うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる   作:madamu
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三人称視点です。


恋の自覚

会場外で戦う下士官から「中華街に敵兵力が潜んでいたようだ」と聞かされた光夜は、即座に服部に報告。この会場が戦場になったことを告げる。

 

会場にいる戦力は1個中隊であり、戦車ではなく数台の装甲車と兵員輸送車があり、複数の直立戦車を撃破するほどの火力は厳しい。

歩兵の数も上回っているが多数の高校生を守ることを考えれば籠城し、部隊の増援到着を待つ。

それが国防軍から提案された策だった。

 

生徒たちが集められた大会議室では動揺がひどい。

中条あずさが声を出して、動揺を収めようとしているが一向に鎮まる様子はない。

七草真由美は、梓弓を使い生徒たちを静めることを進言しようとあずさに近づいたが

それより先に光夜が何やらあずさにささやく。

 

中条あずさが意を決したように梓弓を発動する。

範囲系情動干渉魔法「梓弓」

彼女の魔法をもってすれば動揺する群衆を静め、人の話を聞ける状態にできる。

「落ち着いて下さい。外には国防軍の皆さんと共同警備隊が安全確保に動いています。私たちが冷静さを失うと被害が拡大します。今は彼らを信じて待ちましょう」

 

あずさの声は生徒たちに響いたのが先ほどの動揺による猥雑さが嘘のように静かになった。

七草真由美は自分の役目を取られたようで光夜を見た。

 

一方、光夜はこの状況について思考していた。

 

「中華街には手を出さない」は裏返しすれば「中華街は当日は協力しない」

これは周と陳の契約だ。

 

だが今は違う。周とは違う組織が「中華街が戦場になるのもやむを得ない」を前提に「戦力面での協力」をしたのだ。

 

そう光夜は認識した。思ったよりもあの街は根深いとも感じた。

 

そして先ほどから光夜の中には激烈な怒りがあった。

 

「中条あずさに危害を加えようとする大亜連合への怒り」と認識するのはもう少し先の話であり、中条あずさへの恋の自覚と同時でもあったことを記載しておく。

 

 

どこかから銃による散発的な射撃を防ぐためとはいえ、敵に身を晒すような位置に立つとはカチューシャは思わなかった。

会場4階の廊下脇にある野外テラスでカナデが作業をするというので、一緒にテラスに出ると、どこからか銃弾が飛んできたのだ。

カチューシャは急いで障壁を展開した。

「もう、いや~!」

今も会場外のどこかから撃たれており、障壁が着弾音を教えてくれる。

「そう言ってないで障壁維持して」

カナデはカナデで、タブレットを取り出し、小さなアンテナのようなものを取り付け、その周りで指を動かすだけだ。

冷静なカナデに怒るやら、早くこの場を脱したいやらでカチューシャはロシア語でわめきたてる。

 

『dhふあyvふぉいfんこiuyvいおびょlvなbcy』

 

そんなカチューシャを無視して、カナデはタブレットをアンテナごと地面に置き、別のタブレットで通話を始める。

「お姉さん?こっちは大丈夫。タイミングはそっちでどうぞ。うん、撤退する」

それだけ話すとカナデは通話を切り、警備本部の内線へ通話する。

「一校警備の藤林です。上階で逃げ遅れの二校生徒を発見しました。どちらに?わかりました」

「ちょっと逃げ遅れって!」

自分を逃げ遅れにしたことを非難するがカナデは意に介さない。

「行くわよ、地下の避難路からシェルターに行けって」

カチューシャの手を引っ張りテラスから建物内に戻る。

 

 

「ええ、こちらであとは行うわ。早く避難してね」

藤林響子少尉は国防軍魔装大隊が待機する立体駐車場で妹からの通信を終えた。

すでに、魔装大隊の面々はムーバルスーツの着用を済ませ、いつでも行ける状態だ。

最後の準備として、無人偵察機のコントロールを奪う必要がある。

その役目は藤林響子と奏の姉妹によるハッキングであった。

 

(あの子が大隊に入ってくれれば私も婚活する時間できるかしら)

響子がそんなことを考えたときに浮かんだのが、千葉の長男なのは最近よく会っているからだろうか。

 

響子の手が滑らかに操作パネルをいじると、前面の12分割された大型モニターには

横浜を上空眺めるライブ映像が映る。

 

この時から大亜連合軍は横浜上空からの支援を失ったのだ。

 

「藤林です。こちら無人偵察機の奪取に成功しました。いつでもどうぞ」

その言葉を合図に柳を先頭に部隊は空へと向かっていく。

「大黒特尉も気を付けて」

「了解した」

一言、達也が返すと響子はモニターを眺めナビゲーションを始めた。

 

 

 

雪光は手にした棒型CADを起動させた。本当はもう少し短くしたかったが耐久性やら内部のストレージを調整した結果25cmとなった。

 

棒の先端5cm程度が棒からまっすぐ離れ、70cmほどのところで浮く。

 

そして浮いた先端と手にした棒を結ぶ直線に想子が満たされ、光の剣のようになる。

これが雪光秘策「想子剣(サイオンソード)」である。

 

雪光は想子は「水」と同じだと捉えている。水を手ですくい投げつけると球体のように飛んでいく、放出すれば飛沫となる。だが空中で水を固定するのはできない。

 

想子を光と同様にとらえる人もいるが、雪光は水の例えがしっくりきた。

 

想子を剣の形にとどめておくは以外と面倒だ。千葉家の秘術や一部の秘伝には存在はするが、それでも長時間固定化させるということはされない。

もっと言えば、純粋な想子を剣としているのではなく、魔法式に則って想子を加工し剣として成型している。

 

だが、雪光は純想子を棒状にする方法として、先端部分にCADのパーツをつけ、A点とB点での間で展開させる方法を取った。A点となる先端部分を中空に固定する方法は九校戦で見たレオのCADからの発想だった。

 

この想子剣だけが奥の手ではない。加重や硬化魔法を使えば「硬くて重い棒」として使えるし、そこに高周波を付与してやれば切れ味に上限の無い剣になり得る。また変数を調整してやれば、刀身の形状や付加される属性も変えられる。

 

それを高速戦闘で行うのだ。

最初は二刀流も検討したが片手は空けた方が別のCAD使用できるので、泣く泣く一本にした。

 

「じゃあ、先行くよ」

 

雪光の声にうなずく兵介。

兵介の脚には軽量素材で作られたブーツと一体化されたレッグガードがあった。

ブーツのつま先や、かかと部分は氷上用のアイゼンのようでもある。

吉祥寺真紅郎を巻き込んで三校の工学サークルと一緒に造った一体型CADである。

まず右足のつま先で二回地面を叩く。次は左脚のかかと。これで起動だ。

「よし!」

一気に走り出す兵介。左腕のCADから盾形に障壁を展開。ただの障壁ではない。

円形ではなく、正面に対して円錐状だ。

脚のCADは「加速!」の一言で加速と加重、摩擦調整を引き受ける。

兵介が行うのは魔法力の供給と自分の身体をコントロールすることに集中できる。

競技用ではない本気の本気である。

 

 

既に正面玄関と駐車場は戦場だった。装甲車で外部からの侵入路を塞ぎ、敷地外から直立戦車や歩兵が銃撃を浴びせてくる。

国防軍内にも魔法師はいるが、建物への断続的な障壁展開など防衛に手いっぱいだ。

 

本来、魔法師は貴重なのだ。

 

「くっそ!」

「落ち着け、桐原」

建物内、エントランスの柱の陰から、外を悔しそうに見るのは沢木碧と桐原 武明だ。

制限された空間ならまだしも、開けた野外での戦闘では、二人のような白兵メインの魔法師は分が悪い。

二人の移動魔法や剣術、格闘術は十分戦場で通用するだろう。

だが、これほどまでに多数の砲火にさらされる場所では的になりかねない。

 

 

「あ、先輩ちょといいですか」

「オッス、すいません。通ります」

 

二人の横から外に出ようとするのは雪光と兵介だった。

 

「おい!何考えているんだ。建物内から出るなと言われているだろう!」

沢木が厳しくしかるが、二人は振り返り

「先ほど服部先輩から、共同警備の国防軍への前面協力がOKでました。まず第一陣で行ってきます」

「自分も一校には負けてられないので」

 

「ちょっと待て!こちらエントランスの桐原!国防軍への協力は?!今からOK?!第一陣ははっと・・」

雪光と兵介を呼び止め確認の連絡をした桐原を横目に、雪光と兵介はCADを起動させる。

 

「じゃあ先行くよ」

「よし!」

 

沢木と桐原の前で、二人の制服で出来た白と赤のラインが一瞬でエントランスの割れたガラス扉を越え、装甲車のバリケードをも越え、敵陣へと入っていった。

 

そして30秒後に帰還した雪光と兵介により、敷地外で猛威を振るった直立戦車4台が大破した。

 

「おい沢木」

「何も言うな桐原」

二人は自分たちが見たのが、魔法師の戦いではなくヒーローの活躍のように思えた。

 

「桐原!おい!何があった!第一陣が行くまで手を出すなよ!」

桐原の連絡用タブレットから流れる服部の声がエントランスに響く。

 

 

「同じ時間軸にいないと連携が取れない」

そう言われた雪光は一瞬悩んだが、すぐにひらめいた

「兵介がいるじゃん」

 

横浜騒乱の事態収拾に関して、雪光は兵介との情報共有を提案し、みんなから許可が出ると、すぐに兵介に伝えた。

自分の戦闘スタイルの弱点も一緒に。

 

兵介からの返事は一言。

「やってやろうぜ!」だった。

 

国防軍がこれだけいると、横浜騒乱は起きないのでは?と雪光は思った。

それでもいいかも、とも思った。そりゃ人命一番だ。

多少警備の多さで会場がざわついたけれど、特に何も起こらない。

真由美先輩ともお喋りできた。

 

だが昼を回ったときから変わった。動揺する生徒に、表情が険しくなる軍人。

そして冷静に努めるが指先が震えている真由美先輩。

 

「兵介、行こう」

「男子奮い立つは女子の指先ってか?」

兵介は雪光の視線から、なにを持って出陣を決めたのか悟った。

「じゃあ、俺は友達のために戦うかな」

その時、服部隊長代理から国防軍との共同戦線の話が出た。

第一陣の話が聞こえてきたが、今は自分がやらねばと雪光は思った。

(恋の力、とか言うと笑っちゃうか)

自分の気持ちは自覚していたがこんなところで行動の動機になるとは、と雪光は少し笑った。

 

 

二人の戦闘スタイルは速度だ。絶対的な速度。銃弾も、音も置いていくスピード。

 

正面玄関から出た二人は、三歩目には九校戦以上の速度を出していた。

 

常人の二呼吸で二人は装甲車で作られたバリケードを越えて敵陣の正面に居た。

雪光は右、兵介は左に進路を変える。

 

兵介の前にいた敵兵は、何がいるのか把握する前に、知覚できた者も少ないだろう。

赤い塊が人をはね飛ばしていく。そして直立戦車の脚部へ激突する。

 

高校生とは思えない剛体が、信じられない速さで激突した。ただの激突ならいい。

兵介はすでに自己に加重をしており、その重量は200kgを越えていた。

 

超加速された200kgの物体が障壁魔法を展開して激突する。

それは人型の砲弾と言っても違いはなかった。

 

脚部の衝撃で横倒しになった直立戦車は起き上がろうと脚部が動き出すが

「うおおおおおおおおお」

兵介はそのまま直立戦車を押し込む。

近くに駐車してあった乗用車に激突する。

 

横倒しになった直立戦車を駆けあがり、コックピットの真上に立つ兵介

 

「ランス!」

 

そう叫ぶと右手から円錐状の障壁が発生する。

そのまま右手で殴りつける。更なる加重も行う。

 

兵介の切り札である。本来は走りながら円錐状の障壁を叩きつけるが

今は加重を重ねた一撃を足元に見舞う。

 

そして離脱。これを数回繰り返す。

戦場を走り回る砲弾だ。数度往復した時には直立戦車は横倒しのまま沈黙した。

 

 

兵介が剛の速度なら、雪光は鋭の速度だった。

 

展開した想子剣は、重量を与え、高周波で振動させている。

近くにいる兵士たちは腕や脚を切られた。

目の前にいる直立戦車は足元から頭頂部まで駆け上がりながら切りつけた。

 

雪光の世界にあるのはほんの少しの重力と、遅れてくる音と、向こうで走り回る兵介だけだった。

 

今は孤独ではない。彼方で雄たけびを上げて走り回る兵介は、今の雪光から見てもちゃんと「走っている」

 

高速世界の高周波剣。触れる者は鉄であれ、人であれ、アスファルトであれ、まるで豆腐だ。

兵介が走る砲弾なら、雪光は動き回るレーザーだ。

 

3台目の直立戦車を切りつけ終わると、一度距離を取った。その瞬間、物理現象が追い付いたかのように

直立戦車は文字通りバラバラになり、敵兵士たちは己の痛みと、傍らに立つ小柄な高校生を認識したのだ。

 

「兵介!」

「おう!戻るぞ!」

 

二人は二呼吸の後にエントランスへ帰還した。

 

この件で、服部先輩には怒られ、雪光へのマーシャル・マジック・アーツ部と剣術部からの勧誘が多くなった。

達也と深雪には呆れられた。

 

光夜は自分の行いもあって、何も言わなかった。

 

 

論文コンペ会場周辺の戦闘は沈静化した。直立戦車が無くなり、歩兵も重傷多数となり敵の戦意は堕ちた。

警備の国防軍が攻勢に出て、周辺の安全は一応確保された。

 

「服部隊長代理」

「今度は一条か」

警備本部を出てエントランスまで移動した服部は一条家の跡取りに声を駆けられた。

服部は雪光と兵介に拳骨したが、兵介の頭蓋骨の固さに右手が痛い。

そして一条である。

「当ててやろう。『十師族として魔法協会関東支部の防衛に参加したい。現場の離脱を認めてほしい』だろ」

「よくお分かりになりましたね。服部隊長代理の慧眼には驚かされます」

自分の意思を一言も間違えずに当てられ、一条将輝は驚いた。

 

服部はいきなり「十師族として魔法協会関東支部の防衛に参加する」と言った十文字の後を任されたので、十師族のやりたいことは何となくわかった。

 

(もう少し、説明と指示を出してから離脱してくださいよ。十文字先輩・・・)

 

雪光と兵介の独断専行以外に、いつの間にか司波達也はいなくなる、七草真由美と行動を共にすることで自由に動き回る司波深雪&千葉エリカ&西城レオンハルト&吉田幹比古etc。

(ゲリラ狩りでも行っているのだろうか)

胃が痛む。四葉シフトではなく、二科生問題児シフトも必要なのだろうかと、服部は考える。

 

(勘弁してください~、七草先輩)

惚れた弱みと納得するしかないのか、服部はそう思っている。

 

国防軍の先導で生徒たちはシェルターに、向かうべく地下道を進んでいる。

殿は共同警備隊であり、服部自身は最後に建物を出るつもりだった。

 

「言っておくが吉祥寺は置いていけ。警備隊の戦力をこれ以上低下させるわけにはいかん」

「そうですか!では自分は?!」

服部は大きく何度もうなずく。

一条将輝は一度服部に敬礼し、駆け足で建物から出ていく。

 

「行け。行ってしまえ・・・」

呟く服部は、明日、いや状況が落ち着いたら桐原や沢木を誘ってカラオケに行こうと思った。

きっとあの二人も叫びたいに決まっている。

 

「お前ら何なんだ!」と。

 

 

後の世に「灼熱のハロウィン」と呼ばれる大亜連合の横浜襲撃の事件は、幾つかの逸話を残すこととなる。

 

十文字克人と一条将輝による義勇軍指揮とゲリラ狩りの武勲

 

シェルターへの道中で藤林奏が見せた正確無比な索敵&川村エカテリーナの「司波深雪に出来ることなら大体できるわ」と言い放ち、敵兵士を氷漬けにした魔法。

 

シェルター周辺の安全確保のため、獅子奮迅の活躍をした桐原、沢木、十三束、壬生の活躍。

 

コンペティション会場を最後まで国防軍と守り続け、共同警備隊の指揮を執った服部のリーダーシップ。

 

吉祥寺真紅郎による狙撃兵への逆襲の一撃。

 

司波雪光と黒城兵介による30秒の大乱戦、そしてその後の横浜中を走り回っての大活劇。

 

横浜港への逆撃に参加した千葉エリカ、西城レオンハルト、吉田幹比古、柴田美月、千代田花音、五十里啓、光井ほのか、北山雫、お目付の千葉寿和警部の遊撃部隊。

 

陳祥山を捕縛した、司波深雪、七草真由美、渡辺摩利の大活躍。

 

飛行部隊として敵制圧に尽力した魔装大隊。

 

そして、魔装大隊による戦略級魔法師の魔法行使の噂。

 

何より、四葉光夜の「招雷」の魔法行使である。

 

 

「会長。このまま進んでください」

地下道を進む学生の一団。見学、応援の学生は絞られており、コンペ参加の学生や関係者を含めても300人もいない。

 

集団の先頭には国防軍の小隊と共同警備隊の選抜メンバー、索敵能力が高い藤林奏と遠距離攻撃や障壁を得意とする者たちだ。

その集団を引っ張る先頭あたりを歩く中条あずさに光夜は声をかけた。

 

「四葉君、もしかして地上に出るのですか」

あずさは周辺に動揺を及ぼさぬよう、小声で光夜に返事をした。

光夜も同じように小声で返す。

「ええ、地上に出て状況を確認します。必要があれば戦闘も行います」

それだけ言って集団を離れようとする光夜の制服の袖をあずさは掴んだ。

「本当は、本当は危ないので行ってほしくないです。でも十師族の責任もあると思います」

最後の方は消え入りそうな声だ。

光夜は立ち止まり、あずさの次の言葉待つ。

「ですから、ちゃんと戻ってきてください。会長命令です」

少しくらい地下通路の中であずざの目元に涙が見えた気がした。

「わかりました」

光夜は微笑む。

(この人はこんな時でも俺の身を案じてくれる)

「その、み、光夜君。ご、ご武運を」

あずさが今できる最高の笑顔で、光夜を送り出した。

 

一人、地下道から支道を使い地上に出たとき、光夜は嬉しかった。

これほどまでに頬の筋肉は緩んだことはない。

「ふふ、ふふっふ、はっはっはっはっはっは!」

 

まるで世界を手に入れたかのような高笑いをすると、CADを起動させ飛行魔法を使った。

高層ビルと肩を並べるほど上昇し、止まる。

下からは大亜連合と思われる兵士から銃弾が飛んでくるが障壁が阻む。

 

(最高の気分だ!なぜだ!これほどまでに心が高揚する!)

 

空中から視界内を睥睨する。

知覚魔法を使用し、知覚範囲を把握する。一分ほどすると視覚範囲内はだいたい理解した。

 

もう一度、CADに触れる。

使う魔法はこれだ。

 

光夜の足元から、六条の雷光が立ち昇る。雷光は一瞬起立したかと思うと、今度は放たれた猟犬のように横浜市内を縦横無尽に轟音を立てながら這いまわる。

 

精霊魔法や式神に使われるスピリチュアルビーイング魔法を「昇雷」と組み合わせた、光夜オリジナルの魔法だ。

雷は光夜の視野と同期し、手足いや、指先のごとく市内を高速で這いまわる。

 

雷が敵兵を捉えると、そちらへ電撃を飛ばす。敵の車両や、直立戦車だけではない。

国防軍や市民、義勇兵達に敵対するモノへの容赦ない雷撃。

 

空中で止まり敵を探すような仕草もする。雷の形をした生き物のようだ。

 

遥か高いところで高笑いを時折しながら光夜は、目につく敵を容赦なく攻め立てる。

 

これが「四葉光夜の招雷」の魔法行使だった。

 

これにより敵の残存兵力の50%は潰された。昼間の戦闘でもっとも戦果をあげた瞬間だった。

 

 

 








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