ことり、あのですね……「聞きたくない。もうなにも聞きたくないよ!」ことり!」

 

自分の荷物も持たず、部室を飛び出す。

走る彼女からはまた光の粒が。

だがそれは前よりも量は多く、大きかった。

走ってるうちに偶然たどり着いた空き教室に入ったことりは声を出さず静かに蹲る。

肩が震えていた。

教室の角、机の陰に1人蹲ることりはもう誰の目にも入らなかった。

そとから自分を呼ぶ声がする。だが、誰も見つけてくれないと思ってた。実際、その声は彼女がいる部屋から遠ざかっていった。

やっぱり……ことりは……

どんどん階段を下に降りていく。

もう、彼女に光はなかった。ただ暗いところを1人歩いていく……

 

 

 

 

 

 

 

どれくらい経っただろうか。

気がつけば外は朱く染まり始めていた。もっとも空の大部分は雲に覆われていたが。

 

 

 

 

 

 

 

「やっと見つけた! ことりちゃん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗い道に一筋の光が灯される。

 

 

「なに、穂乃果ちゃん……」

 

「ねえ、今から屋上きて!」

 

「え……?」

 

「待ってるから!」

 

それだけ言うと光はまた飛び出してしまった。

でも光が進むべき方向を教えてくれる。

それでも。

彼女はそれを掴みに行けなかった。

怖かった。

もしかしたら、もういらないって本当に言われるかもしれない。

そう思うと指示された方向について行こうとは思えなくて。

そのまま帰ろうと教室を出た時

 

「ことり、あんた、このままでいいと思ってるの?」

 

にこの叱責。言葉にいつものふざけた雰囲気はない。

その場にいる6人もそれは一緒のようだった。

 

「いいの、ことりは……」

 

ーーパァンッ!

 

音と共に左の頬に熱さが生まれる。

なにをされたのか、理解するために数瞬を要した。

 

「あんたがどう思ってるのかは知らないわよ。でも穂乃果たちのことも考えなさい! 良いから屋上行きなさい!」

 

にこの言葉に押され屋上に向かったことり。

それでもなかなか屋上へ向かうドアを開くことはできなかった。

 

「ことりちゃん! こっち来て」

 

ドアの前に立っていたことりに気づいた穂乃果がドアを開けて屋上に引っ張り出す。

いつになく真剣な様子の穂乃果。

その様子に少し気圧されることり。

 

 

 

ーー捨てられるって言われるのかな……

 

 

 

 

そんな不安に駆られながらことりは穂乃果の言葉を待つ。

 

 

 

「ことりちゃん、こんな衣装どうかな!」

 

「え……?」

 

「みんなで考えてたの!」

 

「ごめんなさい、ことり。穂乃果がどうしてもことりを驚かせたいと言って聞かなくて……」

 

「そうだったんだ……」

 

「ことりちゃん、本当にごめんなさい。仲間はずれにしようと思ってたわけじゃないの!」

 

「ほのかちゃ〜ん……!」

 

ことりは穂乃果に抱きつく。

 

「ことりも……ことりこそ、ごめんなさい……! ありがとう!」

 

涙で濡れた顔で笑いながら2人に抱きつく。

細めた目からひときわ大きな涙が1つ落ちた。

地面に落ちたそれは一瞬でなくなった。

いつの間にか真紅の空は星々が輝く夜空に変わり始めていた。




失望しないでね!?
超短編って言ったもんね!

では最後まで見てくれた皆さん!


【挿絵表示】



今回は揺さん(https://mobile.twitter.com/98yuruyuru)にイラスト描いていただきました!
いつも可愛らしいイラスト、ありがとうございます!
場面場面を少しずつ切り取ってくださいました!
あれ、私の小説いらない気が……w

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