うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる   作:madamu

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教えてやるぞ、魔法師の殺し方を!

ほんの少しの瞑想も、深く入れば30秒が2時間とも思える。

俺は生徒会室の床に胡坐をし数十秒の瞑想を終えた。

このあと、確実にあの呂剛虎と戦わなければいけない。

 

千葉修次に匹敵する魔法白兵戦の達人。

五体満足、決死の意思、そして武装。そんな相手を迎えての命懸けの勝負だ。

卑怯などと言わず、遠距離からの射撃や警備と連携しての制圧も視野に考える。

死なないためにも、不安要素を無くし迎えねば。

 

生徒会室の扉が開いた。

「おーい、お菓子持ってきたぞ」

何しに来たのよ!モーリーよ!

コンビニの袋を抱えたモーリーが生徒会室にやってきた。

須田ちゃんも一緒だ。

 

俺ね!これから!人間戦車みたいな奴と命懸けの戦闘をする可能性があるのよ!

気楽に来て、俺の護衛対象増やさないでくれません!モーリーよ!

須田ちゃんも「エクレアとシュークリームどっち食べる?」とか軽く言ってんじゃあないよ!

シュークリーム一択だよ!

 

「二人ともどうしたの?」

俺は極力動揺を抑え立ち上がり、二人に聞く。テーブルに置いたタブレットには警備から登校した生徒のデータが送られている。

 

論文コンペの当日は休校となった。

基本的に生徒は自宅待機だ。数名の教師と一部の生徒が登校し、用事を終わらせるとすぐ下校することになっていた。

今は生徒会の俺や、受験用に資料を貰いに来た3年生が数名、部活の来年度の申請について打合せしている部活連が数名。そして、遊びに来た目の前の二人だ。

 

「どうせ、家に居ても暇だったから須田誘って顔見に来た。暇そうだな~」

忘れていた。男子高校生ってこんなもんだった。

「ここが生徒会室ね~。自動配膳のシステムどれ?」

須田ちゃんが物珍しそうに生徒会室を眺めて歩き回る。

「部活連の執務室と変わらないだろ?」

「もっと、こう汗のにおいがするんだよね。ほら部活連の執行部って男所帯だから」

須田ちゃんの説明にモーリーもうなずく。

まあ確かに部活連の執行部は妙に男子が多い。

服部さん、女子の扱いとか苦手そう。

「でもさ、生徒会女子多いじゃない?ねえ多いでしょ?」

須田ちゃん、近い近い。顔近い。

 

「それはあれか?紹介しろと」

「うん!中条会長とか、司波副会長とかフリーじゃない!前の生徒会でも市原先輩とかも彼氏いなさそうだし!」

 

恋に恋する男子か。須田ちゃんがその後も「光井さんかわいいよね~」や「明智さんもいい!」「里見さんもボーイッシュでいい!」「桜小路さんも里見さんと仲良くてそれはそれでいい!」「北山さんのアイスピラーズの振袖?も良かった」

他にも六校の生徒やら四校の女子生徒やらいろいろ出てくる。

「でも須田ちゃんさ。そこに看護師のお姉さん方の連絡先を持ってる奴いるよ」

俺は他人事みたいな顔して、ジャンクフードの袋を開けているモーリーを指さす。

須田ちゃんは妙に余裕を持った笑みを浮かべ、モーリーを見る。

「いや~、ほら春が来た人から春奪っちゃうのもね」

お前!モーリーよりも自分の方がモテるとか思っているのか!スゲーな!その自信分けてくれ!

 

その後は須田ちゃん主観の可愛い女子生徒の話と、モーリーが女性看護師さんの買い物に付き合わされた話を聞いた。

え、須田ちゃんマジ?中学時代にバレンタインチョコを女子から10個貰ったて。マジ?スゲーな。ホントに?お母さんチョコじゃなくて?動画残ってる?見る見る。うわ~、スゲー。女子から義理と本命の間位の気軽さでチョコをもらえてる。

須田ちゃんガチでモテ男子だったんだ。どう?ハニトラ専門の諜報員とかやらない?

 

ちょっと、モーリーも真面目に「プレゼントのお返しはなにがいい?」と須田ちゃんに相談しない!

「いや~、そういう場合はさ、モーリー自身とかがいいんじゃない?」お前はおっさんか!中年セクハラ親父か!

 

久しぶりに腹の底から笑った。

昼飯代わりにジャンクフードとお菓子を食べ、本当にくだらない男子高校生を満喫した。

13時も少し回った時に、生徒会室の扉が開き、軍人が入室してくる。

 

「横浜で戦闘が発生したそうだ。念のため、校内にいる生徒の所在確認をしたい」

来た!これで俺は笑ってはいられなくなった。

「こちらへどうぞ」

軍人、階級を見るに少尉、を伴い俺は生徒会のコンピュータを操作し、登校した生徒の入室履歴を確認する。

俺と須田ちゃんとモーリーを除いた、10人は資料室に3人、部活棟のミーティングルームに7人だ。

 

少尉は居場所を確認すると携帯していた通信機で他の警備に連絡する。

「資料室のある棟に3人、部活棟に7人。生徒会室に3人です。各所に一班ずつ?はい。はい」

 

今日一校に警備しているのは60名程度だ。

装備はそれほど重装備ではない・・・わけはない。警備室には突撃銃やら軽機関銃などの実弾兵器が置いてあるし、駐車場に止められた数台のバンの中には、正規軍の装備が詰め込まれている。

 

警備員こと国防軍兵士の装備はちゃんとしている。防弾ベストに警棒、ゴム弾の拳銃。

そして準備された銃火器。10人20人が来ても対応できるだろう。

問題は呂剛虎がどう来るか。

 

「我々は、どう行動しましょう?」

少尉さんに行動指針を確認すると

「何かあれば、他の者が誘導にくるから、それまではここにいてくれ」

少尉の説明が終わると同時に、何か大きなものが、具体的には民間向けにカスタマイズされ販売されている軍用車両の数台が校門をぶち破り、警備が準備した簡易の車止めの壁を打ち破り、校内に侵入したような音だ。

 

さっきまで馬鹿話をしたモーリーと須田ちゃんも緊張した顔になる。

 

 

さて緊急事態だが、俺は俺でやることがあった。

 

「生徒会室からのデータベースアクセスをロックしますので後から行きます。集合場所を教えてください。終わり次第向かいます」

早口にならず、出来るだけはっきりと語気をやや強めに言う。決意の声、という発声方法も修得している。演劇学校でも開校するか?

「君一人で」

少尉もいきなりの申し出に言葉が詰まる。実際生徒会室のアクセスをロックしとかないとヤバいし、その方法を知っているのは俺だけで、30秒で終わるほど簡単じゃない。

「これでも生徒会役員です。やるべきことがあります。モーリー、須田ちゃん。その人と一緒に避難して」

二人は不安をかき消すような笑顔で答える。

ブランシュ襲撃の経験もあるモーリーは俺のすべきことを理解してくれたようだ。

須田ちゃんは釣られ笑いか?須田ちゃんらしくて和む。

「お前が合流する頃には俺たちで鎮圧してるかもな!」

「うんうん」

 

少尉は「急いで来なさい。もし銃声がしたら、動かず隠れなさい。迎えの部隊をやる」

そう言いながら集合場所を伝え、モーリー、須田ちゃんの二人を連れて生徒会室を出た。

俺は大急ぎにマニュアルに沿って、コンピュータのシャットダウンと、データベースアクセスロックの手順を行った。

この部屋を完全退避するなら銃弾3発くらいで済むが、明日にはまた使用する。

諸々の作業を5分ほどで済ますと、俺は部活のロッカーから今朝生徒会室に持ち込んだ玩具を取り出した。

 

一つは本気用のCAD。ブレスレッド型のアレだ。やっぱりFLTの新モデルは動作が軽快だ。経費でおちないかな~。

 

もう一つの方、黒い樹脂製のケースを部屋の隅に置いておいた。

ケースを開け、情報部の装備保管庫から引っ張り出した玩具の準備を始める。

 

・個人防衛火器(パーソナルディフェンスウェポン)。俗に「PDW」と略される小火器

 45ACPを30発装填が可能なモデル。サプレッサー(消音装置)を装着するので割合静かだ。

 

・45ACP用のハンドガン。マガジン(弾倉)はPDWと互換性がある。こちらもサプレッサーは装備している。

 

・特殊グレネード。フラッシュバン(閃光手りゅう弾)と煙幕弾をいくつか。

 

・軍用のグローブと陸軍制式採用のボディバッグ、そして細々とした装備

 

制服のブレザーを脱ぎ、腰にはホルスターをつけハンドガンを装備。

軍用グローブをつけ、何度が拳を握る。

たすき掛けしたボディバッグにマガジンとグレネードを入れ、PDWを手に部屋を出る。

 

目指すのは集合場所じゃない。図書館だ。特別閲覧室。

ブランシュも襲撃目的とした場所。唯一国立魔法大の非公開文献へのアクセスが可能な場所。

 

表の騒動は陽動だ。勿論警備の国防軍は承知しているはずだ。だが陽動は二人の人間を除いた最大戦力を投入できる。

暴れて暴れて暴れまくればいい。陽動など承知の上で暴れまくる。被害を出せばいいだけのバカ騒ぎほど手を焼くものはない。

 

大亜連合は呂剛虎と、ハッキング技術を持った工作員。この二人を図書館に送り込み、特別閲覧室に行ければいいのだ。

 

表の騒動は始まって10分といったところ。

 

混乱が徐々に学校内に広がり始めるだろう。

俺は入学して最大の速度で校内を走り抜ける。

正門の方で爆発音がした。頼むぞ。上手く立ち回って、大亜連を抑えてくれよ。

 

校舎を出ると建物の影から影へ。人に姿を見られないよう移動する。

今の俺は正規の任務として動いていない。

情報部が一校にいることは、警備の国防軍では指揮を執っている大尉殿しか知らされていない。

それも「情報部が一人紛れ込んでいる」程度のはずだ。

 

本来であれば警備に加わることなく、爪でも噛んで任務のため暴れるのを耐えなければいけないが

今の俺は我慢どころではなく、武器を手に走っている。

 

独断専行。勝手な判断。敵と間違えられて撃たれたって文句は言えない。

 

呂剛虎を仕留めるのは国防軍としての責務以上の理由がある。カナデの言葉を借りるなら「転生者の使命」だ。

 

妙な責任感を感じるが、これもこの世界に生まれ、未来を知る者だけが味わえる責任感と思えばちょっと特別感があっていい。

 

そして、今この学校内にいる人間で呂剛虎を打ち取れるのは俺だけだ。

 

既に図書館前では警備の国防軍が数人倒れていた。

俺は口元をハンカチで巻きつけ、顔を隠し近づく。

 

「大丈夫か」

呂剛虎は急いでいたのか、倒れている国防軍には止めを刺していない。

といっても、見るからに四肢欠損しているものもいれば、まったく身動きもせず血黙りで倒れ込んでいる者もいる

まだ息のある一人に声を掛けた。肩からの出血は見受けられるが一番マシな兵士だ。

「君は」

「情報部。詳細は言えないが味方だ。ここに来たのはどんな奴だ」

まだ若い顔つきの兵士は突然の情報部の登場に驚くが襲撃者の様子を語ってくれた。

「二人です。一人は鎧の大男。もう一人は実弾銃を装備していました」

「わかった。救援は呼べるな。相手の工作員に魔法師がいると伝えるんだ」

俺がそれだけ言うと、近くに落ちている通信機を兵士に渡した。

今応急処置を施せば助かる者もいる、瀕死の者もいる。

だが呂剛虎を止めないと、日本の魔法技術の流出、ひいては魔法を基幹とした国防体勢にヒビが入る。

つまりは戦争へ近づく。

 

「ご武運を」

俺が歩き出すと兵士はそう言ってくれた。

 

頭と気持ちは落ち着いている。冷静だ。素数だって数えられる。

呂剛虎に伝えたいことが出来た。

 

 

 

教えてやるぞ、魔法師の殺し方を!

 

 

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