うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる 作:madamu
一科生二年、司波深雪が生徒会長に就任。
副会長には次代の生徒会長と呼び声高い七草泉美。
書記は司波達也と桜井水波が就任。
会計職には光井ほのかが就くこととなった。
司波深雪生徒会長就任により、学内の一部生徒による「司波深雪崇拝」が一層強調される。
本人の美貌と実力や九校戦での活躍、日頃の博愛的な行動などから彼女を女神的に見る一部生徒が存在した。
司波深雪教の教義は簡単だ。
「彼女の肯定するものを肯定する」
つまりは司波達也を尊敬し褒めたたえる。
だが「さすが達也」「凄い司波君」などは信徒からすると露骨として忌み嫌われた。
また上記のセリフを司波達也本人に向って言えるのは、司波深雪教の六天使と言われる「千葉エリカ」「吉田幹比古」」「西城レオンハルト」「柴田美月」「光井ほのか」「北山雫」に限られており、一般信徒は別の言葉で司波達也を礼賛するのだ。
「知らなかった」「魔法大の研究室レベルだ」「どんな勉強をすればいいんだ?」「司波君、そこまで出来るの?」
「ちょっと優秀過ぎて近寄りがたい」「信じられない」「ありえない!高校生だぞ!」
昨今この礼賛の言葉の高度化が始まり、現代国語の優秀生徒が増えている奇妙な現象が起きている。
◆
「これは?」
光井ほのかの言葉に一般信徒たちは震撼した。
【兄妹愛への反逆の天使】【敬愛する者】【司波達也に恋い焦がれる女皇】
彼女の二つ名はすでに学内に知れ渡っている。
司波深雪の兄妹愛に唯一対抗し、かつ司波深雪の友人であるという奇跡。
彼女は司波深雪教の矛盾でありながら、司波深雪教を形作る重要なピース。
光井ほのかが見つけたのは司波達也を礼賛する単語帳である。
校内巡回。通称「六天使の散歩」によって見つかったのは教義を、物質化した「偶像崇拝」の一端だ。
「お兄様への敬愛の言葉は文字にする必要などありません。自然と出てしまうものなのです」
司波深雪がかつて述べた一節である。
光井ほのかはその愛くるしい顔に影を残しつつ、単語帳をめくった。
彼女の背後には「司波深雪教光井派近衛」と呼ばれる親衛隊が控えている。
教義に反し、司波深雪への崇拝と司波達也への尊敬を失った信徒を罰する刑吏でもある。
「これは」
あの光井ほのかが同じ単語を信徒に向けて言った。
六天使の圧力に単語帳を秘匿した信徒たちが膝を着き、許しを請う様に頭を垂れている。
「いいですか、達也さんを褒める言葉は本当に心の奥底から生まれるモノなんです」
口調は優しいが、彼女のそばに控える近衛は手に持った警棒を手のひらで叩き圧をさらに増す。
信徒は恐怖した。それは暴力への恐怖以上に信仰を疑われていることにだ。
「光井さん」
そこに現れたのは【愛を見通す者】【褒めたたえの賢者】とも呼ばれる柴田美月だ。
彼女も「六天使の散歩」の途中だ。
◆
転「え?これ何?」
神「別の世界線」