うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる 作:madamu
「いや~すごいね」
オフィスの奥にあるテクニカルチームのブロックで、チーム長は相談しにきた面接担当官に微妙な笑顔を見せた。
とんでもないことになるぞ、という類の笑顔である。
「申し訳ありません。ですが、想定から逸脱しているのでまずはご相談と思いまして」
緊張した顔で謝罪をする担当官。チーム長は久々のトラブルに笑うしかなかった。難しいというより珍しいから笑うのだ。
「何ループに一度くらいは、この手のことが起きるので対応方法はあるから大丈夫だけど、もう少し詳しく教えてくれない」
「はい、対象のチートはこちらです」
面接担当官はかしこまった手つきで用紙を見せる。
「彼に対して情報強度2から3の情報体が合体して侵入しました。現地では吸血鬼、寄生体と呼ばれております」
チーム長は用紙を手に取り読み込む。
「あれ?」
チーム長は読み途中で声をあげる。どうやら何か発見したようだ。
「何かありましたか?」
面接官が緊張の度合いを増す。更なるトラブル。対応ミスを恐れた。
だが出てきた答えは緊張を解かすものだった。
「いやいや、こりゃ心配ないよ。本人持っているのが神の加護の最上級が複数だろ」
「はい」
「じゃあ、問題ないや。情報体が神加護持ちをどうにかするには最低でも強度8は必要だから」
「8ですか?!」
上ずった声の返事。想定外の数値に面接官は驚く。
「8。最上級は情報強度で直すと9以上の数値化不能ラインだよ、複数入ったといっても強度は合算されないから」
「ほんとですか!」
「でも、そうなると」
武神、軍神等の「分類」管理はこの手のことには大らかだ。だが神格の個人名がついている場合はそのユニオンや連盟、連合からの突き上げが来る。特に今回は最上級だ。ヘルメス本人が事情確認に来るだろう。
チーム長はヘルメスを知らない相手ではない。先手を打てば怒りも収まる。
「あ~、これ持って管理課と上司さんにハンコ貰って来て」
「え?」
手渡されたのは一枚の用紙。紫の枠線がある申請書だ。
「今回ね、チート強化イベントで処理するから。あとシャチハタは無しね。三文判でいいから、ちゃんと朱肉使ってよ」
◆
従来の白い部屋ではなく何処かの企業のオフィスで関重蔵が苛立たし気に待っていた。
(死んだわけじゃない)
戦闘の佳境となったあの瞬間に重蔵の中にパラサイトが入ってきた。そこで意識が途切れた。
周辺ではスーツ姿のサラリーマンが忙しそうに電話をしたり、21世紀初頭のPCで何か資料を作成したりと忙しげだ。
大昔の前世で嫌というほど見た日常のオフィスだ。
「いや~申し訳ない」
重蔵の転生時にあった神が現れる。
スーツにネクタイ。顔はよく見えない。
「今回実はちょっとこっち側で手違いがありまして。関さんには直接オフィスにご足労いただきました」
「その言い方だと、俺はあの世界に戻れるのですか」
関の表情は硬い。戦闘中の離脱は仲間の生死関わる。
「ええ、もちろんです。こちらとしては気を失われて1分後に目が覚めるよう調整済みです。そのためにも一つお願いがありまして」
神はデスクの引き出しから見慣れたモノを取り出す。
「サイコロを振って頂きたいのです。実は情報体が関さんの中に入ったときにチート強化イベントのフラグが実行されまして、それを完了させませんと」
「わかりました。この場でいいんですか」
6面体のサイコロが4つだ。
「こちらを振ってください」
関としては直ぐに終わらせて戻りたかった。何気なく振った。
神もサイコロを4つにしたので、以前と同じような事にはならないと思った。
・・・絶句・・・
神が立ち上がった衝撃で机の上に置かれたファイルは崩れ床に散らばる。
関重蔵はため息をし、床に落ちたファイルと、ファイルからこぼれたメモ紙片を集める。
神は青い顔をしながらどこかに電話をする。周りのサラリーマンたちも「あいつ、スゲーな」と感情の無い目で神を見ている。
それを横目に関は整えたファイルを机の上に置き直す。
「すいません。最大です・・・はい、はい。後ほど」
電話口でそれだけ言うと神は電話を切った。
「どうなったんですか?」
「気絶から1分後に覚醒は変わりません」
それだけ言うと神は一枚の申請書を関に見せる。
「ここに、サインを」