うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる   作:madamu
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三人称視点です


一人で戦うためじゃない

 

「どうした服部、たそがれて」

フィジカルトレーニングルーム。

筋トレ用の器具が並ぶ部屋で桐原は一人溜息を吐く服部に話しかけた。

二年生のトップ。ジェネラルの異名を持つハイレベルな魔法師。

生徒会の一員で部活連との調整を行い、学内でも実力ともに有名人。

それが服部刑部という生徒だ。

 

一方桐原は軍人家族に生まれ、

剣技を磨き一校でも「実戦ならば」と言われる武勇の一人。

先日のブランシュ襲撃でも、反撃作戦に参加したと学内で噂され

「実戦経験者」と目されるのが桐原である。

 

2人ともトレーニングが一段落したところだ。

「たそがれているわけではない」

口ではそう答えるが表情は冴えない。

「悩み事なら聞くぞ」

「ふん、彼女が出来て余裕ができたか」

予期せぬ反撃に桐原は驚くやら恥ずかしがるやら表情が二転三転する。

顔を赤らめながら桐原は話を進める

「当ててやろうか、四葉のことだろう」

「そうだな。今そのことで、いろいろ悩んでいるよ」

四葉のこと。5分間に模擬戦を5戦。

上級生を相手に圧倒的に勝利した。並みの魔法師が出来ることではない。

模擬戦とはいえ、魔法を戦いながら発動するのは体力以上に精神が疲弊する。

それを事も無げにおこない「異論は」の一言で周りの雑音を押さえこんでしまう。

その1年生の実力に2年生、3年生は己の実力の低さに打ちのめされている。

 

ただ服部の悩みはもう少し深い。

魔法師としてのスタイルが近いのだ。

多種多様な魔法使い、複合魔法を駆使し戦場をコントロールする。

四葉光夜が見せたのは、その極地とも言えた。

 

ある試合ではデモンストレーションのごとく現代魔法を複数使い、対戦者の戦意を喪失させた。

古式魔法も見せた。手元で複数の印を結び、相手の視覚を利用した精神干渉系の魔法を見せた。

「印を使い、相手の精神的空白を一瞬作る。古式の初歩です」

それだけ説明された。七草会長に後で聞いたが、古式は独特なので初歩と言っても習得は難しい。

 

一瞬で訓練室が霧に包まれもした。そして試合が決着すると一瞬で霧が晴れた。

空間内の事象の改編もお手の物と言わんばかりである。

 

桐原も対戦した。近接戦に持ち込みはしたが、手のひらに小規模な障壁を展開し得意の高周波ブレードを抑えられてしまった。

足さばきや体術も素人のそれではない。

「そんなに悩むな。あれは四葉だぞ。それに俺の見立てだと…実戦経験者だ」

「つまり人を殺めたことがあると」

服部の問いに曖昧な笑顔で答える「たんなる勘だ」と言わんばかりである。

 

「俺は、九校戦で一校の総合優勝を手にしたい。だが、今の実力ではモノリスコードの代表は俺ではなく四葉がふさわしいとも思っている」

 

桐原もその言葉には黙らざるえない。

学内の実力者が選抜される九校戦。そのなかで最も実戦的とされるモノリスコード。

モノリスコードの代表者こそ学内最強と目される。

自分の上位互換、それも最上位互換とも思える四葉こそ、自分より最強にふさわしいのではと服部は悩んでしまう。

 

「モノリスコードは服部先輩の方がいいですよ」

言葉少なくなった服部と桐原の間に入り込む声の主は、服部が何度か見かけた一年生だった。

トレーニングが終わったのかタオルで汗を拭きつつ話しかけてくる。

たしか十文字会頭の部活の後輩だったはずだ、と服部は記憶している。

「光夜・・・、四葉ですが、魔法師としての能力高すぎて、協調行動をとれる相手がいないんですよ。チーム戦で同じレベルで連携取れる仲間がいないから、浮くこと浮くこと」

 

「お前、四葉の友達か?」

「同じクラスメイトの相馬です」

「そんなに浮いているか」

服部が問うとその生徒はにやっと笑った。

「浮くなんてもんじゃないですよ。

講義だって一人でどんどん進むし、30分の予定の訓練工程を1分で終わらせるし

体育なんてあいつに任せるとサッカーにならないんで常に審判役ですよ」

 

一息で説明され、桐原はげらげら笑っている。

「確かにな、あれはワンマンアーミーだ。協調性を求めるもんじゃないな。はっはっは!」

「ふふ、チームワークの欠如か。確かにな。常に一人で戦うわけじゃない」

服部も妙に納得した。

自分の多種多様な魔法を使う戦術は一人で戦うためじゃない。

戦場をコントロールして、仲間とともに有利に戦闘を進めるためだ。

魔法師としての完成度が絶対ではないのかもしれない。

「いや、面白い話を聞かせてもらった」

悩みも誰かに話してみるものだ。会話は解決の糸口になる。それを知った服部であった。

 








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