うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる   作:madamu
<< 前の話 次の話 >>

54 / 68
必ずどこかで戦闘が起きる


ひっさしぶりに登校出来た。
親類の不幸で親から欠席の連絡が行くはずだが忘れてしまったらしい。
そんな苦しい言い訳だが、1時間の説教で終わった。

この間も潜入工作員は見つかっていない。
生徒会に顔を出したら中条会長にも「大丈夫でしたか?」と心配された。
大変でしたが、良い思いもしました。
光夜も機嫌がいい。なぜだ?

この数日は司波深雪副会長と五十里会計で学内を回し
中条会長と光夜で論文コンペの調整を行っていたらしい。
光夜、激務で脳内麻薬が出ているのか?

司波深雪嬢からは「仕事ありますからね」とさっきまで暖かかった冷たいお茶を渡された。
頑張ります。

学内は普通だった。
軍から派遣された警備兵は民間の警備服で校内にいる。
「ブランシュ襲撃後に組まれた警備増強の予算がやっと理事会を通った」という触れ込みで生徒たちは気にする様子はない。

「これで一安心?」
風紀委員室では俺と雪光の二人だけだ。
生徒会書記補佐などという奇怪な役職だが、実質は「光夜に話通したいけど、怖いので窓口ヨロシク」役なので
時間を作るのは容易だ。光夜が中条パイセンにべったりなので、話がまとまりやすい。
「それはないな~。もう一波乱あるぞ。雪光、10月30日にどっちにいたい?」
雪光も雪光ガールズからの避難先として風紀委員を満喫している。
千代田花音は五十里啓にぞっこんなので、雪光など眼中に無いし、カナデには俺がいる。
司波達也や男子の先輩と駄弁るなど男子高校生の生活を満喫している。

「論文コンペか関東支部?」
「いや横浜か一校」
そこなのだ俺のこだわっているのは。
論文コンペ会場か魔法協会関東支部の二択ではない。横浜か八王子か。
「まだ一校襲撃とか気にしてるの?」
「う~ん、どうもな。あの予想がな~」
俺は自分で言った呂剛虎の魔法科高校の襲撃を、横浜と八王子という距離から考えると一校を想定して考えている。
正直戦闘区域が広いのは横浜だ。
だが、呂剛虎が来るとしたらここ一校だ。どうもこの発想が抜けない。

「雪光は横浜行きたいのか?」
俺の言葉に雪光は腕を組み考え込む。
「う~ん、魔法の特性的には走り回る系だから校内でも、横浜でもどっちでも有用性があるんだよね」
そうだな。雪光の魔法から見るに広い戦場を駆けまわるもよし、狭い校舎内を駆け巡るもよし。
司波達也の大黒特尉としての、10月30日の鶴見基地での待機は決まっている。
正しくは、司波達也は一校生として論文コンペ会場におり、すぐに合流出来るよう風間さんが何かしらの方策はするだろう。
俺は光夜には論文コンペというか横浜にいて欲しい。あいつの魔法の発動範囲の広さを考えるに横浜の方が有効だろう。
カナデも同様に横浜だ。彼女の電子技術は確実に横浜での戦況確認には必要だ。あとあっちの方が安全だと思う。

「アラタ、僕はどっちに行く方がいい?」
真面目な顔で聞いてくる。司波達也も光夜も雪光も、実戦経験があるのだろう。
ただその数や内容では、雪光が最も劣っているはずだ。断言していい。
それは戦闘スタイルである。高速戦闘とはうたっても、単独行動が主で連携が取れない。
そんな奴は戦場では孤立する。歩調を合わせるというのは、仲間との連携がとれ、生存確率があがる。

言わせてもらうが高速戦闘はヒーローにはいいが、戦場の兵士としては扱いづらい。
それを自覚していないのが、実戦経験の少なさを感じ取れる。

「正直言う。雪光、横浜に行け。俺は一校に残るが、そうなるとお前が足手まといだ」
足手まといと言われて、雪光が衝撃を受けている。
そりゃそうだ。自分の実戦経験者としての自負が砕かれたのだ。
一度つばを飲み込み雪光は口を開く。
「そんなに足手まとい?」
その声には、確認と劣等感と少しの怒りがあった。
「同じ時間軸で戦えないのは孤立し合うだけだ。それなら横浜で走り回って攪乱した方が幾分戦術的には意味がある」
俺の戦場は泥臭いし、生臭い。カッコいいもんでもない。一校の王子様には合わない。
「そうか・・・」
まるでテストに不合格になったようにうなだれる雪光。
「いいか、戦場じゃ人を守ると同じくらい、自分が生き延びるのが重要だ。そのためには同じ歩調で動ける奴が必須だ。お前は速すぎる。一騎当千だ。だがそれじゃ他の奴が追い付けない」
励ましとも事実ともいえる曖昧な事しか言えない。雪光の戦闘スタイルは戦場では皆無なのだ。
「ちょっと考えてみる・・・」
真剣な顔をして俯いた姿勢を直した。妙案が浮かんだのか。

横浜騒乱はこのまま行くと起きる。
既に軍の配備は済んでいるので、後手に回って被害がデカくなることはないだろう。
10月30日には交通規制を敷き、横浜周辺の港周辺への車両の進入を制限する。
また前日には2次大戦時の不発弾発見による広域での立ち入り規制も行う。

不測の事態への対応は十分だが、予防ができない。必ずどこかで戦闘が起きる。そして犠牲が生まれる。

周公瑾の身柄確保は僥倖なのだろう。俺の知らない先の未来にしてみれば。
だが、逆に今の相手の行動を推察するには厳しくなった。
虎が街に潜んでいるのだ。今はただ軍と諜報組織の組織力に任せるしかない。

呂剛虎の病院襲撃が無いので渡辺摩利a.k.a“片付けの出来ない奥さん“は将来の旦那予定の彼氏と普通にデートできたらしい。
エリカが切れてたので、あのブラコンも拗らせてんな~。お前の上の兄ちゃんもこないだ藤林響子とレストランに行ったらしいぞ。
カナデが「お姉さんにも春が戻ってきた」とほほ笑んでいた。「年下の姉」というのも不思議なもんだ。
そうそうカナデに痛みは引いたか聞いたら2日くらいしたら、問題なく動けるようになった。
正直、10月30日は家に居てもらいたいが本人は「転生者の使命よ」と笑って横浜に行く気だ。







※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。