うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる   作:madamu
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三人称視点です


自分の決定を否する者を処断する目

生徒会選挙当日 学園内講堂

約600人が見守る壇上に光夜が登壇していた。
別段上がりたくて上がったわけではない。
中条あずさの演説は反応が良くなかった。多数のヤジが飛ぶ。
司波達也はヤジに怒る妹を全力で止める。

壇上では達也や深雪に説得されて、会長選に出馬した中条あずさが声を震わせ話している。
「四葉の方が会長に向いてると思いまーす」「中条さんだと心配!」
心無いヤジが飛んだ。

それを聞いた光夜は選挙管理委員の静止を無視し壇上に登った。
目の前に二人ほど遮ったが、睨むとすぐ道を開けた。

あずさはいきなりの闖入者に驚き身がすくむ。
壇の中央まで進むと光夜は低く優しくささやく「中条先輩少しお借りします」
あずさの隣に立ち、光夜はマイクを調整し、自分の声が入るようにする。

「俺は中条あずさ先輩の生徒会会長就任を全力で支持する」
生徒全員が黙る。深雪の魔法の暴走も止まる。講堂内でしゃべるものはいなくなる。
壇上の光夜には、生徒たちの中に雪光と、アラタと、モーリーと須田の姿が目に入る。
全員頭を抱えているように映った。

月夜に照らされた湖のごとく清らかな声、と深雪は光夜の声を評している。
だが聞き慣れぬものには、絶対に抗えぬ上位者の声である。
これは宣言ではなく命令だ。
「私は支持する。諸君も支持せよ」

「四葉が会長じゃだめなのか」
どこかで誰かが言った。静寂の講堂ではその呟きも響く。
光夜は声の方を一瞥する。一科の上級生だった。

「構わんのか」
その光夜の言葉は同意を求めるものでは無かった。
壇上から生徒たちを睥睨する目は、自分の決定を否する者を処断する目だ。
講堂の全生徒はその一言を誰一人間違えることなく理解した。

「生徒会長になれば支配だ。自治は無しだ。君臨する俺と支配されるお前ら。いいのか」

誰かが冗談でつけた「絶対支配者」は嘘ではなかった。
「中条先輩、ご無礼をお許しください」
光夜は片膝を突き、背を低くし、傍らにいるあずさに許しを請うた。
「あの、ちゃんと、規則は守ってくださいね」
怯えながらもあずさが叱る。
「はい。かしこまりました。Your Majesty the Queen(女王陛下)」
憧れの人を見る瞳に、尊敬を込めた声。
ちょっとした冗談のつもりだった。敬称を使った冗談。
マイクの収音範囲は広がっていた。

生徒会役員選挙は粛々と進んだ。
中条あずさが生徒会長となった。

翌日から卒業するまで中条あずさは一部で「女王陛下」のあだ名がついた。
光夜は「支配者」のあだ名が無くなり「女王陛下の『完璧』」と一部女子の間でキャーキャー言われた。

そして誰も知らないが、中条あずさはあの壇上で四葉光夜のことを好きになったのだ。







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