ベル・クラネルが復讐者なのは間違っているだろうか 作:日本人
あ、それと言うのが遅れましたが活動報告の方でアンケート取ってます。是非書いてください。
「あの、ベル様。ご相談があるのですが⋯⋯」
「ん、なに?」
リリとの初冒険から数日後、ダンジョンからの帰りにリリから相談を受けた。その内容というのが────
「────
僕は聞いたことの無い単語に目を白黒させる。
「はい。その際にお休みを頂きたいのですが⋯⋯」
それは構わないけど⋯⋯。
「ごめんリリ。怪物祭って?」
「え?知らないんですか?」
不思議そうに首を傾げる。もしかして忘れてないか?
「リリ。僕ってまだ冒険者になって一月位の駆け出しなんだけど⋯⋯。オラリオに来たのも同時期だし⋯⋯」
僕がそう言うとリリはあぁと頷き、
「⋯⋯そう言えばそうでしたね。ベル様があまりに規格外だから忘れてました」
何気に酷くない?
「コホンっ。⋯⋯ええとですね。怪物祭というのは年に一度開かれる[ガネーシャ・ファミリア]主催の催しです。闘技場を貸し切ってそこでモンスターを
「モンスターを⋯⋯?」
[ガネーシャ・ファミリア]の名は僕でも知っている。オラリオ内でも上位の実力を有するファミリアだ。民衆からの人気も高く、信用度も高い。そんなファミリアが何故わざわざそんなリスクの高い事を?万が一、モンスターが逃げ出せば被害は洒落にならないだろうに。そうすればファミリアの信用もガタ落ち、好んでやるとは思えない。
(あるいは誰かに命じられて⋯⋯?)
僕が考え込んでいるとリリは言いにくそうに、
「それで⋯その、ベル様。当日はリリも別件の用事があるので休ませて頂きたいのですが⋯⋯」
かなり居心地悪そうな様子だ。別に気にしなくても良いのになぁ。
「うん。そういう事なら構わないよ」
「あ、ありがとうございます!ベル様!」
嬉しそうにお礼を言ってくるリリ。本当に気にしなくても良いのに⋯。さて、それにしても祭りかぁ⋯⋯。まぁ僕には関係ない話か。興味も無いし。
リリと別れた後、僕はもはや行きつけになりつつある豊穣の女主人亭へと足を運んでいた。目当てはもちろんここの料理である。安く、多く、美味いと三拍子揃った料理、ロキ・ファミリアの人達が行きつけにするのもわかる気がする。僕が店に入るなり近寄ってきたシルさんとの会話を楽しみながら料理に舌鼓を打っていると、
「そう言えばもうすぐ怪物祭ですね。ベルさんは当日はどうするんですか?」
シルさんにそんな事を聞かれた。残念ながら特に興味も無いのでダンジョンにでも行くつもりだと伝えると、
「ええ!?勿体ないですよ!」
何故か凄く驚かれた⋯。どうやら聞くところによると、怪物祭はオラリオの名物と化しており、誰もが当日はこぞって見に行く程の人気の祭りらしい。
「見に行かないなんて人生損してますよ!」
⋯⋯そこまで言われると興味が湧くな。だったら言ってみようかな?でもなぁ⋯⋯。
「男1人で祭りを回るのもなぁ⋯⋯」
そう、僕は1人なのだ。ファミリアの人達とは正直そこまで仲がいい訳では無い。リリは用事だしヴェルフもこう言ったことには興味を示さないだろう。かと言って流石に1人というのは味気ないしなぁ⋯⋯。するとシルさんが、
「だったら一緒に回りませんか?」
「え?いいんですか?」
まさかのお誘いを受けた。こちらとしては願ったり叶ったりなのだが⋯、
「えへへ⋯。実は私も当日はお休みなんです。だから良かったら一緒にと思ったんですけど⋯」
ダメですか?なんて上目遣いで言ってくるシルさん。⋯⋯なんというか、ここまであざとい言動が似合う人も他にいないだろうな⋯⋯。正直、少しクラっときてしまったのは内緒だ。だがこちらとしても断る理由は無い。
「じゃあ当日はよろしくお願いしますね」
「っ!はいっ!」
僕がそう返すと何故か顔をパッと輝かせるシルさん。そんなに喜ぶことかな?というかリューさん?なんで後ろでサムズアップしてるんですか?それになんか所々から怨嗟の声が聞こえる様な⋯⋯。
────気にしないことにしよう。
最早考える事を放棄し、僕はそのままの流れに身を委ねるのだった────
【ベル・クラネル】
Lv1
力︰726 B →864 A
耐久:643 C →666 C
器用:895 A → 954 A
敏捷:972 A → 999 S
魔力:609 C → 784 B
《魔法》
【
・詠唱式【これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮】
・追加詠唱式【我らが憎悪に喝采を】
・指定範囲に付与
《スキル》
【
・自分よりも強い相手と戦う時、ステイタスに高補正。
・こ■は、『
【鋼鉄の決意】
・[現在凍結中]
・「待て、しかして希望せよ」
「⋯⋯⋯⋯は?」
黄昏の館へ帰った後、ロキ様にステイタスの更新をお願いした。その結果がこれである。見ればロキ様も頭を抱えている。
「いやな、もうベルたんが色々ぶっ飛んどるのは知っとったよ?もう何が来ても驚かんつもりやったよ?でもな?流石にこれは無いんやない?」
「⋯⋯なんというか⋯⋯その⋯⋯⋯すいません」
どんよりとした雰囲気を漂わせながら力なく文句を言うロキ様。心無しか瘴気が漂っているような⋯⋯。ていうか、
「本当になんなんですかこれ?」
「分かったら苦労せんよ⋯⋯」
どうやらロキ様も初めての事のようだ。
────ステイタスの伸び幅が異常。
⋯⋯これはまだ許容範囲。
────文字化けしたスキル。
⋯⋯既に意味不明。
────何故か凍結されたスキル。そしてついでとばかりに記された謎のメッセージ。
もう意味がわからんわァァァァァァ!!!!!って事らしい。自分で言うのもなんだが色々おかしくないか僕のステイタス。
「鋼鉄の決意⋯⋯か」
もう一度ステイタスを確認し、そこに記された文字を見る。名称からして精神系のスキルの様だが⋯⋯。
「ロキ様、このスキルってどんな効果があるんでしょうか?」
「んー?んー⋯。まぁ決意って言うくらいやし威圧とか魅了に強くなるーとか、
「そうですか⋯⋯」
残念ながらロキ様にも詳しくはわからないらしい。出来れば効果、ないし凍結の解除法ぐらいは当たりを付けたかったのだが⋯、
「そうそう上手くは行かないか」
残念だが、今は仕方ないと諦めるしかないようだ。服を着て、失礼しようとすると、
「ちょいまちやベル」
突然呼び止められた。見れば何時に無く真剣な表情のロキ様が。僕は姿勢を正し、ロキ様に向き直る。
「ウチとしてはベルたんのステイタスは誰にも話さんつもりやったんやが⋯⋯今回の一件でちょっと考えが変わった。ベル、この件をフィン────いや、フィンを含む幹部の子達には話しておこうと思う。これ程の事をいつまでも隠し通すのは正直キツイ。その点ウチの子達なら信用出来るし、話しておいて隠蔽に協力してもらおうと思うんやけど⋯⋯ええか?」
真剣な顔で告げるロキ様。⋯⋯僕としてはこの件が広まり、有名になるのは願ったり叶ったりだ。その分フレイヤに近付くのが早くなる。だが、今の状態でフレイヤを始末できるかといえばそうでも無い。間違い無く奴の近くには護衛が張り付いているだろう。⋯⋯正直今の僕が行ったところで細切れにされて肉片になるだけだろう。
(今は身内の信用出来る人に話しておいて協力してもらうのが得策か)
僕は致し方なしと判断し、今は時を待つのだった────