うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる   作:madamu

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温泉に行くのだ!

昼間は相馬新、夜は関重蔵、この二重生活も、もうすぐ1年だ。

 

「そうか」

カナデからの今日の会談の結果を聞く。

渋谷の高層ビル群のとあるビルの屋上。

 

連日の監視業務も少しは刺激が欲しいところで、カナデ嬢の登場だ。

冬ということもありデニール高めのおみ足に、ひざ丈のスカート。ダッフルコートの可愛らしさが年相応だ。

中途半端なデニールのタイツを履くくらいなら、デニール数低めの「ギリ生足じゃない」感じか、デニール数高い「足の曲線を強調する」感じで攻めるのがいい!好きだ!だからカナデの高めデニールタイツにくるまれた足は良い!

一校の女子制服にはレギンスまたはタイツだが、楽しくないのである。

大抵の女子はグレーのタイツか、黒のレギンスだ。曲線美が!曲線美を感じられない!

俺、校長だったら女子のタイツはデニール数を決めた上で、黒に統一するね。

 

というか、横スリットがある制服なんだから、それを活用すれば世の男子の6割は直ぐにコロッといくわけですよ。

おわかりか?柴田美月女史&光井ほのか女史よ。

特に柴田女史!吉田幹比古なんておっぱい触らせて「責任取って」の一言で一発やぞ!

あのイケメン童貞神道男子!泣きぼくろって、ふしぎ遊戯の柳宿か!

 

屋上の階段に腰掛ける俺の横に座り、カナデは俺の肩に頭を預けてくる。

「裏取りが出来るかどうかわからんから、真に受けるなよ」

カナデは小さく「うん」と答える。

ノートPCで各監視カメラを見る。

既に公安及び所轄の警察と内閣情報局は動いている。今回は軍情報部は地の利が無いのでお休みだ。

屋上から見る渋谷のネオンは俺たちのようなカップルにはナイスな夜景だ。

 

 

昨年の年末時点でパラサイト事件に対して行動指針を決めた。

 

一つ目は、タツヤ・クドウ・シールズは基本無視。変に転生者の腹の探り合いをしても行動リソースが無駄になる。敵対的行動を示唆してからで十分。というか年末ぎりぎりのタイミングで軍情報部が「敵工作員」と睨んだので監視対象となった。経歴は大きく嘘をつくか、事実に基づいて綿密に作る方がいい。この時期に魔法科高校に短期留学生を複数ねじ込むのだから慎重にするべきだった。

それにタツヤ・クドウ・シールズが「記憶持ち転生者」とは限らなかったので転生者というより「潜入工作員」として対応したかった。

 

二つ目は、接触は光夜、雪光、カナデの三人だけにし、俺は転生者と軍人であることを秘密とした。職業がばれるのはまずい。転生者情報も一人ぐらい伏せておけば、何かの役に立つだろう。

決して「実は転生者でした!」と驚かせたいわけでは・・・ない!

既知未来にはない血縁者の登場は、転生者判別としては基本だと思うので目立つ三人に任せた。

 

三つ目は優先すべきは「パラサイト」

雪光の話では七草の関係者含めて50人近い人間が犠牲になるらしい。そんな無差別テロは妨害したい。

転生者の腹の探り合いなど無益というか面倒なのだ。実体験者は語る。

 

ブラックホール実験の結果、パラサイトを呼び込んだことを前提にすると「渋谷近辺における吸血鬼事件」が来訪者編の開幕のベルだ。だがパラサイトを日本に誘致した現地コーディネーターの周公瑾は、大漢ジジイの指示を聞ける状態ではない。

今は無職になり、次の仕事先を探している。まだ引き出す情報は多いので当面は軍情報部の紐付きの仕事だろう。

 

日本現地での受け入れ態勢は出来ていない。そんなところにパラサイトなど送り込めるのか?

大漢ジジイはUSNAでパラサイトを日本に送り込んだが、現地での生活が確保できないなら別の手を考えるだろう。

ただ既知未来知識による想像なので確証はない。すでに既知未来と大きく乖離しているのだ。

正確な相手の行動を読み切れないまま、俺たち四人は終業式の夜を過ごした。

 

俺たち四人の打つ手が見えない中、状況のイニシアチブを手に入れられたのは周公瑾の確保によるボーナスだった。

12月後半に周公瑾宛てのメールに潜伏場所の情報が流れてきた。

どうやら違法な住居斡旋業者が「いつもと違うルートで密入国者の住居手配の発注」が来たので確認のため周公瑾に連絡してきたのだ。

爆笑だ、というか諜報屋やっているとこういったことはたまに起きる。

報告・連絡・相談がしっかりできている裏社会の業者の方が仕事が出来るんじゃないか?

 

情報部はその連絡に対して「身を潜めるから連絡不要。他言無用」で返した。

あとは連絡して来た斡旋業者を追跡し、手配された10人前後の人間が暮らせるシェアハウスを特定した。

周公瑾絡みと分かったので「潜入工作員の第二陣」と判断された。

ただ地の利の問題とちょっとした取引の結果、内情が公安と連動して動くことになった。

国防軍情報部は横浜騒乱で一人勝ちに近いのが仇になったな。俺のせいだけど。

 

そんなこんなで年始を迎えて、タッちゃんへの尾行をし、タッちゃんと学校で対面。

正直転生者云々なんてどうでもいい。

こいつはUSNAの紐付きで、日本の軍事機密を探りに来ている犬で、司波達也がマテリアルバーストの使い手と「なぜか」知っている。もうそれだけで可能なら事故死していただくことも必要だろう。

 

そう思いながらも、俺は公安からの協力要請で渋谷付近にあるシェアハウスを見張っていた。

今日の昼間、20日の昼に引っ越し業者が家具を持ってきていたので数日内にはパラサイトが到着するのだろう。

 

今のところ吸血鬼事件は起きていない。

USNA国内で3人が処分されたとして、本郷なんとかで含めて4人。雪光の話だとパラサイト総数12人なので、8人が密入国し、このシェアハウスを日本での活動拠点とする。

 

12人というのは、きっとそうなのだろう。今までの経験上「転生者が介入しない出来事は既知未来通りに進む」と思われる。

タッちゃんや他の転生者が介入していなければ、パラサイトの数は12人分だろう。

そりゃね、転生者(俺&光夜)の介入があったからモーリーはモーリーになったし

介入しなかった服部先輩は、司波達也との模擬戦で既知未来通り負けている。

 

いや、あえて服部先輩の黒星を強調しなくてもいいな。

ほら、転生者未介入だと九校戦前の自動車テロ事件も起こったし。

大丈夫、服部先輩!国防軍は君のようなオールラウンダーな魔法師を必要としている!来たれ若人!

七草真由美は魔法大で楽しいキャンパスライフを送るが、君は高卒で国防軍入りして汗臭い青春を送るのだ!

 

それにしても、パラサイトはもう少し渋谷内で分散して潜伏しようよ。

全員が一箇所というのは、業者にちゃんと目的が説明しきれていない。つまりは相手側に信頼関係がないのだ。

もう付け入る隙はありまくりだ。奴らの入居予定のシェアハウスには盗聴、盗撮がばっちりだ。

 

「でも、アラタも転生者と疑われているよ」

「勝手にさせておけばいいよ。余計な思考に落ち込むだけ」

と言いつつ、俺はカナデの肩に手を回し、より密着するよう抱き寄せる。

最近は二人の時間が減っているので、この事件が終わり年次が代われば任務から開放される公算が高いので

春休みは二人で3泊4日くらいで温泉に、温泉に行くのだ!ぐへへへ。家族風呂のある部屋を予約してやる。

カナデも俺の頬に頬を当てスリスリとしてくる。うん、可愛い。

 

なんでも、雪光曰く既知未来だと七草の関係者が被害に入ったことで「首都防衛」を大義名分に十文字家と七草連合軍が内情を盾に現場介入してくるらしいので、それを防げたのも嬉しい。

 

あんな夜道歩いて5秒で発見されるようなデカい男が地域監視任務が出来ると思えないし、指示するにも現場経験不足だろうし、実際は内情から報告貰うだけで、まともに指揮できないんだから指揮車の中で大人しくサンドイッチでも食ってろ。

おっと別に横浜騒乱編でサンドイッチを食べていた十文字先輩のことじゃない。

 

 

そして翌日1月21日に状況は動いた。

19時にパラサイトの一団がシェアハウスに到着したのだ。


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