うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる   作:madamu
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三人称視点です


また別な秘匿任務


関少佐はお茶会の席でいくつか笑い話をして、場を和ませて帰っていった。

「十文字克人は実は三十路だ。きっと芋焼酎あたりを愛飲してる」
「七草会長は年下趣味のようだから童顔の俺でも大丈夫なはず」
そんな益もない話をし「正直、息抜きが欲しくて風間さんに会いに来たがお前がいたとはな」と
想定外だが許容範囲だ、と言いたそうな笑顔を達也に向けて
「お前のことも黙るから、俺の方もよろしく」最後にそう言った。

「達也。どうだ感想は」
「正直、驚いています。なぜ先にお教えいただけなかったのですが」

カナデに頼まれた「格闘技に精通し、尾行に動じず、尋問への対処が出来、監視状況からの脱出のエキスパート」の存在について尋ねていた。
数日後に「国防軍にはそういったプロフェッショナルがいる」とだけ返答があった。

「お前の任務が秘匿なように、また別な秘匿任務もある」
風間は関の任務を交誼から把握しているが
それを部下に明示するのは、また別な話だ。

司波達也は部下であり四葉なのだ。この距離感は近すぎても遠すぎても成立しない。
関の正体と任務は、向こうが直接の接触を求めるまで伏せたのはそのためだ。

「諸君は関少佐との会話で何を読み取ったかな」

風間が関から「息抜きに会いたい。部下同伴でもかまわない」と連絡をもらったとき思いついたのがこれだ。
諜報部署の人間と部下を会話させる。
関は会話の中で何を提示したのか。それをどう解釈すべきか?
この茶会を行ったのはこのためだ。部下に諜報員と接触する機会を与える。
戦闘以外の経験を積ませる。魔装大隊は今後、敵対国家から諜報の対象となる。

大黒特尉の正体を知られるのは少々痛いが
部下の成長のきっかけと思えばギブアンドテイクとしては丁度だろうか。
関には関の意図があっての申し入れだ。だが有害な意図はないだろう。
有害な意図がある時は会話せず行動するのが関だ、と風間は思う。


「彼の任務対象は十文字と七草が対象で、四葉は目的ではないのでは?」
早速回答したのは真田大尉だ。
「理由は?」
「会話の中でこの両家の話が中心でした。四葉とは私的には友人だが、任務には無関係を匂わせることも言っていたので」

『四葉光夜と入学式以来の友達でね。意外というか想像通りと言うか友達が少ないやつで、友達になりましたよ。魔法師としては友達以外の立場で接触したくない凄腕でした。』

「それで判断できるのか?」
「そう判断もできる、ということですよ。『接触したくない』は文脈から『接触していない』とも読める」
「読めるだけだろう。すでに接触しての感想かもしれない」
いつもどおり真田と柳の意見がぶつかる。

「自分は真田大尉を支持します」
達也が言うと全員がそちらを向く。
「なぜそう思うかね」
風間が促すと、達也は少し間を空け話しだす。

「彼の学校での動きですよ。少なくとも四葉光夜との接触で盗聴等の機械的手段は行っていません。魔法的な盗聴、盗撮に関しては俺が見逃すことはありません。格闘技の腕を目撃できたのも偶然でしょう」
「確証としては弱いな」
風間の評価は的確だった。
「ええ、勘です」
達也は根拠を簡潔に述べて、自虐的な笑顔になった。完敗と感じたのだ。

相手の正体を突き止めきれなかった。目の前で余裕ありげに正体を知らされた。
そして自分の軍内での立場を把握された。

魔法ではなく軍内の諜報ゲームで負けと思った。
怒りよりも、こういった戦いもあるのかと痛感した。

達也と、深雪と、雪光と、光夜。
四人でいれば隙は無いと思ったが世の中は広い。

達也が敗北感を感じる間も「諜報畑は長いように思う」と柳が言えば「大越戦争の話題ですね」と藤林が入り
「魔法師としての実力は?」「一校の教師の指導力を批評してた」「古式使いだろうか」「現代魔法の話題が多い」
と話題はいくつも出てきた。

「風間少佐。関少佐への推察が終わりませんので、話せる範囲でお教え願いませんか」
山中が話題の収拾がつかない兆しを感じ、風間に助け舟を求めた。
「今日の会話は現在の任務の大枠の話だ。十師族及び準ずる家への接触と見ていい。
四葉に対しては突然の入学により、情報収集対象として外したと考えていいだろう」
既に正解を知っている風間はそう答えた。

「風間少佐は、関少佐をどのように評価されていますか」
真田が興味深そうに質問する。
「あいつの評価は難しい」
一度言葉を切り、全員の顔を見る。
「ただ、あいつと事を構えるな。特に魔法の使用が制限されている状況では絶対にだ」
風間の表情は真剣で、声には警戒を促す厳しさがあった。

「それ程なのですか?」
古式魔法を駆使し対人戦において卓越した能力を持つ柳が改めて問うた。

風間も、司波達也も、柳も、兵士として武術家としての実力では軍内でも抜きん出ている。
魔法がなくともよもや遅れをとることはない、と柳は関の気の抜けた顔を思い出した。

「魔法が使えぬ状況なら、私は1分も持たんよ」
風間はそう言いながら、昔のことを一つ思い出した。
大越戦争後の中東派遣。

現地邦人の疑似家族として半年ほど先行して潜入生活していた関少佐と、当時は少尉と、出会ったのだ。
風間はそこで、1kmの狙撃を楽々と成功させ、他国の大使館の警備を容易に抜け
素手で5人の男を絶命させる関の姿を見た。

中東派遣中は「親の言いつけでしぶしぶ案内する甥っ子」を演じつつ風間の身を守り続け
若き風間の肩に力の入ったロールプレイ下手を何度もフォローしていた。

その後も風間は任務で関に会うたびに評価が高まった。

風間が掻い摘んで、過去のことを話すと全員が背筋を伸ばし緊張していた。
「だが敵対しない限りは大丈夫だ。同じ国防軍の同志に変わりはないからな」
「魔法師としてはどうなんでしょうか?」
緊張する空気の中、藤林が魔法師としての実力に興味を持った。

「国防軍仕込みの実践的な現代魔法を使用するはずだ。残念ながら私の前ではあまり使用しなかったが」
「と言うことは学生としても優秀で?」
少し面白そうに藤林は聞き直す。妹と同級生だし一科生なのだ。実戦で磨いた理論があるのかも、と。
「ん~、もし何かまかり間違って、国立魔法大の推薦が取れたら、新車でも贈って祝ってしまう程度には」
風間は婉曲な表現を使って答えた。皆その意味を理解し、うっすら笑っている。
次に会うときは、学内の試験結果を聞いてみようと藤林は思った。
そうすれば多少は会話のペースを取れるだろうか。







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