うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる   作:madamu
<< 前の話 次の話 >>

57 / 96
三人称視点です


いきなり頭撫でないでよ!

「取り乱したわね」

「うるさい・・・」

あの後、さらに声を上げそうになったカチューシャを引っ張りカナデはロビーに出た。

さすがに発表の邪魔をさせるわけにはいかないと判断したのだ。

それだけ、カチューシャはエキサイトしていた。

ロビーのソファにカチューシャを座らせると、カナデも横に腰掛ける。

 

「納得できない」

「しなさい。人生疲れるわよ」

(先生が生徒をたしなめる口調だ・・・)

そう感じて、カチューシャは負けたような気分になった。

不貞腐れながらもカチューシャはカナデに聞く。

「今日、ほんとに起きるの騒乱は?」

「さあ、起きると思うけど想定する規模になるかしら。どこまで資産突っ込んでるの?」

「1億。焦げても影響はないけど、外れれば悔しい」

全体の資産からすれば、それほど痛い金額ではない。

大陸から着の身着のままで亡命しなければいけなかった父と、そんな父を受け止めた母には十分生活できる資産は渡してある。

カチューシャは前世も現世もあまり金銭的には恵まれていない家庭だったことが

自分の不幸のひとつだと思っている。金が無いのはいい。苦労する両親の姿が嫌だった。

「そう。人命相手だとはした金よ。諦めなさい」

「諦めろって・・・」

「あなたが人命よりお金なのは勝手だけど、同じ転生者と思うと嫌になるわ。なにか起きて死ぬのは普通の人よ」

「・・・さっきのは失言よ。混乱して」

 

「あなた、ここまで上手くやってきたみたいね」

「ええ、そりゃ四葉に会うまでは。美貌と才能をねだって正解だったわ」

カチューシャは胸に手をやり、ここまでの栄光の自分史を思い出す。

亡命ロシア人ということで、仕事が安定しない父を支えるように朝から晩まで働く母。

研究所勤めから一転、異国での肉体労働や宅配業もやり、愛娘の教育を惜しまない父。

二校の女子ではトップクラス。男女とも羨望の眼差しを向ける存在。

九校戦、論文コンペでは裏方として校内の意見調整で走り回った。

いつか原作の物語に絡んだ時に負けないように。

 

「あんたも藤林とは結構なところね」

九島の分家、日本魔法師の名門中の名門。その資産や権限は、天井知らずとも噂される。

「別に、こればかりは相手任せよ。好きで藤林じゃないわ」

少し前かがみになり、頬杖をつくカナデ。

「変わって欲しいくらいね」

カチューシャにして見ればカナデの返事は金持ちの謙遜だ。

鼻につく。

「そうね、姉が婚約者の死で涙するのを身内として見られるわ」

「・・・・・・そんなに怒ってるの」

カナデの無機質な声に、恐る恐るカナデの顔色を見るカチューシャ。

 

30秒ばかり無言が続いたが、カチューシャは立ち上がりホールへ戻っていく。

3分もすると、カチューシャは胸を張り、大股でカナデのもとへ戻ってきた。

「四葉に言ってきたわ、さっきのは混乱した失言で本意ではないってね」

ソファに座りカナデへ胸を張る。

「そう」

カナデはそれに答えるように、カチューシャの頭を撫でてやる。

「ちょっと!いきなり頭撫でないでよ!」

いきなりの行動で驚くカチューシャだが、言葉の割にカナデの手を跳ね除けようとはしない。

「前の時の弟に似てるのよ。偉ぶって怒られた後に謝ったことを自慢してくるの」

カナデが微笑みながら撫で終わるとカチューシャが文句を言う。

「あんた、なんでそんなに年上ぶるの?同じ一年生じゃない!」

「噛みつかないで。貴方が子供なだけよ。あなた、前は経済とか金融系の仕事してたの?」

「経済学部の大学生」

先ほどからのカナデからの扱いにカチューシャは不機嫌だ。

「そう、なら年下ね」

「あんたは」

言葉を最後まで言えない。カナデがかぶせるように

「社会人4年目」

 

 

「魔法は使える?」

「ふん、これでも二校のトップクラスよ」

カチューシャ、何回目かの胸を張る。

「学生レベルじゃなくて」

カナデは自分の発言を補足する。

「母方が軍人家系で基地に行ったときに、スカウトされたわ」

放出系については自信があるし、来年にはアイスピラーズブレイクの代表戦を狙っている。そして代表になる自信もある。

「自分の身は守れるのね。じゃあ、あたしの護衛やってよ」

「なんで!」

突然の申し出にカチューシャは立ち上がってしまう。

「強いんでしょ」

「でもあんたを守る義理は無いわよ」

腕を組み、落ち着いた声を出して座る。敵対するつもりはないが、それでも四葉達の行動には今一つ同調できない。

カチューシャは介入者としての自覚はあるが、それは今ではないと考えている。

本当に今日は転生者として、四葉を確認し挨拶するつもりだったのだ。

「人に説明を求めるのに、自分は何もしないのね」

「ロシア語できるの?」

まるでカナデが、光夜との会話を知っているようで、疑問が口をでる。

「翻訳機で同時通訳して聞いたわ。あたし戦闘は苦手なの。男子は忙しいから、あなた暇でしょ」

「さっき転生者の使命って言ったわね」

「わかりやすく表現しただけ」

「何よ、それ」

「彼氏が命張ってんの。助けたいわ」

「さっきのアラタって奴?そいつが原作ブレイクしようとしてるの?疫病神ね」

「・・・」

「なによ、こっち見て笑って」

「別に。昔っから恋人いないでしょ」

「そうよ。彼氏がいないの変!?」

顔を真っ赤にして答えるカチューシャは、恋愛感が純愛寄りなこの時代は自分に向いていると思っている。

(恋愛がなによ!私の美貌ならいつか王子様が来るのよ!)

「いいえ。あたしもそうだったから」

(可愛い・・・)とカナデはついつい微笑んでしまう。昔も今も妹はいないが、いればこんな感じで話してくるのだろうかと思った。

 

「その命張ってる彼氏はいないんでしょ?どこで何してるやら?臆病なの?」

「呂剛虎と一騎打ち」

カチューシャの言いぐさにはカナデは腹を立てない。表情や感情がコロコロ変わる同年代の年下の美少女が面白くてたまらないのだ。

「は?」

いきなり出てきた敵の名前にカチューシャは一瞬間が空く。

「あの人の読みだと一校に呂剛虎が来るらしいわ」

「なに、そんなの信じてるの?」

攻めるより、呆れたような声を出すカチューシャに、カナデのニヤニヤが止まらない。

「信じるわよ。惚れてるから」

「ぐぬぬぬ」

「そう言って悔しがる人初めて見たわ。いい加減諦めなさい。もう、物語じゃないの。起きることは全部即興で対応しなさい」

「即興って。音楽でもやれっての!」

また立ち上がり、地団駄を踏まんばかりのカチューシャの対してカナデは

 

「ダンスは得意?」

 








※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。