うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる   作:madamu

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未成年による飲酒シーンがありますが、作品内の登場人物は実在しない架空のキャラクターです。
この作品は未成年による飲酒を推奨するものではありません。


お前らアレか、特撮オタクのオフ会か

宿舎として割り当てられているホテルの会議室では他のスタッフに「というわけなんですよ」と市原先輩が三度目の説明をしている。

いや~自慢したいよね。光夜の魔法がどういったものか。

 

達也の指パッチンの増幅衝撃波も力技じゃねぇか、と思ったけど

光夜の魔法もそこそこのトンデモだった。チートめ!

 

はっきり言ってその理論構造は説明するに難しい。

瞬間的に地雷を設置し、その場で発動させるというイメージで捉えると正解らしい。

移動速度の速い黒城は対象から外し、一条と吉祥寺に的を絞った。

司波達也特有の問題も理解しての手助けらしい。

本人は「昇雷(しょうらい)だ」しか言わないし。効率重視か!

 

それを理解して説明する市原先輩は賢い。

どう?魔法大じゃなくて防衛大で研究しない?予算多いよ。

ただし今のご時世、軍事転用するからヨロシク!

 

結局モノリスコードの試合時間は5分とちょい。

フィールドの中をバイクよりも速く走り回った二人は、医務室で今も寝てる。

「筋肉痛が…」と雪光が言っていたが周りには雪光ガールが来ていてそれなりに満足そう。

七草会長に「デレデレしないの!」と叱られていたけど、やっぱり年下趣味ですか。そうですか。

 

ちなみに一条将輝の空気弾の流れ弾は雪光に命中しなかった。

すぐ脇で膝をついていた黒城兵介は意識を失っておらず

逆転のため立ち上がった瞬間に空気弾が黒城の方に着弾した。

本人は気絶もせず、「痛って~」と再度膝を突いたらしい。

 

おい、レオンハルト並みの頑強さだな。生身だとレオより硬いか?

 

一条将輝と司波達也は俺の知る未来より和やかに握手をした。

「競技に勝つ訓練では追いつけないのか?」

「実戦を想定しての競技だ。目指す先を間違えなければ意味はある」

なんだその会話。ちょっとカッコいいじゃん。

 

逆に吉祥寺真紅郎はうなだれている。いいとこなしだ。

お前、アニメだと台詞の無かった三校モノリスコード新人戦選手の三人目の気持ちわかったか!

たしか俺の記憶だと台詞が無かったはず。あいつサポートスタッフとかで参加してるのかな。

いいじゃん、お前。頭いいんだから、防衛大来いよ!そこで研究しろよ!

ただし今のご時世、軍事転用するからヨロシク!

 

これで総合優勝だ!と喜ぶ面々もいるが、俺はこの後仕事がある。

 

 

高級車にGPSを仕掛ける仕事だ。ちなみに情報部のアンチ十師族の課からの支援作業だ。

速攻GPSが発見されても俺のせいじゃない。こんな時にVIPの車にGPSつけるとか予算の無駄をするそいつらが悪い。

っていうか九島烈の車に付けろとか、明日の朝一で情報部の他の課が発見するだけじゃねか!

 

そんなムダ金使うなら、俺が買ったトーラス・シルバーの最新CADを経費で落とさせてくれ!

 

俺は貰い物と同じ物を買うことがある。無駄遣いではない。

装飾品や電子機器で身につけると送り主が喜ぶものなら特に同じ物を買う。

 

え?貰い物を信じてそのまま身につける諜報員っている?

 

風間さんに入学祝に貰ったCADだって、普段の行動範囲である学校の時くらいしか身につけない。

九校戦のような「学校行事で外出する時」もだ。

 

それ以外は付けない。GPS追跡や使用魔法の履歴とか抜かれるの嫌じゃん。

カナデが行きのトラックで触ったのも風間さんに貰ったデコイのCAD。

入れてある魔法も当たり障りのない物ばかりだ。

風間さんとのお茶会でつけていったのは本命。

 

課の新人には口酸っぱくして説明しているが、あんまり理解されていない。

母親からプレゼントされたCADなど実家に置いてこい。

あと彼女からもらった携帯電話は気をつけろ。マジでスパイ並みにメールすっぱ抜かれて、裏でGPS追跡が稼働しているぞ。

嫉妬深い女性はスパイ向きだ。我が支援課でも優秀な嫉妬深い女性を募集している。

日本の諜報で輝けるのは嫉妬深い君だ!

 

俺はそんなことを思いながら、これから支援課としてドブに予算を捨てる仕事をするのだ。

 

 

 

 

流石でしたね。十文字会頭は流石おっさん面なだけはある。

モノリスコード代表戦は圧倒的勝利だった。

 

すでに九校戦の全日程は終了し、最後のパーティも終わった。

俺は柄にもなく七草会長をダンスに誘った。

お情けで少し踊ってもらった。え、おじさんは、君好みの年下男子(矛盾)だけど興味ないですか?

 

パーティ前には光夜と抜け出し(断じてデートではない)、モーリーと須田ちゃんのお見舞いをした。

モーリーは頭に包帯巻いていたが、優勝報告すると少し涙ぐんだ。

「来年こそは俺たちで勝つんだ!」と息巻いたが涙声だった。

須田ちゃんは「ありがと」といって一人一人と握手した。

 

雪光と黒城は仲良くなったようだ。

パーティ会場の隅で女子を入れず、何やら身振り手振り交えて長話をしていた。

あれ?腰に手をやってベルトのジェスチャーして、バックルのありそうな辺りを操作してポーズをとってる。

お前らアレか、特撮オタクのオフ会か。

 

本来はトラウマ事件になるミラージ・バットの本戦の選手&スタッフコンビは問題なく優勝した。

小早川先輩、妖精衣装には多少抵抗があったようで「もうこの服着なくてもいいと思うと嬉しい」と優勝の喜びと今までの恥ずかしさを語った。はにかんでて可愛い。今はフロアの中央で男子生徒と踊っている。

 

ただ深雪の飛行魔法に話題の全てを持っていかれたのは、ご存知の通りだ。

 

パーティの裏では十文字会頭が司波達也に「お前、どっかと結婚して十師族にならへん?」と勧誘しているところだ。

18歳にして見合い話の斡旋とか30年早いよ!中年独身はいっぱいいるんだぞ!剣術道場の長男とか。

最後のパーティが終わると各宿舎で戻って、明日早い時間に出立となる。

女子は最後に温泉に行き、男子は誰かの部屋に集まってジュースと菓子で二次会だ。

 

俺は特殊なルートを使用して缶ビールを手に入れていた。

来年真似する奴が出たら心配である。もし実行しようものなら軍事機密漏洩になりシャレにならない刑となる。

 

宿舎ホテルの誰もいない上階に忍び込み、夜空を眺めながら缶ビールを開けた。

ホテル全体が九校戦用に貸切られているので、使われていない階がある。

ホテルの警備?俺にかかれば穴だらけよ!小生嘘つきました。部下のおかげです。上階侵入の手配してくれました。

 

いや~久しぶりのビール美味い!

「へへ~、あたしにも一本お恵みいただけますでしょうか~」

え~、どうしようっかな~。まあ頑張ったから飲ませてあげましょう。カナデ君!

俺のいる部屋にそっと現れたカナデは両手をこすり合わせ、寄ってくる。飲む気満々やね。

 

彼女の尾行は気付いていたが、まあ放置。騒がれてもビールの持ち込みは有耶無耶にできるし

取っ組み合いでも負けない。いやまて、16歳の女子高生と取っ組み合いとか社会的死ではないか。

うん?ご褒美でもあるのか?

 

本来は未成年者の飲酒は許されないし、黙認もダメだけどお互い九校戦は苦労したから社会のルールから目をそらす。

 

カナデに一本渡すと手慣れた様子でビールを開け、口をつけ長い時間飲んだ。

「もう一本いい?」

横の椅子に腰かけ手を出してくる。

「お前、若いうちから肝臓壊すぞ」

「大丈夫、飲み慣れているから」

おい?!藤林の家はどうなってるんだ。

 

違う。仕掛けてきた。この飲み会は難しそうだ。


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