うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる 作:madamu
「もう一度頼む」
「周公瑾から連絡があった」
耳がおかしくなったか?いやどうなんだ?周公瑾。周公瑾。
待て待て待て。
「ちょっといきなり何?」
横にいたカナデを肩を抱き寄せ、ぎゅっと抱く。あ~、女子高生柔らかい~。
顎に手をやるのが癖になったので、人がいない時に限りカナデを抱きしめることで精神の安定を計っている。
「ねぇ、そんな学校よ・・・」
ちょっと顔赤くして、可愛いな。シャンプーの香りがする。今晩こそは。
「もういいか」
「ああ、混乱は収まった」
カナデを腕の中から離し、真面目な顔をしているつもりで光夜に向き直った。
鼻の下は伸びていない。はずである。
光夜の横では雪光が呆けている。雪光、メンタル大丈夫か?
放課後すぐに、光夜から人のいない喫茶室集まるよう話があった。そしてこれである。
その時点で雪光は、光夜に手を引かれ、幼児退行したようによちよち歩いてきた。
「で、連絡とは」
「メールだ。すでに日数が経っている」
光夜はコーヒーを一気に飲み干しタブレットをこちらに見せる。
おう~、スゲーな。まじで周公瑾名義で、微妙に「何か」を匂わせている。
「本人なのか?」
「確認してくれ」
「あ、そうね。ちょっと時間かかるけど出来るわ」
そう言って、カナデは光夜からタブレットを受け取る。
「でもこれって、外向けの学校資料請求の申し込みから来てるじゃない」
「一校が外に出しているアドレスはそれだけらしい」
「それが何日かけてお前のところに?」
「複数部署を経由して、先ほど職員から達也に来て見せられた」
頭を抱えた。カナデにタブレットをテーブルに置くよう促し
もう一度抱きしめた。カナデの温もりで混乱を静めようとしたが時間がかかりそうだ。
「おい」
俺の挙動に不機嫌な光夜が声をかけてくるが、もう30秒待ってくれ。
「ありがとう、落ち着いた」
カナデの眼を見ながら、そう言った。「うん・・・」と頬を赤くし頷くカナデ。
まいった。こりゃ、俺本気になったな。絶対離さんぞ。
「おい」
もう一度、光夜。
「すまんな。混乱の極致だ」
「少なく見積もっても三日、最悪九校戦終了後すぐに、と言う可能性もある」
「またカナデを抱きしめて混乱を収めたいんだが」
「家でやれ」
光夜はそう俺に言って、タブレットをもう一度カナデに渡した。
「雪光、お前この状況どうみる?何か覚えていないか」
このメンバーで既知未来知識が一番豊富な雪光に聞いたがかえってくるのは
「もうわかんないよ…そんなせっていしらない・・・来訪者編も、京都編とかさ・・・」
ここまで、ぼそぼそとしゃべる雪光は初めて見た。深雪に匹敵する美貌も今はなりをひそめている様だ。
俺の告白の10倍はおかしくなってるぞ。混乱を収めるには恋人抱きしめるのが一番だぞ。
七草嬢との仲は進展していないらしい。
まあ、俺も人がいなければ足をバタつかせて奇行に走るだろう。
雪光の気持ちもわかる。カナデは俺に抱きしめられたの幸福感が勝っているのでそれほど衝撃的ではないようだ。
光夜のこの胆力スゲーな。普通はデカい声を出すぞ。
「達也にメール見せられた時は柄にもなく、マジか、と言ったよ」
俺の視線に気付いた光夜の告白に安心した。
単なるいたずら→無視
意図を持ったいたずら→調査
意図を持った仕掛け→調査
罠→調査
選択肢はこんなところか?問題は司波小百合襲撃事件の備えをしているので、あまり時間的余裕がない。
「いっそのこと、達也に動いてもらうか?」
司波達也宛のメールなら達也に動いてもらうのが道理だ。
だがあまりにも不確定要素が多い。既知未来の知識のある我々で推論は立てておきたい。
司波達也と俺の関係は、この横浜騒乱編対策チーム(仮)では難しい。
アカシックレコード(笑)で横浜騒乱を知った光夜が司波達也に相談しつつ、「四葉の力で手に入れた情報」と言う態で
オブザーバーとして諜報員の俺をチームに招聘、という形だ。
「肝心の周公瑾のメールは何なんだ?」
「食事の誘い」
光夜の口からさらに予想外の答えが出てくる。
「カナデさん」
「ちょっと抱き着くのは待って」
忙しそうにタブレットを操るカナデに片手で静止された。