黄金の獣の廻り者   作:征嵐

3 / 6
 本気でやりたいことは終わったから誰か花弁×Dies書いて(はぁと)


3

 ──気がつくと、首から花弁が舞っていた。

 

 ──不思議と、才能を得たのだと分かった。

 

 ──以前の自分が思い出せないが、些細なことだと思った。

 

 ──自分はこれから、『ラインハルト·ハイドリヒ』として生きていくのだから。

 

 

 ◇

 

 

 ──予想外だった。

 

 ──そんなモノを与えた記憶も、そんなモノを作り出した記憶もない。

 

 ──そもそも、その才能はそんな才能ではない。

 

 だが──面白い。

 

 

 ◇

 

 

 「──私が気付かないとは、卿の才能は暗殺か、或いは隠行か? そのどちらでも無いように思えてならないが。」

 「──いやいや、俺も気付かれるとは思っていなかった。少なくとも、こちらから話し掛けるまで、俺は、君たちにとってただの偶像だからね。」

 

 玉座に掛けたまま、黄金の獣は薄ら笑いを浮かべる。玉座の真後ろで、獣の爪牙たる少女たちが居れば、不敬と断じられ首を落とすであろう位置で、黒ずくめの男は、穴の空いた顔で愉快げに笑う。

 

 「俺は、アラン。アラン·スミシー。」

 「私は──ラインハルト·トリスタン·オイゲン·ハイドリヒ。」

 

 心地よく、黄金の獣は言葉を紡ぐ。頭を痛ませていた既知感は、なぜか感じない。知っているのに忘れているのか、或いは、本当に知らない会話なのか。どちらにせよ──心地いい。

 

 「卿は──廻り者ではあるまい?」

 「あぁ。俺はユーザーじゃくて、クリエイターの側だからね。」

 

 輪廻の枝で首を掻き、命を懸けて才能を得た廻り者が問う。返す男は何者でもなく、何も気負わない。

 

 「何故、こんモノを作り出した?」

 「望まれたからだよ。君たちはいつも、口を開けた雛鳥のように欲しがるばかりだ。」

 

 カランビットナイフのような輪廻の枝。それの柄に開いた輪に指を通して、黄金の獣は退屈そうに弄ぶ。

 

 「そうか。では重ねて問おう。何故、この場に姿を表した? 卿は作り手であって、セールスではなかろう? アフターケアに来たわけでもあるまい。」

 「なに。作った覚え、与えた覚えの無いモノを持つ者がいたからね。様子を見に来たのさ。それが功名か単なるバグか、見極めるために。」

 

 弄んでいた輪廻の枝を、纏う黒い軍服の懐に仕舞い込むと、ラインハルトは長い金髪を靡かせて立ち上がった。

 

 「結果を聞いておこう。」

 「あぁ。君は──」

 

 

 

 「消すべきバグだ。それ以上でも以下でもない。」

 

 

 

 「今頃気づいたようだぞ、カール。」

 

 

 

 

 「なんたる蒙昧、なんたる無知か。物差しの尺度を疑ってはいたが、そこまで矮小とは。あぁ許されよ、獣殿。その相手では、貴方の渇きは癒せない。」

 

 

 

 

 顔のない男は笑みを消し。

 

 黄金の獣は変わらず嗤い。

 

 そして、水銀の蛇は失望する。

 

 

 「やはり、第二のスワスチカは必要か。それに私の分身も。この世界では、女神に捧ぐに値する宝石は生まれ落ちない。この結論も最早何度目か──。」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。