うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる   作:madamu
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三人称視点です


海上型資源採掘用プラント

「ふ~」

大亜連合の軍事を司る建造物の一室で、作戦の承認する立場の男が息を吐く。
制服の上着を脱ぎ、シャツの襟もとを緩める。この部屋に入って22時間だ。
部屋から出るのは手洗の時だけ。

常に誰かが、入室し報告をする。
今もっと多い報告が国の艦隊が消滅したことと、その被害算定だ。
大事な戦略級魔法師も失った。すぐに次の魔法師の選定に入った。
血縁者がいるらしいので、その人物を新しく戦略級魔法師に据えるよう調整が進んでいる。
(いつまで死亡を露見せずにしておけるかな)
頭が痛い。大漢吸収の時でも、ここまで報告が連続はしなかった。
肉体的疲労以上に脳のエネルギーを消費している。

そして30分前に来た報告書で頭痛はさらに痛くなった。

「では君はこの襲撃を『疫病』だと言うのかね」
自分と机を挟んで立つ二人の人物に問う。
「はい。閣下」
軍服に身を包んだ初老の男だ。胸には功績を示す無数の記章がついている。
一兵卒で到達できる最高位の一つにある人物だ。

「理由は、兵士たちの死亡状況か」
「はい。それが理由です閣下」
「では、なぜ『疫病』がこのタイミングで登場した?」
閣下と呼ばれた男は軍服と横にいるスーツ姿の女と軍人を交互に見る。
「報復と警告では」
スーツの女。情報分析の担当者だ。壮年で威勢のよい顔をしている。
彼女が断言するように言う。
「具体的に」
彼女の説明を促す。
「はい。先の侵攻作戦に対する報復と、『いつでも逆撃を行える、大人しくしておけ』という意味かと。我々が同じような強行作戦を行えば、敵軍は逆に侵攻してくるでしょう」
(確かこの女は陳祥山と対立派閥だったな)



後に「灼熱のハロウィン」と呼ばれる魔装大隊 大黒竜也特尉による戦略級魔法「マテリアルバースト」使用における、大亜連合の艦隊消滅とほぼ同時刻に、大亜連合の南部海洋上にある「海上型資源採掘用プラント」に偽造した前線基地が一つ壊滅したのだ。

作業員に扮した海兵隊選抜の2小隊(18人)が待機していたが一晩で全員死亡した。
実際に採掘作業をしていた民間作業員と、作業員と一緒に採掘作業をしていた変わり者の海兵隊員だけが生き残った。

割り当てられた待機用の部屋や、装備保管室など、普段の生活の中で頭を撃ち抜かれ死んでいたのだ。

鎮海軍港からの艦隊出撃とタイミングを合わせ、南からも艦艇を出撃させ南北で圧力をかける案があった。
その艦艇に乗り込み、九州南部の都市で破壊活動に従事する予定の部隊が消されたのだ。

民間作業員がいる限定された空間であるプラントで海兵隊員だけ殺された。
軍服なり迷彩服で判断したのか、民間の作業着を着て採掘作業を行っていた変わり者隊員だけは生き延びた。

15年前の大越戦争末期、11年前の東欧国境、3年前の中南米カルテル

そして48時間前の大亜連合南部洋上。

全て同じだ。特定の存在が、軍人か傭兵だけ、数時間内に頭を撃ち抜かれ死んでいる。
襲撃者の姿を誰も見ていないし、監視カメラにも映っていなかった。まるで特定の人間を襲う疫病のようであった。

大越戦争時は凄腕の暗殺者と目された。東欧国境警備隊の駐屯地で発生した時に『疫病』の噂が流れた。

襲撃者は誰なのか?どこかの国軍なのか?フリーの暗殺者か?凄腕の魔法師なのか?

だが今回の件で判明したと軍人もスーツの女も思った。
日本の国防軍のエージェントだ。だが証拠はない。状況証拠しかない。

「ふ~」
もう一度、閣下は大きく息を吐く。
「この件は鎮海と合わせて処理する」
そう言って手を動かし「退室しろ」のジェスチャーをする。

軍人とスーツは部屋を去る。
「あと五年。待ってくれよ」
閣下と呼ばれた男はあと5年で退役を考えていた。
欧州に預けた隠し財産でUNSAの観光地に家を買いゆっくり暮らすことを夢見ていた。







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