ベル・クラネルが復讐者なのは間違っているだろうか   作:日本人

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お気に入り数が1500超え⋯⋯だと⋯⋯!?

感想でルビを振ってほしいとの意見がありましたが、自分はスマホで投稿しているので無理です。すいません。


ダンジョンと試運転と

「────それじゃあダンジョンに行ってきます」

「⋯⋯⋯はっ?」

唐突にロキ様にそう告げた僕はそのままさっさと部屋から出ようと────

「待て待て待て待て!?ベルたんまだ義手出来てないんやろ!?そんな状態でダンジョン潜るなんて正気か!?」

「正気ですけど⋯⋯いい加減暇なんですよ。僕、ファミリアに入団してから一度もダンジョン潜って無いんですよ?」

そう────僕がロキ・ファミリアに入団してから既に二週間が経過しているにもかかわらず、僕は未だに一度もダンジョンに入る事を許されていなかった。リヴェリアさん曰く、「まずは知識をつけてからだ。でないと死ぬぞ?」との事で、僕は第一級冒険者すら悲鳴をあげると評判のリヴェリアさん式スパルタ授業を受けるハメになったのだ。僕がダンジョンに行きたいと言ったら「義手も無いのに行かせられるか」と言われた。正論なので何も反論出来ないのが辛い。が、今此処にリヴェリアさんはいない。理由としては五日前、ギルドが一定ランクのファミリアに課す遠征に出発したからだ。遠征とはファミリアがしっかりと活動しているかの証明の様なもので毎回一定の成果を求められる。その性質から実力のある冒険者達はあらかた出払っており、リヴェリアさんを始めとする第一級冒険者の人達もいない。つまり────僕の初めてのダンジョン攻略を妨害する人は今此処にはいない。僕は遠征期間の間用に出された課題を全て終わらせ、ロキ様の許可を得るためにここに来た、という訳である。ちなみにそのロキ様はダンジョンに行こうとする僕を必死に押しとどめようと半泣き状態で僕の腰にしがみついている。

「ベルたん!考え直してや!?ウチがリヴェリアに怒られるんや!あの説教はもう嫌なんやぁ!!」

「大丈夫ですって!すぐに帰ってきますから!リヴェリアさん達が帰るのは明日ですし今日だけならバレませんって! 」

「⋯⋯ホントに?」

「本当にです」

「ホントのホントに?」

「本当の本当にです」

「ホントのホントのホントに?」

「本当の本当の本当にです」

「⋯⋯⋯わかったわ。でも今日だけやで?」

よし⋯⋯!許可も取ったし、これなら大丈夫だろう。早速準備をしようと部屋を出ようとすると、

「ベルたん⋯⋯一つだけ約束や」

約束⋯?

「何でしょうか?」

「〝危険やと思ったら逃げろ〟、これだけや。絶対死ぬ様な事したらアカンで?」

「⋯⋯はい、勿論です。心配してくださりありがとうございます」

僕はその言葉が嬉しくなり、思わず顔を綻ばせる。ロキ様のその言葉は今はもう殆ど残っていない昔の記憶、僕にまだ〝家族〟がいた頃を思い出させた。

 

────守らなければ

 

強く、そう思った────もう二度と家族を失わない為に。たとえ、家族から失望されようとも────

ふと、ロキ様の顔を見ると、何故か顔を赤くしてこちらから目をそらしている。

「ロキ様?どうかされましたか?」

「い、いやっ!?何もないで!?」

何故か声も上擦っている⋯⋯?僕はその事を疑問に思いながら部屋を後にした────

 

 

 

 

 

 

 

「さて、久しぶりのギルド、か」

僕は以前、冒険者登録をした際に訪れたギルドに再び来ていた。ギルドはダンジョンの入口を管理していて、ダンジョン内から持ち帰った魔石やドロップアイテムの換金なども行っている。僕はそのままギルドに入ろうとし────

 

────自身を見つめる薄汚れた視線に気づく。

 

 

「ッ!」

僕は咄嗟に視線の方向に目を向ける。そこにあったのは────

摩天楼(バベル)⋯⋯?」

それはギルドが存在する万神殿(パンテオン)を最下層に構成される巨塔、摩天楼からのものだった。それも恐らく────最上階付近から。暫くすると視線の主は消えていった。

「一体何者が⋯⋯?」

僕は疑問に思いながらもそのままギルド内に入っていった。

 

 

 

 

「────あぁ⋯⋯良い⋯⋯」

摩天楼の最上階。そこには迷宮都市最強のファミリアの主神、フレイア、そのファミリア団長である都市で唯一のレベル7、猪人のオッタルが居た。フレイアは恍惚とした表情を浮かべ、オッタルは顰めっ面で沈黙している。フレイアの目の前には地上の映像が投影されており、そこには白髪の少年────ベル・クラネルが映っていた。映像の中のベルは突然、弾かれたように摩天楼の上部、正確にはフレイア達がいるこの部屋を見ていた。その様子に満足したのかフレイアは映像を消す。頬を上気させたままフレイアは独り言を呟く。

「あぁ⋯⋯なんて綺麗な魂⋯⋯。黒く染まった憎悪の底にある純白の光⋯⋯欲しい⋯⋯貴方が欲しい⋯⋯!」

フレイアはオッタルに目を向ける。

「オッタル。あの子をもっと輝かせて?」

「────仰せのままに」

オッタルはそれだけ言って下がって行った。フレイアは視線を外に向け、ただ一言、

「⋯⋯ベル」

それは、まるで恋人に対する様な呼び方であった────

 

 

 

 

「────エイナさん、お久しぶりです」

「ベルくん?どうしたの一人で?」

僕はギルドに入った後、たまたまエイナさんに遭遇し、話しかけていた。

「あぁ、これからダンジョンに潜るつもりなんですよ」

「⋯⋯ダンジョンに?ベルくん新人研修受けた?」

「⋯⋯新人研修?」

エイナさん、はぁっ、と溜息を一つ、

「あのねベルくん?ギルドは新人冒険者向けの講義を開催してるの。ダンジョンの知識だとかどんなモンスターが出るだとか新人冒険者には欠かせないものだよ?悪い事は言わないから受けてからでも」

「あ、リヴェリアさんにみっちり扱かれたんで大丈夫だと思いますよ」

「⋯⋯そう言えば君はロキ・ファミリアだったね」

軽く苦笑しながらそう言ってくるエイナさん。どうやらリヴェリアさんの事はギルドにまで伝わっているらしい。流石と言うべきだろうか。

「でもベルくん、ソロで行くの?」

「あー⋯⋯、ちょっと都合がつかなかったみたいで⋯⋯」

都合というのは義手制作の事である。僕は当初、ヴェルフも誘って行こうとしたのだが、ディアンケヒト様と二人で義手造りに熱中してしまっていて、とても誘える様な状態じゃ無かったので誘わなかった。

「うーん⋯⋯そっか。じゃあ仕方ないね」

「次はなるべく複数人で潜るようにしといた方がいいですよね?」

「うん、ダンジョンは不測の事態が多いからね。人数が多い事に越したことはないよ。後⋯⋯」

そこで一旦言葉を切るエイナさん。

「後?」

「〝冒険者は冒険してはいけない〟。これだけは守ってね?」

「⋯⋯思いっきり矛盾してません?」

「私が言いたいのは〝無茶をするな〟ってこと。無理して死んじゃったら元も子も無いからね」

ロキ様と同じ様な言葉を、どこか暗い雰囲気で話すエイナさん。過去に何かあったのかも知れないが余計な詮索はするべきでは無いので気付かないふりをする。

「取り敢えず、無茶をしない程度に頑張ってきます」

「うん、頑張ってねベルくん」

エイナさんはニコリと微笑みながら僕を見送ってくれた。

 

 

 

 

 

ダンジョンに入った僕は取り敢えず歩く。ダンジョンに入っている以上、モンスターと遭遇しないと話にならない。取り敢えず歩き続けてモンスターを見つけよう。そのまま歩いて行くと、前方に小柄な人影が見える。少し近づくとその全貌が見えてきた。醜悪な面構えに粗末な服装、どうやらゴブリンの様だ。数は5。正直物足りない数だが贅沢は言ってられないか。

「グギャァァァアッッ!!」

叫び声を挙げてゴブリンの内の1匹が粗末な棍棒を振り上げて襲い掛かって来る。僕は振り下ろされた棍棒を躱し、そのまま左手に持ったナイフでゴブリンの首筋を切り裂く。

「グガッ!?」

あっさりと頚動脈を切り裂かれたゴブリンは地に倒れ伏した。その様子に怒ったのか、残りの4匹が一斉にこちらに接近してくる。

「遅い」

瞬時にナイフをゴブリンに向かって投げつける。飛翔する刃は先頭のゴブリンの眉間に吸い込まれる。僕が武器を手放したのを見て好機と思ったのか、いやらしいニヤケ面をこっちに向けながら走ってくるゴブリンに飛び蹴りを喰らわせる。

「グゲェッ!?」

蹴りはゴブリンの首をへし折り、あっさりと命を刈り取る。そのまま残りの二匹に接近し、片方の顔面を掴んで地面に叩きつける。

「ブギュアっ!」

僕の掌を中心に赤い華が咲き誇る。最後の一匹は漸く不利を悟ったのか背を向けて逃げ出す。もちろんわざわざ逃がす理由も無いので回収したナイフでサクッと始末した。僕はゴブリン達の魔石を回収し、ダンジョンの奥へと進んで行った────

 

 

 

 

 

「「「「「「待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!!!」」」」」」

「「「「「「ブモォォォォォォォォォォォッ!!!???」」」」」」

ダンジョン十四階層────此処では予定より早く遠征から帰還したロキ・ファミリア、そしてそのロキ・ファミリアの団員から全力で逃走するミノタウロスの群れが居た。原因としては、新種のモンスターに武器をダメにされた団員達(主にティオナ)がたまたま見つけたミノタウロスの群れに八つ当たりを敢行し、ヤバいと思ったミノタウロス達が全力で逃走を開始。それを追いかけるロキ・ファミリア団員、と言った風になっている。フィンはミノタウロスを追い掛けながら自身の親指が疼くのを感じていた。それは彼の長年の経験から来る〝予感〟であった。

「(⋯⋯何か嫌な予感がする。早く仕留めた方が良さそうだ)」

そう思ったフィンはミノタウロスを追う団員達に指示を飛ばすのだった。

 

 

 

 

「フッ!」

「グギャア!?」

「ハッ!」

「ブギュアッ!?」

今僕がいるのはダンジョン十階層。余りにも敵が弱くてついつい進んでしまっていたらこんな所に来ていた。僕は取り敢えず飛びだして来たインプを蹴りで潰す。さらにオークが迷宮の武器庫(ランドフォーム)の石斧を振るってきたので躱し、首筋にナイフを突き立て、絶命させる。────取り敢えず今の状況を整理しようと思う。えーと?確かキラーアントを1匹仕留め損ねて仲間を呼ばれたんだっけ?そしたら戦闘音を聞きつけたモンスターが寄ってきたんだったな。そんな風に考えながら迫って来るシルバーバッグの首を蹴りでへし折り、インプを踏み潰す。流石に数が多いな、あと10体ぐらいか?そんな時、僕は背中のステイタスに刻まれていた〖魔法〗の存在を思い出す。

────試運転がてら使って見るか。

「そうと決まれば⋯⋯」

僕はモンスター達に手を突き出す。

「『これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮』!」

────目標、目の前のモンスター達。

「『吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)』!!」

────瞬間、モンスター達の足元から黒みがかった焔が噴き出し、モンスター達を取り囲む。

「「「ギャアァァァァァァァァァア!!!?」」」

たちまち焔に呑まれるモンスター達。が、まだ終わらない。

「『我らが憎悪に喝采を』!!」

追加詠唱文を唱えるとともに今度は禍々しい槍がモンスター達を貫く。

「────────────ッ!!!!??」

声にならない断末魔が響き渡る。暫くして串刺しにされていたモンスター達が動かなくなる。モンスター達を倒したのは良いけどこの焔どうしよう?ダメ元で消えろと念じたら焔も槍も消えていった。成程、これは想像以上に使えるかも知れない。取り敢えず僕はモンスターの死骸から魔石を回収する。────一方で、僕は物足りなさを感じていた。端的に言おう、弱過ぎる。ここに来るまでの道中も攻撃を喰らわなかったし殆ど一撃で仕留めていた。参った、このままでは強くなれない。さらに先に進みたいが魔石やドロップアイテムを入れたポーチが限界のようだ。仕方ない、今回はもう戻ろうか。そう言って上の階層に続く階段に向かおうとして、

 

『⋯⋯⋯ォォォ』

 

「ん?」

今の声は⋯⋯⋯?

 

『⋯⋯⋯⋯ォォォォォォ!』

 

「これ⋯⋯⋯はッ!まさかっ!?」

────ありえない!何でこんな所に!?

 

『⋯⋯ォォォォォォォォォォォォ!!』

────そんな馬鹿な!!しかもこの数────!次の瞬間、

 

「ブモォォォォォォォォォ!!!!」

霧を切り裂き現れたのはミノタウロス。レベル2にカテゴライズされるモンスターで今の僕ではスペック的に劣る相手。1体ならば何とかなる。しかし現れたのは〝3体〟。どう足掻いても勝てない。

「────ちくしょう!!?」

────こんな所で死んでたまるか!!僕はミノタウロスに背を向け、全力で上の階層を目指して走り出した────

 

 

 

 

 

 




2018年1月18日 日間ランキング一位になってる!!!めちゃくちゃ嬉しいです!!!ありがとうございます!!!!

そしてルビの振り方を教えてくださった皆様、ありがとうございました。
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