うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる   作:madamu
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( ゚д゚)

大会十日目。

ここまでの成績の話をしよう。

 

ロウ・アンド・ガンナー男子ペアはモーリー&光夜コンビが優勝。

光夜が最速でボートを漕ぎながら、妨害工作で高波を自由自在に起こしたので、他のチームは転覆が多かった。

「あいつ一人でいいんじゃないか」とも言われたがモーリーの指示が無ければスタート1秒で全ボート転覆だから、競技として成立させたモーリーは偉い。競技考えた人はモーリーに感謝状を贈るべきだ。

 

ソロでは吉祥寺真紅郎無双だった。ショットガン式不可視の弾丸を駆使した的撃ちと的確なボート漕ぎで総合点で一位を奪取。的撃ちを捨てた七校は一位でゴールしたがペナルティを食らい二位だった。吉祥寺真紅郎は頭でっかち系かと思ったが意外と動けるのが驚きだ。

雪光曰く「兵介、ショットガン式のアイデア出したな」とニヤついていた。そこらへんは原作で何かあるのだろう。

 

シールドダウンは、男子ペア、女子ソロで優勝したが沢木先輩が兵介に負けて二位だ。女子ペアも三校が取って、ポイント的には拮抗している。

兵介の勝負は凄かった。相手の盾がどんな技術だろうと、高い干渉力で突破して一気に吹っ飛ばす。190cmの巨体が恐ろしいスピードと敏捷性で迫ってくるのだ。沢木先輩は頑張ったが、基本スペック差で負けたという感じだ。

 

アイス・ピラーズ・ブレイク本戦は激戦だった。司波深雪副会長が優勝したが、準決勝の「司波深雪vs川村エカテリーナ」が九校戦史上に残る激戦だった。

深雪副会長は巫女姿、一方カチューシャは・・・ドレス姿だ。それも歴史もの映画に出てくるドレス姿だ。

開始の合図から恐ろしいことになった。氷炎地獄の打ち合いだ。

空間内の事象改変がせめぎ合い、試合会場に張り巡らされた想子のバリアが耐久上限まで来てしまい試合中断となった。

一校からは「恐るべしカチューシャ」の呟きが増え、須田ちゃんは「金髪美少女・・・いい」と新しい扉が開いたようだ。

仕切り直しとなった試合でも、氷炎地獄を駆使するカチューシャとそれに対抗すべく多彩な魔法を使う深雪会長の激戦が10分以上続いた。終盤、カチューシャがサイオン量で息切れした瞬間に一気に深雪副会長が押切りなんとか勝利を手にした。

序盤の氷炎地獄が止められなければどうなっていたかわからない、と司波達也がつぶやいていた。

 

新人戦は昨年以上の混戦だ。

特にモノリスコードとミラージ・バットは凄いことになった。

モノリスコードは三校勢のオフェンス力の強さ、特に鬼一法楽を中心とした攻めは果敢で無謀で面白かった。

一校は「七宝&緋村」の「勝手に失恋コンビ」が無類の強さを見せたが、黒羽文弥&五輪鳴門のコンビに抑え込まれ準優勝になった。遠近との安定した戦闘を披露した四校の一年生コンビは見事だった。

 

ミラージュ・バットでは黒羽亜夜子の高速移動と七海奈波の「想弾」の勝負となった。長時間空中を自由に動ける想弾に軍配が上がった。七海は想弾を足下に置き、想弾をコントロ―ルすることで空中に長時間滞空した。飛行魔法とも違う七海特有の技術なのでルールには触れていない。空中を自由に滑りまわる七海と突風の如く暴れまわる黒羽姉の勝負は見ものだった。

 

今年も一年生は豊作だ。桜井ちゃんもシールドダウンソロで優勝したし。

 

残るは明日のスティープルチェイスのみとなった。

 

 

パァンと勢いのいい音と共に俺の頬は叩かれた。

目の前にはジェニーが冷たい顔で立っている。

EU圏のCAD開発企業のVIP。それが彼女の今の立場だ。

俺の横でカナデとモーリーが驚きの表情で固まっている。

 

ジェニーは一歩近づきハグをする。

「やあ、元気そうだね。彼女も元気かい」

仏語での会話だ。彼女は英仏両方いけるが母語は仏語だ。

ジェニーは表情を柔らかくするが寂しげな瞳のままだ。

「4年前に死んだわ。交通事故でね」

「そうか」

ハグが解かれる。胸元のネームプレートからジェニーの所属と立ち位置が読めた。

「九校戦は全部見たのかい?」

「いいえ、今日の最終試合だけ。それを見て、今晩には日本を発つ予定よ」

「そうか。忙しいな」

「そうなの。いつかお墓に行ってあげて。南フランスのあの丘の上よ」

「ああ、いつか行くよ」

それだけ話して離れていった。最小限の感情がこもった会話。

だが当人同士には濃密な感情が詰まった会話だった。

 

スティープルチェイスの試合1時間前。スタッフテントに行く途中、海外からのVIPと遭遇した。

VIPもVIP席から出て会場内を歩いたのだろう。偶然会った。

 

そして言葉を交わす前に平手打ちだ。

ジェニーは、俺の愛した女性の娘。記憶が間違っていなければ24歳になったはずだ。

今から11年前。世界で一番美しい風景。南フランスの夕陽。

俺は今でも彼女と空で繋がっていると思っていたが、すでに彼女は空の上だ。

頬の痛みが引いた瞬間に、そのすべては遠い思い出となった。

 

モーリーはポカーンとしている。( ゚д゚)っといった感じだ。

カナデはいきなりの女性の登場に驚きを隠せていない。

「どう・・・いう人?」

彼女もそれが精いっぱいなのだろう。ここで言う言葉が悪いと後で拗れる。

「昔世話になった人の娘さん。不義理してね。世話になった人が亡くなったって」

流石にモーリーがいる以上詳しくは離せない。

11年前の話だと相馬新君は6歳でフランスのバツイチ女性と大恋愛したことになる。

俺は動きのないカナデに近づき手を取り、歩き出す。

「詳しくは夜にでも話すよ。聞いてもらいたいし」

彼女だけに聞こえる声で言う。

 

「モーリー行くぞ」

モーリーは首を縦に振り動き出す。カナデもモーリーも言葉がない。

 

昨年はカナデ、今年は彼女。九校戦は俺の人生に影響を及ぼすな。

 

 

「どういうことだ、風間さんから話は?」

「わからん。俺の方にもない」

情報端末で司波達也と会話をする。

俺は会場の外を走り抜ける。司波達也は学校毎に割り振られたテントでスタッフとしていなければならない。

光夜も、雪光も選手で今現在森の中を疾走し始めた。

カチューシャや兵介、司波深雪、一条将輝、名だたる学生たちがスタートを切った。

 

となると、この状況に対応できるのは俺と司波達也とカナデだけだ。

カナデは達也と同じテントで101旅団との通信の確保と問題の信号を追跡をしているはずだ。

 

九校戦の会場の隣は国防軍基地で、九校戦の会場は本来は国防軍野外演習場だ。

二週間だけ野外演習場は魔法師の学生たちのお祭り会場となる。

 

俺は走りながらこの状況を整理し始めた。

スティープルチェイス開始10分前。つまりは今から10分前。

カナデが中継カメラの回線を失敬して、より競技の状況を見やすくしようと試したところ変なものを見つけた。

衛星からの座標確認の信号だ。複雑で複数の電波をより分けたときカナデは息をのんだ。

そして俺の袖を引っ張り「ミサイルに狙われている」と呟いた。

 

カナデは直ぐに座標確認の信号を発信しているのが衛星であることを見つけ、5分で逆探知を成功させた。

ミサイルの誘導ビーコンは国防軍基地から発信されていた。

基地から衛星、衛星から誘導先座標。

今、六基のミサイルに狙われているのはここだ。

 

直ぐにテントを出て基地へ向かう。司波達也にはテントを出てから情報端末で連絡をとり状況を説明した。

端末の向こうで唾を飲み込む音がしたような気がする。

そして風間さんからの情報の有無を確認した。

 

「達也、カナデと連携して風間さんに連絡してくれ。俺は基地に入る」

「わかった。混乱させないため、正式な指示が出るまでは状況は伏せる」

この辺りの冷静さは流石だ。

俺は足を速め、制服の上着を脱ぎ、会場の手摺にかける。

こんな派手な服装だと潜り込めない。

口元をハンカチで隠すと走り始めた。即興で国防軍基地に潜り込むのだ。それもミサイル発射体制を整えつつある基地に。

改めて状況を整理するとこうだ。

 

混沌として最悪でクソ面倒。








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