うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる 作:madamu
やったー、合格だー(棒)
合格通知を確認してもあまり嬉しくない。
そう、俺こと「相馬 新(あらた)」は魔法科高校第一校に入学が許されたのだ。
それも一科生で。嬉しくない!学生に混じって中年が勉強するのはいい、生涯学習だ。
だが、あの制服を着るのがな~、微妙に抵抗感を感じる。おっさんにはややハードルが高い。
本物の10代と30代の足の長さの違いが丸わかりだ。
問題はそこじゃない。
原作では登場しない、謎の四葉、司波兄妹と同学年の「藤林」、そして「司波雪光」という人物。
そこに十師族の行動を調べる諜報員として一校に潜入するなんて嬉しくない!
不確定要素がてんこ盛り状態だ。
まだ大亜細亜の湾岸基地への潜入してた時の方が楽だ!
というわけで風間少佐に連絡を取ってみた。
割り当てられた官舎の一室。俺の自室から風間少佐に連絡を取る。
101旅団魔装大隊を率いる風間少佐。「大天狗」とも称されるバリバリの軍人魔法師である。
その名声は「大天狗と呼ばれる魔法師」という形でUSNAの特殊部隊向けの軍事教本に登場している噂もある。40歳越え精悍な顔つきで「渋い上司」として人気がある。
10秒ほどしてモニターに風間少佐が映る。
風間少佐に割り当てられた軍用アドレスで通じたということは、少佐は自分の執務室に居る。
「おう、関少佐。どうした」
原作の立派な軍人としての口調と違い、思いのほか砕けた口調なのは理由がある。
風間少佐の部下より多少年上ということもあり、年齢が近い。
そして以前の任務で「叔父と甥っ子」として二週間ほど行動を共にしたことがある。
おっさん面の風間少佐と、童顔の俺のコンビは思いのほか上手く作戦を完遂させたこと記しておく。
「突然悪いね。今、時間大丈夫ですか」
「私の方は大丈夫だ。お前の方こそ、忙しいんじゃないのか?」
意地悪にニヤッと笑ってきた。
このおっさん、ある程度把握してるな。
「まあ想像通り。一校のアレ、どこまで知ってる?どうもそっち方面の人脈が乏しくてね」
風間さんは俺の所属を把握している。
どうやらあの笑い方は今回の任務も掴んでいる気がする。
「多くは知らされていないがね。四葉の人間で、非常に優秀な人材なのはわかっている。
お前は一校の件どうするんだ?」
「どうすると言われても。四葉がいるなら前提が変わってくる」
「そうか。あまり派手にしてくれるなよ。特に四葉関係は面倒だから勘弁願いたいな」
「勘弁願いたいのはこっちだ。この歳で入学しろって、バカバカしいだろ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・はッ!はっはっはっはっはっは!」
どんな手段で一校に潜りこむかまでは知らなかったようだ。
モニターに映る風間さんはたっぷり3分間は大笑いした。
失敬な。
「じゃあ、入学は、ふっは、出来たのか、はっは・・」
「今の学生の勉強熱心さには参った。あんな面倒くさい数学やるのな」
「ふふ、そうだな、はっは、そうだ叔父さんとしては入学、ふっふ、祝いをやらないとな」
モニター先では風間さんが机を叩き、笑いを漏らしつつ入学祝いをくれるらしい。
「期待しとく。その様子だと面白過ぎて話は聞けそうにないな。また連絡するよ。じゃあ、入学祝いよろしく」
「期待、ふっはっは、しておいてくれ。いいものを贈るよ」
「よろしく。お疲れさん」
「ああ」
通話が切れる。風間のおっさん大爆笑しやがったな~。仕事疲れてんだろうな~。
夜10時過ぎて執務室にいたんだから残業だろうな。
今も昔も変わらんな~。