うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる 作:madamu
たまには書きたい「オリ主TUEEEE」話。
「関大尉!どうしますか?」
「構わん。このまま進む!」
戦闘ヘリのミニガンの発射音をBGMに俺は曹長に進行を指示する。
敵の魔法師は7km先の基地に待機しているらしい。らしいというのは22時間前の情報で今はどうだかわからない。
南米地域からの邦人脱出作戦「ネノクニ」のフェーズも3まで進んでいた。
敵基地への先制攻撃し、2時間後に脱出する飛行機を見送って終わりだ。
俺は手に持ったアサルトライフルの装弾状況を確認する。
南米の山間部で最新銃器を手にするのは難しい。
山間部に潜って2週間は現地で手に入れた年代遅れのライフルと体力で勝負してきた。
短い間だが手にしている相棒だ。
ヘリの機内では、すでに南米のいざこざ慣れした部下たちが笑っている。
現地での生活は都市部で1か月。山間部で2週間。
突発的な脱出作戦にしては長い方だ。
全員、肌も焼け服も汚れ、如何にも現地の肉体労働者といった風体になった。
俺だけ現地の少年ギャングの態だったのはいつものことだ。
一世代前の戦闘ヘリのせいもあり、皆ローターの回転音に負けぬように大声だ。
「だれかお決まりのセリフ言う奴いないのか?」
「やだよ。結婚の予定もなければ、相手もいねーよ」
「俺もだよ。8か月前に離婚したから待ってる相手いない」
「何だ、種無しか?」
「俺のミニカーコレクション捨てやがった!」
「ご愁傷様!」
ボチボチ降下地点だ。
「お前ら、博打の清算は終わってるな?!」
「「イエッサー!」」
全員から返事が返る。
博打の清算をしとかないと縁起が悪い。
口酸っぱく言っているおかげで皆金払いは良い。俺は先週プラス勘定だった。
ヘッドセットマイクは無い。連絡手段は手元に1つある情報端末だ。
ヘリは地面から5mのところでホバリング。ロープを垂らし中空のヘリから続々と部下たちが下りていく。
最後に俺も降りる。降りる時に「45分後だ。南に2km!」とパイロットに怒鳴る。
パイロットは親指を立てた左手を見せる。
全員が地面に降り立つ。俺を含め5名。元空挺や元海兵、変わり種だと空軍の救助レンジャーもいる。
「いいか、時間との勝負だ!死んだ奴はあの世で全員にビールをおごる!生きて戻れば俺がビールをおごる!」
「「イエッサー!!」」
俺の言葉を合図に目的の基地へ向かう。ここから350m。すでに敵は臨戦態勢だろう。
楽しいドンパチの時間だ。
◆
!!
二発の発射音。先に見える倉庫の二階窓からの銃撃。
小隊全員、そんなことでは止まらない。
身をかがめ、遮蔽物の陰に隠れつつ前進する。
魔法の展開など考えない。この先にこそ切り札が必要なのだ。
先行した一人のハンドサイン。
「敵、右、建造物、二人、銃器」
それを受けて一人敷地内に放棄された車両の影を走り、大きく右に迂回する。
俺は先ほどの倉庫窓に一発牽制。硝子の割れる音と人が倒れる音がする。
「行け行け!」
前方に見えた反射光に対して1発牽制で発射。
部下たちは体を屈めつつも恐ろしい速さで、前方へ距離を稼ぐ。
!!!!!!!!
前方へ移動した一人が牽制でフルオートを建物群へ叩き込む。
フェンスで囲まれた二棟の倉庫。
その周辺にはバリケードのように置かれた大量の廃車群。
倉庫の横には簡易の滑走路も見える。
「大尉!展開します!」
「おう!派手にやれ!」
俺以外の唯一の魔法師が手元のCADを操作する。
軍用のCADは確実性及び堅牢性重視だ。
民間の最新モデルは車で引いても大丈夫だとか宣伝しているが、12.7mmで撃ったら壊れたので信じていない。
すくとも7.62mmを連続で撃ってもぶち壊れない軍用CADは安心して使える。
耐塵性も高いので、砂漠や荒地でも使用が可能だ。
「タイミング!3、2、1、起動!」
魔法師、田村少尉が周辺の仲間に聞こえるようにデカいを出す。
田村を始点に扇形に風が起こる。
強力な風、具体的には風速40mの風が2棟の倉庫へ連続で吹く。
地面から土埃が経ち、数台の廃車は風に負けて動き出している。
他の部隊員たちは風の発生範囲を把握しており、風の影響のない範囲でどんどんと前進する。
田村のそばには護衛役の曹長がついている。
「曹長、5分持たせろ!」
恐ろしい暴風の中、俺や残りの面々は車両の影を走り建物に取りつく。
建設の容易さを優先した軽い建材で作られた倉庫は、風に吹かれ外壁が波打つ。
大きく腕を回し、風を弱めるよう指示を出す。
弱まった風の中、建物に侵入する。すでに硝子の割れた窓から中に入る。
中ではスペイン語で「逃げろ!」「銃持ってこい!」「マリア様!」と
逃亡、反撃、神への懺悔と忙しい。
!!!
3射し、3人の人影を黙らせた。発射地点へ視線を感じ、俺は直ぐに移動する。
建物内は、所狭しと物も入れられたズタ袋がうず高く積もっていた。
麻薬の原料だ。ここまで積み上げられたのは初めて見る。
袋の間を抜けて、出会う敵を確実に仕留めていく。
視界は悪いが、気配や音で十二分に行動は出来る。
外からも暴風の音の中で射撃音も聞こえており、各所で戦闘が繰り広げられている。
目的は白人系の魔法師。某国から派遣された戦術級だ。
過去に2度、航空機の撃墜を行っており、この国からの脱出する邦人を狙っている。
移動しながらためらいなく引き金を引く。すでに弾倉一つ使い果たした。
倉庫の2階までクリアリングをし、安全を確認した。逆に言えば目的の魔法師は仕留めていない。
倉庫から出て廃車の影から周辺を見渡す。隣の倉庫は部隊の2人、篠田と御園が制圧した。
二人とも倉庫の出入口から周辺を警戒している。
「いたか?!」
「いません!」
御園が返事をする。
「篠田、田村に魔法を止めて合流するよう言ってこい!御園、俺について滑走路周辺の索敵!」
◆
「ということがあって、俺は戦術級魔法師をその場で射殺した。御園は強い衝撃を受けて気絶していた。俺の所見だと命には異常がなかった。ただ先ほどの戦闘で篠田も田村も、曹長の青野も疲労困憊だ。骨董品のAKも使いモノにならない。倉庫に火を放ち麻薬を焼きつつ、俺は御園をかつぎ、小隊の面々とランディングゾーンへと向かったわけだ」
懐かしい話だ。その後各自一階級昇進だ。情報部の精鋭との仕事は危険と興奮が混ざったエキサイティングな体験だった。
「・・・」
柳はじめ、魔装大隊の志願者15名は疲労のあまり返事が出来ない。40kgの背嚢を背負い、重さ5kgの銃型の重りを何とか握っている。銃を杖にしたら全員で腕立て50回を宣言してあるので、みんなしっかり持っている。既に18時間以上、豪雨の中で富士山麓の樹海を行軍中だ。
祝日含め3連休が出来たので、以前から風間さんに提案していた「100km行軍訓練」をしている。
みんな黙ってしまったので、俺の楽しい情報部時代の話をしても誰もウンともスンとも言わない。
いや、「逃亡、反撃、神への懺悔」のくだりは笑うところなんだけどな。
情報課から怪しい少佐が来た、という話は大隊内で広まっていたので俺の実力を知ってもらうために催してもらった。
柳や体力自慢が参加してくれた。
空挺時代は仲間と山に行ってナイフ一本で4日間過ごしたり、3日で150km行軍したりと、若い体力にモノを言わせていた。
だが久々の行軍で俺も疲れてきた。
「うし、じゃあ少し休むか。歩哨は3交代だ。この先に設営地点があるからそこまで走るぞ~」
小走りで走り出す俺の後ろを何とか全員走ってついてくる。
う~ん、基礎体力はある方だけど、空挺ほどじゃないか。
そう思いながら、俺は少し速度を上げた。
結局全員が100kmを行軍で来た。よかった!
何人か辛くなって泣いたりもした。柳が「泣くな!歩け!」と声を掛けていた。
ゴール間際に「100km樹海歩くと楽しいね!」と笑顔で言ったら「殺すぞ」みたいな視線をいくつも感じだ。
◆
「行軍訓練当分禁止で」
「え、山中さんダメ?」
定期連絡のモニターには軍医の山中少佐が映っている。
困り顔だ。
「一人疲労骨折です。うちは歩兵部隊じゃないんですから長時間の行軍訓練は必要ないと思いますが」
思いますが、と言っているが声音は厳しい。俺に釘を刺す気満々だ。
たしかに魔装大隊は都市部での戦闘や、後方支援が成り立った状態での運用が基本だ。
だが兵隊なんだから体力なくっちゃ駄目でしょう。
「だけど山中さん、体力はないと駄目ですよ」
「柳くん、あれから山籠もりする!とか騒いで風間隊長に叱られたんですから。あんまり刺激するのは勘弁してあげてください」
柳くん、対抗心強いからな~。古式魔法師は山籠もり上等な人多いし、彼の山籠もり精神に火が付いたのだろう。
風間さんを怒らすのも申し訳ない。少し自重するか。
「わかった」
そう答えると山中少佐もうなずく。
「今度は射撃訓練やろう!誰が最初に1.5kmの射撃に成功するか!」
「うちは魔法師の集団です!」
ごもっとも。
体力馬鹿というか超人的肉体を持ってすれば、玄人も泣くような訓練もハイキングです。
チート、スゲーな。